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【本編完結】小学生で迷子になっている   作者: へますぽん
番外編

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212/230

後朝未満

未明まで、まんじりともしないでノルの枕元

後ろ前に椅子に跨がって椅子の背に顎をのせて観察していた。


熱が出たらどうしよう。

あぁ。もしかして嘔吐してもよいように桶と水差しと手ぬぐいをスタンバイさせて。


ときどき息をしているのか不安で鼻先に手をかざした。


昼過ぎにはゴードン達もこの定宿に帰ってくる。

それまでついててやりたかったけれど

衛門を破ったので追っ手がかかることが心配で診療所の帰路からずっと落ち着かない。

ぜったい見られた。

わたしだってバレてる。

どこに居るかも把握しているだろう。

いつ踏み込まれるのか。

そうしたらノルを投げ出しても逃げるしかない。


ノルにはゴードンさんがついているし、被害者(?)だし。

そもそも唯の同行者だ。他人だ。

巻き添えになる関係性がない。


ないのだ。


残念なことに、わたしたちは仕事仲間ですらない。


寝不足の頭で考えることは碌でもない。

クヨクヨとしながら眠るノルの顔をみつめていた。

薄明かりが彼の顔をぼんやり顕わにする頃、ようやくわたしは諦める。


「じゃあね」


払暁の空だけが明るいのを窓から眺めて

懐から木馬をとりだす。


ノルの怪我の原因達を枕元にごっそり並べて

「拭いたけど。なんかまだくすんでるよね」

それは自分でキレイにして納品してくれ。

宿代は払ってあるし、わたし良くやったと思う。


脱出経路の窓はちゃんと閉めてから

ふたたびわたしは衛門を破る。


明けがらすと見間違えてくれるといいんだけど。


一本道だから上から彼らを見つけるのは難しくない。

麓の木々が茂っていても、それなりに見える。

目立たないように商隊の後ろにすこし離れて降りる。


殿はフレッドとゴードンさん。

フレッドは不機嫌そうに見える。って背越しにちら見えする状態でそう見えるもんだろうか。


彼はだいたい朗らかで、大きな体躯でヒゲの強面を台無しにするように

良く笑って良くしゃべるのだ。

その彼が話もしないで身体が膨らむほど力を入れているのはなんでだ。

ゴングが鳴ったボクサーか?


声がかけにくい。


馬の速さに追いつくように小走りに歩く。

蹴った石が当たる音に振り返る二人。

「おはようございます?」


警戒して半ば抜刀していた剣を納めながら、フレッドもゴードンさんも挨拶を返してくれた。


全く爽やかさのない朝が始まる。

愛玩獣を親戚宅に預けていました。

積み上げられた段箱って小さいこと畜生のロマンをかき立てるアイテムだから。

あと、知らない収納の扉がバンバン開いてて未知への興味を誘う。

だからって命の危険を顧みない冒険をされるのは困るので、預けました。

片付けの邪魔ともいう。


そうしたら、そっちでも大活躍したらしい。

おばさんが悲鳴のような電話をかけてきた。

トリモチ罠にかかっていた。

愛玩獣の全身とおばさんちの畳やら息子さんがネトネト。

小麦粉をまぶせって検索結果にしたがったけど、どうにもならない。

ネトネトの部分にハサミを入れようとしたら小さい悲鳴があがる。

愛玩獣のカワもちょっとキレた。

息子さんのネトネトは毛だけ切れた。身は無事。

畳はネトネトのままだ。


っていうのが先週のはなし。

そのあと我々は憔悴していました。

暑かったせいなのか、シャンプーしすぎて皮脂とか矜持とか毛を失ったせいなのか。

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