番外編 バレンタイン
去年はスルーしたけど今年はちゃんと……
時は少し遡り数ヶ月前、2月14日の朝。登校する為準備をする優香。制服に着替え、鞄を持ち、鍵を閉めて寮を出る。それを待っていた様に美琴とエントランスで出会う。
「おはよー、ゆかちー。」
「おはよう、みこ。相変わらず早起きね。別に先に行っても良いのに」
美琴は朝に強い。なのでほぼ毎日、美琴は先に準備を済ませて優香を待っている。
「別に遅刻する訳じゃ無いしねー。どころか割と余裕で着くし」
二人は並んで学校に向かう。学生寮は学校からそんなに遠くは無い。徒歩5分程である。歩いて向かう途中、何時もの様に二人の元へツーサイドアップの黒髪を揺らしながら走る少女が合流する。
「おはよう、優香さん。ついでに美琴」
「おはよう、香織さん」
「おはよー!ついで扱いされた事について文句が」
「些末な事よ」
百瀬香織が合流し、3人になって学校へ向かう。
「あぁ、そうだ。優香さん。これ、バレンタインのチョコレート。手作りの自信作よ」
そう言って香織が優香にハートの形にピンク色の丁寧なラッピングが施されたチョコを渡す。
「ありがとう。帰ったら頂くね。はい、これ。お返し。既製品で悪いんだけど……」
「既製品かどうかは関係ないわ。貰えるか否かが重要なのよ」
今までに見た事のないようなドヤ顔で香織が胸を張って言い切る。
「私のはー?」
「あるわよ。一応友達だし。はい」
そう言って香織は白い箱を渡す。
「ありがとー……。これ、失敗作では?」
「気のせいよ。貰えるか否かが重要なんだから」
「はい、私もみこに」
「ありがとゆかちー。はい、私も二人にー」
3人のチョコレート交換が終わり、バッグにしまう。
学校へ到着し、つつがなく授業が終わる。帰りのHRが終わり、帰宅し、3人ともゲームを起動させてログインする。
ゲーム内も14日限定バレンタインムードで、NPC商店でチョコが大量に売られていたりしている。
「これとこれと……後これと……これは自分用……限定チョコパフェ……これは食べなきゃ……」
ユカはNPC達やギルドメンバーに配る用のチョコレートを買い漁り、ついでにバレンタイン限定のパフェも食べる。ミコ、モモ、ニナも大体同じ事をしている。
ギルドメンバー達も平日なので、まだ大半が不在だが、イリーナだけログインしていた。そして街の教会からバレンタイン限定マップへと移動する。
「ここが限定マップ……。凄く甘い匂いが充満してるなぁ……」
うっすらと桃色の霧が立ち込め、常に甘い匂いがする、白い建物が建ち並ぶ住宅街。そこに出現する敵は一種類だけではあるが、運営曰くかなりの自信作らしい。
ここに出現するのは『フーリー(バレンタインモード)』
金髪の髪に純白の肌を持った天使で、服装は本来純白のローブで統一しているが、今回はバレンタイン限定で桃色のニットの上着に白のコート、膝より少し上らへんの長さの茶色いスカートに黒のオーバーニーという服装である。それぞれの家に異なる容姿のフーリーが待機している為、好みの子とくすぐりを楽しめるという新設設計である。
イリーナは数十分悩んだ末、髪を肩より少し上くらいで切り揃えた、自分と同じくらいの身長の子を選ぶ。因みにインスタンスダンジョンという、個人専用の特別マップなので他の誰かが来る心配は無く、更にHPが自動回復する特殊仕様でHPが0になる心配もない。心ゆくまで楽しむ事が出来るようになっている。
「私ですか……?ありがとうございます」
フーリーは嬉しそうに微笑む。
「まずはライトに……」
イリーナは早速の様にフーリーのお腹や脇腹を触り始める。
「んぅっ……ふふっ……!くすぐったい……はぅっ……」
フーリーは嫌がる事無く受け入れる。
「んふふっ……!やぁっ……!ふっ……ははっ……!」
ここでイリーナはアイテムボックスから先端がモフモフの、埃を取るモップを取り出し、フーリーの上着を捲ってこれでお腹を撫でる。
「んふっ!ひゅっ……!ふふふふっ!やぁっ……!それっ、くすぐったい……」
体を捩ったりするが、拘束されていないのに逃げたり抵抗しない辺り、本気では嫌がっていないらしい。
「やははっ!んふふっ!ふふっ!ははっ!……~~~っ!」
モップを太ももの間に移動させ小刻みに動かし、両内ももを刺激する。
「ひゃふっ!ふっ!っはははは!やぁっ……!そこっ、だめっ……!ん~~~っふふふふふ!」
空いた片手は筆を取り出し、フーリーの左耳を優しくなぞる。
「んひゃぁっ!?やっ……!みみっ……はっ……!ふふふふっ!ぞわぞわするぅ……っ!っははははは!」
それでも一切抵抗しない。イリーナはモップの取っ手に付いていたスイッチを押す。するとブゥーンという駆動音を鳴らし、モップが振動する。
「ふはっ!っははははは!ふるえちゃ……っ!やぁっはははは!」
フーリーは誰かに尽くす事が好きな天使なので、いくらくすぐられようと一切抵抗しない。普通のダンジョンで敵として出て来る場合は別だが。
「やぁっ……!あははっ!んふっ……!っふふふふ!……はぁっ……はぁっ!」
イリーナは一旦手を止めて道具を仕舞うと、フーリーをそのまま近くのベッドに押し倒す。そのままお腹の上に馬乗りになって、太ももを抱え、足の裏を手でくすぐり始める。
「っ!っははははは!あしっ!よわぁっはははははっ!」
天使は基本浮いてるため、足が一番の弱点である事が多い。
「かりかり~、なでなで~、こちょこちょ~、さわさわ~」
「やっ!はははははっ!ふっ……!んんっ~~……!ひゃはっ!っはははは!はっ……!んふっ……!」
イリーナが指を自在に蠢かし、それに呼応する様にフーリーは笑い声を上げる。
「抵抗してもいいんだよ?」
「では……。んふっ!ふふっ!失礼して……」
イリーナが許可を出すと、フーリーは近くにあるイリーナの足の裏を両手で触り、指を動かし始める。
「んひゃっ!んふふふふっ!上手……っ!っはははははは!」
「ふふふっ!どうっ……?あはははっ!やっ!っはははははは!」
フーリーは段々とくすぐりを強めていく。
「んふふふふっはははははは!まけないっ……!やはははははっ!」
「やっははははは!ふふっ!あはっ!ひぁっははははは!私っ……!だって……!あははははっ!」
何時から勝負になったのか、片方が強くするともう片方も強くし……を繰り返し、どちらも段々とくすぐりが強くなっていく。
「あははははははははっ!はっ……!こうなったら……!はむっ!」
イリーナは負けてたまるかと、フーリーの右足の指を口に咥え、舌でペロペロと舐め始める。
「ふひゃぁっ!?卑怯ですぅっふふふふふ!あははっ!だったらぁっははははは!私っ……!だってぇっ……!はぷっ!」
そんなイリーナに負けじとフーリーも右足を手繰り寄せ、抱え、足の裏の中心付近、土踏まずにキスをするように口を付けて、そのまま舌を這わせる。
「ふにゅぅっ!っふふふふふふ!ふひゅぅっ!んっふふふふふふふふ!んふっ!んっ!」
「んふぅっ!ふっ!んんっ!んっ……!~~~~~~っ!んひゅぅっ!んっふふふふふ!ふふっ!んんっ!っふふふふふ!」
そんな二人の攻防は5分程続き、二人が同時に倒れて終了する。
この後、何らかのフラグを満たしたらしく、このフーリーがイリーナの自室に配置される事となった。
その頃のユカ達4人。ユカが喫茶店で限定チョコパフェを食べていると、ニナがやって来る。
「ユカちゃん、こんちゃー」
「こんにちは。はい、これ」
ユカはニナにチョコレートを渡す。
「ありがとー!大事に頂くねー。私もお返しー」
ニナはチョコレートをユカに渡す。
「ありがとう。これの後で頂くわ」
机の上にチョコレートを置き、パフェを食べ進める。
次にミコが店に入って来る。
「やほー、はい、になっちにはチョコレートをあげよう」
「ありがとー、私もお返しー」
二人もチョコレートを交換する。
「皆揃ってるわね。あぁ、私も一応、チョコレートよ」
「お礼にチョコレートを進呈しよう」
モモも合流し交換する。
そうして4人が合流するが、特に何をする訳でも無く、そのまま過ごす。
「そういえば、皆は本命チョコとか用意したの?」
ニナが爆弾を投下する。
「私はユカさんに本命を渡したわよ」
さも当然の様にモモが答える。
「やっぱあれ本命だったんだ……」
「ももっちはブレないねー……」
若干呆れてるミコ。ユカは反応に困っていた。
「私は、まだ本命は作って無いかな……」
「私も渡す相手が居ないからねー」
こうして少女4人のバレンタインは緩やかに流れ、終わりを迎える。
フーリーはウィキ●ディアでもR18用語が普通に出て来るので純粋な人は調べなくていいです。
他のメンバーの小話も書きたかったけど、間に合わなそうだったので断念しました。
ネタが思い付かなかった訳では無いです(