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【本編完結】小学生で迷子になっている   作者: へますぽん
番外編

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208/230

動揺

見守りってなんだよ?


目の前で起こる碌でもないことを砂かぶりで鑑賞することなのか?


いつだってそうだ。

突然滑り台のてっぺんから、飛ぶオトモダチが

流血にまみれたときも

同級生のお嬢さんがスワロフスキービーズのキラキラを楽しんで

光にかざしたり手の中で転がしたりしていたかと思うと

鼻の穴の中に押し込んだときも

ちゃんと周りに大人がいて子どもを見守っていたのよ。

赤ちゃんじゃなくて、言葉で意思疎通できる子どもだから

危険と言い含めれば、わりと分かったふうにふるまっていた。


いつだって目の前で手遅れになる。


毎回、叫びながら医者を探すことしかできない。


そのうえ、なんでだろう?ことが起こるのは週末とか夜間で診療時間外。


今だってそうだ。

どうしてこんな山の中で怪我を負うんだ。


明らかに錯乱したわたしは、あやうくブケパロスを握ったまま足元の土砂に飛びこもうとして

「テオっ!おまえがさらに怪我したら誰がオリバーを救助するの?

おまえが救助しなくてもいいのか?」


たしかに!!せっかく助けるチャンス。恩をきせるこの機会を失ってはいかん。って正気じゃない発想に

なぜだか納得してふわふわと気持ちが漂う状態でブケパロスにまたがり降下する。


殺伐と暮らしてきた。

流血沙汰もありあり。

この程度でいろを失って動転する自分がいることに驚くよ。

落ち着け。

冷静にならないと。


どうすることが適切なのか。


土砂にめりこんでるノルの傍らに降りて跪き、急所が無事であるか。

出血や打撲の有無を検める。


「…ユーリカ。…っ。その。大丈夫だから」

膝の上に頭を抱えこむと、意識はあるオリバーがもそもそと口の中で小さく言葉を紡ぎだす。

咄嗟のことで固まっていただけだと主張している。


弁慶の立往生の例もある。

重傷を負っても動ける人もいる。

当人の弁は信じられない。


とりあえず、生きていることが確認できたので

ヨシ!

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