はこいり娘
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顔色って驚くほどはやく鮮明に色変わりすると知る。
日に灼けたオリバーの首から上が見たこともないような赤に染まっていた。
人の肌があんなに朱くなるものか。
たちまちのうちに真っ赤に
首も頬も耳も赤くしたオリバーが
「テオとの交際をみとめてください」
とロブ達に迫っていた。
「…いや。わたし、まだ。それ」
「テオ。お前もすごく赤くなってるし。なにそれ。飲んだの?」
なぜかカイがキレてる。
「はぁっ?認めるってナニ?
お前、まだ装備の借金も抱えてるし、これから揃える武器もあるだろう?
馬だってまだ持っていないじゃないか。
そんな貧弱な収入で
なんで所帯もてると思ってんの?
うちのテオに寄生する気かよ?なめんなよっ」
「ねえ。カイがどうして怒るの?」
すごい剣幕にひるんで声を殺して傍らのフレッドに問う。
「ほら。カイはルルちゃんと結婚するためにすごくいろいろ乗り越える壁が大きかったから」
そこに直れっ。
くらいの勢いでオリバーを座らせて、カイが
男とは。そして結婚とは。
酒も飲まないで語りをいれはじめた。先はながそうだ。
うん。しかたがない。
ルルちゃんと結婚するためにずっといろいろな彼女の家族の面倒にも付き合ったし
看護の愚痴も、結婚が遅れる不安も、一人で家族を支えるルルちゃんの心細さに寄り添っていた。
あのとき不況が町を襲わなければ、カイの幸せな結婚生活は見えていたんだ。
それが、鳥の羽やおもちゃを届けて結婚を口走られたら
思い入れが炸裂しちゃうよなぁ。
宿のロビーは突然始まった怒濤の激情シアターに見物人が集まり始める。
注目がこちらに来そうだったので、当本人が部屋に退散してしまう。
「そもそもパイを届けに行ったときのテオの身なりの色気のなさで
気がないのが分かりそうなもんだけどな。
あいつもいっぱい贈り物もらっているんだから、そのへん、判っていたんじゃないの?」
ロビーにはカイとオリバーを残してきた。
わたしと部屋に戻りながらアルまで厳しい分析を始める。
「わたしたちの恋(笑)」は始まる前に終わりそうなんだが。




