冒険者として登録
「来週からしばらく帰ってこられない」
フレッドさんが商隊の護衛の依頼を受けた。
「わああー。カッコイイ!強そう!」
「さほど荒れていないところだし、護衛の数も揃っているから、それほど危険な依頼じゃないんだよ。もちろん、無事故ってわけじゃないから依頼が発生するんだけど」
「誰と行くんですか?何人で?」
「それは言ってはいけないんだよ。どこかで漏れたら襲撃されておれ死んじゃう」
おお。おそろしいな。
「しばらくってどれくらい?3日?」
「10日くらいかなあ。遅くなるかもしれない」
「じゃあ二週間分の靴下が要りますね」
「そんなに靴下ばかりもっていかないけどな」
行軍において靴下をケチってはいけないって以前ネット記事をみた。誰得の情報だよと大学で笑った。
支給品ではなく機能性の優れた靴下が体力温存の秘訣って言われても、インドア民のわたしは紙装備のストッキングだったし。
「テオがたくさん見つけてくれたから四本足でも二ヶ月分はあるぞ」
「今晩からつま先とかかとを補強します」
「張り切ってるなー。オレがいない間羽を伸ばし放題の休日だ」
いやいや。その間の食い扶持を稼ぐ算段をしなければ。
まかないと給金が停止なのだ。
いよいよ冒険者としてデビューするときが来たね。
冒険者ギルドは街の入口にほど近い。何かの時に現場に駆付けやすいし、街に帰ってすぐ立ち寄れるからだ。
だからちょっと町はずれにある。
まわりには冒険者相手の装備品、武器店、食料品店、飲食店など小さい商店街になっている。
あまり来ない地域なので、建物の手前からドキドキする。
「こんにちはー」
配達のときの癖で扉を開けながら挨拶をする。
「テオー!配達か?」
おぉ。顧客がいる。
「こんにちは!今日はいよいよデビューに向けて登録しに来ました!」
「止めとけ。帰れ」
いいひとだ。真っ当な判断だ。
「登録だけ!おねがい!危ないことはしないから」
「危ないことしかないから、帰れ」
「登録しても死なないもん」
「こどもー!うるせえぞ。おとなしく帰れ-」
塩辛声のおじさんにむこうから窘められる。
「すぐ帰りまーす。ちょっとだけ登録させてください」
「テオ。聞きわけがねえな。ダメって言われたら止めとけ」
「だって、飢え死にしたくないんです」
「なんだよ。しばらく見ないけど、クビになったのか?」
「奉公先を替えたんですけど、いまレイオフ中なんです。この期間中に出来ることを増やしておきたいんです」
「そうは言っても、おまえに出来そうなことって無いぞ?見ろ」
募集中の依頼票が張ってある掲示板に付き添ってくれる。いい人だ。
「ウサギ駆除やりたいです」
「一日中畑で案山子の替わりになるやつな。まあ子どもだからそれでもいいのか。」
報酬が安価で不人気なため、そもそも視界に入っていなかったらしい。
夏のウサギなんて毛皮もしょぼいし、肉付きも冬ほどじゃないので獲物としても喜ばれない。
でも、野菜はいまが生育時期なので害獣被害は深刻だ。
「がんばったら、ご褒美に野菜もらえるかなぁ」
「それじゃ、おまえが害獣じゃねえか」
窓口で登録する。
受付のおねえさんに手伝ってもらって記入する。
「名前と年齢をここに」
「妹尾です。33歳です」
「おい。テオ!どう数えて33歳か言ってみろ」
「えええっと。お母さん?わたしは10歳」
しまった。正直すぎた。訂正がてらサバをよむ。
お付き合いありがとうございます
年齢についてご指摘ありがとうございます。
妹尾は初夏生まれ(5月くらい)で、現着時点で8歳。
転職後に初夏を迎え1歳加算して9歳になっていますが
ここではサバを読んで、1歳おねえさんの10歳を自称しています。
妹尾はカレンダーが一致しないだろうと勝手に決め込んで
夏っぽい日が続くとそろそろお誕生日すぎたかな?って後出しで年をカウントアップしています。
だから現着時点で7歳だったかもしれない。
ただ、七五三基準でもうすこし年長じゃないか?って判断して8歳を自称。
あまり厳密ではない年取りをしています。




