ねことかさるとかやぎとか
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最後に土塀を崩して、おひらき。
「テオ!」
重量級の男がつぎつぎに蹴り上げて揺るがない土塀をわたしが壊すのか。
むぅぅぅっ!
目からビームが出そうなほど睨むけど、怪光線は全く出なかった。
でそうな気がしたんだけど。
そのうちなんとかしたいわね。
あぁ。でも。似たことが出来るか。
塀を指さして、水芸のように細く細くそして強く水を噴き出させる。
指で線を引くように、塀を横切る。
じりじりと水流を向こうへ押し込んで行く。ゆっくりと、確かに切断する。
ただ横に切って倒すのも、面白みがないと思い
一筆書きの絵を描いてみようと余計なことを始める。
線描のウサギくらい描けると思うじゃん。
犬とか猫とか、ノートの隅にみんな描くよね。
キリンとか虎みたいな上等なことは言わないからイケそうでしょう?
思いがけないことだが、急にウサギは描けないものだよ。
驚くほどの画伯クオリティで描きながら震える。
長い耳さえ描けばウサギだと思ったんだけどなあ。
背後の野次馬やフレッド達のざわめきが穏やかじゃない。
「テオは何かを表現している?」
「まっすぐ水が放てないだけでは?」
「おれは多触手の魔物を描いていると思うぜ?ほら、あのへん」
「触手ってもっと長いだろ?」
「立てて書かん?」
「そこは誇張表現じゃないか?」
ウサギとはもはや言えない空気だ。
まさか耳と鼻面と前足が触手呼ばわりされるとは…。
動揺で魔法が途切れそうになるのを懸命に堪えて、さらに出力を上げて支柱まで切断しきる。
そして手近の漬物石大の岩を掴んで
全力でガスガスガス!!と殴って、殴って、殴って、倒す。
ちくせう。
崩れた土塀に背を向けて急いでロブ達のもとへ去る。
おもいがけない臨時収入でちょっと良い気分のフレッドに、なお八つ当たりをしている向こうでは
オリバーが商店主のおじさん達にモテまくっていた。
またやって欲しいとか砦の町のイベントに出て欲しいとか
いっそ興業での仕事にしたほうがよかろうとか。
オリバーすごい。
以前の職場で主やお客様を夢中にさせただけのことはある。
障害設置してコース整備したいわ。と納得のパフォーマンスだ。
「塀を越えるくらい、そこらのネコでもサルでも、山羊なんかでも出来ることですよ」
ぽそりとオリバーはつぶやいて、俯いてゴードンのうしろに隠れてしまった。




