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五話

このゲームはプレイヤーレベル(最高100)と職業レベル(最高50)の二つのレベルが存在する。という事を書き忘れた気がするので補足。

「あれが、フロアボスのアルラウネ……」


 フロアボス、各フィールドやダンジョンに一体だけ配置されているボスで最も強い力を誇る。特に高難易度ダンジョンの最深部に配置されているボスは複数人での攻略が前提とされている、所謂レイドボスというやつである。

 そして、初心者ダンジョンと呼ばれるここのフロアボスこそ、ユカの前に立っている、巨大な花の真ん中に人間の女性の膝から上のみが生えている姿をした『アルラウネ』である。

 アルラウネは既にユカを認識しており、戦闘エリアが形成されていく。ユカは刀を構え、じっとアルラウネを見据える。アルラウネは花の中から先端に小さな花が咲いている触手を幾つも出して不敵に笑っている。


「先手必勝!」


 いつかの時と同じように、そう叫んだユカは一気に間合いを詰め、近距離で火遁を発動する。


「きゃぁっ!?」


 アルラウネは突然接近し、火の攻撃を仕掛けて来たユカに対応出来ず、火遁を直撃で食らう。が、火遁は本来牽制用である為、大したダメージも与えられず火が消えていく。


(あんな見た目だし、アルラウネもスピードは速くないのね)


 当然例外はあるが、植物系はスピードが低い傾向にある。ユカはその事を学習した。最も、その弱点を埋める為に触手があるのだが。


「くすくす、早く捕まっちゃえば?いっぱい可愛がってあげるから……」


 アルラウネはユカを大した敵ではないと認識し、大量の触手を周囲に張り巡らせ、余裕の構えを見せている。

 事実、アルラウネは本来両レベルが10以上になってから挑む存在である。だが、このゲームはアルラウネの様な人型はくすぐってもダメージが入る為倒すことも一応可能である。


「まだまだ!」


 ユカはアルラウネに向かって走り出し、迫る触手を切り裂いて接近する。そして手を伸ばせば届く距離まで接近した時。


「へ?」


 地中から植物の根が飛び出し、ユカの右足首に絡まる。当然それだけで終わる筈も無く、反対側の足首にも絡まり、周囲に漂っていた触手に両手首も絡まれて完全に拘束されてしまう。


「はい、捕まえた」


 アルラウネは満面の笑みでユカに近づいて行く。

 ユカは体を捩ってみるが当然無駄に終わる。


「ふふっ、まずは触手で……」


 そういうと周囲を漂っていた触手が、先端を蕾のようにしてユカの体を撫で回していく。


「んっ、くふふっ……くすぐったい……」


 大した抵抗もせず、ユカは体を撫で回す植物の感覚を楽しんでいた。しかし一本、また一本とユカを襲う触手が段々と増えていく。


「やぁっ、ふふふふっ……あはっ!ちょ、流石に……ふふっ……そろそろぉ……」


 すると触手に異変が起きる。先端から蜂蜜のような液体が滲み出始め、それが滑りを良くしてくすぐったさが増していく。


「ははっ、はひっ、んっふふ、や、ベタベタする……んひっ!?」

「安心しなさい、ただの花の蜜だから……。毒とかは無いわ。ただ、とってもくすぐったくなるだけ……」


 アルラウネはそう言うと白く細い腕をユカにゆっくりと近づけていく。


「やっ、これっ、以上っ、耐え……ひゃぁっ!?」


 そしてとうとう、アルラウネの両手がユカの体をくすぐり始める。右手は脇をカリカリと強くくすぐり、左手は脇腹を優しく撫で回す。どちらも花の蜜が満遍なく塗られており、特に脇は肌が露出している為いつも以上のくすぐったさがユカを襲う。


「あっ、やめっ、やっ、ひっ、いやっ、やめへへへへへへえええええええっ!!」


 我慢が限界を迎え、笑い悶えるユカ。しかし触手は四肢をしっかり拘束しており、いくら体を動かそうと逃げ出すことは叶わない。


「あっははははははははははははは!!やぁっ!!くすぐったいいいいいいいい!」


 触手の数もどんどん増えていき、ユカは体中をくすぐられていき、HPがすごい勢いで減って行く。


「いやぁぁぁぁぁああああああっはははははははははははは!!無理っ、もう無理ぃっ!!」


 全身が蜜まみれになりながら笑い悶えるユカ。遂に残りHPが1割を切る。


「あっははははははははははははは!!ははっ!流石に、もう、限界っ!」


 ユカはHPが無くなるギリギリの所で縄抜けを発動し、縮地で一気に距離を取る。


「あら?」


 アルラウネは突然の事に反応出来ない。最も、目の前で四肢を拘束されている人間がいきなり消えて反応出来る者が居る方がおかしいが。


「はぁっ、はぁっ。つ、次は負けないんだからっ!」


 流石にレベルが足りないと思ったユカは捨て台詞を吐いてワープクリスタルを使い街へと帰還する。

 街へと戻って来たユカはそのままギルドハウスに戻り、施設内にある宿屋に向かう。

 ちなみにギルドハウス内はギルドのレベルと資金に応じて様々な施設を建設する事が可能で、レベルが上がると建設可能な施設がアンロックされ、資金を消費して建設するという仕組みである。街にある施設と違うのは、施設で働くNPCを自由に設定できる点である。

 そんなアイリスのギルドハウス内にある宿屋は14歳程の赤と青の髪を持った、それぞれ反対側にサイドテールを纏めた双子が運営している。

 ユカはチェックインすると部屋のベッドに寝転がる。


(いつの間にかレベル3になってる……トレント倒した時に上がったのかな……)


 そうしてユカは新たに覚えたスキルを確認する。


(これは……王道なのが来たね……)


 ユカが新たに覚えたスキルの名は【忍術:分身の術】

 自身の分身を10体生み出すスキルである。分身の行動は指示が可能だが耐久力は本人の1割しかないという弱点もある。


(耐久が無いとは言え、数が多いからかなり強いよね、これ……。でも10体同時に指示とか、慣れないとコンビネーションとかは難しいかな……)


 浴衣に着替え、寝転がりながら今日の成果を確認したユカは明日の予定を立て始める。すると扉がノックされた。


「こんばんわ、お客様。お疲れでしょうから、マッサージに来ました」


 声の主は宿屋を経営している双子の朱莉と水華であった。ユカは宿屋自体初めて利用するので、こういうものなのかと思い扉を開けて二人を招き入れる。

 ユカは知らなかったが、通常の宿屋違いハウス内の宿屋は様々な事を設定することが可能であり、リリィは宿屋に泊まると二人がマッサージと称してくすぐりに来るよう設定していた。この手のゲームでマッサージ師程信用してはいけない者はいない。


「それでは、ベッドにうつ伏せになって寝てください」


 そんな事とは知らないユカは指示に従い、ベッドにうつ伏せで寝転がる。

 するとリボンの様な柔らかい布でユカの四肢がベッドの柱に繋げられ拘束される。


「うん?」


 予想外の事に驚くユカ。


「暴れるといけないので、こうする様にしてるんですよ」


 双子はそう説明するが、ユカはこれから何が行われるのか察し始める。


「それじゃ、始めますね。痛かったら言ってください」


 そう言って、いよいよマッサージという名のくすぐりが始まる。

 朱莉はユカの首筋に指を這わせ、優しく撫でる。水華は背中を優しくゆっくりと撫でる。


「んっ……ふふふっ……」


 優しい刺激がユカの体を襲う。あくまでマッサージという体裁の為か激しくはしてこない。


「お客様~、気持ちいいですか~?」

「頑張りますので、もっと気持ちよくなってくださいね~」


 二人の指が加速する。


「くくっ……ひゃんっ!あ、あはっ、はひっ」


 朱莉はそっと顔をユカの顔に近づけ、耳に息を「ふー」とかけ始める。


「ひゃぁっ!?ふぁっ、耳は……ダメッ……ふぁ……あぁ……」


 頭を動かし、息から逃げようとするが、朱莉は片手でユカの頭を抱きかかえ、それを抑える。


「あぁ、お客様。大変可愛らしいですよぉ……。そんな声出されたらもっとしたくなっちゃいます」


 朱莉は恍惚とした表情でそう答えると吹き方を変えながら耳を責めていく。もちろんもう片方の手は首筋をくすぐったままである。


「このまま、足裏マッサージもやりますねぇ~」


 水華はそう言うと場所を移動する。足も当然きっちり拘束されており、ユカは全く動かすことができない。


「ふぁっ、やっ、今、足はぁ……ひゃぁぁ……」


 全身をゾクゾクとした感覚に襲われながらもユカは懇願するが、勿論受け入れられない。


「ふふっ、足は何ですかぁ?よく聞き取れませんねぇ」


 水華は喜々とした表情で足の裏を優しく撫で回し始める。


「すーり、すーり。くすぐ……気持ちいいですか~?」


「はぁぁぁっ……やぁぁっ……はにゃっ!?」


 突然水華は指を立て、右手で土踏まずをカリカリする様に、左手で指の付け根や間をくすぐりだす。


「足の裏にも息、吹きかけてあげますねぇ?ふー、ふー」


「ひゃぁん!あひゃっ!はっ、ひっ、ひひっ、ひゃぁぁぁぁっ……ふぁっ!?あっはははははははは!」


 双子のマッサージ(くすぐり)に翻弄されるユカ。息を吹きかけられる事で力が抜け、我慢する事も出来ず、弄ばれる。


「お客様、そんなに体を動かすと、浴衣がはだけちゃいますよ?まぁ四肢は拘束してあるので、大事な部分が見えるまではだける事は無いとは思いますけどぉ……」


 朱莉ははだけて隙間が広がった首元から、首筋を撫でていた手を滑り込ませ、ユカの脇を捉える。


「ふふっ、こうやってぇ、イケナイ事考えちゃった手に襲われちゃいますよ?」


 そう言って、ユカの脇を激しくくすぐり始める。


「ひゃぁぁぁぁぁぁっ!?あ、やめっ、やめへへへへへへえええええええっ!!」


「えー、顔は笑ってますし。本当は嬉しいんでしょう?遠慮しなくていいんですよ」


 指を動きを更に速くする二人。


「あっははははははははははははは!!はぁっはぁっ、ひゃぁぁぁぁぁっああああああっははははははははは!!」


「んー、そろそろやめとく?お姉ちゃん」


「ふひゃははははははっはははは!!」


「ん、もうこんなに時間経ってたのか。じゃあ今回はここまでー」


 ようやく解放されたユカは全身でゆっくり呼吸する。


「ふふっ、お客様。気持ちよかったですか?私達のマッサージ」


 勿論答える余裕などユカには残っていない。


「またいつでも来てくださいねぇ。オイルマッサージとかも出来ますから」


 そう言って二人はユカの拘束を解いて部屋から出ていく。寸前に立ち止まる。


「ふむ……」


 そのまま二人はユカの元に戻り、ユカを間に挟む様にベッドに寝転がり始める。


「お客様は可愛かったから、特別に添い寝サービスです♪」


「何もしませんから、安心して寝てくださいねぇ」


 ユカは二人の吐息と鼓動を感じながら、疲労からくる眠気に身を委ね、そのまま眠りに落ちて行った。

 翌日、ユカは自室のベッドの上でゲーム機を付けたまま、いつもより早い時間に目を覚ました。


(思った以上に、凄いゲームね、これ……)


 ゲーム機を外し、ベッドに寝転がったまま昨日の事を思い出し、30分程虚空を見つめていた。


(もうちょっと、ギルドハウス内を探索した方が良いかな)


 ユカは今日家に帰ってきた後の予定を立て始める。

セーフ、セーフ(自分に言い聞かせる)

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― 新着の感想 ―
[良い点] フェチの塊最高です♪ ギルド内、頭悪い施設が山のように存在しそう笑
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