番外編 ミニゲーム
思ったより長くなってしまった
時期はモモがユニークジョブを習得する前です。
4月のある日。ユカ達4人は幹部の一人、ネアに呼び出されてギルドの敷地内にある大きな建物の中にいる。
4人はネアに頼まれ、今度新しくオープンする施設のテストプレイをする事になっている。
「それじゃあ、ここについて説明するの」
入り口の、受付の様な場所でネアが4人に説明をする。
ここはプレイヤーが最大4人で遊ぶことの出来る非対称型の対戦ミニゲームが出来る場所であるらしい。人数が足りない時はNPCが入ってくれる。
ルールは、分かりやすく言えば鬼が一人と逃走者が3人に分かれて行う鬼ごっごである。
鬼はパワースーツみたいな物を着ており、攻撃は一切効かない。そもそも、ゲーム中は全てのスキルを封じられ、全てのステータスも一定値まで下げられる。鬼はスタンガンを持っており、逃走者がそれを一回食らった後、3分以内にもう一回食らうとダウンし、一切の身動きが取れなくなる。そして当然だが、鬼は逃走者より足が速い。ただし、スタンガンは単発式であり、一回撃つ度に電池の様な物を再装填する必要がある。そして、再装填中は足が遅くなる。
ダウンした逃走者に向けて転送装置を発動させると、3種類のくすぐりマシンの内のどれか一つに拘束された状態で転送される。そして救助されるまでくすぐられる。
始めは弱いが、2分毎に段々と強くなり、最大10分救助されずにいるとゲームオーバーとなり、その逃走者はゲームに復帰できなくなる。また、二回目以降は救助された時より一段階強くなった状態で始まる。つまり、拘束されてから1分後に救助されても、次に捕まった時は2分経過した状態でスタートとなる。
もし全ての逃走者が捕まりゲームオーバーになると、追加で5分、更にくすぐられる。
逃走者は、鬼に捕まらないよう逃げたり隠れたりしながら、マップの何処かにランダムで配置される装置のパネルに手を翳して、装置をハッキングする必要がある。ハッキングには最大2分の時間がかかるが、途中で手を離しても進行度が減ったりはしない。ただし、鬼が装置に向けてスタンガンを撃つと、進行度が徐々に減って行く。これは逃走者が再度ハッキングを開始すると解除される。
また、逃走者は小型のスマホの様なレーダー装置を持っており、鬼が近くまで接近すると振動で知らせる仕組みになっている。そして、鬼が近ければ近い程、振動は強くなる。さらに装置を手に持って操作すれば鬼の居る方向も調べる事が出来る。ただし調べる方法が、鬼の居る方にレーダー装置を向けるとノイズが発生する、という分かりにくい方法であり、感知範囲も広く、悠長に調べていたらすぐ近くまで接近されたという事になりかね無いので使いどころは非常に難しい。
合計で4つの装置のハッキングを完了すると、全ての装置の中からレールガンが現れ、これで鬼を攻撃する事が可能になる。合計で4回当てる事が出来れば、鬼はダウンして11分間動けなくなり、逃走者の勝利である。その後鬼を仕返しにくすぐりマシンの餌食にしても良いし、直接くすぐっても良い。逆に何もしなくても良い。
ただし、レールガンはスタンガンと同じく単発式であり、一度撃ったら30秒のチャージが必要である。ただし、鬼に当てる事が出来れば5秒間動きを止める事が出来る。
「大体こんなもんなの。何か質問は?」
誰も何も言わなかったので、そのまま話が進む。
「因みに、今回はテストプレイだから、モニターで皆の事を別室で見ているの。みんなの動きとかを見て、調整していくの」
4人は受付カウンターの横にある扉から中に入る。部屋の中には鬼用と逃走者用の転送装置が置かれていた。
「誰が鬼やる?」
ミコが他3人に聞く。
「私がやるー」
ニナが真っ先に名乗り出る。誰も異を唱え無かったので、それで決定し、それぞれの転送装置の上に乗る。全員が装置の上に乗ると、4人は施設内のミニゲームマップへランダムに転送され、ゲームが開始される。
「周りに人は……いないわね」
ユカは転送が終わり、ゲームが始まると周囲を見渡して誰も居ない事を確認する。何時もの忍者服の、スカートの様になっている部分のポケットの中に入っているレーダー装置は振動していないので、鬼もといニナも近くに居ない事が分かる。
マップは全体的に白い、建物の内部の様で如何にも研究所といった印象を受ける。
「取り敢えず、装置を探そう」
ユカはそう言って移動を開始する。
装置の見た目は、大きな機械で出来た箱。それが通路や小部屋の中に置かれているので分かりやすい筈とネアは言っていた。
その頃のミコ。今日の服は黄緑色に黄色の花柄のワンピース。茶色のロングブーツに茶色のキャスケットをかぶっている。
「これが、装置かな?思ったよりおっきい」
ミコの開始地点は、8畳程の広さの小部屋。そして運よくすぐ傍に装置が置かれており、すぐに発見する事が出来た。
「このパネルに手を翳せばいいのかな?」
箱は2メートルぐらいの大きさの正方形で、四方の一部が凹んでいる。凹んでいる部分に緑色に光るパネルがあり、ミコはそこに手を翳す。すると、パネルに進行状況を現すゲージが現れ、徐々にゲージが塗りつぶされ、ハッキングが進行している事を示している。
「おぉ、進んでる進んでる。……2分も掛かるのか」
ミコは2分もこのままでいるのは暇だなと苦笑いする。
だが、30秒ほどでポケットに入っているレーダー装置が震え始める。
「まじかぁ。何処に隠れよう……」
ミコは部屋を見渡す。部屋の出入り口は2つ。横倒しになっているオフィスデスクが1つ、その隣に同じ物が立った状態で1つ。
「隠れられるのはデスクぐらいかぁ。逃げた方が良いかなぁ」
だが、そうこうしている内に振動は強くなっていく。今から廊下に出て逃げれば見つかる可能性は高いだろう。
(むぅ、ここに隠れるしかないか……)
やむなくデスクの裏側に隠れるミコ。
隠れてから20秒ほど経つと、ガシャンという足音を鳴らしながら大きな人影が部屋に入ってくる。
(来たか)
足音は装置の方まで行くと、ミコが隠れているデスクの方へ近づいてくる。
(やっぱ無理があるかなー……。このまま見つからない事を祈って隠れ続けるか……いや、逃げよう)
流石に覗き込まれれば見つかるので、ミコは一か八か逃げる道を選ぶ。足音はミコが隠れるデスクのすぐ傍まで来た。
(よし、今!)
ミコはデスクの陰から一気に飛び出し、部屋の出口まで一気に走る。
「うわっ!いたっ!ミコちゃんか」
走りながらちらりと後ろを振り返り、ニナの姿を見る。
それは、パワースーツと言うより最早ロボットに近い物だった。人の形をした2メートルはあるソレは、首と頭が無く、代わりにそこからニナの体と頭が見える。
「パワースーツって、そんな感じなの?」
ミコは思わず口に出して言う。
「私も同じことを思ったよ!」
ニナはミコが飛び出して来て驚いたものの、直ぐにミコの方を向き、走って追いかける。が、すぐに失速する。
「あぁ、成程。そうやって逃げればいいのか!」
小部屋の出入り口は2メートルよりちょっと低いぐらいの高さしかない。つまり、鬼は部屋を出入りする時にしゃがまなければいけない。当然、走ったまましゃがむ等という動きは出来ない。
「まてー!」
廊下に出るとガシャンガシャンと大きな足音を立てながらミコを追うニナ。
「はっや!」
ミコは鬼のスピードが思ったより早い事に驚く。大分距離を離したと思っていたが、ものの数秒で差は半分以上埋められていた。
「よーく狙ってぇ……」
ある程度まで差が縮まると、ニナは変わった形状の銃を取り出す。
「あれがスタンガンかぁ、思ってたのと大分形が違うなぁ」
よくある普通のスタンガンを予想していたミコだったが、ニナが取り出してミコに狙いを付けているそれは、一見すると未来のレーザー銃の様な姿をしていた。
「てぇっ!」
ニナの掛け声と共にスタンガンの引き金が引かれる。すると長方形の銃口から電光が一瞬走り、それは真っ直ぐ、ミコの背中に吸い込まれていった。
「いたぁっ!?」
ミコは背中に静電気が走った様な痛みを感じる。そして視界の端に3分のタイマーが表示される。
「食らっちゃったかぁ……あとどのくらい時間を稼げるかなぁ」
ミコは自分がこうして追われている間に一つくらいは装置のハッキングを完了させて欲しいと他の二人に祈る。
「うぇっ、結構リロード時間かかるなぁ。しかも結構足が遅くなる……」
ニナはリロードの長さに嫌な顔をしていた。銃の上部にある蓋を開け、中から電池の様な物を取り出し、それを捨てて新しいのを入れて蓋を閉じる。それはどんなに早くやっても4~5秒はかかり、更に足も逃走者より遅くなる。
リロードをしている間にミコは廊下の左側にあった小部屋の出入り口から中に入り、反対側の出口から出ようとしていた。
「待ちなさいよー」
ニナは急いで後を追う。3分経つと今撃って当てた一発がほぼ無駄になるので、なんとしてもここでミコを仕留めたいのだろう。
「待てと言われて待つかー!」
ミコはベタな返事を返す。
「ぐぬぅ、逃げるのが早い……」
ニナが小部屋を通過し終わった時には、ミコと大分離れていた。
「スライディングとか出来たらいいんだけどなぁ」
勿論そんな事は出来ない。バランスが崩れるから。
そのまま1分程追いかけっこを続け、ようやくミコとの差を射程圏内まで縮める。尚、ニナは開始してすぐ近くにあった装置を使ってスタンガンの射程を大体把握していた。射程はおおよそ10メートル。弾(電撃)はほぼ真っ直ぐに飛んで行く。
「くたばれぇー!」
ニナがミコに照準を合わせ、引き金を引く。
「ぎゃんっ!」
ニナが撃った電撃はミコに直撃し、ダウンさせる。
「よし、仕留めたっ!……えっと、転送装置はこれだっけ?だよね……?」
ニナはパワースーツの手元にスマホの様な装置を取り出して独り言を呟きながら確認する。そして装置をミコに向けて翳すと、ミコの体が光に包まれ、消える。
「おぉ、出来たっぽい?」
成功したと信じ、ニナは周囲を見渡す。
「でも、結構時間かかっちゃったなぁ……最悪、2つの装置がハッキング終わってるかなぁ」
ミコとの追いかけっこは2分程掛かってしまっている為、ユカとモモがそれぞれひとつづつ装置をハッキングしていた場合、半分の2つは終わっている計算になる。
ニナは気を取り直して残りの二人を探し始める。
一方、転送されたミコ。
「うぇ……椅子型かぁ……」
ミコは転送が終わると、機械で出来た椅子に座らされていた。ただ、背中等の拘束された人が触れる部分はソファーの様にフカフカで、ただ座るだけなら長時間座っても辛くないようにできている。
機械は早速の様に駆動音を鳴らす。ミコには見えないが、椅子の両側面の一部が開き、そこから計2本の、筆の様な指先のマジックハンドが姿を現す。
それらは素早く伸びて、ミコの目の前に見せつける様に動く。
「一々見せつけなくていいから、やるならさっさと……」
そんなミコの声が届いたのか、マジックハンドは早速とばかりにミコの首筋を優しく撫でる。
「んっ……!んふっ……、ふふっ……!」
流石に最初なのでかなり弱いようである。
「はやくっ……!たすっ、けっ……ふひっ……!」
ハッキングしてるであろう二人にそう念を送る。
その頃のユカ。
「捕まったか……。どうしよう……」
ユカはハッキングが終わった装置を背に移動を開始していた。手に握られているレーダー装置にはミコが捕まったという情報と、捕まっている部屋の方向が示されている。
「モモさんは……行かなそうだなぁ……」
もしこのまま自分かモモが捕まれば、負ける可能性が高くなる。だが、モモが救助に行くとは思えなかった。その上、ミコが捕まってから2~30秒経過している今、自分がフリーで動けている以上モモが追われている可能性がある。よって、一番確実なのは自分が救助に行く事。そう結論付け、ユカはミコが捕まっている部屋に向かって移動を開始する。
その頃のモモ。
「まだ追って来ているわね……。いい加減諦めなさいよ……」
モモは、ユカがやっていた装置とは別の装置をハッキングし、それが完了した僅か数秒後にニナに見つかった。
だが、ニナの出会い頭の一撃を回避し、リロードを利用して距離を離していた。
「追い付いたー!今度は避けないでよ!」
「当てられない方が悪いのよ」
ニナの言葉をバッサリ切り捨てるモモ。
「じゃあ今度は当てるから!」
ニナはそう言ってスタンガンを構える。
「目標をセンターに入れて撃つ!」
謎の掛け声と共に撃たれたスタンガンの電撃は真っ直ぐにモモの背中に吸い込まれ。
「っ!」
直撃する。
「よし、今度は当たった!……リロードしなきゃ」
「今のうちに、距離を離さなきゃ……」
モモはこの隙に全力で走る。速度は変わらないが。
その頃のユカ。
「これは……、救助も時間かかるのね」
「んっ……!ふひっ……!ゆか、ちーっ……!んふっ……!はやっ、くぅっ……!」
ミコが捕らわれている部屋に辿り着いたユカ。だが、問題は救助方法だった。
救助するには、部屋の隅にあった制御装置をハッキングする必要がある。流石にクリアに必要な方の装置程の時間はかからないが、それでも20秒はかかる。
「鬼……もといニナが来ない事を祈ろう……」
「くっ……ふふっ……ひっ……!はやくぅっ……!」
「今やってるから黙って」
「ひどぃっ!?」
そんなやり取りをしながら待つ事20秒。ミコの救助に成功する。
「さて、さっさと移動するわよ」
「まって……、休ませて……」
「なら置いて行くわ。捕まらない事を祈ってるね」
「おにぃっ!」
「逃走者よ」
そんな無駄なやり取りをしている間にレーダー装置に通知が来る。
「……まじかぁ」
通知にはモモが捕まったという事と、捕まっている場所が示されている。
「どーする?ゆかちー」
「そうね。流石に装置も弄らないとマズイから、みこが救助に向かってくれる?」
「私が鬼に見つかったら?」
「頑張って時間を稼いで」
そう言って二手に分かれる。その頃のモモ。
「参ったわね……」
十字の形をした機械にTの字に拘束されていた。この日のモモの服装は、下は膝まであり上は黒い長袖の上にグレーのジャンパースカート。黒い靴下に茶色いブーツだが何故か靴が脱がされ靴下のみになっている。因みに靴は足元にきちんと揃えて置いてある。
余談だが、モモのゲーム内通貨の半分以上は衣類に使われている。
機械は駆動音を鳴らし、側面に穴が空き、そこから羽を持ったマジックハンドが4つ出て来る。そして二つがスカートの中に潜り込み、太ももを優しく撫でる。もう二つは付け根の、硬い部分で足の裏を靴下越しにカリカリと刺激する。
「くぅっ……んっ……!んふふっ……!ふはっ……!」
マジックハンドが羽を動かす度に体を震わせ、拘束部分がガシャンと音を鳴らす。
「んっ……!ふふっ……!ふひっ……!」
そのままくすぐられる事30秒。部屋の扉が開く。
「鬼は、いないね。よし」
ミコは鬼が居ない事を確認すると部屋の中に入り、制御装置の方へ駆け寄る。
「お待たせー。今助けるよー」
「んふっ……!はっ……!やくっ……!ぁはっ……!」
「ぁー、解除に20秒くらいかかるから、頑張って耐えて」
「あはっ……!はっ……!くすぐったいっ……!」
「ももっちがくすぐられる所眺めるのは何か新鮮かも」
「あとっ、でっ……!なぐるっ……!はひっ……!」
それから20秒後。
「……本当に殴る事無くない?」
「自業自得と言うのよ」
「理不尽すぎる……」
頭をさすりながら部屋から出るミコと、それに続くモモ。
「多分鬼はゆかちー追ってると思うから、私達は手分けして装置を探してハッキングしようか」
そう言って別々の方向へ向かう二人。その頃のユカ。
「もう追い付いてきたの……」
ユカはミコと別れてから10秒程でニナ見つかっていた。そして今の今までずっと追いかけっこをしていた。
装置が振動し、隠れていたが見つかり、そこで一撃を食らってしまったが、それからは逃げ続け、2発は回避に成功している。だがニナは執拗にユカを追いかける。
「待ってよー!」
「待つかぁっ!」
二人の追いかけっこはその後も2分以上続く。
「今度こそ、当てるっ!」
ニナが5発目を構え、撃とうとした瞬間。ユカの持ってるレーダー装置が突然ビーッと大きな音を鳴らした。
「何っ!?いたぁっ!」
それに気を取られ、回避出来ずダウンするユカ。初弾を食らってから後10秒程で3分経過していた為、ギリギリのダウンだった。
「これは、ユカちゃんに時間をかけ過ぎたか……」
レーダー装置が発した音は、装置のハッキングが4つ完了し、装置からレールガンが解放された合図だった。
「取り敢えずユカちゃん送ってから考えよ」
そう言ってユカを転送させる。
「まだよ……まだ負けた訳では無い……」
ニナの言う通り、まだ負けが決定した訳では無い。ここからレールガンを4発食らう前に残り全員を転送してしまえばニナの勝ちである。
その頃のミコ。
「ゆかちー、丁度捕まっちゃったかぁ」
装置の中から出てきたレールガンを手にする。
「これがレールガンかぁ。結構大きい。……いや、私の身長が低いのか」
出てきたレールガンは全長70センチ程の大きさだった。全員身長が低めに作られているユカ達にとってはやや大きい。
「ももっちは……行きそうだけど、途中で見つかる可能性もあるからなぁ。私も行くか」
レールガンを担いでユカの方へ向かうミコ。変わって転送されたユカ。
「ベッド型の装置、そしてこれは……。流石ネアさんと言ったところかな」
ベッドを魔改造した様な装置の、ベッドの上に仰向けで寝転がされた、いつもの着物を改造したような忍者服のユカ。両手両足をベッドの、ユカから見て頭の上と足下より下の機械部分から出て伸びてきたマジックハンドに捕まれ押さえ付けられている。
「わざわざマジックハンドで押さえ付ける辺りこだわりを感じるわね」
冷静に評価を下すユカ。そんな事お構いなしに装置は動き出す。頭の上の方から新たなマジックハンドが伸び、ユカの脇の下よりもう少し下の、あばらの辺りを優しく掴み、小刻みに指先を震わせる。
「ふひぃっ!ふふっ……!ふはっ!いきなりっ、はひっ……!結構強くないっ……?」
女性の様な細い指が震える度に感じるくすぐったさに反射的に体を動かす。四肢は押さえ付けられているが、体は左右に動かす事が出来る。最も、マジックハンドは掴んでいる為抵抗にはならないが。
「んふっ……ふっ……!ふふっ……!んんっ……!」
(そう言えば、このまま二人がニナを倒したら私はどうなるんだろう……)
くすぐられていても冷静に(?)別の事を考える。
「ふふっ……!ふぅっ……!んっ……!ふはっ!」
ユカがネア特製マシンを堪能している時のモモ。
「いい加減、諦めなさいよ」
レールガンを前に抱えてニナから逃げるモモ。
ユカを助けに向かっている途中でニナと遭遇してしまった。
「そして貴女もいい加減どっか行きなさいよ!」
そして運の悪い事に、モモの逃げた方向からミコが現れ、二人並んで仲良く逃げている。実際には口喧嘩(モモが一方的に罵っている)しているが。
「じゃ、次曲がれる場所があったら左に曲がるよ」
「それでいいわ。右にしか曲がれなかったら私が曲がる」
「諦めて捕まって負けなさーい!」
そして走っている廊下の左側に小部屋の入り口が見える。
「よし、左にいくよ!」
ミコは宣言通り左に曲がる。
「で、私を追うのね。まぁ小部屋は出入りに時間かかるから当然か」
ニナはミコではなくモモを追う。
「くらぇっ!」
そしてミコの通った出入り口を通り過ぎると、ニナの背中に向かってミコがレールガンを発射する。
「いたぁっ!?」
そして一撃与える事に成功する。
「くっ、動けない隙に撃つのは卑怯でしょ……」
レールガンを食らうと5秒動けなくなる。その隙を狙ってモモも一発命中させる。これで後2発。
「これは、どっちを追うべきか……」
動けるようになった頃には二人共大分距離を離される。
少し悩んだ後、モモの逃げた方向へ向かう。
「これ2分過ぎるかなぁ」
ミコはレーダー装置が震えなくなった事から、自分ではなくモモの方を狙ったと信じ、ユカの方へ向かう。だが、今の騒動でそこそこ距離があいてしまい、時間もかかってしまったので2分は過ぎそうである。
「あとは、ももっちが時間を稼いで、あわよくば当ててくれる事を祈ろう」
ユカがいる方とは真逆の方向へ逃げてったモモにそう望みを託して走る。
それから少し時間が経ったユカ。
「ふふっ……、これ、はっ……。2分経ったか……」
足元の方の装置からマジックハンドが更に二つ現れ、2分が経過した事を知る。
(まだ誰も来ないって事は何かあったわね……。捕まって無ければいいけど……)
マジックハンドはユカの靴を脱がすと、両足に5本の指を立てて、ゆっくりと動き始める。
「んふっ!ふはっ……!ぁはっ!」
新たな刺激に一瞬体を跳ね上げるが、両足はガッシリ掴まれ押さえられている為殆ど動いていない。
「これはっ!はひっ……!ひぁっ……!っはは!」
(2分ごとに2本づつ増えていく感じ?だとしたら、後半は大分キツイわね)
布越しでゆっくりとはいえ、体を反射的に動かしてしまう程の刺激を与え続けられる。
「あはっ……!くっ……!ふふっ!はっ……!ひっ……!」
そしてようやく、部屋の扉を開けてミコが入ってくる。
「お待たせー……これは、2分経っちゃった?」
「そうっ、よっ……!はぁっ!っはは!」
「今解除するから、少し待っててねー」
制御装置をハッキングする事20秒。ユカはようやく解放される。
「はぁっ……、はぁっ……!それで、今の状況はっ……?」
「んとねー」
ミコはモモが追われている事、最低でもレールガンを二回当てた事を言う。
「という事は、モモさんがその後当てていなければ、後二回当てれば勝てるのね」
「うん。もうレールガンのチャージは終わってる筈だから、私もいつでも撃てるよ」
「私は、探さなきゃね……」
いざという時はミコがレールガンを撃ってユカを逃がせる。その為二人一緒にユカ用のレールガンを探す。
だが、装置は思ったより多く設置されていたようで、ものの10秒で見つけてしまった。
「これね……。結構大きい割には軽いのね」
筋力値は初期値まで下げられているが、それでも軽く感じる程に軽い。
「後は、ニナとモモさんが何処にいるかだけど……」
「走り回って探すしか無いんじゃない?」
「……そうね。それしかないか」
二人は、ミコが最後に確認したモモの方向に向かって一緒に走り出す。
その頃のモモ。
「大分逃げてるけど、ユカさんは救出できたかしら?」
モモは未だにニナと追いかけっこをしていた。流石に無傷とはいかず一発食らってしまっているが、リロードの隙を狙ってレールガンを一発当てている。
「まっずいなぁ、これはユカちゃん達に見つかる前にモモちゃんは倒さないと……」
ニナも流石にもう救出されているだろうと予想し、後一発食らえば負けなのでここで二人に見つかる前にモモを倒せなければ負けはほぼ確実だろうと思っている。
それから30秒ほど追いかけ続け、遂にモモとの差をスタンガンの射程圏内まで縮める。
「これは、外せないなぁ」
もしこれを外せば、間違いなくモモの反撃を食らい、負けが確定する。
「よく狙って、てぇっ!」
どこか間の抜けた掛け声と共に放たれた電流は、見事モモの背中に命中する。
「よし、まだ負けてない!」
そしてモモに近づき、転送装置を取り出した瞬間。
「なぁっ!?」
ニナの背中にレールガンの4発目が命中し、ダウンする。
「ギリギリ間にあったぁ!」
ニナの後方からユカとミコが駆けつける。
「モモさんが一発当ててくれたのね」
モモはニナがダウンした瞬間、ダウン状態が解除されたので起き上がった。
「これで、私達の勝ちね。さて……どうする?」
「ふふっ……!さぁ、存分に仕返しするといいわ!」
テストプレイなので、このまま終わるという選択肢もあるが、ニナはむしろくすぐって欲しそうな目でユカ達を見ている。
因みにパワースーツはレールガンの4発目が命中した瞬間に消滅した。因みにニナの本日の服装は白と紺のセーラー服で、何時もの黒いマントは外している。
「はぁ、5分だけよ」
ユカはやれやれといった感じで承諾する。
モモはそう決まるとニナの頭の方へ移動し、両手を掴んで万歳の姿勢に固定する。わざわざ押さえ付けなくても動けないが、ユカじゃないからあまり参加する気が無いらしい。
ミコは足の方へ移動すると、両足の靴を脱がし、右足だけ靴下も脱がし、それぞれの手で足の裏をくすぐる。
「んひっ!あはっ!いきなりっ、強いっ……!はひっ……!」
指の動きや速さはほぼ同じだが、靴下の有無が刺激の差を生み、それが刺激を強く感じさせる。
「あはっ!ははっ!あっはははは!はぁっ!はっ!はひっ!」
ユカはニナのお腹に跨り、両脇を服の上から両手でくすぐる。
「はぁっははははは!あはっ!はっ!ふぁっははははははは!」
服の上からでも十分なくすぐったさを与えられ、より一層反応がよくなる。
「あぁっはははははは!はぁっ!はぁっ!はぁっははははははははは!」
両足と両脇。定番の二か所を二人でくすぐられれば、服の有無にかかわらず大抵の人は耐えるのは不可能だろう。
「あははっ!はっ!あぁ~~っははははは!あはっ!はぁっ!」
尚、ニナはするのもされるのも好きだが、弱かったりする。
「はぁ~っはははははははは!ははっ!はぁっ!ふぁっははははははは!ぁはっ!」
5分間二人がかりでくすぐられ続けると、約束通り二人の手が止まる。
そして3人共レーダー装置に表示された終了のボタンを押すと、ニナも一緒に転送され、開始前の場所に戻ってくる。
「お帰りなの。どうだった?」
そこにネアが合流する。
「そうね。逃走者側が少し有利すぎる気がしたわ。もうちょっと厳しくても良いかも」
「レールガン食らった時の5秒スタンは長すぎる気がした~」
ユカとニナが感じた事を言う。
それから数十分間感想を言ったり、意見交換をして今日のテストプレイは終了する。
本編が後2~3話ぐらい無し回が続くので合間に番外編挟む事になりそう。
ツイッター初めました。
今までやった事無かったんですよね。
あまりにも投稿に間が空きそうな時はこれでお知らせすると思います。
むしろそれ以外呟かないと思う。