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グレイグ  作者: 夢之中
6/52

逃亡者


===== 冒険者心得 =====

冒険者にとって準備は重要である。

魔物によっては魔法やスキルが必要な場合もある。

それらは多くの場合、魔法スクロール*1で対応可能である。

ポーションや帰還スクロールを持っただろうか?

冒険では想像できないようなことも起こる。

準備を怠る者は長生きはできない。

======================


次の日、3人は冒険者協会事務所へと向かった。

依頼は特に問題もなく受ける事ができた。

冒険者協会は、住居と仕事を提供することを条件にして

平和的解決を望んでいた。

3人は、食料とエール樽等を購入すると

その足で目的の小屋へと向かった。

植林場は、初めて見る者にとっては爽快だろう。

一面の草原に自分の身長ほどの苗木が

規則正しく格子状に植えられている。

そして、その中心に目的の小屋があった。

3人が小屋に近づくと5人の男達が小屋から出てきた。

服装はかなり傷んでいたが、海賊服であった。

それを見てパインはショートソードの柄に手をかけた。

しかし、アッシュによって止められた。

パインがアッシュを見ると、その顔は任せろというように

穏やかな顔をしていた。

彼等は手にカットラスを持ち、

こちらの様子を伺う様に立っている。

身体が震えているのが分かる。

怯えているのだろうか?

しかし、今にも攻撃を仕掛けようという雰囲気ではなかった。

海賊は小声で話をしていた。


 「追手か?」

 「いや、この服装は海賊ではない。

 冒険者だろう。」

 「ふぅ、そうか。」


5人の身体から、緊張、怯えが消え失せた。

1人の海賊がカットラスを納め、一歩前へと進んだ。

他の4人は、警戒を怠ってはいない。


 「冒険者か?

 何しに来た?」


リーダーと思える者が話しかけてきた。


アッシュ:「まあ、落ち着け。

     我々は冒険者だが、別に争いに来たわけでは無い。

     冒険者協会に頼まれて話し合いに来たんだ。

     ここに食料とエールがある。

     食事をしながら話し合おうじゃないか。」


 「エールと食事だって!!」

5人はお互いに顔を見合わせ頷き合っている。


アッシュ:「あぁ、ここにある。」

アッシュが食料の入った袋を、パインがエール樽を

5人の前に置き、後ろへと下がった。

リーダーと思われる者が指示をだす。

2人が食料の袋とエール樽を調べ始めた。


 「食料が入ってます。」

 「間違いなくエール樽です。」


5人の緊張が一気にほぐれた。

海賊達は、カットラスを鞘に納めると、3人を小屋へと招いた。

リーダーは自分をジョシュと名乗った。

そして、ここに来た経緯(いきさつ)を話した。


ジョシュ:「そうか。

     住居と仕事を世話してくれるのか。

     しかし、我々は追われているかもしれない。

     それでもいいのか?」


アッシュ:「それはどういうことだ?」


彼等は事の経緯を話始めた。

彼等は、元々は海賊ジェノの部下であった。

海賊ジェノというのは、ゲイルに負けるまで、

5本の指に入るほどの有名な海賊だった。

戦いに負け、ゲイルの元に下ったのちの待遇は

あまり良いものでは無かったという。

ジェノ自身もゲイルの部下の下に組み込まれ、

表立った動きを制限されていた。

不満は徐々に溜まっていった。

そんな時、顔に包帯を巻いた1人の男。

いや、性別はわかない。

声から男と判断したのだ。

その包帯男がゲイルから紹介された。

直々にゲイルが紹介するなど、誰もが驚いた。

その男はバルドと名乗った。

彼は、砦の全員に挨拶をして回ったそうだ。

当然、我々の所にも来た。

バルドは、包帯の為、表情はわからないが、

人懐っこく我々に接した。

しかし、バルドを見た者は例外なく言っていた。

包帯の隙間から見えるその眼。

それはまるで死人のような眼だったと。


次の日、仲間の何人かがゲイルに呼ばれた。

彼等は戻ってこなかった。

数日後、砦の中で彼等を見つけた。

彼等は変わっていた。

外見ではない。

性格がまるで変わっていたのだ。

それは感情が無いような、そんな感じだった。

その話は瞬く間に仲間の間に広まった。

大半の者は不安と恐怖を感じていた。


しばらくして、人魚の涙の頭頂部*2に石門の建設の話が

持ち上がった。

多くの海賊が工事に駆り出された。

工事の開始後、海賊たちの間に門が完成したら人魚の涙に

閉じ込められるのではないかと言う噂が出始めた。

この噂は瞬く間に海賊の間に広まっていった。

ゲイルもこの噂を耳にしたことだろう。

しかし、ゲイルは噂を否定する事も、

噂の広がりを阻止する事もしなかった。

この静観する行為が、更なる不安を生み出した。

そして門の完成まであと少しになった時、

ジェノが秘密裡に我々を招集した。

ジェノは多くを語らなかった。

ただ、この砦から逃げ出すと言った。

今夜は幹部会がある。

幹部会は、短くても3時間はかかる。

今しかチャンスはない。

警備の者達も同時に逃げ出す為、初動はさらに遅れるだろう。

決行は、1時間後。

採決をとった。

その場に居た者全てがそれに賛同した。

皆も同じことを考えていたのだろう。

逃げ出す道しか残されていないという事を。

そして逃走手順を確認すると、静かにその時を待った。


決行の時、我々は静かに、そして闇に紛れるように移動した。

門の周りには多くの賛同者がいた。

そして計画通りに砦の門が開いた。

殆どの者が我先にと門へ殺到した。

我々も後れまいと門へと急いだ。

まだ追手はいないようだった。

門を抜けると、月明りのみになり、

隠密行動には好都合だった。

我々は走り続けた。

そして目の前に建築中の石門が見えた時に安堵した。

巨大な石門を抜けられるかが生死を分けると考えていたからだ。

門の先は大きく広がっているため、安全度が大きくあがる。

予想通り門の先の地面には草が生い茂っていた。

(わだち)を避けて、長く伸びた草の中に分け入れば、

発見されることは極端に少なくなるだろう。

門を抜けたあとは、草の中に逃げ込みバラバラに逃げた。


しばらく進むと、突然悲鳴のような声が耳に届いた。

追手であることは間違いない。

振り向きたい衝動を抑え先へ進んだ。

ここで立ち止まれば命が無いかもしれない。

そう自分に言い聞かせた。

最初の悲鳴を皮切りに次々と悲鳴が上がった。

悲鳴は様々な場所から聞こえてくる。

この暗闇の中、追手は確実に仕留めているようだった。

見えているのだろうか?

一体何人の追手がいるのだろうか?

断末魔の叫びがまるで合唱の様に響きわたる。

しかしまだ、声は遠い。

逃げ切れるかもしれない。

僅かな希望だが勇気を奮わせるには十分だった。

我々は止まる事を忘れて移動し続けた。

恐怖と疲れで心臓が爆発しそうに鼓動する。

何処をどう走ったのかは覚えていない。

ただ、気がついたら森の中だった。

周りを見ると10人程の仲間が近くにいた。


そして、仲間と一緒にさらに逃げた。

少しでも砦から離れるように北へ向かって逃げた。

隠れるように森の中を移動した。

ゴブリンやオーガ、トロールなんかにも遭遇した。

必死に逃げた。

しかし、何人も殺された。

そして、やっとここに辿り着いたんだ。


パム:「そんなことが、、、。」

ジョシュ:「あぁ、だが、慰めの言葉はいらないぜ。

     俺たちは元海賊だからな。」


パインは、海賊達の話が一通り終わった時、声を聞いた。

グレイグ:(やっと見つけた。

     北東だ。

     北東へ向かうんだ。)

パイン:(わかった。

    だから、何もするな。)

グレイグ:(そうだな。

     全て任せよう。)


やはりそうだ。

パインは、ニンマリとした。

グレイグと共生し始めてから次第にグレイグの思考が

分かってきた。

会話から理解したのではない。

そう感じるのだ。

グレイグは何かの目的の為に動いている。

目的達成へと進む限り、ある程度の自由を許してくれる。

討伐軍参加の件もそうだし、今回の依頼の件もそうだ。

うまく立ち回れば行動を制限されずに済みそうだった。


パインがアッシュに耳打ちした。

パイン:「アッシュ。」

アッシュ:「んっ、なんだ?」

パイン:「少しの間席を外したいんだが。」

アッシュ:「トイレか?」

パイン:「いや、そうじゃないんだが。」

アッシュ:「なるほど。

     訳アリってことか。

     行って来い。」

パイン:「すまない。」


パインはアッシュの承諾を得ると小屋を出て、

北東へと歩き始めた。

植林場を抜け森へと入った。

しばらく進むと高さ数十mはあろうかという

崖に行く手を阻まれた。

右を見ても左を見ても崖上に登れそうな場所は

見当たらなかった。

よく見ると崖の壁に穴があるを発見した。

パインは何かに導かれるように穴へと向かった。

そして慎重に穴の中を覗き込む。

直径2mはあろうかという洞窟だった。


声が聞こえた。

グレイグ:(そこだ。

     洞窟の中だ。)


穴の中は闇で満たされていた。

パインは剣を突き出すと、スモールライト*3の魔法を唱えた。

するとショートソードの剣先に明かりが灯った。

パインはショートソードの明かりを頼りに洞窟を進んだ。

10m程進むと、竹柵が行く手を妨げた。

よく見ると、中央には枝折戸(しおりど)があった。

人が住んでいる事は明白だった。

枝折戸は難なく開いた。

さらに10m程進むと扉があった。

中央にノッカーのある立派な扉だ。

パインは、ノッカーを叩いた。

コンコンという音が洞窟内をこだまする。

しばらく待ったが返事が無い。

ドアに付けられた把手(とって)を握り、押してみた。

扉は鈍い音を立てながらゆっくりと開いた。

部屋の中は、魔法の光が辺りを照らしていた。

そこは5m四方はありそうな部屋だった。

地面、壁、天井は平らに削られており、

洞窟の中とは思えなかった。

左右の壁には所狭しと書棚が並んでいた。

正面に大きな机と背もたれの大きな椅子があった。

椅子に誰か座っているのか?


パイン:「誰かいますか?」

返事が無い。

パイン:「勝手に入ってすみません。

    少し話を聞かせていただけませんか?」

誰もいないのか、部屋の主の返事はなかった。

なにか嫌な予感がした。

悪いと思いながらも部屋に入り、椅子へと近づく。

そして椅子の背もたれ側から覗き込んだ。


パイン:「うぁっ。」

思わず声を上げ、一歩下がった。

椅子には人間のミイラが座っていたのだ。


パインは深呼吸をすると再度覗き込み、ミイラを観察する。

老人なのだろう。

よく見ると胸には剣か何かで刺された傷があった。

両ひざの上には、直径20cm程の石で作られているような

白い球体があった

その一部はどす黒く汚れていた。

机の上や球体に埃が積もってることをみると、

この老人は何年も前に殺されたのだろう。

机の上には1冊の本があった。

パインはそれを取ると埃を払って頁をめくる。

日記だった。

その殆どは、玉についての記述だ。

この玉に関して書かれている事は以下の様なことだった。


-----

森で不思議な石球を発見した。

表面はつるつるとしており、自然の物とは思えない。

何者かが磨いたことは明らかだった。

つなぎ目は無い。

魔力も感じられない。

いつもならばすぐに興味を無くしただろう。

何故かは分からないが、この玉が非常に気になった。

私は、興味本位でこの玉を持ち帰る事にした。

-----

今日、私の所に顔に包帯を巻いた者が現れた。

私はこの者の眼に背筋を凍らせた。

包帯から覗く眼は、精気を宿していない。

邪心魔法によって蘇った死者を思い出した。

そう死者の眼だ。

そう表現するのがもっとも正しいだろう。

その者はこの玉を探していたようだった。

そして自分の物だから返すように言ってきた。

私は当然断った。

欲しがる者がいるという事は、

この玉には価値があるという事だ。

この玉に一体どんな価値があるというのだ?

私は用心のため、玉を隠す事にした。

-----

今日、何者かに襲われた。

素早さ、力、いや全てが人間離れした者だ。

魔法を駆使して、何とか逃げ出す事ができたが、

今の家は既に知られているだろう。

何処か別の場所に移り住む必要がある。

やはり狙いは玉なのか?

私は意を決して旅に出る事にした。

-----

長い旅の末、コリキ村の先に洞窟を発見した。

周りに敵対種族は存在しないようだ。

仮の住まいとしてこの場所を使わせてもらうことにした。

早速準備に取り掛からねばならない。

決して居場所を知られてはならない。

-----

魔法を使って住居を作った。

住まいとしては物足りないが、

この玉の事を調べるのには今のところ支障はない。

本格的にこの玉の事を調べるとしよう。

-----

この玉は、非常に硬く、魔法にも強いようだ。

私の知っている魔法ではこの玉に傷ひとつ付ける事が

出来なかった。

もし、この玉を加工し魔法具を作る事ができれば、

計り知れない価値になるかもしれない。

-----


日記はここで終わっていた。

包帯を巻いた者。

海賊達の言っていたバルドという男なのか?


その時声が聞こえた。


グレイグ:(パイン。

     良く見つけてくれた。

     その石に触れるんだ。)


パインは一瞬躊躇したが、すぐに考え直し

恐る恐る石に手を伸ばし、石に触れた。


グレイグ:(よくやった。

     私の目的の一つは、この玉と同じ物を見つけ出す事。)

パイン:(これは一体何なんだ?)

グレイグ:(これは私の一部だ。)

パイン:(どういう意味だ?)

グレイグ:(私の持っていた力は分けられ、

     その玉の中に入れられた。

     そしてこの地に降り立った。

     力を取り戻す為に全ての玉を

     見つけなければならない。)

パインは子供の頃に読んだ勇者の物語を思い出した。


パイン:(まっ、まさか、お前は魔王なのか?)

グレイグ:(魔王?

     なるほど。

     面白い事を言う。

     集めている力は封印された魔王の力と言う訳か。

     お前が読んだ物語では、封印された魔王が復活し、

     その魔王を倒す為に勇者が必要なアイテムを集め、

     魔王に匹敵する力を得て魔王を倒すという話だな。

     ならば聞こう。

     勇者が集めているアイテムが

     魔王を倒す為の物ではなく、

     真の魔王を復活させるためのアイテムでないと

     誰が断言できるのか?)

パイン:(伝説や予言、、、。)

グレイグ:(伝説や予言?

     それが魔王の企みで無いと言えるのか?)

パイン:(・・・)

グレイグ:(そう、それは只の物語だからだ。

     作家の都合の良いように話を進める。

     ただ、それだけだ。

     これは物語ではないのだ。

     まあいい。

     そうだな、パイン。

     物語に例えていうならば、お前の役割は勇者だ。)

パイン:(勇者?

    何故、そう言い切れる。)

グレイグ:(それが私の目的の一つだからだ。

     お前も薄々感づいているのではないか?

     包帯を巻いた男の存在を。

     その者が魔王であるかは、私にもまだ分からない。

     しかし、旅を続ければ、おのずと真実は

     明らかになるだろう。)

パイン:(私には勇者など務まらない。)

グレイグ:(確かに今のお前なら務まらないだろう。

     しかし、全ての力を手に入れることができれば、

     魔王に匹敵する力を得る事ができるのだ。

     そして見事に魔王を打ち倒せば、勇者パインの名は

     伝説となり語り継がれることになるだろう。)


パインは興味をそそられた。

冒険者にとって宝石の名を冠することは、

目標でもあり、夢でもあるのだ。

それをも超える伝説の勇者。

それは冒険者を志す者であれば誰しもが憧れる言葉だろう。

それが例え己自身の力でなかったとしてもだ。

グレイグは続けた。


グレイグ:(いずれ知るときが来るだろう。

     魔王が誰なのか。

     そして誰が勇者であるのか。

     その為にも力を取り返さなくてはならないのだ。

     いずれ訪れる戦いの為にも。)

パイン:(伝説の勇者、、、。)


グレイグは、少しの沈黙のあと言った。

グレイグ:(新たな力を手に入れた。)

パイン:(どんな力だ?)

パインは今までとは違い、少し心躍る気持ちになった。

それはまるで宝物を見つけた時の様な

ワクワクするような気持ちだった。


グレイグ:(クレアボイヤンスだ。)

パイン:(クレアボイヤンス?)


グレイグ:(千里眼。

     つまり遠くを見る目だ。

     視界を妨げる物が無ければ

     何処までも見る事ができる。

     情報を集める為には優秀な力だ。)


パインはクレアボヤンスの効果を持つ魔法を知らなかった。

しかし、強化魔法であることを疑う余地はない。

この時パインは思った。

グレイグは、魔王なのか?魔導士なのか?それ以外なのか?

魔王であるならば、自由に行動させる意味は何なのだろう?

魔導士であるならば、何故攻撃魔法ではないのか?

精霊魔導士と言えば、大抵の場合ファイアーボール等の

攻撃魔法を思い浮かべるだろう。

何故、強化魔法なのだろうか?

与えられた三つの力は、全てが強化魔法に分類できる。

それも、精霊魔法と神聖魔法の両方に属するのだ。

確かに賢者*4という職業は存在するが、その制約の多さにより

望んで賢者になるものはいない。

つまり同時に覚える事ができない魔法が存在するということだ。

それは特に強化魔法に多い。

明らかに矛盾しているのだ。

パインは新たなる可能性を考えた。

グレイグは私の知らない魔法あるいは職業を持つのだろうか?

いや、あり得ない。

パインの思考は更なる深みへと落ちていった。

そして、母校でもある王国魔導学院へ行ってみる事を決めた。



*1:魔法スクロール

 魔法を封じ込めた巻物のことである。

 魔法を使えない者でも魔法を発動させることが出来る為、

 非常に重宝される。

 スクロール自体が大きくかさばるため、

 帰還スクロールのみ所持している者が多い。


*2:人魚の涙の頭頂部

 人魚の涙という半島は、水滴の様な形をしている。

 大陸との接続部分が細くなっており、

 細くなっている部分の事を頭頂部と呼んでいる。


*3:スモールライト

 魔法の光を指定した物に付与する。

 経験を積むことにより光量や効果時間が延長される。

 最終的な光量は日光と同程度であり、効果時間は1日程度。

 永続(エターナル)系の魔法と組み合わせることにより、

 永続光を実現できるが、光量は最大でも松明程度に落ちる。

 パインの使えるレベル1では、松明程度の光量で、

 効果時間も30分程と短い。


*4:賢者

 精霊魔法と神聖魔法の両方を使いこなす職業である。

 話だけ聞くと非常に優秀な職業と考えるだろう。

 しかし人間の寿命は有限であるため、

 1つの大属性魔法を極限まで高めることに集中する。

 大抵の場合は人生の全てを費やすのだ。

 属性制約*5がなければ、賢者を目指す天才も現れたであろう。

 賢者という職業は中途半端な職業として考えられているのだ。

 

*5:属性制約

 魔法には大属性と呼ばれる属性が存在する。

 精霊魔法、神聖魔法、邪心魔法の3つだ。

 この3つは、互いに反発する関係にある。

 つまり、大属性魔法の1つを修得すると、

 他の大属性魔法を修得すること自体が困難になる。

 魔法によっては修得することさえできない。

 特に最上位の魔法はどれ程才能に恵まれていたとしても

 絶対に修得することはできない。

 これは摂理であり、人間がどうこうすることは出来ないのだ。

 

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