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グレイグ  作者: 夢之中
24/52

エレナ救出作戦


キーラ、ゾル、アライン、ジェイクの4人は、

ドリム大公の前にいた。


キーラ:「救出作戦は、連合軍の進軍開始と同時に決行します。

    指揮は、私、キーラが行います。

    メンバーは、パイン、ゾル。

    そして後3人、インビジブルLV5を扱える者を

    選抜してください。」

ドリム:「インビジブルLV5か。

    それだと、かなり絞られてしまうな。」

アライン:「インビジブルLV5ならば、私も使える。

     私が行こう。」

ジェイク:「アライン様。

     それは、おやめください。

     元首が最前線に立つなど前代未聞です。

     それに、あまりにも危険すぎます。」

アライン:「ジェイク。

     いくら同盟国だとは言え、

     この件は本来、メルトニアの問題なのだ。

     確かに私は、メルトニアの元首ではあるが、

     国が無くなれば、元首など何の意味もなさない。

     多くの国民は、既に奴らの手中にある。

     ここで、私が動かなければどうするのだ。

     同盟国の後ろで隠れていろとでも言うのか?

     自分の身を守るために、

     国民を見殺しにしろとでも言うのか?」

ジェイク:「しっ、しかし。

     奪還後の復興はどうされるのですか?」

アライン:「任期のある元首なのだ。

     メルトニアには、他に元首になれる器の者が

     いないとでも言うのか?」

ジェイク:「いっ、いえ、それは、、、。」

キーラ:「万が一にも敵に捕獲されたらどうするのです?

    防御魔法が発動すれば、手の打ちようが無くなります。」

アライン:「問題ない。

     自刃して果てる。」

ジェイク:「!!!。

     アライン様、それはなりません。」

アライン:「ジェイク。

     君の気持はありがたく思うが、

     防御魔法の発動を遅延させる

     最も効果的な方法は何だと思う?」

メルトニア宮殿の防御魔法は、元首がいなければ発動しない。

しかし、それは、あくまでも即時発動のことである。

アラインを生きたまま確保することができれば、

その時間は、本人の意思に関係なく短縮可能である。

たとえ、元首が生存していない場合でも、

優秀な魔導士と多くの時間があれば、不可能ではないのだ。

ジェイク:「・・・」

アライン:「もう、気が付いているだろうが、

     私が死ぬことなんだよ。

     私がいなくなれば、

     防御魔法の発動は、さらに困難になるだろう。」

ジェイク:「・・・」

キーラ:「どうやら、意志は堅そうね。

    最後に一つ聞かせてちょうだい。

    エレナの為に行きたいの?」

アライン:「確かにエレナは助けたい。

     しかし、それだけではない。

     この作戦は、救出を目的としているが、

     裏の目的は、連合軍の進軍を助ける為の

     砦の攪乱なのだろう?

     確かに結界に守られているであろう砦に

     侵入することは容易ではない。

     しかし侵入さえできれば、攪乱させることは容易だ。

     メルトニアの国民を救うためにも、

     砦の攻略が最善の手段だと判断したのだ。」

キーラ:「なるほどね。

    全てお見通しというわけね。

    貴方がもっと若い時に出会いたかったわね。」

アライン:「それは、最高の賛辞として受け取っておくよ。

     それで、参加は許可してもらえるのだろうか?」

キーラ:「わかったわ。

    ただし、メルトニア元首としてではなく、

    一人の魔導士として参加してもらうわ。

    それでもいいかしら?」

アライン:「あぁ、それでかまわない。

     感謝する。」

キーラ:「大公。

    この件については、連合軍に秘密でお願いします。」

ドリム:「まさか、連合軍を囮にするつもりなのか?」

キーラ:「そうではありません。

    ミンサの件を思い出してください。

    既にスパイである者、あるいはこれから反旗を翻す者、

    それらが既に存在するかもしれませんし、

    これから現れないとは言い切れないのです。

    それ故、救出作戦は極秘にしなければならないのです。」

ドリム:「バートランド国王にも秘密にするのか?」

キーラ:「バートランド国王のみに話す事ができるのならば、

    問題はないでしょう。

    連合軍の進軍に関しては、別途作戦を提示します。」

ドリム:「わかった。」


そして時は流れた。

進軍2日前。

キーラは、アンナの元へと向かった。

キーラ:「パインの方はどうかしら?」

アンナ:「はい。

    剣術の基礎は教えたつもりです。

    指示の件を中心に訓練を積みましたが、

    本当にあれでよかったのですか?」

キーラ:「えぇ、今のパインでは、剣術で敵を倒すのは

    難しいからね。

    ところで、パインの剣の素質はどうかしら?」

アンナ:「まあ、普通だと思います。

    実戦で戦うのが一番だと思いますが、

    やはり本人の努力次第ですね。」

キーラ:「やっぱりね。

    まぁ、いいわ。

    引き続きお願いするわね。」

アンナ:「はい、承知しました。」


進軍1日前。

メルキスの第5軍議室に6人が集まっていた。

ラキ(キーラ)、パイン、ゾル、アライン、ミクスタ、トマスだ。

ミクスタとトマスは、ドリム大公の推薦であり、

すでにラキ(キーラ)との面接は終わっていた。


ラキ:「人魚の涙にある砦に潜入し、エレナを救出するのが

   今回の任務です。」

ゾル:「しかし、どうやって侵入するのですか?

   あそこは、天然の要塞と呼ばれるほど

   潜入が困難な場所ですよ。」

ラキ:「その前に、一つ聞きたいことがあります。

   何故あの半島は人魚の涙と呼ばれるか知っている?」

ミクスタ:「何の話ですか?

     救出とどのような関係が?」

ラキ:「まあ、これも、意味を持つ重要なことだと思って

   答えて頂戴。

   知っている人はいる?」

トマス:「半島自体が涙の形をしているからですよね?」

ラキ:「では、人魚は?」

トマス:「それは、、、知りません。」

ラキ:「ほかに知ってる人は?」

全員:「・・・」

ラキ:「でしょうね。

   これを伝える人々は、たぶんもう誰もいないからね。」

ゾル:「一体何が言いたいのですか?」

ラキ:「とりあえず、最後まで聞いて頂戴ね。

   さて、ひとつ昔話をするわね。」

そう言ってラキ(キーラ)は話始めた。


=====

あの砦が建てられる前、あそこには村があり、

その村は、漁を生業とした人々が住んでいました。

その村にイーサンという若者が住んでおり、

毎日漁に出て魚を釣る生活をしていました。

ある日、イーサンが漁にでると突然嵐になり、

イーサンは、船と共に沈んでしまいました。

イーサンは、意識が無くなる直前、1人の女性を見ました。

イーサンは、その人を天使だと思い、自分の運命を悟ったの。

そして、意識を無くしたわ。

イーサンが目を覚ました時、彼は洞窟の中にいることを知った。

洞窟は亀裂から入る陽の光で満たされ、

洞窟の中は、半分地面で半分海面だとわかったわ。

イーサンが自分の身体を調べると、手当の後があり、

何者かに命を救われた事を知ったの。

イーサンは、外に出る為に洞窟の中を調べたわ。

そして、大きな亀裂を発見し、その先へと進み、

無事外に出る事ができたの。

イーサンは、驚いたわ。

自分の家の裏山に続いているとは思ってもいなかったからね。

そしてイーサンは普通の生活に戻ったの。

しかし、1つだけ違った。

毎日洞窟へ行き、自分の命を救った者が来ることを信じ、

待ったの。

そして、1年の月日が流れたわ。

イーサンがいつもの様に洞窟へ行くと。

海面に浮かぶ女性を発見したの。

その女性は、あの日意識が無くなる時に見た天使だった。

イーサンは、その女性の身体を見て驚いた。

彼女は、人魚だったのよ。

彼女は酷い怪我をしていたわ。

イーサンは、彼女の怪我を治そうと必死になった。

怪我はイーサンの看病のおかげで良くなっていったわ。

しかし、怪我が良くなっても彼女は目覚めなかった。。

イーサンは、八方手を尽くして目覚めさせる方法を探した。

そして、ついに一つの可能性を見つけた。

それは、魔導士に頼む事だった。

イーサンは、全財産をつぎ込んで、

当時最高の魔導士の住処を見つけ出したの。

しかし、その道のりは困難を極めた。

魔導士の住処へとついた時には、彼はボロボロだったわ。

道中でハルピュイアに襲われたのね。

イーサンは、ついに魔導士に会う事ができた。

しかし、彼の命は尽きようとしていた。

そして、イーサンは魔導士に手紙を渡すと息絶えたの。

魔導士は、蘇生の呪文*1を使ったけど、それは失敗に終ったわ。

手紙を読んだ魔導士は、洞窟に向かい、人魚を目覚めさせたの。

そして人魚に手紙を見せ、事の経緯を説明したわ。

人魚は突然泣き崩れたわ。

そして、辺りを人魚の涙の結晶*2で埋め尽くしたの。

一月後、魔導士が再び洞窟を訪れると、

大量の人魚の涙の結晶の中に人魚の遺体を発見したわ。

魔導士は、人魚の涙の結晶を買い取る事を決め、

村の長に事情を説明し、洞窟の亀裂の場所に祠を建てて

その横にイーサンと人魚を埋葬して供養したの。

村の村長は、この半島を人魚の涙と呼ぶようになったのよ。

そして今もその名前が受け継がれているのよ。

=====


話が終わると、最初に声を上げたのはミクスタだった。

ミクスタ:「まさか、その昔話の洞窟から

     潜入するとでもいうのですか?」

ラキ:「そのまさかよ。」

ミクスタ:「ただの昔話ですよね?」

ラキ:「いえ、ただの昔話ではないわ。

   これは、純白のセイラが残した記録なのよ。」

ミクスタ:「記録。

     ということは、実話だったのですね。」

ラキ:「そう。」

ミクスタ:「しかし今も洞窟や祠があるか確認しないと。」

ラキ:「洞窟も祠も確認済みよ。」

ミクスタ:「でも、どうやって、、、。

     まっ、まさか、憑依*3ですか?」

ラキ:「よく勉強しているわね。

   漆黒のゾーラが残した秘薬を使わせてもらったわ。」

ミクスタ:「大魔導士ゾーラですか。

     大魔導士セイラといい、

     何故、そのような物をあなたがもっているのです。

     いや、まさか、王国か公国の秘宝ですか?」

ラキ:「そうね。

   まあ、そんなところね。

   だから、この件は秘密にしておくように。

   さて、潜入経路については、分かってもらえたかしら?」

アライン:「洞窟にはどうやって入る?」

ラキ:「海中よ。

   海中に洞窟に繋がる穴があるのよ。

   水中呼吸の指輪*4を使うわ。

   指輪の個数が6個だったので、6人という訳ね。

   他に質問は?」

アライン:「いや、特にない。」

ラキ:「では、見取り図を見て頂戴。」

ラキ(キーラ)は、そう言うと砦の見取り図を広げた。

ラキ:「これは、砦の脱走者の証言から作った物よ。

   なので、細かい部分で間違いがある可能性があるわ。

   その点は各自臨機応変に対応するようにね。

   先ず、隊を3つに分けます。

   私とパイン、アラインとゾル、ミクスタとトマスの

   3つね。

   私とパインは、エレナの探索に向かうわ。

   残りは、攪乱をお願い。

   そうね、火をつけて回るのが良さそうね。

   そう、いくつか注意事項を伝えるわ。

   各自インビジブルの魔法を使って姿を隠す事。

   敵に発見されたら、直ちに転移の呪文で脱出する事。

   敵は、我々よりも遥かに身体能力が高いから、

   間違っても戦おうと考えないように。」

アライン:「攪乱部隊は、移動経路だけでも決めておこう。

     近くで火を放っても効果は薄いからな。」

ミクスタ:「その通りだ。」

アライン:「それと、撤退の合図も検討しなければな。」

ラキ(キーラ)は、会話を聞いてニコニコとほほ笑んでいた。


そして、進軍の当日を迎えた。



*1:蘇生の呪文

 対象者の生命力の上限を代償に死者を蘇生する呪文。

 生物が死を迎えると生命力が急速に減少して行く。

 そして生命力が無くなると、生物は完全な死を迎える。

 生命力の上限は生物によって異なり、

 年齢などによっても減少する。

 生命力の上限の高い者でも蘇生の呪文を

 繰り返し受ける事によっていずれは蘇生不能となる。


*2:人魚の涙の結晶

 人魚の涙が結晶化したもの。

 空気中に存在する人魚の涙は、すぐに結晶化する。

 それは、魔法薬の素材として使用される。

 水に溶けやすいため、発見は困難とされる。


*3:憑依

 低級な動物に憑依してそれを意のままに操ることができる。

 失われた術の一つで、呪術に分類される。

 秘薬を使用する為、魔導士以外でも発動が可能となる。


*4:水中呼吸の指輪

 魔法により対象者を柔軟性のある膜で包み込み、

 膜の内側に空気を供給する。

 効果時間は使用者により異なるが、

 おおよそ30分程度である。


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