順番
仕事を求めて都市部にでた村人に農地を提供して戻るよう促す。
もちろん全部は無理なので続きは自分たちで開墾。という条件もありそのまま都市で新しい仕事に就くものも一定数でる。
それはオリバーとちょうど条件がかち合ってしまうのだ。
彼も農村から来た半農半猟で弓が使える身体能力の高い若者だ。
ちょっと早く転職しただけなので顧客にアピールするほどの実績がない。
一時的に供給過多になる未熟練な冒険者。
だからより条件が悪くなる。熟練度の低い人間が買いたたかれる安い報酬で危険度の高い仕事に使い潰される。
ゴードンは山の中に匿うことでほとぼりが冷めるのを待つつもりだったらしい。
不慣れなにわか冒険者が悪条件下で気持ちや身体の問題を抱えリタイアしてから、山を下りて復帰させればいい。
一応オリバーのことを慮っているっぽい?
なにもかも酷いと思うけど。
一筋縄ではいかない稼業だからね、大事なものだけを優先するんだろう。
つまりわたしの都合はまったく鑑みてもらっていない。
で。
ゴードンを否定するなら。
「ロブやアルはこれからどこに向かうの?南のパラダイス村はしばらく婿取りしない感じでしょう?」
「パラダイス村は都市伝説だよ。ちょっと魔が差しただけだ。おまえばっかり楽しく蝶々を追う夢をみてるなんてずるいだろ」
「ふつうに考えると伝手のあるところだよ。ほら、落盤した鉱山。いまはすっかり生産が回復している。っていうか現状どこも政情不安だろ、魔鉄は需要が伸びてるはずなんだ」
「それで俺とアルが御者でおまえたちが護衛で請け負うといいと思うんだよ」
「荷車ないのに?」
「現地でかんがえるさ。どうせ商会の下請けだもん、貸与もするだろ」
戦略物資の移送なので、賊の襲撃などより危険が多い。
ただ、討伐系じゃなくて護衛のキャリアを積んでいるパーティなのだ。御者はいままでやってないけど。
「だから、テオ。大丈夫だ。王都に納品したらイルワ経由で鉱山へ向かうつもりで、準備を整えれば良い。経路も要るモノもわかるだろ?」
崖崩れしそうな山中に掘っ立て小屋での蜜月と、養育してくれたおっさん達と勝手知ったる仕事、を天秤にかけろという。
「悪いな。小僧。おまえに恨みはないけどうちの戦力を譲るにはタイミングが残念だったな。子どもが養えるくらいの稼ぎができてから出直してこい」
「…っは!嘘つきフレッド。いつだってどれほど待ったっておまえ了承する気ないだろうが」
「ざけんな。あるわ。ただ、順番てもんがあるんだよ。おれの後だ、後!カイより先でも良いぞ」
なんだ、それ。生涯むりじゃん。
ディックが後ろから小さく囁く。
「…だいじょうぶだから。万が一の時は俺が抜けさせてやる。…テオは。今行きたい?」




