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番外編 ホラーゲーム1-1

明けましておめでとうございます(激遅)

本編の筆が全く進まず、気付けば番外編を書いてました。

シーンは短め。

 ゴールデンウィークの模擬戦から一ヶ月経ったある日。ユカ達4人の元に手紙と荷物が届いた。差出人はリリィの妹、リーシャ。

 手紙には姉に対する愚痴や関係ない事も書かれていたが、要約すると『模擬戦に勝利したのと、見つけるのが困難なユニークジョブを4職も見つけられた4人に、今度発売する新作ゲームのテストプレイ権をプレゼント。一通り遊んだら感想を送って頂戴』という事が書かれていた。

 ゲームのタイトルは『ティックハウス(仮)』という。正式にはまだ決まってないらしい。

 ジャンルは『脱出ホラー』だが、当然の様にくすぐり要素が入ってるらしい。

 基本一人プレイ用のゲームだが、マルチプレイも可能で休日だった事もあり、4人は早速プレイする事にした。

 4人がゲームを起動し、部屋を立てて集まる。


「簡素な部屋ねぇ。ロビールームってやつかな」


 ユカが辺りを見渡して呟く。リビングの様な部屋にはテーブルが一つと、挟む様にソファーが二つ。大きな本棚があるが、中身はスカスカで本は数冊しかない。


「この本は……ゲームのルールが書いてあるね」


 ニナが本棚の本を一冊手に取り、パラパラと捲って内容を確認する。


「なら、分かりやすく説明してー」


 ミコがソファーに寝転がりながらニナに頼む。

 因みにオンラインゲームではない為か、4人共アバターは大分リアルの姿に似せてある。

 ユカは黒いロングの髪に、服装はベージュと白のカーディガンワンピース。

 ミコは茶色のショートボブに、服装は白い半袖のシャツの上から黒いチェックの半袖のカジュアルシャツを羽織り、下は黒のショートパンツと動きやすい服装。

 モモは黒のセミロングの髪に、服装は白い無地のシャツに黒のショートパンツだが、上からベージュのロングコートを羽織り、ワンピースを着ている様に見えるスタイル。かなりの厚着である。そして若干ミコと被っていて不機嫌である。

 ニナは真っ白なロングストレートをポニーテールに纏め、服装はまさかのゴスロリドレスである。


「うーん。ちょっと待ってね。読み終わったら説明するから」


 ニナが読み終わるのを待つ事十数分。説明が始まる。

 ゲームの内容は、ランダムマップの屋敷から脱出すればクリア。ただし屋敷には幽霊が一人、徘徊している。

 幽霊は普段見えないが、襲っても来ない。だが活性化状態という状態になると姿が見えるようになるが、襲ってくるようになる。幽霊に捕まると、地下の監禁部屋に連れて行かれ、幽霊に5分間くすぐられる。また、仲間が全員捕まると追加で10分くすぐられ、ゲームオーバーになる。

 幽霊に捕まった者は5分後もそのまま監禁されたままで、仲間が助けに来るまで待機となり、暇潰しに10分に1分くすぐられる。最後まで救出されずに仲間が全員脱出した場合、幽霊に腹いせに10分くすぐられる。

 幽霊には複数の種類があり、それぞれ対処法やくすぐり方が違う。

 また、特定の条件を満たせば幽霊を退治する事も可能。退治に成功した場合もクリアとなる。だが、幽霊の種類によって退治方法が異なる上、退治できない幽霊もいる為、脱出より難易度は高い。

 屋敷中に様々なアイテムがランダムで設置されているので、それを上手く使ってクリアを目指そう。


「だって」


 ニナが長い説明を終える。


「わざわざ難易度の高い退治を選ぶ必要あるの?」


「その方が経験値が多く貰えるんじゃない?」


 モモの疑問に答えるニナ。


「レベルがあるのねー」


 ミコがシステム画面を確認して呟く。

 このゲームにはレベルがあり、レベルが上がるとスキルポイントを獲得できる。そしてスキルポイントを消費して様々な便利能力を手に入れられる。


「移動速度が速くなるスキル。スタミナの消費を抑えるスキル。電池の消耗を抑えるスキル……。色々あるけど、何が強いかは実際にやってみないと分からないわね」


 ユカがスキル画面を確認する。


「本棚にはゲームをプレイする度に本が追加されるシステムみたい。攻略のヒントとか幽霊の特徴とか書かれてるのが追加されるっぽいよ」


 一先ずやってみようという話になり、ゲームスタートを選択する。

 4人が転移した先はロビールームと同じぐらいの広さの部屋。


「どうする?」


 最初に沈黙を破ったのはミコだった。


「取り敢えず手分けして探索して、10分後に一回集まって情報を集めましょう」


 ユカが方針を決め、行動を開始する。

 そして10分後。最初の部屋に無事に集まる4人。


「全員無事みたいだねー。誰か幽霊見た?」


 その場に居る全員が首を横に振る。


「まぁ、そんなすぐに活性化状態とやらに移ったりしないでしょう」


 モモがミコに適当な返事を返す。


「私一階を探索してる時、足音聞こえたよ。二階に居た人のかもだけど」


「足音……。見えない時はそれで大体の位置を把握すればいいのかな」


 ニナが一階を探索した際に得た情報を話す。


「取り敢えず、玄関の扉を見てきたけど……凄かった」


「何が?」


 ニナが若干引き攣った顔で話し始める。


「鍵がかかってて」


「そりゃかかってるでしょう。じゃなきゃクリア出来ちゃうでしょう」


「電子ロックもついてて」


「二重ロックかぁ……」


「あとチェーンが溶接でくっついてた」


「そこまでする……?」


 流石と言うべきか、玄関の扉は3重でロックされているらしい。


「じゃあ必要なのは、玄関の鍵と、電子ロックのパスワードと、チェーンをどうにかする道具って事だね」


 ミコが分かりやすくまとめる。


「そういえば、私はこの部屋がある二階を探索してたんだけど。奥の方に扉があって、その向こうに階段があって、そこを降りたら裏口っぽいドアがあったわ」


「裏口かぁ、そっちは楽に脱出できそう?」


「扉に木の板が打ち付けられていたわ。でも、鍵はついて無かったわね」


 ユカは裏口を見つけていた。だが、扉には木の板が打ち付けられており、どうにかしなければ使えなさそうである。


「そう言えばこの屋敷。何階まであるの?」


 ミコが上の方に行ったモモに聞く。


「4階建てだったわ。ついでに屋上もあったわよ。何もなかったけど」


「そっかぁ。そう言えば、こんなの見つけたけど役に立つかな?」


 そう言ってミコが取り出したのは小さな十字架だった。


「……多分何かに使えるんだろうけど、どういう効果があるのか分からないわね」


「確か、アイテムを5秒ぐらい見つめると説明画面が出るんじゃなかったっけ」


 ニナがそう言い、ミコは言われた通りに十字架を注視する。するとアイテムの説明画面が出て来る。


・十字架

 金属製の十字架。苦手な霊が多い。


「情報すっくな!」


 ミコは堪らずといった様子で言う。十字架はそのままミコが持つことになった。

 情報共有を終えると、ユカとモモ、ミコとニナで二人一組で行動を開始する。

 ユカとモモの二人は4階へ移動し、探索を開始する。


「モモさんはどの辺を調べたの?」


「殆ど調べて無いわ。ここ、屋敷とは思えないぐらい入り組んでる上に行き止まりの通路とかもあって、下手に奥まで行くと迷子になりそうなのよ……」


「……まるで迷宮ね」


 二人は廊下を進み、小部屋に入る。小部屋の内装はローテーブルが一つと、小さな引き出しのついた机が一つ。ユカは引き出しを開ける。


「これは、鍵?」


 ユカは小さな銀色の鍵を手に取り、注視する。


・銀の鍵

 銀色の小さな鍵。屋敷内の鍵のかかった扉を開ける事が出来る。玄関の扉には使えない。一回使うと無くなる。


「脱出アイテムじゃ無いのね」


「ただでさえ迷いやすい造りなのに、鍵のかかった扉まであるのね……」


 新たに判明した事実に嫌な顔をするモモ。


「まぁ、地道に行くしか無いわよ」


 そう言って、入って来た扉とは反対側にある扉を開き、小部屋を抜けるユカ。モモはその後ろに付いて行く。

 一方のミコとニナのペア。


「何、この部屋。扉がここ含めて3か所もあるんだけど」


「日本だとあんまり見ない造りだね」


「海外だとよく見るの?」


「知らない。行った事無いもん」


 そんな無駄な会話をしつつも、部屋を調べ回る二人。


「ん?なにこれ」


 ミコが机の引き出しから、手のひらサイズの麻袋を取り出す。


「インテリア……には見えないね。中身は?」


「白い粉……」


 麻袋の中には白い粉状の物が入っていた。ミコは指で一つまみ取り出すと、そのまま舐める。


「これは、塩!」


「塩?……盛塩にでもすればいいのかな」


 一先ずニナが預かっておく事にした。


「それにしても、随分広い屋敷だねぇ」


「構造も複雑だし、考え無しに進めば迷子になるわね、これ」


 他の引き出しも全て調べ、次へ行こうとした時だった。


「……足音?」


 ニナが閉まっている扉の向こうから足音が響いているのに気づく。


(ミコも私も止まっている。ユカとモモは一階にはいないし、居たとしても後ろから来る筈。なら……)


 ふと後ろを振り返れば、ミコも気付いたようで緊張した面持ちで扉を見ている。


『このまま逃げた方がいいと思う?』


 ニナはミコに小声で相談する。ミコは近づいてくる足音に警戒し、頷く。

 そうして二人が逃げようと、入って来た扉から出る瞬間。足音が響いて来ていた扉が開く。

 二人が振り返ると、そこには茶色いショートカットの女の子が居た。


「マズイッ!」


 ニナは目視出来ている事から、活性化状態に移っている事に気付き急いで逃げる。だが、ミコは反応が遅れる。


「ふぇっ!?」


 女の子は二人を黙視すると走り出し、一気に距離を詰め、反応が遅れたミコを捕まえる。


「ちょっ。はなっ、し……」


 慌てて振り解こうとするが、ミコは自分の体が動かない事に気付く。そのまま、ミコは女の子に何処かへと連れて行かれた。


「咄嗟に逃げてきちゃったけど、一人捕まえて満足するなら代わりに捕まっても良かったなぁ……。まぁいっか、取り敢えず二人の元へ合流しよう」


 一人逃げたニナは、ユカとモモが居る4階へ急ぐ。

 幽霊の女の子に捕まったミコは、地下室の一室に連れて行かれ、中にあるベッドに万歳の姿勢で寝かされていた。


「これは逃げられない、よねぇ……。十字架効果ないじゃん。苦手とは……」


 指一本動かせないミコ。その上に幽霊の女の子が馬乗りになる。そして、その両手がミコの脇へと伸びる。


「っ!」


 ミコは伸びて来る腕に反応し、咄嗟に目を瞑り身構える。体は動かないが。


「……」


 だが女の子は腕を伸ばしただけで何もしない。


「……?」


 目を瞑ってから10秒経ち、未だに何もして来ない女の子に疑問を抱き、ゆっくり目を開く。


「うひゃぁっ!?あっははははは!」


 ミコが油断した瞬間をつき、指を蠢かして脇をくすぐる幽霊。


「ひきょぅっ!ふはっ!はぁっはははははははは!」


 不意をつかれた事もあり、耐える事も出来ず笑い悶えるミコ。体は指一本動かせないが。


「やめっ!やぁっはははははははは!あはっ!はぁっ!はひっ!」


 楽しそうにミコをくすぐる幽霊の女の子。


「ひゃっはははははははは!ははっ!んっ!くっ!ふふっ!」


 幽霊故か、女の子の手はミコの衣服をすり抜け、素肌を直接刺激してくる。


「ふぁっははははははは!あははっ!はぁっ!ひっ!ふふふっ!」


 一方、ミコがくすぐられている時のユカとモモ。


「何、この如何にも豪華そうな扉」


 二人の前には金の装飾が施された茶色いドアがあった。


「開かない……。鍵穴が付いてるわね」


 モモはドアノブの下に鍵穴がある事に気付く。


「じゃあ、さっき見つけたこれで開くかな」


 ユカは先程見つけた銀色の鍵を取り出し、鍵穴に挿す。そして鍵を回せば音が鳴り、ドアが開くようになる。


「鍵、壊れた……。使い切りタイプの鍵って一体……」


「説明文にもそう書いてあったもの。仕方ないわよ」


 二人は扉を開けて部屋の中へ入る。


「中は……客間か何かかな?」


「他と比べると、少し豪華な部屋ね」


 その部屋にはソファーが二つに大きなテーブルが一つ。そして向かいの壁には、額縁に飾られた大きな絵が目立つように掛けられていた。


「机の上に何かあるわね。暗くてよく見えないけど」


 基本的にこのゲームはマップが全体的に薄暗くなっており、明かりが無ければ遠くまで見る事が出来ない。最も、一応ホラーゲームなので当然と言えば当然だが。

 モモは机の方へ向かう。


「これは、また鍵?」


 モモが机の上に置いてあった鍵を手に取る。


「本当?私にもみせてぇっ!」


 モモの方へ向かうユカは、途中にあったソファーの脚に片足をひっかけ、盛大に転ぶ。


「え?きゃぁっ!?」


 モモを巻き込んで。


「いったぁ……ゲームだから少しは痛みを制限してくれも良いのに……。モモさん、だいじょう……ぶ……」


 ユカはそこまで言いかけた所で気付く。まるで、自身がモモを押し倒している様な態勢になっている事に。

 対してモモは、顔を赤らめ、胸元で両手を組み、何かを期待する表情をしていた。


「ご、ごめんねっ!すぐ離れるから……」


 ユカはそこまで言った所で、何かを感じ後ろを振り返る。そこにはニナがニヤニヤしながら顔だけだして覗き込んでいた。薄暗い事も相まって、わりと不気味である。


「ちょっ、ニナっ!?いつからっ……!」


「ユカちゃんがモモちゃんを押し倒したあたりから?」


「押し倒してないっ!転んだだけっ!」


「いいから続きはよ。大丈夫。見てるだけだから。邪魔はしないよ」


「いやいや、仮にそうだったとしても!見られながらできるかぁっ!」


 その後、3人が落ち着くまで少しの時間を要した。


「で、何でニナだけいるの?みこは?」


「捕まった。幽霊に」


 あっさり言うニナ。


「捕まったんだ……。幽霊ってどんな姿だった?」


「どんなって、普通の女の子だったよ」


「そう……。まぁ、これでみこを救出する手間も増えたって事ね」


 ソファーに腰掛け、話し合う3人。


「そういえば、さっきの鍵は結局何の鍵なの?」


 ユカがモモに問う。モモは鍵を注視する。


・玄関の鍵

玄関の扉を開ける事が出来る鍵。当然だが玄関にしか使えない。


「ほぅ。これで脱出に必要なアイテムが一つ手に入った訳ね」


 ニナの言う通り。玄関からの脱出に必要なアイテムが一つ手に入った。


「残りはチェーンをどうにかする道具と、電子ロックのパスワードね」


「ミコちゃんが欠けたし。ここからは単独行動の方が良いかなぁ。ペアで行動しても結局逃げるしかないから、あんまり意味ない気がする」


 話し合いの結果、ユカとモモは変わらず脱出に必要なアイテムを探し、ニナはミコの救出に向かう事になる。

本来は本編が落ち着いてから書こうと思ってた話です。

書いてる途中で既に本編の倍近く書いてしまっていたので二つに分けました。

続きは来週中には……

あと本編はもう少しお待ちを……

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