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58話

 5月中旬。いつもの喫茶店で何処に行こうか話し合うユカ達4人。


「そろそろ私達も最上級ダンジョンとか行ってみる?」


 ニナが笑いながらそう言う。4人共レベルが90を超えているのでステータスも100レベルとそんなに変わらない。


「そうねぇ……。まぁレイドボスに挑んだりしなければ大丈夫かな」


 ユカはそう肯定する。


「じゃあ、今日は巨塔まで行こう!」


 ニナがそう言い、4人は店を出て出発する。

 西の果てに存在する『天を貫く巨塔』

 それは、広大な砂漠を横断した先に聳える巨大な塔で、全部で3つある最上級ダンジョンの一つである。


「平日だし、今日は移動だけで終わりそうね」


 道中に4人の脅威になりそうな敵は居ないが、目的地の塔は砂漠を横断する必要がある程遠い所にある。最短ルートで進んでも片道数時間はかかる距離である。


「早めに着いても微妙な時間になりそうだねぇ。塔の麓にある街で今日はログアウトかな」


「街とかあるんだ。ダンジョンって街から離れてるイメージがあったわ」


 ニナの一言に反応するミコ。


「あるよ。西で最も大きくて、人気の高い街が」


「妙な言い方……。普通の街じゃ無いの?」


「街自体は普通よ。普通にそういう店が溢れているだけ。まぁ、行けば分かるわよ」


 ニナだけでなくユカもその街の事を知っているが、多くは語らなかった。

 苦もなく草原を駆け抜け、小高い丘を越え砂漠の手前にある小さな村まで到着する。


「砂漠対策道具も、以前のがまだ残っているし問題ないわね。このまま砂漠を突っ切るわよ」


 そうして4人は砂漠に突入する。

 魔人を召喚出来るモモが地図と方位磁石を携え道を示しながら進む。


「そう言えば、あの時蜃気楼神殿を見つけた宝石だけど、あの後検証が好きな人が調べたら、どうやら神の力を探知できる能力があったらしいよ」


「成程、あそこには神がいたから、あの宝石が示してくれたのね……」


 砂漠に出て来る敵は既に4人の相手では無い。奇襲さえ警戒していればいいので、雑談しながら広い砂漠を歩いて行く事数時間。4人は目的の街へ辿り着く。


「でっかい塔だねぇ……」


 街の中心に聳え立つ、天を貫く巨塔を見上げてミコが呟く。


「100階建てだからね。今回はそこまで登るつもりは無いけど」


「そして、何?この街は……」


 天を貫く巨塔を中心に広がる街は、プレイヤーが最初に降り立つ始まりの街に勝るとも劣らない程広く大きい。

 だが、最大の特徴は街で暮らす住民達だろう。


「凄いでしょう。このゲームの世界に存在する全ての獣人種がここに居るのよ」


 何故か誇らしげに語るニナ。そう、この街にいるNPCの殆どは獣の特徴を持った人、獣人種、あるいは獣人族と呼ばれる者達である。

 元々はそれぞれの種が部族として集落を築き、暮らしていたが、やがてこの塔を目印に集まるようになり、交流を重ねる内にいつしか街となった。というバックストーリーがあったりする。


「今から塔に挑むと寝るのが遅くなるから、今日はここで解散で自由行動しましょう」


 今にも飛び出しそうな程テンションが高いニナ。


「やけにテンション高いね……」


 ミコが呆れたような目線を送る。


「『獣人街』に来るのは初めてだからね!……定番の猫族と戯れるのも良いし、犬族に奉仕されるのもいいなぁ……。悩むなぁ……」


 まるで遊園地に遊びに行く前の子供の様な表情をするニナ。だが、その口から発せられる言葉はやや変態的であった。


「狐族の尻尾を堪能するのもいいわねぇ……。兎族のお姉さんにされるも良いし、羊族も捨てがたい……」


 完全に一人の世界に入るニナ。尚、やはりと言うべきかこの街にはそういった施設や店は沢山存在する。


「まぁ後一時間ぐらいで落ちないといけないし。解散して自由行動でいいんじゃない?」


 やや呆れた顔をして言うユカだったが、内心は結構テンションが高い。

 そうして4人共別々の方向へ向かう。


(新しい街だし、特有の曲とか無いかしら……)


 ユカ以外に興味の無いモモは、新曲、もとい新スキルが得られそうな所は無いかと街を適当に散策する。モモのユニークジョブ、魔人使い。レベル上げの合間に習得イベントをこなしてきて分かった事が幾つかあった。

 それは、レベルで覚えられるスキルは魔人関係のものばかりで、サポートを行う為の笛術の習得は、NPCに楽曲を教えてもらうか、楽譜を手に入れるかの二択に限られるという事。

 始まりの街で得られそうな曲はあらかた習得し終えたモモは、残りの曲は他の街に行かないと得られないだろうと考えている。


(可能性が高いのは、劇場とかね)


 そう考えたモモはマップを開いて劇場を探す。


(一ヵ所だけか……。まぁ、そんなに数が必要な場所でもないし、そんなものね)


 マップで街中を探し回った結果、劇場は一つしか無かった。モモはそこへ向かう。

 劇場の中では兎族の獣人が衣装を着て音楽に合わせて踊っていた。


(聞いた事無い曲ね……。新スキル習得になるかしら?)


 モモは新しいスキルを期待して劇場の裏口へ向かう。


 一方、ミコ。

 街を適当に歩いていたら見つけた『mofuーmofu』という個室制の喫茶店に入って行った。

 ミコは動物を思う存分モフれる動物喫茶だと思い込んで入ったが、ここがどういう店かはこの後思い知る事となる。

 個室に入ってソファーに座り少し待つと、狐の耳と尻尾を4つ持った少女が入って来る。その瞬間、ミコは動物をモフる店じゃない事を直感で察する。因みに狐族は尻尾の数が多い程、戦闘能力も高くなる。


「今回は私、椎名がお相手させていただきますね」


 椎名と名乗った少女は、ミコの隣に座る。因みにミコは入店時に店員に「相手はどの子にしますか?」と聞かれたが、動物の事だと思い込んでいたので「おまかせで」と答えた。


「それでは早速、失礼いたしますね……」


 椎名はそう言ってミコの事を押し倒す。


「へ?……えっ?」


 ミコは突然の事に対応出来ず、そのまま押し倒される。そして椎名が太ももの上の辺りに乗る。そしてミコが抵抗する前に尻尾を両手に巻き付かせて拘束する。尻尾は自分の身長と同じぐらいまでなら伸ばす事が出来る。

 そして尻尾は巻き付いたまま袖から中に入り、両脇を先端でなぞる。


「ふぁひっ!ふふっ!やっ……!あはっ!」


 残った二本の尻尾が足の方へ伸びていき、器用動かし靴を脱がし、そのまま靴下も脱がそうとする。


「んひっ!ひぁっはははは!あはっ!脱がさなっ……!やぁっ!」


 靴下を脱がす際、肌を尻尾が優しく撫でる刺激もくすぐったく、ミコは体を震わせる。そして露になった素足の足首に尻尾が巻き付き、足の裏をくすぐり始める。


「ひゃぁっ!あっははははははは!あはっ!はぁっ!はっ!はひっ!ひぁっはははは!」


 ミコが思っていた形とは違うかもしれないが、腕と足で尻尾のモフモフ具合を堪能出来てはいる。


「あはっ!あっはははははは!はぁっ!ふふっ!ふぁっはははははは!」


「良い反応しますね。私も楽しくなってきました……!」


 椎名がそう言うと、尻尾の動きが激しさを増す。脇の下を先でなぞるだけだった動きが、突っついたり、尻尾を擦り付けたりと動きに変化を与える。


「んぁっはははははは!あはっ!っはははははは!はひっ!」


 足の裏も、尻尾をブラシの様に動かしたり、足先に巻き付いてクルクル回転させたり、指の隙間までくすぐる。


「やぁ~~っははははははは!それだめっ!やっ!あはっ!あっはははははは!」


 ミコは四肢を思いっきり動かして抵抗するが、効果がないどころか、動く度に尻尾と肌が擦れて余計なくすぐったさを感じる。


「あはっ!あはっ!はぁっはははははははは!くすぐったい!っはははは!」


「気に入って頂けたようで嬉しいです。時間までいっぱいしてあげますからね?」


 残り時間が経過するまでの間、ミコはくすったさを感じやすい部位で狐族の尻尾を堪能する事となる。

本当はユカとニナの話も一緒に書く予定だったけど、一話が長くなりそうなのと二人の話が割と似てしまったので、もうちょっと考える時間が欲しかったので取り敢えず投稿しました。


職場が新しくなったので平日以外で書く時間があんまり取れなくなりましたが、何書こうかなと考える時間は増えたので一長一短です。

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