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グレイグ  作者: 夢之中
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旅の果て


ザラスが師匠であるモーリーの元を去ったのは、

精霊魔導士の道を諦めたわけでは無かった。

魔法耐性を克服するために旅立ったのだった。

モーリーの元を去る前日、ザラスは魔法耐性の研究をしている

魔導士の存在をモーリーから教えられた。

それは、魔導士同士の会合の会話の中のことであった。

会話の中では残念ながら、魔導士の名前や

その住処は分からなかった。

ザラスは、それに賭けたのだ。

そして、魔法耐性の研究をしている魔導士を探す旅に出た。

それは辛く長い旅だった。

ザラスは旅の合間にも勉強も研究も怠らなかった。

そして、1年にも及ぶ長旅の末に、その魔導士が

邪神魔導士であることを知ったのだ。

そして、新たに邪神魔法の勉強を始めた。

これは、魔法耐性に対する解決策がが邪神魔法を元にしている

可能性を考えての事だった。

解決策を得たとしても、それを扱えなければ意味が無いからだ。

さらに旅は続けられた。

数年の後に、その魔導士の名前を知る事ができた。

その魔導士の名前はサバス。

そして、ザラスの旅はサバスを探す旅となった。

名を知ってからは情報を仕入れるのは用意だった。、

しかし、ザラスにとっては衝撃的な事実を知る事となった。

サバスは数年も前にこの世を去ったというのだ。

ザラスは諦めなかった。

サバスが亡くなっていたとしても、

その意思を継いだ弟子の存在、あるいは、残された自署から

手がかりを得る事は可能なのだ。

そして、サバスが住んでいたと言われる場所へとたどり着いた。

そこには、サバスの弟子と名乗る男が住んでいた。

彼は、クーアと名乗った。

クーアは、サバスの唯一の弟子であり、

サバスの後を継ぐ者だった。

しかし、クーアは言った。

 「私にはそもそも魔導士としての才能がなかったのです。

 何年もの間、師匠の資産を食いつぶしながら師匠の意志を

 継ごうと勉強してきました。

 しかし、全く理解することができないのです。」

クーアが言うには、資産も底を突き始め始め、

今では、生きる為に魔晶石の売買で生計を立てている

ということだった。


ザラスは話の頃合いを見て、魔法耐性について尋ねた。

クーアは、サバスの残した魔導書を調べるように言い出した。

ザラスは驚いた。

クーアは師匠の魔導書の閲覧を許したのだ。

しかし、それには条件があった。

研究を続ける為には多額の資金が必要となる為、

今の単純な売買では成り立たない。

そこで、商会を立ち上げたいということだった。

その商会の代表を務めてほしいと言うのだ。

これは、クーアが勉強するための時間を得たいとのことだった。

ザラスは、悩んだ。

自分も邪神魔法の修得及び研究の為の時間を必要としたからだ。


悩んでいるザラスを見てクーアは言った。

 「邪神魔法の修得したいのであれば、素材*1が必要ですよね。

 私がそれを準備しましょうか?」


ザラスは驚いた。

ザラスは邪神魔導士が言う素材という意味を知っていた。

 「本当に入手できるのか?」

 「あぁ、国の担当者も知っている。」

 「そうか。」


ザラスは、少し考え、クーアの提案を承諾した。

数日後、代表者がザラスとなった商会が登録された。

ザラスは優秀であった。

直ぐに売買のコツを覚え、順調に取引が行われた。

クーアは、新たなる取引先を求め奔走した。

商売は軌道に乗り、

魔法の修得や研究の時間もとれるようになった。

そして数年の月日が流れた時には、商人としてはもとより、

邪神魔導士としての名声も上がって行った。

そして、ある日を境に、ザラスの目的は大きく前進した。

何時ものようにサバスの残した魔導書を閲覧していた時、

何気なく1冊の本に手を伸ばした。

「初歩の邪神魔法」。

普段なら絶対に手にすることの無い本だった。

ペラペラと頁をめくる。

旅の最中に読んだ本だった。

なつかしさと共に、あの頃の感情が蘇ってきた。

思い出したくもない記憶でもあった。

そう思い本を閉じようとした時、背表紙に違和感を感じた。

背表紙が少し膨らんでいるように思えたのだ。

普段なら気付きもしなかっただろう。

それほど些細な膨らみだった。

ザラスは背表紙を丹念に調べた。

そして確信した。

 (背表紙に何かが入っている。)

ザラスは腰にぶら下げた携帯用の短刀を取ると、

慎重に背表紙を切って行く。

背表紙の中には折りたたまれた1枚の紙きれが入っていた。

折りたたまれた紙を開くと小さな字で、

びっしりと文字が書かれていた。

それは、サバスの到達した別の解決法であった。


-----

これは、私の求めている解決法とは別のものである。

私が最初に辿り着いた耐性の強化方法でもある。

この方法は私の望むものでは無い。

しかし、最後の手段として残しておく。

願わくば、この方法に頼らないことを祈る。

我が家の転送の魔法陣で、○△〇△□×△×〇□×□と唱えよ。

さすれば、道が開かれん。

-----


ザラスは驚いた。

サバスは解決法を既に見つけていたのだ。

ザラスは喜び勇んで家の地下にある転送の魔法陣へと向かった。

そして、紙切れに書いてあった呪文を唱えると

別の場所へと転移した。


そこは、窓も扉も無い部屋の中だった。

部屋の中は、床に描かれた3つの魔法陣。

そして、所狭しと本棚や机が置かれているだけだった。

ザラスは、本棚に近寄ると1冊の本を手に取った。

それは、ネクロマンサーに関する本だった。

ザラスは、ペラペラと頁をめくり、流し読みする。

そして、最後の数枚に明らかにインクの異なる記載があった。

サバスが記載したものだろうと考え、読み解いて行く。

そこには、リッチに関する事柄が記述されていた。

当時、リッチはついては詳しい資料が無く、伝説の類であった。

リッチは、魔導士自ら呪いをかけ、死んだ後にリッチになると

言われていた。

その真実がここに書かれているのだった。

そうの方法は、儀式を行い、そして秘薬を呑むというものだ。

この2つを実行すると、魂は肉体を離れ、儀式に使用した

魔導具に封印される。

そして、その死体が復活するという事だった。

魂が無事であるならば、肉体は、消滅しても復活し、

不死の力を得る事ができる。

その代書は、一部の感情の喪失である。

儀式の方法や秘薬の合成方法も記されていた。

そのどちらも困難であるものの、不可能では無かった。

ザラスは、しばらく悩んだが、最後の手段として、

秘薬を飲める状態まで進めることにした。


1年後。

秘薬の瓶を首から下げたザラスの元へクーアが突然現れた。

なんでも、新しい魔晶石の晶洞が発見されたというのだ。

クーアは、晶洞の利権を確保するために早急に動いた。

裏工作にも力をいれていたのだろう。

利権を手に入れる一歩手前まで交渉は進捗していた。

そんなある日、1人の男を連れてザラスの元へとやってきた。

男は、縛られ、目隠し、さるぐつわをされていた。

ザラスが訳を聞くと、

クーアは、前に言っていた素材が手に入ったと答えた。

素材、つまり死刑囚である。

ザラスは、喜んだ。

人間で試さなければならない邪神魔法は多数存在するのだ。

全ての魔法を行使するまで、死んでもらっては困る。

そう考え、素材の縄を銀を含んだ鉄製の鎖に変え、

獣人化の呪いをかけた。

できるだけ苦痛を与えないように配慮しながら、

呪いをかけていった。

一通り呪いをかけ終わると、次は解除だった。

しかし、それは、クーアの突然の来訪により中断された。


クーア:「にげろ!!」

ザラス:「一体何が?」

クーア:「強盗だ!!

    話は後でする!!

    直ぐに逃げろ!!」

ザラス:「分かった。」


2人は、地下に設置された転移の魔法陣へと急いだ。

クーアは、何時も使用する魔法陣とは別の場所へと案内した。

そして、その魔法陣へ乗れと言う。

それは、小さな魔法陣だった。

一人用なのだろう。

ザラスが、魔法陣の上に乗ると、魔法陣が光り出した。

その時、扉を蹴破り、3人の強盗が侵入してきた。

真ん中にいるのは、魔導士だろうとすぐに解った。

その魔導士は、右手を前に出すと短い呪文を唱えた。

ザラスは、覚悟した。

しかし、同時に魔法陣が発動した。


ザラスは、洞窟の中にいた。

ここまでは、追手は来ないだろうと考えながらも、

この場所からは、離れた方がいいと直感が告げる。

ザラスは直ぐに洞窟の外へと出た。

そこは、全く知らない場所だった。

見渡す限り、木々が生い茂り、森の中であることは明白だった。

木々の間から、遠くに山が見えた。

山の頂上付近から煙があがっている。

ザラスは、山に導かれるように山へと向かった。

しばらく進むと、遠くで、「こっちだ!!」という声が聞こえた。

すぐに移動しなければならないと思い、先を急いだ。


ザラスは、木々の生えない山の中腹にいた。

下を見ると、はるか下に追手が見える。

一体どれぐらいの時間歩いたのだろうか?

足はまるで棒の様だった。

しかし、ここで止まる訳にはいかない。

ザラスは気力を振り絞り、山道をさらに登って行った。

山頂に近づくにつれ、

ザラスはこの山が活火山であることを知った。

道を迂回する事も考えたが、進んでいる道以外は、

踏み固められておらず、登るには困難だと思われた。

ザラスは、導かれるように火口へと進んで行った。

山頂に到着したザラスは、火口の周りを歩き、

下りる道を探した。

しかし、残念ながら降りる道を発見することは出来なかった。

ザラスは気力が尽き、その場に座り込んでしまった。

しばらくすると、火口の反対側に人影が現れた。

ザラスは、よろよろと立ち上がり人影を凝視した。

その時、人影が声を上げた。


???:「私は、ゾーラ。

 分け合って、貴様を捕らえに来た。

 貴様に恨みは無いが、おとなしく捕われよ。」

ザラス:「まて。

    私は何の罪で捕らえられるのだ?」

ゾーラ:「問答無用。

    弁明は捕らわれてからにするんだな。」

そう言って、ゾーラは魔法を発動する。

ザラスは、それに魔法で防戦する。

しばらくの間、魔法による攻防が繰り広げられた。

激しい攻防の中、ザラスは上空に増援と思える人影を確認した。


一瞬であったが、ザラスの視線がゾーラからそれた。

ザラス:(くそっ。

    増援か。)

ザラスにとって、それが致命的となった。

ザラス意識が増援に気を取られた瞬間、足元が崩れたのだ。

そしてバランスを取れずに火口へと落下した。

誰もがザラスは死んだと思っただろう。

しかし、ザラスは致命傷を負いながらも生きていた。

最後の力を振り絞り、

首から下げた秘薬を一気に飲み干したのだ。

そして魔法は発動した。



*1:素材

 魔法を正しく修得したかを確認するためには、

 その魔法を発動しなければならない。

 精霊魔法などは、対象が何であっても発動を確認できる。

 しかし、邪神魔法は呪いのため、発動するだけでは、

 効果を確認できない。

 そのため、対象となる素材が必要なのだ。

 一般的には、人間以外の動物が用いられる。

 しかし、効果によっては素材が人間である必要があり、

 その場合は国が提供する死刑囚を用いる。

 

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