リゾートバイト
「そもそも急な言い分だよ。何その魔物被害」
だってテオったら噴水のところでチューとかしててオレらのことガン無視してたじゃん。
今日までずっとお花畑満開でフワフワしちゃって春爛漫だよなぁ。
おっさん達はヒゲに埋もれた口角を上げてニッタリと笑いながら、口々にわたしの初恋をからかう。
っていうかまだチューはしていない。
あとすこし、およばずだ!
ほんとうに初々しいのよ。わたし達。くぅぅ。。。
って!あれ。見てたのか。こっそり抜けだしたつもりだったのに。
急に顔に熱を持った血が上ってくる。頭がのぼせ上がりそうに熱い。
「見たの?」
「それは大事なうちのテオのことだからなっ!あんな時間にあんなところに出かけるなんて、そのまま見過ごすわけにはいかんだろ」
って保護者っぽいことをロブがいうけど、目が笑ってる。したりがましいことを言ってるけど野次馬じゃん。
「…そんで、なんか。。。テオばっかり青春を謳歌しているのもどうかと思った訳よ。俺の幸せを探そうかと」
要するにあのキラキラと輝くランタンのお店でオネエサンの接待を受けた。
「…あの。…スケスケだったり半裸だったりほぼ全裸だったりする魅惑の夜の化身に存分に誑かされた?」
「誑かされねぇって。楽しくお話をしていただけよ」
どういう状態でお話なさっていたかは聞かない。ぜったい、だけ、ってことがないだろ。でも詳細は聞きたくない。大人なんで。
オネエサンはリゾート出稼ぎ就労者だった。
南の国境を越えて延々と移動して辺境のリゾート地に来た『理由』が国に見切りをつけていたから。
外国人で女。できる仕事は限られていて辛うじて恵まれていた容姿を活用していたのだ。
そういって不憫を誘ってチップを弾ませる作戦だな?
ロブ達は今後の仕事先を調べる上で近隣の国境を越えてでも条件のよさそうな所をあたってゆきたかったので、オネエサンの国の状況を仔細に訊ねていったのだ。
「なんかね。以前、王都のギルドで聞いたことがあるのさ。南の海辺の島だか海岸の集落だかにパラダイスがあるらしいんだよ」
曰く、母ちゃんが昼は商店で働き、夜は飲み屋で働いて、家事を切り回しつつ若くしてもうけたたくさんの子どもを養う。おやじはふらふらと日陰でカードや茶飲み話をして夜はだらだらと飲酒。繁殖だけ手伝う。
なんで『海辺』かっていうと半漁のバージョンもあって、朝から貝を掘ったり小魚を投網で取って子どもを養いつつ以下略。
その働き者の妻女がいるパラダイスでは訪れた冒険者がちょっとお遣いをしたり仕事に出たりするだけでスーパーダーリン並に賞賛を浴びるらしい。そしてモテる。
この際そこに拠点を移そうか。とスケベ心満載で南から来たというオネエサンに訊ねたのだ。
予約投稿の日時を誤っていました。
というわけで土日の分を今日は夕方、明日は朝六時に公開します




