49話
4人がそれぞれ自由時間を満喫した翌日。4人は北方の遺跡へと向かっていた。
「流石にフィールド上では敵は居なくなって来たわねぇ」
遺跡迄の道中、移動しながら襲ってくる敵を倒しながらユカが呟く。
「遺跡って、どんな敵が出てくるの?」
移動しながらミコが聞く。
「確か……。ゴーレム系が多かった筈。後は虫系とか居たかな……」
「私もあんまり覚えて無いのよねぇ。大分偏っていたのは覚えてるけど」
ユカとニナがそう答える。
雑談を交わしている内に4人は目的の遺跡まで辿り着く。
「着いたわね」
「ニナはココのボスのドロップ品が欲しいんだよね?」
「そうそう、銀の色素が欲しいのよ」
遺跡の最奥にいるボスのドロップ品がニナの今回の目的でもある。
「遺跡のボスは……ドラゴン系だったっけ?」
「確か、そうだった筈。ここは短いから、まぁ今日中に行けるでしょう」
遺跡は他のダンジョンと比べて、かなり短い。
その為、出て来る敵の強さも入り口と奥で大して変わらない。適正レベルも60前後なのでユカ達でも十分狩れる。
「ここでモモさんの職業レベルをある程度上げれば、いつも通りのレベル上げに戻りましょうか」
そうして4人は遺跡の中へと入っていく。
黄土色の石で作られた遺跡は、唯一の入り口から入ってすぐ階段があり、地下に入り組んだ迷宮が広がっている。
とはいえそこまで広くは無く、地図も出回っている今では2~3時間程度で最奥まで到達できる。
「如何にも遺跡って感じねぇ」
地図に従って少し進むと、小部屋に辿り着く。そして部屋には、茶色の石で作られた8本の腕を持つ人型の魔物、『ゴーレム』が4体待ち構えていた。
「ゴーレム系の基本、ゴーレムね。斬撃系の攻撃に強くて、火属性にも高い耐性を持ってるわ」
「だから私はゴーレムそんなに好きじゃ無いのよねぇ……」
ユカが解説し、ニナがうんざりした表情をする。
鎌による斬撃と、蒼い炎を主な攻撃にするニナにとって、どちらに対しても高い耐性をもつゴーレムは相性が悪い。
因みに弱点は水属性と打撃である。
「じゃあ、私とゆかちーが主力になるのかな」
ミコは植物を用いた打撃攻撃も可能。あまり強くは無いが。
「そうね、私が突っ込んで忍術を放つから、みこは追撃を」
そう言ってユカは縮地で一気に距離を詰める。
【忍術:水遁・泡撃】
そして忍術を発動し、巨大な泡が弾けると大量の水がゴーレム達を襲う。
「それっ!」
ミコはそれに合わせて銃を使い、巨大な蔓を生み出す。そしてゴーレム達を横に薙ぎ払う。
「まぁ、この程度なら余裕よね」
ユカが部屋の端まで吹っ飛ばされたゴーレム達が崩れ落ちるのを確認して呟く。
「それじゃ、次行ってみようか」
ユカ達は攻略を再開し、次の小部屋に居たゴーレムも同様の方法で撃破する。
その次の小部屋でも同様の方法で倒そうとする。
「あれっ?」
だが、一体がギリギリ生き残ってしまい、ミコに急接近し、8本ある腕で捕らえる。
「ちょ、離してっ!」
腕、脇腹、太もも、足首を掴まれたミコ。だがゴーレムは掴むだけでそれ以上動いたりしない。そもそもゴーレムは体が石で出来てるため、指を動かす等といった細かい動きが出来ないのである。
「力が強い……、ふひゃぁっ!」
なので、ゴーレムは体を震わせて振動する事が出来る。
「あはっ!ちょっ、ふひっ!やめっ!へぁっははははは!震えないでっ!やぁっははははは!」
ユカ達はゴーレムってこんな風に攻撃してくるんだと眺めている。
ミコにくっついているゴーレムだけを攻撃するのは結構難しいという理由もあるが。
「ふぁっはははははははは!はひっ!はっ!いやぁっはははははははははは!」
早く助けろと目で訴えて来るのが鬱陶しかったか、ユカはゴーレムだけに上手く狙いを定めて【忍術:水遁】を放ち、瀕死のゴーレムを倒す。
「はぁっ……はひっ……!」
ミコの回復を終えると、攻略を再開する。
次の小部屋では新たな敵が現れる。見た目はゴーレムにそっくりだが、腕が二の腕の辺りまでしか無く、代わりに漆黒の触手が生えており、胴体にも所々崩れている部分があり、そこから漆黒のナニカが見える。そんな異形の敵の名前は『ダークゴーレム』。それが5体現れる。
「ダークゴーレムね。ゴーレムをベースに魔改造しようとして失敗して生まれたみたいな設定だった気がする」
ニナが魔物の情報を説明する。
「5体かぁ。めんどくさそう」
ミコがそんな事を呟く。すると、5体の内2体が早速の様にユカ達に向かってくる。
モモとミコはそれを見て速攻で後ろに下がる。ニナは敵の勢いを止められれば良いなと思い蒼い炎を浴びせる。が、ダークゴーレムはそれを無いかの如く無視して突っ込み、未だに前に居るニナとユカに向かって触手を伸ばす。
「おっと」
ユカはこれを躱し、そのまま縮地でダークゴーレムへ急接近し、忍術を叩き込む。
「ちょっとぐらいは怯んでよ……」
一方、ニナの視界からは炎の中から突然触手が出てきたので回避が間に合わず、両手に触手が絡み付いてくる。そしてそのまま両腕に蔓のように巻き付いて触手の先端が脇に到達する。
「行動が早い……、ひゃんっ!」
触手は先端でニナの脇をなぞるように這い回る。
「ふひっ……!やぁっ……!ふふふふっ!」
身を捩って刺激を堪能していると、更に二本の触手がニナの袖から侵入し、お腹の方へ向かう。
「ひゃははっ!そこはっ……!っはははは!」
触手の一本はニナのお腹を不規則に動き回り、もう一本はへそとその周りを先端でなぞる。
「んふふふふっ!中々……!ひゃはっ!やぁっはははははは!」
尚、ユカ達は今の内にといった感じで残りの3体と対峙している。
「ふひひひっ!あぁっははははははは!はぁっ!んふふふ!ふふっ!」
更に二本の触手がニナに近づき、足を目指す。
「んひひっ!やっ!あはっ!あっはははははは!」
触手はニナの太ももに巻き付くと、そのままブーツの中へと入っていく。
「ひぁっははははは!はやくっ!っはははははは!やぁっははははははは!」
そして右足は土踏まずを、左足は指の付け根や隙間を、それぞれ触手の先端でくすぐる。
「はぁひゃっ!ひゃぁっはははははは!はひっ!んふぅっ!んっ~~~~~!っはははははは!」
ニナはこれで両足も拘束され、完全に宙に浮いた状態になる。
「やぁっははははははは!あはっ!はっ!はひっ!ひぁっははははは!」
そして残った二本はニナの耳をなぞり始める。
「ひゃぁっ!やっ!耳はぁっ!んっふふふふふ!ひひっ!ははっ!ぁっはははははは!」
そこまでしてようやくユカ達が残りの3体を倒し終わり、ニナをくすぐっていた最後の一体を倒す。
「はぁっ……ぁはっ……!」
ニナは床に寝そべり、大きく呼吸をする。
「触手も良いけど、私は美少女にくすぐられる方が良いなぁ」
回復しきったニナの開口一番のセリフがこれである。
ユカ達は黙っていればかなりの美少女なんだけどなぁと思ったが口にする事は無かった。
その後4人は大したトラブルも無く、ボスの部屋に辿り着く。
触手を考えた人は天才。
毎度登場させるモンスターやらNPCやらを考える時間が一番長い……。