番外編 ホラーゲーム2
本編のネタが浮かばず番外編になりました。
9月まで仕事が多忙になりそうなので、それまで投稿間隔が長くなりそうです。
でもその分9月は休みが多くなりそうです。
6月の中旬のある日。ユカ達の元にリーシャから一通のメールが送られてきた。
内容は、以前渡した新作ゲームのアンケート用紙。要するに評価アンケートである。
「という訳で再びこの屋敷にやって来たわ!適当な時間つぶしに丁度いいわねぇ」
ゴスロリドレスを身に纏うニナが、ロビールームで無駄にテンションを上げる。
「アプデも来てるわね。……大きな変更点は、脱出できる場所が2つ増えた事と、監禁部屋が地下室から、各階に一部屋づつになった事。霊が活性化状態に移ったらライトが点滅するようになった事ね」
ベージュと白のカーディガンワンピースに茶色のブーツを着用するユカは、簡単に変更された点を纏めて伝える。
ミコとモモは私用で居ない。
「まぁやってみれば分かるでしょ」
そんな楽観的なニナのセリフと同時にゲームがスタートする。
2人がスタートした場所は、キッチンの様な場所。だが食材どころか調理器具が一つしか無く、暗さも相まってどこか不気味な印象を抱く。
「ここはキッチンかな?……扉は3つか、どれを選ぶ?」
「正面、かな。なんとなく」
二人は正面の扉からキッチンを出る。その先には案の上、複雑に入り組んだ廊下が広がる。
「相変わらず迷路みたいな屋敷だねぇ」
二人は取り敢えず近場の部屋から漁っていく事にする。
「……何、これ?」
「豆、だね」
最初に入った部屋でユカが机の引き出しから見つけたのは、麻袋に入った豆。
「何に使うの?これ。アイテムよね?」
「……投げる?」
「節分?」
豆を注視して説明を見る二人。
・煎り豆
煎った豆。投げて霊の顔に当てると一瞬だけ怯ませる事が出来る。
「本当に投げて使うんだ……」
取り敢えず持っていくことにしたユカ。最初の部屋でそれ以上の収穫は無かったので、次の部屋へと向かう。
「この部屋は、何ここ」
次に入った部屋は、トイレ程の狭い空間にベッドが置かれていた。
「部屋……って呼べるの?これ」
「ベッドの下にエ〇本とか隠されてないかな」
「あるわけ無いでしょ。あったとして、誰が隠したのよ……」
「幽霊?」
そんな事を言ってベッドの下を覗くニナ。
「あっ、銀の鍵があった」
「嘘っ、なんでベッドの下なんかに……」
思わぬ成果に驚く二人。そのままベッドの反対側にある扉から次の部屋に行く。
「ここも変な部屋ね……」
その部屋は、広さは普通の部屋だが、たくさんの本棚が置かれており、かなり狭く感じられる部屋であった。
「なんで変な部屋ばっかなのかなー」
「一応ホラーゲームだからじゃない?」
一応二手に分かれて部屋を探索するが、収穫物は電池が一本だけであった。
「この本、全部白紙なのね」
ユカは近くの本を一冊手に取ってパラパラと捲るが、全てのページが白紙だった。
「ヒントとかは書かれてないかぁ」
ニナも手近な本を手に取って捲るが、やはり白紙だった。
「ま、さっさと次の部屋に行きましょう」
二人は本を本棚に戻し、先へ進む。
入って来た扉から反対側の位置にあった扉を出ると、一本道の短い廊下に出た。
「そう言えば、今のところ遭遇しないね。霊と」
「まぁ、結構広いし。普通そんなに遭遇するもんでも無いでしょう」
「そう考えると、定期的に付近にワープしてくるみたいなことしてきそうだよね」
「……確かに、あり得ない話じゃ無いわね」
そんな事を話しながら廊下を通り次の部屋へ行く。
「この部屋は、わりと普通ね」
二人は比較的普通の部屋にある机やらタンスやらの引き出しを片っ端から開けていく。
「銀の鍵が1本と……、小型ラジオが一個」
「ラジオって何に使うの?キッチンタイマーと同じ陽動かな」
「そう言えば、キッチンタイマーが陽動に使えるって事は、幽霊って音に反応するの?」
「確かに、そうね。という事は、扉を開けたりする音とかにも反応するのかな」
一先ずアイテムを回収し、別の扉から別の部屋へと移動する。
「うわっ、何この部屋……」
次に入った部屋は、様々な形の拘束台が設置され、部屋の至る所に筆やら羽やら手袋などのくすぐりグッズが散乱している部屋だった。
「これは、まぁ、ある意味ホラー、かな?」
二人が部屋に入ると同時に、部屋の扉が勢いよく閉まり、電灯がチカチカと点滅する。
「うわっ!?何っ!?びっくりした……」
「閉じ込められた!?急にホラー展開になるじゃん……」
そして部屋に散乱していたくすぐりグッズが宙に浮かび上がる。
「ポルターガイストってやつかなぁ」
その光景を呑気に眺めているニナ。
「扉はダメね。逃げられそうにない」
ユカは試しに閉じた扉を開けようとするが、くっついているのではないかと思う程に硬く閉ざされていた。
諦めて扉から手を離した瞬間、両手首を手袋が掴んで真上に持ち上げる。
「これは、ダメそうねぇ……」
ユカは万歳の姿勢のまま、自分の周囲を取り囲む手袋を一瞥し、これからされる事を回避する術は無いと諦める。
中身の無い手袋達はそのままユカのスカートの裾や袖から服の中に侵入し、腋をあばらをわき腹を、くすぐり始める。
「ふぅっんっ!やっ……!ばっ……!はっ……ぁっ……!」
最初だからかゆっくりな動きをする手袋達。だが、人をくすぐることを目的に作られた手袋は、かなり肌触りがよく少し触られただけでもくすぐったく感じる物である。
「んっ!ふぅっ!んっふふふ!はっ、あはっ!」
不意に真上からガシャンと金属音が鳴り、何の音かと見上げると、天井から吊り下げられた手錠によってユカの両手首が拘束されていた。
そして掴んでいる理由が無くなった1対の手袋が、そのままユカの両耳を優しくくすぐる様に撫で回し始める。
「ふぅっ!ふっ!はっ!あはっ!あっ!あっはは!やっ、ぞわぞわするっ!」
両耳から送られてくる不思議な感覚に身悶えするユカ。
「んやぁっ!あっ!あっはははは!いきなりっ!はげしぃっ!っひひひひひ!」
それと同時に、体をくすぐっていた手袋の動きが急に早くなる。
「やっ!あっはははは!あはっ!はぁっ!はぁぁっはははははは!あはっ!やぁっははははは!」
4対の手袋にくすぐられ、笑い悶えるユカ。
「やぁぁっはははははははは!はぁっ!はっ!はぁっ!あぁっははははははは!」
ほぼ反射的に体を左右に捻ったり、足をじたばたさせたりするが、勿論なんの抵抗にもなっていない。
「あっ!あはっ!あぁっはははははは!やぁっ!やっ!やぁっはっはっはっはははは!」
そして不意に手袋達の動きが止まり、くすぐったさが消える。
「はぁっ……?はぁっ……、はっ……、はぁっ……?」
疑問に思いつつも大きく呼吸をして息を整えるユカ。そしてスカートの裾からあばらの辺りをくすぐっていた1対の手袋が出て来ると、そのままユカの両足を掴み、器用にブーツを脱がしていく。
「……」
何も出来ないユカはそれを黙って眺めている。
両足のブーツが脱がされ、黒い靴下も脱がされ、右足首を掴まれて持ち上げられる。
「何か、誰も見てないとは言え、この態勢は恥ずかしいわね……」
一応年齢制限が掛かるゲームではない為か、スカートが捲れる様な行動はしない。姿の見えない霊(女性)にいいようにされている状況には違いないが。
持ち上げられ、無防備に晒された右足の裏にゆっくりと2つの耳かき棒が近づいてくる。
「……なるほど」
そしてユカの左足が一瞬持ち上げられると、そのまま下に細長く柔らかいとげの様なものがびっしりと生えた足裏マットが置かれ、その上に左足が乗せられる。
「これは動かなきゃ大丈夫な奴ね。……動くに決まってるじゃない」
謎の一人ノリ突っ込みをしていると、耳かき棒がユカの右足の裏をくすぐり始める。
「んふゅっ!んっ!ふっ!ひっ!はぁっ!はっ……!」
そしてユカがくすぐったさに身を捩る度に、唯一地面から体を支えている左足が、足元に敷かれた足裏マットの上を滑り、更なるくすぐったさを与える。
「んっ!ふぅっ!ひっ!ひぁっ!っは!あはっ!やっ!はぁっ!」
足裏マットはユカの左足が激しく動かされても、地面にくっついているのではないかと思う程に全く動かず、左足が動く度に追い打ちの様なくすぐったさを与えてくる。
「んやぁっ!あっははははは!やっ!はぁっはははははははは!」
そしてずっと止まっていた手袋達が再び動き出し、ユカの頭をくすぐったさで埋めていく。
「だっ、めぇっへへへへへ!あっはは!あはっ!はぁ~~っはははははははは!」
耳かき棒は足の裏の様々な箇所を、優しく撫で回したり小刻みにカリカリしたり刺激を変え場所を変え責め立てる。
「はっ!はぁっ!あはっ!あは!はぁ~~っ!あはっ!あっはははははははは!」
右足を掴んでいた1対の手袋の片方が不意に右足から離れると、そのまま左足首を掴み、左足をマットに押し付けゴシゴシと強く擦り付ける。
「んやっ!ぁっ!だっ!ぁぁ~~~っっははははははは!それぇっ!やぁ~~っはははははは!」
左足を襲う暴力的なくすぐったさに大きく悶えるユカ。
一方、ニナ。
「んひぃっ……!はぁっ……!さすがにっ……!もぅっ……!ぁはっ……!」
最初ニナは2本の筆がゴスロリドレスの中に入ってきて、優しく素肌を撫でるだけだったので、何とか声は我慢出来ていた。
だが、一本、また一本と筆の数が段々と増えていき、既にニナをくすぐる筆は10本を越えていた。
「ふっ……!ふふっ……!いやっ、ね……。やっ!さしいのもっ……!嫌じゃ……っ!ない、けど……ずっとは……!」
そんなニナの言葉に反応したのか、10本の筆が一気にニナの体に襲い掛かる。
「んひゃぃっ!やっ!っはははははは!あはっ!いいっひひひひひひ!」
耳、首筋、腋、あばら、お腹、脇腹を数多くの筆が撫で回すくすぐったさをニナが楽しんでいると、何処からか現れたロープが、ニナの両足首に絡み付き、そのまま上へ持ち上げられる。
「ひゃぁぁっ!?あっぶな、いきなり、何……」
ニナは特に拘束はされていなかった為、うつ伏せに倒れる瞬間に両手を地面に付けて激突を免れる。筆はそんな事はお構いなしにくすぐり続ける。
ニナの靴はまるで意思を持っているかのように勝手に脱がれていき、そこに2つのヘアブラシが近づいてくる。
「んっ、んふっ!そういうっ、ことねっ……」
そしてニナが想像した通り、靴下越しにニナの足裏をゴシゴシと強くくすぐり始める。
「んっ!ふひぃっ!あはっ!あっはははははは!やぁっはははははは!」
うつ伏せに倒れながら笑い悶えるニナの姿は、どこか煽情的でもあったが、他にいるのはユカだけだからか、少し恥ずかしいぐらいに留まっている。
「んふぅっ!っふふふふふ!ふぁっはははははははは!あはっ!はっ!はぁっ……!あっ!」
全身を撫で回す筆の感触と、足の裏を襲う強烈なくすぐったさを感じながらも、それを楽しんでいる様にも見えるニナ。
「ひゃぁっははははははははは!はぁ~~っ!っははははは!あはっ!やぁっはははははは!」
今度はどこからか二つの羽箒が現れ、ニナの素肌を晒す太ももと優しく撫で回す。
「んぃっ!ふっ!っふふふふふふ!あはっ!はぁっははははははは!はぁっ!はっ!」
全身を道具にくすぐられるという未知の体験を楽しむニナだったが、変な態勢の問題か、徐々に体力が削られていく。
「やっ!あっはははははははは!せめっ、てぇっ!仰向けがっ!いいなぁっはははははは」
そう言ったが、仰向けだとスカートを押さえなきゃならないからあんまり変わらないなという事に気付く。
「あぁっはははははははははは!まっ、だぁっはははははは!やぁっ!やっはははははははは!」
ニナが徐々に体が辛くなって来た頃合いを見計らったかのように、丁度10分が経過し、二人はロビールームに戻される。
「あっ……!はぁっ……、はっ……、ふひっ……!」
「はぇっ……はっ……!はぁっ……、はぁっ……!」
ソファーに寝転がる二人。再起動まで10分以上の時間を要した。
復活した二人は追加された本を手に取り、中身を読み、今回の霊を知る。
「えーと、今回の相手は『騒霊』で、典型的な待ち伏せタイプ。活性化状態に移っても姿が見えず、周囲の物を操ってくすぐってくる、か……」
30分程休憩を挟むと、二人はもう一回とゲームを開始する。
先日、ワクチンを打ってきました。
タイピングに支障が出るレベルで腕が痛く、熱が38度超えてヤバかったです。
これを後一回打つのか……。




