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グレイグ  作者: 夢之中
33/52

白い玉


公国でキーラは、悩んでいた。

エレナの救出の後、パインとアンナが倒れたのだ。

2人は昏睡状態となり生死の境をさまよっていた。

キーラ:(2人が倒れた理由は、やはり、、、。)

キーラは、ドリム大公の元へと向かうと数日間の暇をもらった。

キーラは、この時時間が無いと言う理由でドリム大公には、

何も説明しなかった。

ドリムは、焦るキーラを見て何も言わずに送り出した。


数日後。

キーラは白い玉を手に公国へと戻ってきた。

そして、いまだに昏睡状態のパインの元へと向かった。

パインの傍にはアリスがいた。

アリス:「キーラ様、パインはいまだに目を覚ましません。

    このまま目が覚めなかったらと思うと、、、。」

アリスの目から涙が零れ落ちた。

キーラ:「大丈夫よ。

    きっとこれで目を覚ますはず。」

キーラはパインの傍らに白い玉を置くと、

パインの手をその玉の上に置いた。

そして、キーラはじっと待った。

アリスもキーラと同様にじっと待った。

次の日の陽が昇るころ、パインは目を開けた。

パインは衰弱していたが、アンナの状況を知ると、

よろめく足取りでアンナの元へと向かった。

アンナの元にはエレナがいた。

エレナは、パインの回復を大層喜んだ。

パインが回復するという事は、

アンナも回復する可能性があった。

パインは、寝ているアンナの手を握ると静かに待った。

そして、陽が沈む頃にアンナは目を開いた。


次の日、軍議室には、ドリム大公、アライン元首、エレナ、

キーラ、マッカス将軍、シルカー魔導士長、ゾル、アリス、

そして回復したパインとアンナが集まっていた。

この10人は、キーラが指名したのだ。


ドリム:「マスターキーラ。

    何があったのか説明してもらいたい?」

キーラ:「はい。

    私とパイン、アンナの3人は、エレナ様救出のために、

    ナガットの足取りを追いました。

    そして、メルキスの第4区画に逃げ込んだことを

    突き止めたのです。

    ナガットはメルトニアに向かう為に第4区画の裏の長、

    ザラスの住むマーケットへと潜入しました。

    そこでザラスがナサカ村に向かったことを知りました。

    ナサカ村の東にはメルトニアへと通じる洞窟があると

    言う言い伝えがあり、そこへと向かう事を決めました。

    確かに洞窟はありました。

    我々はそこで未発見の遺跡を発見したのです。」

ドリム:「未発見の遺跡だと。」

キーラ:「はい。

    私の予想では、最も古い遺跡でしょう。

    遺跡の中には、守護者(ガーディアン)

    配置されていました。」

ドリム:「ガーディアンだと。」

キーラ:「はい。

    金属でできた昆虫の様なものが徘徊していました。」

ドリム:「んー。」

キーラ:「それを倒し、先へ進むとホールの様な場所に出ました。

    そこでは、ゴーレムの様なものとナガット達が戦って

    いました。」

ドリム:「戦っていた?

    ならば、我らの敵ではないのか?」

キーラ:「いえ、そうではないでしょう。

    それについては、最後に説明します。

    アンナがナガット達の戦闘中にエレナを救出しました。

    そして帰還したのです。

    パインとアンナはその直後に昏睡状態に陥りました。

    原因か何かを私は考えました。

    何故、私とエレナ様は昏睡状態に陥らなかったのか?

    何故、パインとエレナだけなのか?」

ドリム:「力を得た者か?」

キーラ:「その通りです。

    そう考えた時、ゴーレムはナガットのみを

    攻撃していたことに気が付いたのです。

    戦闘には魔導士も参加していました。

    しかし魔導士に対しては攻撃をしかけてませんでした。

    そして、パインの発した一言。

    パインは、ナガットとゴーレムの戦闘中に

     『ナガットの動きが鈍くなっているような、、、。』

    と言ったのです。

    この言葉から、ゴーレムに関係あると考え、

    遺跡に向かう事を決めたのです。」

ドリム:「なるほど。」

キーラ:「私は、考え得る対策*1を施して遺跡に侵入しました。

    私の予想通り金属の昆虫は攻撃してきませんでした。

    さらに、ゴーレムも動こうとはしませんでした。

    私は、試しました。

    身を晒し、ゴーレムの前に歩み出たのです。

    しかしゴーレムは動くことはありませんでした。

    そこで私は、ゴーレムのいるホールを隅々まで

    詳しく調べました。

    そして、巧みに隠された扉を発見したのです。

    その部屋に入ると、女性の声が聞こえました。

    彼女は姿を現わすことなく私に語り掛けてきました。

    しかし私には彼女の言葉がわかりませんでした。

    彼女に目があるのかはわかりませんでしたが、

    私は、身振り手振りを交えて話しました。

    すると彼女はすごい速度で言葉を覚えていきました。

    次の日には、子供と会話する程度になっていたのです。」

ドリム:「なんと。」

キーラ:「彼女は自分の事をマザーと呼びました。

    残念ながら、その言葉が何を意味するのかは

    私にはわかりません。

    私はマザーに尋ねました。

    外のゴーレムは何を守っているのかと。

    マザーは、答えました。

    ゴーレムは、グレイグを倒す者だと。」

ドリム:「むぅ。」

アライン:「それだと、白い玉は何の目的で生み出されたのだ?

     力を持つ者を増やす目的ではいのか?」

キーラ:「それについては、私も同じ疑問を持ち、

    マザーに質問しました。

    マザーは答えました。

    それは、別の者の考えであり、

    私はグレイグを倒す為に存在すると。

    つまり、最低でもグレイグを残そうとした者達と

    滅ぼそうとした者達が存在したということになります。」

アライン:「なるほど、利害関係という訳か。」

ドリム:「それで、次はどうしたのだ?」

キーラ:「パインを救うために、

    白い玉が必要であると考えました。

    それも、パインが最初に触れた白い玉です。」

ドリム:「何故、最初に触れた玉なのだ?」

キーラ:「ノリムの事を思い出してください。

    ノリムの触れた玉には、多くの者が触れています。

    しかし、力を得る事はできませんでした。

    さらに、私は今回持ってきた玉に触れていますが、

    やはり力を得る事はできませんでした。

    パインが力を与えられると言った3人は、

    事前にノリムの玉に触れさせています。

    しかし力を得る事はできませんでした。

    つまり、力を得るには資格が必要なのです。

    それも、主となる者の資格です。

    僕となる者の資格ではありません。

    だとすると、玉毎に資格を得られる者が異なる可能性が

    あるのです。

ドリム:「なるほど、そう言う事か。」

キーラ:「そこで、パインが最初に触れた玉を探したのです。

    パインに力を与えた玉。

    それこそがパインを戻す事の出来る玉であると

    考えたわけです。」

ドリム:「さすが、マスターキーラだ。

    これで、まだ戦えるわけだな。

    それで、次はどうする?」

キーラ:「なんとかして、バーランド側へ潜入します。

    しかしバーランド側の海路は封鎖されているでしょう。

    今回発見した洞窟は力を持つ者は通過できません。

    そこで、ゲーノモス山脈を越える方法を検討します。」

アライン:「ゲーノモス山脈だと。

     大軍でゲーノモス山脈を越えるのは、

     不可能ではないのか?

     まさか、少人数で向かうと言うのか?」

キーラ:「そのまさかです。」

アライン:「あそこは、ドラゴンの住処でもあるのだぞ。」

キーラ:「ドラゴンロードは、私の友です。」

アライン:「そうか、何を言っても無駄なようだな。

     全てを託すことは心苦しいが、

     マスターキーラに全てを託そう。」

ドリム:「うむ、そうだな。」


キーラは、軍議の終了時に同行者を募集することを決めた。

軍議は終わり、キーラ達は行動を開始した。

まずは、僕の力を与える事だった。

ゾル、アリスにそれぞれ力を与えた。

パインによると、肉体強化の力とは別に他の力を1つ与える事が

できるという事だった。

それは、パインが得たほかの力だった。

話合いの結果、

アリスには、ドクターの力、

ゾルには、パレットの力、

アンナには、ガントレットの力が与えられた。


そして、7日後。

準備を整えた後でキーラ達は出発した。

最初の目的地は、トモフ村だった。

トモフ村は、王国領にあり、コリキ村の北東に位置していた。

牧畜が主な産業であり、広大な牧草地に多くの牛、豚、羊などが

飼育されていた。


1台の4頭立ての馬車が北上していた。

御者が1人、馬車の中には、6人のローブを羽織った者達が

座っていた。

馬車の中の6人は、キーラと力を得た者が4人。

パイン、ゾル、アリス、アンナ。

そして、最後の一人は、マッカス将軍であった。

マッカス将軍は、自ら名乗り出たのだ。


マッカス:「キーラ殿、私を同行させてくれないだろうか?」

キーラは、驚いた。

キーラ:「将軍。

    何故そんな決断を?」

マッカス:「国の危機であることもあるのだが、

     知っての通り私は、将軍ではあるものの、

     軍を率いられる器ではない。

     根っからの武人なのだ。

     私が国に報いるには、武しかないのだ。

     力を得た者の足元にも及ばないことも分かっている。

     足手まといになるかもしれない。

     それでも、国の為に尽くしたいのだ。」

キーラ:「武人として死ねるとは限りませんよ。」

マッカス:「承知の上だ。」

キーラ:「それならば、ぜひお願いします。」


御者は、ジェイクであった。

軍議のあった次の日。

アライン:「ジェイク。

     頼みがある。」

ジェイク:「はっ。

     何なりと。」

アライン:「マスターキーラは、

     ゲーノモス山脈を越える事を考えている。」

ジェイク:「それは、無謀な。」

アライン:「いや、メルトニアを救うにはそれしかないのだ。

     マスターキーラは、数名の同行者を探している。

     それに参加してほしいのだ。」

ジェイク:「えっ。」

アライン:「本来ならば、私が向かうべきだろう。

     しかし、マスターキーラに拒否されてしまったのだ。

     そこで、私の代わりに行ってほしいのだ。」

ジェイク:「はっ、喜んで。」

アライン:「よく考えてくれ。

     生きて帰れる保証は無いのだぞ。」

ジェイク:「元より命は、国の為、アライン様の為に

     捨てるつもりでおりました。

     国の為、アライン様の為であるならば、

     喜んで命を捧げましょう。」

アライン:「よく言ってくれた。

     全てを託す。

     必ず生きて帰るのだぞ。」

ジェイク:「はっ、承りました。」


一行を乗せた馬車は放牧地を疾走し、トモフ村へと到着した。



*1:考え得る対策

  この時キーラは、姿を消し、音を隠し、熱を消して

  身を隠したと云われている。


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