密売
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「テオよ。あれはないんじゃねぇ?」
だって!
「カイは通りの向こうでニタニタしてるしっ!
上からゴードンが覗き込んでくるしっ!
フレッドは背後をうろうろするんだからっっ
仕方ないじゃん!!」
通りの端で往来に背を向けて並び
一言だけ言葉をかけてブツを受け渡すと
そそくさと建物の陰に消える。
「まるっきり御禁制品の受け渡しだったよねぇ」
「それにしてはテオ真っ赤になってて」
「カイもフレッドもうるせぇ」
いや、それより宿泊施設の前で年頃の男女が真っ赤になってモジモジしてた。ってやばくない?
「んがああああ!!お嫁入り前なのに!!!」
「…テオ。どこの高貴な家に嫁ぐ気だよ?宿泊施設くらいで怯む男なんかおれが許可を出さないから心配いらんぞ」
「そもそもお前のなり、どうなの?」
いつもの青いターバンは色鮮やかだが
砂色の外套、タンカラーのシャツ、鈍色のズボン。
呆れるほどに擬態向き。
日々のドラム式洗濯で繊維はすっかり柔らかくこなれて着心地が増しているが
色は褪せ、毛羽が立っていて使用感とか撚れはハンパない。
要するに、地味でヨレヨレ。
「…臭クナイヨ」
袖を臭ってから言ってみる。
そもそも男女がって言っても、わたしスカートすら履いてないし、メイクもしてない。
女とパッと見で分かっただろうか。
いや、それでは年頃男子が二人寄り添って宿泊施設の前で真っ赤になっている。ってことに??
え?
まずくない?
待て待て。オリバーが異性愛者とは限らん。
うむ。
わたくしこう見えてもダイバーシティな教育を受けてきたので。
え?じゃあ。わたしはどう言う意味の貢物を受ける立場なの??
目がグルグル回って、大混乱し始めたわたしを
指さすな!笑うな!
「あんだけ調理に手間と時間かけてるのに、
おまえのいう女子力ってなんだよ?
ボサボサのまんまで行く女子力は低すぎるだろう」
「それを初々しいって言うんだぞ。フレッドもお勉強になったな」
それならそうと指摘してくれたっていいじゃないか。
こちとらすごい久しぶりで勘が鈍っているんだから。
って言うか、そもそも手管とか使わない直球の交際しかしていなかったから。
いまさら分からないな。
ヘレン元気かな。彼女くらいしか指導してくれそうな子思いつかない。




