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73話

短いです。


 海底洞窟でヤドカリを倒し、その先の水中へ飛び込み潜る4人。


(ここは一本道だけど……左右に道があるわね)


 飛び込んだ位置は、丁度水路のど真ん中の様な場所で、道は右と左の選択肢があった。


(右……かな……)


 ユカは勘で右の道を選び、3人はその後をついて進んでいく。

 少し進むと水面から光が差し込んでおり、上に空間がある事が分かり、そこから広い空間へ出る。


「でっか……」


 その空間に居たのは、10メートルを超える巨大なタコの様な魔物。


「タコの触手って、あんなに多かったっけ」


 ミコが言ったように、そのタコは触手が20本もあった。


「こいつは陸上なら、触手の動きに気を付けていれば大して強く無いわ」


 ユカはそう言うと縮地で一気に接近し、いつも通り火遁を叩きこんで離脱する。


「陸上なら火に弱いし一匹だけだし、私達なら余裕だね」


【死神技法:魂の葬炎】


 ニナがユカの後に続いて蒼い炎を放ち、あっけなくタコを倒して先に進もうとする。


「……また分かれ道か」


 先に進む道は左右の二つに分けられており、水面からでは中がどうなっているのかよく分からない。


「まぁ、右でいいかな」


 いくら考えた所で分からないだろうと、ユカは直感で右を選び、水の中へ飛び込み、3人もそれに続く。

 選んだ道の先は一本道で、先の方に光が差し込んでいるのが見える。

 そこを目指して進んでいると、前方から大量の小魚の群れが何処からか現れる。


(小魚の群れ……?どこから現れ……って、それより、これマズくない?)


 4人が戦闘態勢に入った頃にはすぐ傍まで接近されていた。

 大きい個体でも2~3センチ程度の大きさしかない小魚の群れは、4人に襲い掛かり、僅かな隙間からも服の中へ侵入し素肌を小さな口で啄んでくすぐる。


「んふっ!ふぅっ!ふふっ!ふっふふふふふふ!」


「んっふふふふふ!んふっ!ふっ!んぅっふふふふふふ!」


「ふっ!……んぅっ!ふふっ!ふっ!……んんっ!」


「んぅ~~っふふふふふふふふ!ふふっ!んっふふふふふふ!」


 いきなりドクターフィッシュの様な魚に水中で襲われ、為すすべなく笑いつつも装置だけは離さない様に必死に咥える4人。

 だが少しくすぐるとすぐに離れていく。


(……?なに、今の……)


 ユカ達が疑問に思っている中、ニナだけは状況を把握していた。


(今のは……。偵察魚かな……。だとしたら、ヤバイけど……。いっそこのままでもいっかなぁ。どうしようもないし)


 今襲ってきたのは『偵察魚』と呼ばれるトラップモンスターの一種で、海底洞窟水中の岩場に隠れてプレイヤーが通るのを待ち伏せしており、プレイヤーが現れると姿を現してくすぐると同時に笑い声で近くにいる魔物を引き寄せるという性質がある。さらに、体に纏っている粘液には少量の毒が含まれており、数匹程度なら問題ないが何十匹にも襲われれば5分ほど体が麻痺して動けなくなる。

 つまり近くに魔物が居る場合、ユカ達は今とても危険という事になる。


「およ、獲物が4人も掛かってるね」


 水の中でも聞き取れる程はっきりと響いてくる声。

 ユカ達の周りに集まって来たのは、様々な容姿をした8人の人魚たち。


「丁度割り切れるし、2人で1人づつねー」


 人魚同士で勝手に割り振りが決まり、それぞれ別の場所に運ばれていく4人。

 この道は一見すると一本道に見えるが、敵専用なのか、巧妙に隠されていた横穴がいくつかあり、人魚たちはそこを通って現れていた。そして4人はここを通って何処かへと連れ去られていった。


 ユカが連れて来られた場所は小さな小部屋。岩壁に繋がれた手錠に麻痺が解けない内に両手を縛られる。


「ふふっ、いっぱい楽しませてねー」


「期待してる」


 ユカを連れてきた金髪の人魚と黒髪の人魚が楽しそうな顔をしてユカを見下ろす。

 そして金髪の方が細長い指でユカの脇を服の上からくすぐり始める。


「んっ!っふふ!んぅっ!くっ!……っふふ!」


「この子の服は脱がせるの難しそうだし面倒だけどー。……ふふっ。この反応なら服の上からでも良さそうねー」


 ユカの上にのしかかり、楽しそうに脇をくすぐる。


「んっふふ!……なに、して、あはっ!」


 黒髪の方はユカの靴を脱がし、ユカが持っていた刀を借りて靴下を足裏部分だけ器用に切り破き、素肌を露出させた後、ここに来た時に出て来た水の中へ足を入れ、人魚自身も水の中へ入る。


「んひゃぁっ!あっははははは!なめっ!だっ、めぇっへへへへ!」


 水の中に入った黒髪の人魚は、両手でユカの右足をくすぐりつつ、口で左足を舐めてくすぐる。

 足は特に拘束はされていない筈だが、不思議なことにユカが足を動かそうとすると、足と水がくっついているかのように凄い水圧を感じられ、全く動かすことができない。


「やっ!あっはははははは!あはっ!あっ!はぁっ!」


「あっちはもう本気かぁ、じゃあこっちもペース上げていこうねー」


 金髪の人魚がそう言うと、下半身の魚部分に纏っている粘液を手ですくい、それをユカの上半身に服の上から塗り付けてくる。

 粘液はかなりヌルヌルしているが、水のようにすぐに衣類に染み込む。


「人魚式粘液マッサージ……本当は上着を脱がしてやるんだけど、貴女の服は脱がすのめんどくさいからこのままねー。皆笑い転げる私達の技に何秒たえられるかなー」


「んひひひひっ!や、やぁっはっはははははは!」


 腕は拘束され、足はもう一人の人魚に弄ばれており、ユカにそれを回避する術は無い。


「そーれぇー」


「んひゃぁっ!あっ!はっ!~~~~~~ぁっははははははははは!」


 お腹、脇腹、あばら、腰、背中、腋と胸以外の上半身のあらゆる部位に人魚の手が伸び、細長い指が猛スピードで動き強烈なくすぐったさをユカに与える。


「服の上からでも1秒ともたなかったかぁー。くすぐったいのよわいんだねー」


「だぁめっ!やっ!あっははははははははは!あっ!はっ!あぁっははははははははは!」


 上半身も相当な刺激だが、足の裏を襲う刺激もかなりのものである。何より、指一本も動かせないのがよりくすぐったくさせている。


「やっ!めっ!やぁぁっはははははははは!あはっ!あっはははははは!」


「足、動けないのに凄いびくびくしてる。相当効いてるみたい」


 黒髪の人魚はそう言いつつも手は一切緩めない。


「あぁっはははははははははは!あはっ!あっははははははは!」


「笑え笑えー」


「悶えちゃえ」


「やぁっははははははははは!あはっ!はぁっ!はぁ~~っはははははははは!」


 ユカは強制帰還させられるまで2人の人魚にくすぐられ続けた。

残り3人は次話になります。

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