戦力の立て直し
仲間を強化するスキル【生成蟲強化】を1体のレッサーアントに使用しジャイアントアントにした後、さらにもう2体のレッサーアントに対してスキルを使用しジャイアントアントの数を増やした。これで今日だけで鉄鋼甲虫1体にジャイアントアントが3体増えて戦力がだいぶ増えた。とりあえず一旦拠点に戻ることにする。
少しの間歩き拠点につくと拠点が朝の時よりも大きくなっていた。順調のようだ。
次に俺は仲間の数を確認する。
仲間の数
・ジャイアントアント×5 (1体負傷)
・レッサーアント×5 (1体負傷)
・レッサーキャタピラー×5
・鉄鋼甲虫×1
そうえいば仲間2体が負傷したままだった。あとで魔力が回復したら【生命力譲渡】で回復させてあげよう。いつまでも負傷したままの仲間を見るのは辛いしな。
俺は鉄鋼甲虫を仲間にしたことで新しく生成できる虫モンスターの数が増えたことを思い出す。すぐにスキル【蟲生成】を使用してどのくらい魔力を使用するのかだけ確認する。
生成可能蟲
・レッサーキャタピラー (消費魔力6)
・レッサーアント (消費魔力10)
・レッサービートル (消費魔力27)
新たにレッサービートルというモンスターが生成可能になっていた。おそらく鉄鋼甲虫の弱小版だろう。しかし消費魔力が27と大分大きいな。戦闘力はその分だけ期待できそうだが他の虫モンスターより数を増やすのに時間がかかりそうだ。
おれは新たに追加されたモンスターの消費魔力を確認すると食事をとる。【念話】を使用して仲間にも食事をとるように伝える。するとすぐにおいていた食料がなくなってしまった。仲間の数が増えた上に体の大きい鉄鋼甲虫が他の虫モンスターよりも大食いらしい。戦力も大事だが食料問題も解決しないとな。このままでは食事をするたびいちいち心配しなくてはならない。もう少し仲間が増えたら食料を集めるモンスターたち、防衛をするモンスター達、拠点づくりをするモンスター達、という風に部隊を構成しよう。
とりあえず今のところは仲間の数が不十分なので俺とソフィア、あと若干数のレッサーアントたちで周囲から食べ物を集めることとする。まだ周りには十分な食べ物が残っているようで、すぐにたくさんの木の実や果物、キノコなどを集めることだできた。それでもすぐになくなってしまったのだが。
食事が終わるとステータス画面を確認する。
名前:カヤイ
種族:蟲人(幼体)
体力:34/34
魔力:16/31
レベル:8
スキル:虫モンスターテイム、自己修復、蟲生成、生命力譲渡、念話、生成蟲強化
魔力が半分くらい回復していたので早速、スキル【生命力譲渡】を使用して負傷していた仲間を癒してやる。それにより負傷していたジャイアントアント1体とレッサーアント1体が元気になり、防衛や拠点づくりの作業に加わる。
おれはそれにより体力と魔力が減少してしまったことにより体を休めることにする。そうだ、今のうちにまたソフィアと【念話】を使って色々聞くとしよう。
『ソフィア、またいろいろ聞きたいことがあるんだが今大丈夫か?』
なにやら興味深そうに仲間の虫モンスター達を観察したり、メモを取ったりしていたソフィアに【念話】で話しかける。ソフィアは俺たちと共に行動をしているだけではなく、暇をみてはちょくちょくこのように研究用のデータを集めている。一人で旅をしながら調査しているだけあって流石に研究熱心だ。
『はい、もちろんいいですよ。あ、でも私もカヤイさんに聞きたいがあるのですが先に質問いいですか?』
どうやら今回は彼女の方からも質問があるそうだ。おれは頷いて了承する。
『ありがとうございます。さきほど、カヤイさんと仲間のアントが触れ合っていた時、アントのけがが治っていましたよね。カヤイさんと触れあうだけで仲間の怪我を直してしまうのですか?』
どうやら俺が先ほど【生命力譲渡】により仲間の傷や怪我を治していたのを見て不思議に思ったらしい。俺は【念話】を使って答える。
『あれは俺のスキルによるものだ。体力と魔力を消費するが仲間を回復させることができる。』
『そうでしたか、いえ、実は人間の中に〈聖女〉と呼ばれる人がいまして、彼女の近くに行くと不治の病が治ったり、大怪我でもう助からないという人でも回復してしまうらしいのです。それで、もしかしてひょっとしたらカヤイさんもそのような特別な存在なのかなと思いまして。』
人間にはそんなすごい存在がいるのか。もしそんな相手と戦うことになったらヤバそうだな。
『もしかしたらと思って聞いてみただけです。次はカヤイさんの番ですね、なんでも聞いて下さい!』
おれはその晩、再びソフィアと念話を使用して話をする。とりあえず〈聖女〉の他にも同じくらい特別な存在がいるのかについて聞いてみた。するとこの世界には〈聖女〉の他に、〈魔王〉、〈大魔王〉、〈勇者〉、〈英雄〉〈賢者〉〈竜王〉と呼ばれる存在がいてその1個体だけで王国に匹敵する強さを持つらしい。ということは王国ほどの軍勢をもては彼らにも勝てるのだろうか。俺はそう考えるが話はしない。危険な奴だと思われないように胸のうちに秘めておく。
その他にもこの世界についてできるだけ多くのことを聞いて知識を吸収していく。そして、だんだん周りも暗くなり、ソフィアも疲れてきたところで話を切り上げて就寝の準備をし始める。
アントやキャタピラーたちによる拠点の増築は今も行われており、時間がたつごとによりも強固になっていく拠点への安心感からおれはすぐに深い眠りについた。