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【本編完結】小学生で迷子になっている   作者: へますぽん
番外編

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妄想

新生活を始めるのは何かと物入りだ。

ヤカンやバケツなどちょっとした日用品をちまちま買いそろえるだけで積み上がると

意外なほどのお金が必要になってしまうのだ。

だから、最初の部分のお金を貯めるために半年かそこらだけ受けてしまえ。

家賃がかからず食事《携行食》も差入れされるこの仕事はとても条件が良い。


ゴードンの説得がまだ続いている。


「だからね。いっしょに住まないからいらないんだってばっ!」

千遍繰り(くりごと)の止まらないおばあさんの相手に飽きた孫のようにフレッドがキレる。


「いまオリバーはものたりないかもしれん。けど近日中に注目が集まる、仕事も充分得られるようになるから。誰もが彼を評価する。そのときに(モテるように)なってからだと惜しいじゃないか」


「そのときは好きなだけ選び放題のお嬢さんと所帯をもてばいいだろうが」

ねえ?とカイと頸をかしげてみる。

「そもそもロブもアルもいいオトコなのに未だに独り者だし

カイもモテモテなのに所帯持たないじゃん。ディックはまあ口説きに行くタイプじゃないから納得感があるけど。

そうおいそれと妻帯できないんじゃない?」

とわたしは思うのだが。


「俺は結婚したことがあるからっ!!既婚歴があるからっ!!」

おぉぅ。

だらだらと四人で揉めていたら、アルまで乱入してきた。

そこ大事なんだ。



ゴードンの言い分はともかく

陸の孤島に掘っ立て小屋で籠城するのは

四畳半フォーク越えてロビンソンクルーソーとフライデーみたいじゃん。


あぁ、でも。あばらやで貧しく誠実なオトコと漂着した貴種で同棲するおとぎ話は多いよな。

羽衣を返してくださいとか決して機織りをしているところを覗いてはいけませんとか私のことを語ってはいけませんとか。。。

そういうごっこだと思えばイケるか?

絶世の美人役かー!!

ってそこで妄想に照れてしまうわたしはまあまあ初心だ。


火サスや週刊誌の中吊り同様、そこはだいたい美人って書くんだよ。

「美貌のビオラ奏者殺害事件!愛して貢いで捨てられて…十年の確執!!」みたいな?


そのほうが興味をひくから。

わりと可愛いとか不器量じゃないくらいの容姿とか好みによっては、などあたりまえの事実を書くより誰も損しないからちょっと、だいぶ、大きく!盛っておく部分だよ。


たしかに山姥が住むっていうより

山のあばらやにひっそりと隠れ住む美少女わたしだが道を守っている

っていうほうが山道をすすむモチベーションアップになるわ。

にわかに幻想文学のかほり漂ってきたよ。

いっそ、美貌を拝むためだけに脚を運ぶ価値が出るかもしれん。


そっか。『魔法使いの美少女』役かぁ。

リボンやハートのついた棒きれとか振りまわしたほうが良い感じ?


架空の美人の妄想に耽っている。あるいは現実から逃避している。

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