68話
ミコたち4人がユカに内緒で誕生日サプライズの準備を進めた日から二日たった月曜日。
学校で授業と授業の合間の休み時間の美琴と香織の教室。
「ねぇ、優香さんは何をあげたら一番喜ぶのかしら?」
珍しく美琴に相談を持ち込む香織。
「ゆかちーはよっぽど酷い物でも無い限り喜ぶと思うけど……」
普段そういった事に大して気を使わない美琴。毎年優香にプレゼントは渡しているが、無難な物に留まっている。
「だから、ももっちが選んだプレゼントなら何でも喜ぶと思う」
「プレゼント……婚姻届?」
「それは色々と早いんじゃないかな」
そんな感じで話が進み、放課後に二人でプレゼントを買いに行くことになる。
そんな日の夜。夕食が済んだ後のゲーム世界。
「さっきぶりね。ニナ。……後の二人は?」
「やっほー。二人は何か買いたい物があるって街に行ったよ」
「珍しいね。あの二人が買い物って……。あぁ、そういえば今週末だったわね」
ユカが納得する。
「えーっと、何も計画したりしてないよ?」
ニナがバレバレの嘘を言う。
「いや、みこが何もしてない筈無いから、分かるよ。何年一緒に居ると思ってるの」
「あぁー……、そう言えば幼馴染だっけ」
「まぁ、知らないフリするから大丈夫よ。それはそうとして、今日はどうしようか」
「そういえば、そうねぇ。二人でレベル上げに行ってもしょうがないからね」
そのまま話が進み、南にある街、「サウスフレイム」まで温泉に行こうという事になる。
「ニナの乗り物は、山羊?随分と禍々しい見た目をしているわね……」
ニナの山羊は漆黒の毛並みに捻じれた角を持つため、一見すると悪魔の様な印象を抱く。
「これでも結構温厚だよ?ユカちゃんのは、白銀の狼かぁ。かっこいいけど、忍者感はないね」
「忍者感のある動物って何?」
「……カエル?」
「両生類だし。流石にカエルには乗りたくないわよ……」
そんな事を話しながら移動すること約一時間。南方で最も大きい街、「サウスフレイム」に到着する。
「着いたー。乗り物があると早いねぇ」
「敵をある程度無視して移動出来るのは大きいわね」
二人はそのまま、温泉施設へ直行する。
「個室は?」
「当然、借りるわよ」
「だよね」
そして女湯の暖簾をくぐり、湯船に浸かる。
「はぁーー……、バーチャルとは思えない程リアルねぇ……」
「だねぇ……」
湯船で体を大きく伸ばして寛ぐ二人。因みにこのゲームで全裸になるのは不可能なので水着である。
「……そう言えば、男性が女性キャラでここに来たら、どうなるんだろう」
「あぁ、団長が言ってたけど、システムで弾かれるらしいよ。VRゲームを始める際の性別はごまかせないからね」
「随分と高性能なセキュリティね」
因みにそんな人も利用できるよう、『女湯(男性用)』と『男湯(女性用』もある。
「遠出せずに温泉に浸かれるのはVRゲームならではだよねぇ」
「ところで、ユカちゃんはあっちの温泉入らないの?今私達以外に誰も居ないよ?」
ニナが指で示した先には、小魚が泳いでいる温泉があった。
「んー……。今日はアレの気分じゃ無いなぁ」
「そっか」
そして1時間程、様々な湯船でのんびりした後、上がって白い浴衣に着替える。
「満足」
「ねー」
二人はそのまま個室に戻る。
「んー、このまま終わっても良いけど……。ユカちゃん、コレ頼まない?」
和風な個室の部屋の隅に置かれていた紙をユカに手渡す。
「個室でマッサージサービス……。まぁ、ここだし、普通のマッサージではないよね?」
「だから頼むんじゃん」
そう言って注文用のタブレットを手にするニナ。既に頼む気マンマンである。
「ユカちゃん、どれがいい?触手とか機械とか色々あるけど」
「普通に女の子で良くない?触手とか機械は普段の戦闘でやられるんだし」
「それもそーねー」
タブレットを操作していくニナ。
「女の子の指名から服装とか色々設定できるけど、どうする?」
「何かもう、その画面がある時点で普通のマッサージする気ゼロよね?ニナに任せるわ」
「おっけー。女の子は皆可愛いからお任せでいいや。私達浴衣だし、和服にして貰お」
ニナがタブレットの操作を終えてから僅か3分。グレーの浴衣を着た女の子が4人。布団を持って部屋に入って来る。
女の子は慣れた手つきで机を端に移動させ、布団を敷く。
「それでは、こちらに仰向けで寝転がってください」
女の子の一人がそう言う。ユカとニナは言われた通りにする。
寝転がったユカには黒のロングストレートの女の子と、茶色のショートボブの女の子が付き、ニナには金髪のポニーテールの女の子と黒のセミロングの女の子が付く。
そして二人は布団の下から出てきた手枷と足枷で両手両足を高速され、まともに動けなくされる。
「それでは、始めさせていただきますね」
女の子の1人がそう言うと、4人の手が2人に伸びて、その体をくすぐり始める。
「んっ……!ふひぃっ……!はっ……、あはっ……!」
「くふっ……!ふふっ……!んぅっ……!ふはっ……!」
4人の手は、浴衣の上からあばら、脇腹、お腹、太ももを中心に揉むように動き、時折場所を移動させる。
浴衣の生地は薄く、とても肌触りの良い布で出来ている為、服の上からでも相当なくすぐったさを生んでいた。
「んひぃっ……!ひぁっ……!ぁはっ……!やっ……!あっ……!はっ……!」
ユカはくすぐったさに身を震わせ、唯一自由な頭が、手が動く度に左右に動き、真っ白な布団を水色の髪で覆っていく。
「くっ……ひっ……!ぁっ……!はぁっ……!はっ……!んんっ……!」
ニナはくすぐられながらも、じつに満足そうな顔をしていた。だが、体だけは反射的に動いている。
「ひゅっ……はぁっ……!んっ……!ふぁっ……!はっ……!」
「んっ……ひひっ……!ひぁっ……ははっ……!んっ……ふふっ……!」
「では、強くしていきますね」
女の子の1人がそう言うと、手と指の動きが段々と素早く、激しくなっていく。
「んんっ!ふっふっふふ!あぁっははは!だめっ!たえらぁっははははは!」
「んひゅぅっふふふふ!やっ!ぁっはははは!我慢できなぁっはっはははは!」
二人共、強くなる刺激に耐え切れずに大きな声で笑いだす。
「んぁ~~っははははははは!あっはははは!やっ!あっははははは!」
「ひゃぁっははははははは!あはっ!はぁっははははは!んっひひひひ!」
女の子達の手はいよいよ脇や足の裏もくすぐり始め、指の動きも素早く不規則に蠢くように動く。
「んふふふぅっ!ふぁっははははは!あっは!あはははははははっ!」
「んっ、ひっ、ひぁっ!っははははは!やぁっははははははは!」
二人共もう少しで下着が見えてしまいそうな程に浴衣がはだけているが、部屋には女の子しかおらず、知らない人が入って来る事も、声が外に漏れる事も決してないので気にしない。
「あぁ~~~~っははははははは!あはっ!脇はやばぁっはははははははは!」
「あっ、はぁっ!やぁっはははは!そこだめぇっへへへへへへ!」
気にする余裕が無いだけかもしれないが。
「ふぁっははははは!あはっ!はっ!ひっ!はぁっ!あっはははははははは!」
「やぁ~~っはははははははは!あはっ!やっ!ひゃぁっははははははは!」
だが女の子達が見える前に浴衣を素早く正してはくすぐっており、終始そこまではだける事は無かった。
「あはっ!やっ!くすぐったぃっひひひひ!ひぁっはははははは!あはっ!あっははははははは!」
「んひゅぅっ!んっふふふふふ!ふひゃぁっ!ひゃっははははははは!はひっ!ひゃぁっははははははは!」
10分間、存分にくすぐられた二人は、少し休憩した後、ログアウトする。
そして程よい疲労感から、布団に入るとすぐに眠りに落ちていった。
温泉っていいよね。
一年以上行けてませんが。




