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番外編 ユカ1

久々の忍者屋敷。

 とある日の午後。ゲーム内にある酒場でユカと、その姉であるクーシャが、個室で談笑していた。

 ただし、ユカはクーシャが姉であると知らず、クーシャもユカが妹とは知らない。

 今日は、クーシャが作っている魔物図鑑の番外編的な感じで世界にある様々な施設やらアトラクションやらを纏めるという事で、忍者屋敷に一番詳しいユカに執筆を手伝って貰っているのである。


「それで、何から語ればいいの?」


 ユカがテーブルに並んでいる料理を食べながら聞く。


「そうね……。先ずはどんなトラップがあるのかしら?」


 トラップには基本的には状態異常にするタイプと、縄や触手等の手段で拘束するタイプ、マジックハンド等でトラップそのものがくすぐってくるタイプの3種類がある。


「トラップは、5割ぐらいは拘束タイプだったわ。4割は鈴が付いてて、掛かると音を鳴らしてくのいち達を呼び寄せるタイプ。残りの1割はくすぐってくるタイプ。」


 ユカは当時の記憶を思い出しながら答える。

 忍者屋敷に通っていたのは半年以上前の事だが、失敗含め100回以上挑戦したため、今でも詳細に思い出す事が出来る。

 因みに音を出すタイプは忍者屋敷でしか確認されていない。


「成程……。そう言えば、私行った事無いんだけど、結局どういう感じなの?あそこ」


 ユカは少し呆れ顔をする。


「そっちから説明した方が良かったわね……」


「面目ない、それで?」


 クーシャは少しだけ悪びれた仕草をする。


「まず、入り口にある受付で参加すると、中に入ってゲームが始まるわ」


「ふむふむ」


「3階の奥にあるゴール部屋に辿り着けばクリアよ」


「なるほど」


 ユカが説明し、クーシャが手帳に書き込んでいく。


「合計3人のくのいちが徘徊してるわ。見つかったら追いかけて来る。捕まったらゲームオーバーよ」


「聞くだけでも、結構難易度高そうねぇ……。階段に張り付かれたらクリア出来なさそうだけど?」


「それは大丈夫。階段は4ヵ所あるから」


「ふむふむ。それで?内装とかどうなっているの?」


「中は和風よ。木造の廊下に木の引き戸と襖が並んで、襖を開けると畳の和室が広がっているわ。部屋一つ一つはそんなに大きくない」


「その部屋にトラップがそこかしこに仕掛けられていると?」


「いや、トラップはそんなに多くないわ。どちらかと言うと厄介なのはくのいち達の方……。あの子達、天井裏とか床下を移動する子もいるから、すぐ近くまで接近されてても分からないのよ……」


 ユカは何かを思い出したのか、苦笑いを浮かべる。


「結構難しそうねぇ。それで、クリアしたら何が貰えるの?」


 クーシャが一番重要なところに触れる。報酬がショボければ遊ぶ人は全くいなくなる。


「報酬は選択式よ。普通にお金を貰って帰る事も出来るけど……」


「けど?」


「くのいち達をくすぐったり、くすぐられたりするわ」


 やはりこのゲームである。


「わざわざクリアしてまでくすぐられるを選択する人っているの……?」


 捕まればクリアしなくても散々くすぐられる事になる。真っ当な疑問である。


「いるわよ。複数からくすぐられたりされるのはクリア報酬だけだから」


「あぁ、なるほど」


 人によってはお金よりも重要な要素である。

 そのままユカとクーシャの会話は弾んでいく。



 以下回想。

 ユカがゲームを始めたばかりの、忍者屋敷に籠っていた頃。

 ユカは足音を立てない様にゆっくりと移動しつつ、トラップが無いか足元を注視しながら前へ進む。


「む……?」


 ユカは廊下の先に、揺れる明かりを見つける。

 3人のくのいち達はそれぞれ個性の様なモノがある。

 一番小さな牡丹は、足が一番遅い代わりに天井裏や床下を移動する、隠密性の高いステルスキャラ。

 最年長の菖蒲は一番足が速く、見つかったら逃げるのが難しい為、ハンデとして提灯を持って移動している。

 茶色のショートカットが特徴的な菫は、牡丹ほど足は遅くも無いが菖蒲ほど早くもない。だが、新たにトラップを設置したりするため、以前ここは何も仕掛けられていなかったから大丈夫だろう、という事が無くなる。つまり一度通った道でもトラップに警戒しなければならなくなるのである。


「あれは、あの子か」


 ユカは明かりを持っている事から菖蒲だと判断し、すぐ傍の部屋の中に入る。部屋の端の方に箪笥の様な物があったので、その裏に隠れ、菖蒲が通り過ぎるのを待つ。


(徘徊してるのが女の子じゃ無かったらホラーゲームね。……女の子でもホラーか)


 待っている間、暇なユカは関係ない事を考える。


(まだ碌なアイテムが無いから強気に進めないわね……)


 予め持っていたアイテムは使えないが、マップにランダムに置かれている様々なアイテムは拾って使う事が出来る。

 待つ事暫く、襖の先を提灯の明かりが通過し、念の為少し待ってから襖から顔を出し、十分に離れた事を確認してから廊下へ出て先へと進む。

 少し進み、襖を空けて部屋を覗くと、奥にアイテムが見えたので取りに行く。


「これは、癇癪玉か。使えるわね」


 手のひらサイズの丸い物体は、大きな音を出す癇癪玉である。これを使う事によって、くのいち達をある程度誘導する事が可能になる。


「逃走用のアイテムが何一つ見つからないわね……」


 襖や戸があれば、開けて中を見てアイテムが無いか確認しているが、見つかったのは癇癪玉一個だけである。

 因みに逃走用のアイテムとは、文字通り見つかった時に逃げやすくなるアイテムである。煙玉や閃光玉等がある。


「ここも……無い」


 次の部屋もハズレ。次に進もうとすると、チリンと鈴の音が微かに響く。


「ぁ、しまった」


 ユカは急いでその場から離れる。今のは菫が仕掛けたトラップである。鈴の音を聞いて、近くにいるくのいちが集まってくる。


「ここの部屋、袋小路かぁ……」


 ユカが逃げ込んだ部屋は、行き止まりの袋小路であった。


「忍者屋敷なんだし、どっかに隠し通路とかないかな……?」


 ユカは部屋を軽く見渡し、壁に掛けられた大きな掛け軸を見つける。


「この掛け軸とかあからさまで怪しいよね。ちらっ」


 掛け軸を捲り上げるユカ。そこには人が一人通れるくらいの通路があった。


「……本当にあった。行ってみよう」


 ユカはその通路に入っていく。


「真っ暗でよく見えないわね……。どこに出るのかしら」


 少し進むと、突然床が開いて無くなる。


「はへっ!?落とし穴!?」


 ユカに抵抗する術は無く、重力に従って落ちていく。

 ある程度落ちると、小部屋程度の空間に、仕掛けられていた蜘蛛の巣の様な物の真上から落下し、引っ掛かる。


「うん……。動けない……」


 その部屋に唯一ある扉から、黒のセミロングの見習い少女、桜色の着物を魔改造したような忍者服に身を包んだ、忍者屋敷の受付の桜が現れる。


「トラップに引っ掛かった知らせがあったから来てみたら、貴女でしたか」


 桜はユカを見つけると、笑みを浮かべて近づいてくる。見習いの為受付役をしている彼女だが、専用トラップにかかると3人の代わりにくすぐりに来るのである。


「ふふっ……。それじゃ、触っていきますね」


 桜はベタつく蜘蛛の巣を普通の地面の様に移動し、あっという間にユカの元まで辿り着くと、ユカの体を服の上から触っていく。

 この頃のユカはお金が無い事もあり、バリバリの初期服である。白い半そでのシャツに、茶色のチェックのミニスカート。黒の靴にハイソックスという服装である。


「んっ……!ふふっ……!」


 服の上から脇腹の辺りをまさぐられ、僅かに笑い声が漏れる。


「優しくされるのは好き?それとも、激しい方がいいかな?」


「んふふっ!ふはっ!揉むのはだめっ!」


 桜がユカの脇腹を掴み、揉むように手を動かす。するとユカの反応が良くなる。


「脇腹、弱いんだ。ふふっ!それじゃ、こっちはどうかな?」


「ふひゃはっ!脇もだめっ!っはははははは!あはっ!くすぐったいっ!」


 桜の手が脇腹を離れると、そのまま脇に這わされる。服の上からではあるが、くすぐったいを強く感じる部位である。ユカはより一層笑い声を上げる。


「……楽しい」


 普段受付で暇している反動か、気付けば桜は夢中でユカの体をくすぐっている。


「脇も弱いの?じゃあもっとしてあげるね」


「あははっ!あはっ!やっ!っははははははははは!」


 蜘蛛の巣に捕らわれているユカは一切身動きが取れず、唯一動かせる首が左右に激しく振られる。


「こう、指先でなぞられるのと、爪でカリカリってされるの、どっちがいい?両方?」


「んっふふふふ!くすぐっ!っははははは!あはっ!あっはははははは!」


 その様子は、さながら蜘蛛に弄ばれる蝶のようである。


「そろそろ、こっちもしてあげないとね」


 桜はそう言ってユカの靴を脱がし、その辺に投げ捨てる。


「靴下越し……けど、ここは結構キクでしょ?……ここもだったわ」


 そう言ってユカの右足を右手で、左足を左手でくすぐり始める。


「んひっ!ひぁっ……!っふふふふ!だめっ!」


 指が足に触れ、動かされると体を一瞬跳ね上げ、口から笑い声を零す。


「両方の土踏まずを、右は爪でカリカリって、左は指の腹で優しくなぞってあげる」


「ふひゃっ!ふふっ!ははっ!あはっ!あっははははは!」


 ユカは左右の足から襲ってくる違う刺激に、口から溢れ出る声を抑える事が出来ない。


「もうちょっとで時間かぁ……。じゃあ最後に、靴下も捨てちゃうね」


 桜はそう言うとユカの靴下を脱がして投げ捨てる。


「ほら、直接素肌を触られる感覚はどう?」


 桜が嗜虐的な笑みを浮かべてユカに問いかける。


「あはっ!はっ!ははっ!あっはははははは!やっ!っはははは!」


 ユカが笑い声で答える。


「ラストスパートー」


 最後という事もあり、桜が指と手を全力で動かし、ユカの足の裏を縦横無尽に動き回る。


「んぁっはははは!あははっ!はっ!やぁっはははは!あっははははは!」


 そして時間が過ぎ、ユカは解放されるが、すぐには動けず、大きく呼吸をして息を整える。


「はぁっ……はぁ……。今日はっ……まだ出来るわね……」


 時間を確認し、まだ挑戦する時間がある事を確認すると、落ち着いたら再チャレンジしようと決める。

 そうして復活したユカがチャレンジした次のゲームでは、アイテム運に恵まれ、史上2回目のクリアを達成する。


「さて、報酬はどうしようかな……」


 最初にクリアした時、報酬に何があるかは確認していたユカ。ただ、殆どお金を持っていなかったので、これからも籠れるよう賞金を選択していた。


「されるのも良いけど、してみるのも良いわね……」


 悩む事数分。

 報酬を選択したユカは、専用部屋にワープされる。部屋の中央には、両手を天井から吊るされたロープで縛られ、万歳の姿勢で宙吊りにされている桜の姿があった。


「あのー……どうして私を?」


 桜が、さっきとは打って変わって少し怯えるような目でユカを見る。


「仕返し。分ってるクセに」


 対してユカは満面の笑みで言い放つ。

 報酬では、拘束具から拘束の種類、使用する道具まで事細かに設定する事が出来る。ユカは仕返しの意を込めて桜を選択し、縄で宙吊り、道具も幾つか選択して開始した。時間は10分である。


「さて、じゃあまずは靴と靴下を脱がして……」


「いきなり足からっ!?」


 少し嫌がっている桜を無視して、ユカは靴と靴下を脱がし始める。因みに足は特に拘束されていないが、殆ど抵抗しない。


「ちょっと気になる物があったから……。これを使ってみようかなって」


 ユカが部屋の隅から引っ張ってきたのは、直径1m程の丸形水槽。中には小さな魚が沢山泳いでいる。


「それは……」


 桜はそれを見て、少し顔を引き攣らせる。ソレが何なのかが分かっているからである。


「じゃあ、この中に足を入れるわね」


 ユカは問答無用で桜の両足を持ち上げて、桜の真下まで移動させた水槽の中に入れる。すると、中で泳いでいた小魚達が我先にと両の素足に群がってくる。


「ふひゃぃっ!ぃやぁっはははははははは!こそばっぃぁっははははははははは!」


 少しも我慢できず、声を上げて笑う桜。水槽の中にいる魚はドクターフィッシュと呼ばれる種で、このゲームの中ではくすぐったさを与えるのに特化した進化を遂げている。


「凄い声……。これそんなにくすぐったいんだ……」


 ユカはその後何もせず、足を大量の魚に啄まれて笑い悶える桜を眺めている。


「あっはははははははは!だしってっ!ぇっへへへへへへへ!ぁっはははははは!」


 桜は身を捩り、両足をバタバタさせるが、それ用に進化した小魚は怯みもせず啄み続ける。


「足でこんなに声を上げるなら、全身入れたらどうなるんだろう……」


 ユカが興味本位で呟く。因みに忍者屋敷に人が入れるだけの水槽は無い。大きすぎるし重すぎるから。


「やっ!ぁっはははははははは!あはっ!はぁっ!はっはははははは!」


「そろそろ3分か……なら、これはもう終いにして」


 ユカがそう言って桜の両足を水槽から出す。


「あはっ……!はっ……!はぁっ……!」


 暴力的なくすぐったさから解放され、大きく呼吸を繰り返す桜。ユカは水槽を端の方へどかしている。


「はぁっ……、満足……しました……?」


「え?」


 そう言って振り返ったユカの両手には羽帚が握られていた。


「まだ7分もあるわよ。まだまだこれから」


 ユカは桜の後ろに回り込み、袖に羽帚を突っ込んで、先っぽで脇を優しく撫でまわす。


「んふふふふっ!やっ……!ぁはっ!」


 先程よりは弱い刺激に、桜は少し身を捩るが大笑いはしない。


「この服、くすぐりにくいわねぇ……生地は厚いし、脱がせ辛いし……」


 そう言って羽箒を袖から出すと、次は片手で内ももを掃くように羽箒を動かす。沢山の羽が肌を撫でる感覚に、反射的に閉じようとするが、ユカのもう片方の手で阻まれる。


「ふひゃっ!そこっ、だめっ!……ふふふ!んっふふふ!」


「この服、可愛いわね……。絶妙に露出が多いのもまた……」


 裾の丈は太ももの半分ぐらいの位置までしか無く、胸元も少し開いていて、谷間が見える。

 ユカは一度手を止め、もう片方の手も羽箒を持ち直すと、両方の羽箒を裾から中へ突っ込んで、手を小刻みに動かし、腕をゆっくり、大きく移動させる。


「んひゃっ!はっ!やっ!~~~っ!ぁはっ!あっはははははは!」


 羽箒が桜の脇腹やお腹を撫で、小刻みに震える感触が刺激を倍増させる。

 因みに羽箒の羽は、ソレ用に特化したハーピーの羽なので、凄く肌触りが良くくすぐったい。


「後3分切ってるから、頑張んなさいー」


 ユカが適当な言葉を投げかけつつ、手は一切緩めない。


「あはっ!あぁっはははははは!むりっ!ぃやぁっははははは!」


「上下にも動かしてみましょうか。どう?」


 ユカは動きにも変化をつける。


「あぁ~~~~っ!っはははははは!だめっ!あはっ!こそばゆいっ!」


「この羽、そんなに良いんだ……」


 ユカは想像以上の反応に、羽帚を今度購入しようかなと考える。


「あっはははははは!あはっ!やっ!やぁっはははははは!はやっ!っくぅっふふふふふ!」


 仕返しという名目で存分に楽しんだところで、時間切れとなる。


「ん、もう終わりか。する側に回ると結構早いのねぇ、10分」


 時間切れでワープして消えた桜の居た場所を見つめて呟く。


「今日は……もう寝ないと不味いわね。次はまた明日……」


 ユカはいい気分でログアウトした。

する側の子のセリフ書くの久々な気がする。

今まであまり書かなかったのは何書けば良いのか分からなくて苦手だからです。


ネタが浮かんでこないので多分次大分遅れます……

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