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転生5日目

転生5日目。目が覚めるともう朝のようだ。身を起こして周りを確認すると隣ではソフィアが寝袋に包まれて静かに寝息を立てていた。


そうだった、おれは昨日彼女と出会いお互いに仲間になったんだっけ。モンスターに囲まれている状況なのに気持ちよさそうに寝ている彼女はいったいどういう神経をしているのだろう。もし俺が彼女の立場だったら助けてもらった立場とはいえ、一睡もできていないだろう。

俺はまだ寝ている彼女を起こさないように静かに立ち上がり、大きな音を立てないように注意して洞窟の入り口まで移動する。


入り口では仲間の蟲たちが外に目を向けてしっかりと見張りをしている様子が確認できた。おれは仲間たちが無事なこと、外に敵モンスターなどがいないことを確認するとソフィアのもとへ戻る。


寝床に戻るとちょうど彼女が目を覚ましたところだったようだ。彼女はこちらに気づき、念話で話しかけてくる。


『おはようございます。』


おれは念話を使うことができないので片手をあげて返事をする。それをみて彼女は嬉しそうに笑った。ふむ、人の笑顔とというのはいいものだな。人としての感性がまだ残っていることを実感する。


おれは朝食がまだだったことを思い出して食料部屋まで歩き出す。しかし着くいてみるとそこには食い荒らされてているゴブリンの死体だけが残っていておれが食べられそうなものは残っていなかった。残念そうに肩を落としているのに気づいたのだろう。後ろから見ていたソフィアが念話を使って話しかけてきて彼女の食べ物を譲ってくれた。おれはありがたく食べ物を頂戴した。


朝食が終わると仲間たちにおなかを満たしてくるように伝え、自分は入り口に立って見張りをする。今日はどうしようか、そう考えながらステータス画面を開く。


名前:なし

種族:蟲人(幼体)

体力:30/30

魔力:27/27

レベル:7

スキル:虫モンスターテイム、自己修復、蟲生成、生命力譲渡


体力、魔力共に満タンになっているのを確認すると、おれは蟲生成を使用してレッサーアント×2とレッサーキャタピラー×1を作り出した。


これで仲間の数がさらに3体増えた。生成をしているうちに食事に行っていた仲間が戻ってきたようでおれは仲間の数を数える。


仲間の数

ジャイアントアント×3

レッサーアント×10

グリーンキャタピラー×1

レッサーキャタピラー×3


ふむ、今日はだれを連れて行こうか、、、。


よし、俺は触覚を仲間たちの触覚に触れさせて昨日と同じようにレッサー達を防衛に、それ以外のモンスターを外の探索に連れていくことを伝えた。するとモンスターたちはすぐに理解したようでそれぞれが言われた役割を果たそうと行動に移す。その様子を見ていたソフィアがいつの間にか手に持っているノートに熱心に俺らの様子をメモしていた。たぶん、貴重な光景なのだろう。俺は特に何もせずメモが終わるまで待ってから動いた。


そうして俺とソフィアを含めた探索組はとりあえず洞窟の外に集合した。俺はソフィアの方をじっと見る。


『?。出発しないんですか?』


彼女を護衛するという約束なので彼女の行きたいところに行くのだと思っていたがそうではなく、彼女が俺らの行くところについてくるようだ。行き先は俺が決めていいんだな。今日はどうしようか。とりあえず正面方向の池は避けた方がよいだろう。それならば今日は洞窟からでて右側、グリーンキャタピラーと出会った方面に行くことにしよう。俺はそう決め、触覚で仲間たちに彼女を守るように伝える問題なさそうなのを確認すると歩き始めた。


しばらく行進しながら食べ物を集めていた。彼女が持っている森の知識は多く、木の実、果物、キノコ、山菜など多くの食べ物を見つけることができた。そのたびに彼女の持っているスキル【念話】によって詳しい説明が入るがこちらからの返事が頷くか首を振るだけなので質問などがあっても聞くことができない。早く念話を覚えて会話を成立させたい、何とかならないか念話を使おうと試し続ける。しばらくそれを続けること数時間。叩き続けていた壁が壊れたような、もしくは容器に少しずつ注いでいた水がようやく満タンになったような、何とも言えない達成感があったあとにアナウンスが頭の中に流れた。


【スキル念話を習得しました。】


よし!ついにスキル【念話】を習得することができた。俺はステータス画面を開いて確認する。


名前:なし

種族:蟲人(幼体)

体力:30/30

魔力:9/27

レベル:7

スキル:虫モンスターテイム、自己修復、蟲生成、生命力譲渡、念話(new!)


スキルの欄に念話が追加されている。おれは早速スキルを使用してソフィアに語り掛けてみる。


『ソフィア、俺だ。カヤイだ。』


すると彼女は驚いたようにこちらをみて念話を使って話しかけてきた。


『カヤイさんですか!?もう念話を習得されたんですね!おめでとうございます!』


ソフィアは笑顔になっておれのスキル習得を喜んでくれた。おれは念話で彼女に礼を伝えると、今度は蟲の仲間たちに念話を使ってみた。念話を使って指示を出す。


まわれ、と念じるとアリやキャタピラーたちはその場で回転し、

とまれ、と念じれば止まった。


そのあとも散開させたり集合させたりと指示を下す。どうやら念話は複数相手でも問題なく使用できるようだった。これで連携の質が格段に上がるだろう。俺は喜びを抑えきれなかった。


しばらく念話を使う練習をした後、俺たちは食料探しを再開した。念話を覚えたことによってソフィアとスムーズにコミュニケーションが取れるようになり、食べ物などについて聞きたいことなどを聞くことができた。洞窟に戻ったらこの世界のこと、森のこと、彼女がいた場所など、さらにいろいろ聞くこととしよう。十分な量の食料がが集まると、俺たちは洞窟への引き返していった。おれはたくさんの食べ物が手に入りスキル【念話】を習得したことで大満足だった。


しかし洞窟の手前まで来ると何やら前方が騒がしい。俺は嫌な予感がして急ぐ。


すると見えてきたのは巨大なトカゲのようなモンスターによって仲間のモンスター達が襲われている光景だった。



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