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【本編完結】小学生で迷子になっている   作者: へますぽん
番外編

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診察結果

「オリバー君のおかーさーん!診察終わりましたよぉー!」

中庭の扉を開く音と助手の声が響く。


誰がおかあさんじゃっ!


正直に言えばわたしはロブ達と同年代で

ロブがさくさく所帯を持っていたらノルくらいの子がいても普通。


但し!!

わたしはいま初々しい娘盛りだからっ!

鬼だって愛らしくみえる年頃だからっ!

本物の十代の娘と違って

「娘らしさを追求する偽娘」っていうのはより技巧を凝らしてあらまほしい(こうあって欲しい)娘像を追求してイデアの娘になったりするからっ!


…いや、わたしがソレに該当しないかもしれないけどっ。


物語やお芝居の娘って実在より断然娘らしく愛らしい。

それにわたしの知るTS娘たちがたいてい仕草も身なりもスキがなくていつも身ぎれいで愛らしい

ってはなしだよ。

だから。

年増偽娘のわたしだってこれからそうなるかもしれないし?


なんで、おかあさん呼ばわりなのかしら?とパンパンに腫れ上がったまぶたをグシグシとこすりながら立ち上がる。

すっごいブスのまま待合室に戻るのかと躊躇して、ターバンをずらして顔まで覆う。

不審者だ。

大騒ぎしながらドアを蹴立てて飛び込んできた挙句、泣きわめいて、そして覆面強盗スタイルで診察結果を聞きにくるなんてぜったいどうかしている輩だ。


…。それで正解か。

どうせ定住者じゃない、行商人(ヨソモノ)だ。


ここはMRIもレントゲンもない診療所だ。

だから診察結果は医者の経験値からしかでてこない。

「骨折はしていなかったよ。擦り傷と打撲は消毒して処置してあるから帰りに塗り薬を受け取って」

今晩は様子を見て、熱が出たり具合が悪くなったらまたおいで。という安心していいのか、心配なのかと話に混乱しつつ

助手に支えられたノルに肩を貸して、待合室の椅子に掛けさせる。ならんで座るわたしの肩に頭と体重をのせている。


町中を衆人環視の中、あの木馬で移動するのはイヤだし、まして二人乗りとかマヌケすぎてムリ。

かといって担いでゆくのもなぁ。男の沽券に関わるって怒られそう。

力がないから、俵のように肩に担ぐことしかできないのだ。

それに担いでそれほどの距離は移動できない気がする。


医者までは思いついたけど、そのさきを全く考えてなかった浅はかな自分に呆然とする。


受付から人が来て

「荷馬車をよんであげましょうか?ちょっとガタガタするけど、寝そべって帰れますよ?」

そっと声をかけてくれる。

怪我人の帰路に慣れた人の対応だ。

我に返って礼を言って薬の袋を受取り、診察の支払いと荷馬車の手配を頼む。


ノルはグッタリしているけれど、肩に寄りかかったまま、もそもそと声を出している。

「ごめん。…ユーリカ。……。調子に乗っていた。もう。…平気だから」

そもそも平気な状態の話し方じゃない。

座っていることも難しいじゃないか。


「そう?じゃあ、宿に帰って寝るだけだからね。もう、だいじょうぶだよ」

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