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69話

 5月下旬の日曜日。ユカの誕生日のニナ宅。


「夜はゲーム内でパーティーするとして、午前は私の家空いてるから、私の家でプレゼント渡し兼プチパーティーしない?」


 という成美の提案により、いつもの4人が成美の家に集まる。


「という訳で、ゆかちー誕生日おめでとー!」


 一人だけテンションが高い美琴

 

「取り敢えず、お菓子とジュースは一通り買って来たけど足りるよね?」


 一人お菓子とジュースを机の上に並べる成美。


「随分と買って来たわね……。これ食べ切れるの?」


 香織は並ばれていくお菓子を眺めながら、主にカロリーを気にしてしかめっ面をする。


「何故私だけ椅子なの……?」


 優香は一人だけ手すりのついた洋風の椅子に座らされていた。


「それはほら、本日の主役だから」


「サプライズの話は何処に行ったの?」


「バレてるなら意味無いかなぁーって」


 やや呆れた顔をしながらも、手すりに両手を置きながら椅子に座り続ける優香。


「じゃあ私から。はい、ゆかちー」


 美琴はカバンからプレゼント用にラッピングされた箱を取り出し、優香に渡す。


「これは、髪留め?」


 リボンを解き、箱を空けるとピンク色のシンプルな髪留めが入っていた。


「そうだよー」


「何か、意外ね。みこが髪留めを選ぶなんて」


「ゆかちーは私の事をどう思ってるのかな?」


 香織と成美も言葉には出さなかったが「分かる」と心の中で呟いていた。


「私からはこれを、優香さん」


 香織が渡したプレゼントのラッピングを解き、中を開けるとクリームが入った丸い透明な容器が入っていた。


「これは?」


「リップクリームよ。私達ぐらいの年になれば必要でしょう?」


「えぇ、ありがとう」


 優香は箱に仕舞うと、自分のバッグに入れる。


「じゃあ最後は私ねー」


 成美はそう言って立ち上がると優香に近づく。


「色々悩んだけど、やっぱ優香ちゃんにはこれかなぁって」


 そう言って成美は懐から拘束テープを取り出すと、優香が反応する前に片手を椅子の手すりに拘束する。


「ちょっと!?」


 優香は咄嗟に抵抗しようとするが、他人の家で暴れるのはどうなのかという考えが一瞬頭をよぎり、その隙にもう片方の手も拘束される。


「になっち、手際よすぎじゃない?」


 呆れたように苦笑いをする美琴。だが止めはしない。


「普通、誕生日の人にこんな事する?」


 軽く成美を睨む優香。


「まぁ細かい事は気にしなーい」


 悪びれもしない成美。


「待ちなさい。やるなら私も混ぜなさい」


「百瀬さーん?」


 唯一止められそうな百瀬もやる気であった。


「それじゃ私は、後ろから脇を責めるわ」


 成美が後ろに回り、ユカの両脇を指で突っつく。


「んひゃぁっ……!はひっ……!やっ……!ちょっとっ……!」


 脇はギリギリ閉じて防げるが、既に隙間に忍び込んだ指を追い出す事は出来ない。


「じゃあ私は、正面から優香さんの顔を堪能するわ」


(ももっちってこんなキャラだったっけ?)


 香織は優香の膝の上に跨り、脇腹をまさぐりつつ優香の顔を眺めている。


「んっ……!んふっ……!はっ……!ふひっ……!」


 椅子に拘束されている以上、お腹周りは防ぐ事が出来ない。


「折角なら私は、足の裏にするよ」


 美琴はそう言って、ユカの右足首を掴み、スリッパを脱がして靴下越しにくすぐり始める。


「何が折角なのよっ!あはっ!やめ!あっはははは!」


 流石に美琴を空いてる片足で蹴っ飛ばす訳にはいかないので、反射的に蹴らないよう気を付けるが、それが余計な体力を使う。


「あっははははは!やめっ!んっふふふふ!ふぁっははははは!」


「ゲームでは結構やられてるけど、リアルでされるとまた違った良さがあるよね」


 成美が分かってるよと言いたげな顔で語り掛ける。その手は突っつくだけの単調な動きを止め、5本の指全てを脇の下で蠢かせる。


「やかましぃっ!んぅっふふふふふ!あはっ!はぁっ!はっ!はぁっはははは!」


 全て服の上からのくすぐりとは言え、3人から一斉にくすぐられれば、その刺激は相当なものである。


「笑い悶えてる顔も可愛くて素敵よ」


(ももっちって、こんなキャラだったっけ?)


「やめっ!あっ!はぁっはははははは!んふっ!んっふふふふふ!」


 香織は優香の顔を恍惚とした表情で眺め、優香の脇腹を揉む。


「ゆかちーの肌ってキレイだよねー」


「あなたにっ!いわれたくなぁっははははは!あはっ!」


「確かに、みこちゃんも十分綺麗だよ」


 二人からそう言われ、やや顔を赤らめながらも「ありがと」と呟く美琴。だが手は一切止めない。


「良い加減やめっ!あはっ!あっはははははは!んぅ~~っふふふふふ!」


「んー、確かにゲーム内じゃなくてリアルだし、最後に10秒ラストスパートかけて終わりにしますかぁ」


 成美はそう言って指の動きを一気に早くする。


「んぁっ!あ~~~っははははははは!やっ!はっ!はぁっはははははは!」


「じゃあこっちも早くするねー」


 美琴は指を立てて、カリカリと爪で足の裏を刺激する。


「あぁっははははははは!あはっ!ひゃぁっははははははは!」


「どんな優香さんも好きよ、私」


(私の中のももっちのキャラが崩れていく)


 香織は手で脇腹を揉みながら、指も動かしていく。


「はっ!はぁっ!はぁ~~っはははははははは!やっ!やぁっはははははは!」


「終了ーっ!おつかれー」


 成美が手を離すと、他の二人も離れる。


「どうだった?」


 成美は悪びれもせず感想を求める。


「はぁっ……、はぁっ……、なんか、体が慣れていない感じがするわ……」


 その後は買って来たお菓子を摘まみながら会話をし、夕方になると解散する。

 そして夜。ゲーム内のギルドハウスの一室。


「二次会へようこそ、ゆかちー」


「そう言われると急に宴会っぽくなったわね」


「お酒は無いよ?」


「あってたまるもんですか」


 ゲーム内では実際に飲む訳では無いので、未成年でも飲酒が可能である。

 だが、4人とも味が気に入らず「ジュースで良くない?高いし」という結論に至っていた。


「と言うか、随分とたくさん用意したのね。いくらゲーム内とはいえ、これは多すぎない?」


 部屋に置かれた大きめのテーブルの上に、たくさんの料理が並べられている。


「こっちはこないだ皆で釣って来た魚たち。こっちはいつかの触手のてんぷら」


「触手のてんぷら……、本当に作ったのね」


「見た目は太いちくわ天か何かに見えるよね。衣で隠れて」


「あ、そうそう。ユカちゃん。はい、本当のプレゼント」


 ニナはユカに何かを渡す。


「これは、鉱石?」


「そ、オリハルコン。ユカちゃん、サブウェポンの刀が欲しいって言ってた気がするから」


「えぇ、助かるわ」


 ユカの巨大手裏剣は消費MPが激しいので、サブに使える忍者刀を作りたがっていた。

 その日は何時もより遅くまでゲームでパーティーを楽しんだ。

リアルメインの話は久々かもしれない

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