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【本編完結】小学生で迷子になっている   作者: へますぽん
番外編

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哀願

お願いだから、挽回のチャンスをあたえてもらえないか。

とゴツい年かさの先輩に懇願されると、さすがに断りにくい。


良い格好をしようと見栄を張ったばかりにしくじって

寝込んでいる間に告白したばかりの彼女が風を喰らって消えていた。

しかも当人を回収して診療を受けさせて宿に送り届けてと彼女が後始末をしたうえで捨てられる。


この事実は、あまりにも彼がマヌケ過ぎる。無様すぎて立ち直れまい。

このまま逃げてしまわれると彼は婚期を失ってしまう。

だから。おねがいだから、もう一度だけ会って?

一言で良いから言葉を与えてほしい。


せつせつと訴えるゴードンにフレッドは冷たい。

「…は?それはムシが良すぎるだろう。医者にかかっただけでも充分なはずだ」

「テオ。ゴードンの言い分は聞かなくて良い。それはオリバーが解決すべき問題だ

ゴードンはどうしても丸め込みたいんだよ。いったい幾らで請け負っているんだよ

その金で道路直せばいいのに」


わたし達は仕事柄、頻繁に野営をする。

そのうえ、わたしは野営をするのに適した幾つかのとっておきがある。

だから、どこで過ごすにもさほど困らない。

けれども、それは山の中の藪とか掘っ立て小屋で通年過ごしても快適ってわけじゃないんだ。

そうじゃなければ、町の中に部屋を借りたりしないだろう?

都市部から技術者の一団を派遣させて、見積もりだの工事をさせれば期間も工費も

わたしとノルを道ばたの小屋に缶詰にする費用とは比べものにならないだろう。

地方都市の書店バイト時給(砦の町相場)と首都の深夜バイトの時給(わたしたち)と正規ベテラン技師の人件費と考えれば

伝わるだろうか?

道の整備が整わないのは砦の町の今期予算が足りないのか?

来年には予算が付くのか?

つかないんだろうから、商工会はこうやってゴードンに丸め込ませようとしていると思う。


「…。むり。道を落としたい悪党はわたし達を仕留めちゃえば楽々封鎖できるとか狙われ放題じゃん。土砂崩れで死ぬか賊に討たれるか獣に不意打ちくらうか、花の命が短すぎて無理」


「だいたい 金がない。キャリアがない。力もない。

あるのは将来性ってだけだろう?

なんの将来性だよ?

肉壁か?

そのうえマヌケ?

行き遅れだろうとそれはおれらの負うべき問題じゃない」

…フレッド。ちょっと。…キツい。

まだ彼は経験値が足りないだけで。

そこまで言わなくても。


…それに、二周目の十代をやっていても、やっぱり万全じゃない。

だって、この問題トラジロウでやった!って満面の笑みで書いたテストの答案が全問正解なら

みんな偏差値70越えるんじゃね?

何回も趣向を変えて似た問題を繰り返し解いて、なお間違って

これは苦手な分野って思いながら自分に憶えさせてゆく。

二周目でたしかに有利なはずだけど、全部正解を知っているわけじゃない。

まして解き方が分かっている計算じゃない。

受け手ごとに正解が異なる対人関係だ。

相手の持ち物を褒めると

「ではあなたにさしあげましょうね」っていわなくちゃいけない文化圏の人もいる。

贈り物を受け取ったらそれよりも価値のあるものを返礼することに情熱を傾ける文化圏の人もいる。

そのうえノルもわたしも言葉が足りない。

慣習も違う暮らしをしてきてお互いを理解し合う価値観すらすりあわせていない。

ただ、好きなだけだ。

彼が駆けてくる姿とか、目があったときに大きく笑う様子とか、はにかみながら話しかけてくるときとか。

ふとした瞬間に胸をついてくる愛おしい気持ち。


「きっと会ってもわたしたちのあいだにある問題は解決できないと思うので

このまま行かせてください。もしノルがなにか思うところがあるなら手紙でも会いに来るのでもいいです」


えーっと。


ほほほほほ・・・。つかまえてごらんなさいっ。


とか言えればよかったのか?

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