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41話

年が変わる度に時間の流れが早くなっていく……

 ミスリル採掘二日目。4人は何時もの時間に昨日ログアウトした休憩所にログインして集まる。


「このエリアを抜けた次のエリアにミスリル鉱石の鉱床があるわ。ここは適正50~60程度だから、油断しなければ大丈夫よ」


「油断しなければ、ねぇ」


 ニナがそう言ってミコを見る。

 ミコは咄嗟に視線を逸らす。


「準備が出来たなら出発するわよ」


 モモが催促し、準備を終え、4人は休憩所を出て出発する。

 薄暗い坑道を進む事暫く、銀色の体を持つスライムが5体現れる。


「メタルスライムね。特に経験値が多いとかは無いけど強敵よ」


 メタルスライム。

 通常のスライム種と違い鉱物を取り込む事によって固い粘液の体を手に入れたスライムである。拘束力が高く、物理に対して非常に強い。ただし、その分動きは遅くなっている。


「物理耐性かぁ……。私は無理かなぁ……」


 ミコが嫌な顔で首を振って無理をアピールする。


「ならせめて囮として……」


 ニナが何かを期待するような顔でミコを見つめる。ミコは速攻で首を振って否定する。


「というか今のミコって、くすぐりが効く相手じゃないとあんまり強くないよね……?」


 ユカがこれまでのミコの戦い方を思い出して指摘すると、ミコは言葉を詰まらせる。


「まぁ、確かにサポート寄りの能力よね」


 ニナがフォローを入れる。

 そんなやり取りをしている間に、メタルスライムがぐじゅぐじゅと音を立てて3体接近してくる。残りの二体は動かず様子を見ている。


「うわっ、音きしょっ!」


 ニナが慌てて蒼い炎を撃ち、距離を取る。

 メタルスライムが怯んだところにミコが銃を撃ち、ユカあんどニナとメタルスライムの間に1メートル程の木が生え、メタルスライムの進行を妨害する。


「私とニナの二人で魔法で攻めるわよ」


【忍術:火遁・業火】


 ユカが忍術を発動し、ミコが生やした木ごとメタルスライムを燃やす。


「ダメージは結構食らってるけど、3体とも健在ね」


 炎が収まってくると、そこからメタルスライムが進み出て来る。


「ゆかちー、残ってた2体が壁を上って横からこっちに来てるよ!」


 既に後方に下がってるミコから連絡が入る。スライム系は基本的に壁も移動が可能で、天井にぶら下がる事も出来る。


「流石に5体を二人で抑えるのはキツイわね」


「なら、あの3体をさっさと倒さないとっ!」


【忍術:火遁・業火】


【死神技法:滅魂の焔】


 二人が魔法を発動し、赤と蒼の炎が3体のメタルスライムを包み込み、撃破する。


「よし、つぎぃっ!?」


 二人が3体を倒すとほぼ同時に、迫っていた2体がユカとニナに飛び掛かる。


「かったぁ……!」


「全っ然動けない……!」


 二人は完全に体を包み込まれ、首しか出ていない状態になる。雰囲気から抵抗しようとしているのだろうが、金属の粘体は二人の体を全く動かせなくしている。

 ではこの状態でくすぐられればどうなるか。


「くひっ!」


「ひゃんっ!」


 一切動けない状態でのくすぐり。二人はそれが好みではあるが、普通の人なら拷問にも成りえるだろう。


「くひひひっ!やっ……!っははははははははは!」


「ひゃはっ!ひゃはははははははは!くすぐったいっ!」


 メタルスライムは通常のスライム種より固い。その為、服の中に粘体の体を活かして潜り込むという技が出来ない。


「くっくくく!ふはっはははははははは!~~~~~っ!っはははははははは!」


「あっはははははは!ひゃふふふふっ!っはははははははは!はひっ!」


 そして、固いが故に細かい動きが苦手で、くすぐり時も通常のスライムと違い、ぐりぐり、ぐにぐにと力強い責めが特徴的でもある。


「ふっ!ふふっ!ふぁっはははははははは!はひゃっ!はぁっはははははははははは!」


「これやばっ!っはははははははははは!だめぇっへへへへへへへへ!へぁっははははははははははははは!」


 二人がくすぐられている様を遠巻きに眺めるミコとモモ。


「これ、どうする?私の技じゃ救助は難しいし……」


「私も難しいわよ。そもそも聖術って攻撃技少ないのよ?」


 二人は見ている事しか出来なかった。


「ふひひひひっ!っはははははははははは!はひっ!ひっ!ふっ!ふはっ!はっははははははははは!」


「ひゃはははははははっ!あはっ!はっ!ひひひひひっ!ぁっははははははははははは!」


 そうしてHPが半分を切ったあたりでユカが動く。


「ふひひひひひっ!ひはっ!はっ!はぁっ!このっ!」


【忍法:縄抜け】


 ユカが縄抜けで拘束を逃れる。


「ひゃぁっははははははははははははは!はひゃっははははははははははは!ふふふっ!ふひひひひっ!くひゅぅっふふふふふ!」


 ニナは捕まったままである。


【忍術:雷遁:天雷】


 ユカは脱出した勢いそのまま、業火より更に火力の高い忍術でメタルスライムのHPを削り、残った僅かなHPを刀を突き刺して0にする。


「さて。ニナはどうしよう」


「あぁ~~~~っははははははははは!っは、っは、っははははははははは!やぁっはははははははははははははは!」


 その後、3人で協力して時間を掛けながら最後のメタルスライムをなるべくニナにダメージの無いように倒した。

 回復を終えると、先へ進む4人。メタルスライム以外に脅威と呼べるような魔物はおらず、難なく次のエリアへ到達する。


「ここが目的のエリアだね。で、何処にミスリル鉱石があるの?」


 ミコがユカの方を向いて聞く。


「このエリアの、ここね。少し下って、中ボスの居る小部屋を抜けた先よ」


「中ボス……。また蜘蛛だったりする?」


 黒氷石の採取に来た時も、採取ポイントの手前の中ボスはアラクネであった。その流れからここもかとミコが聞く。


「いえ、確か……、『小悪魔』だった筈よ」


 『小悪魔』

 見た目は幼い少女に蝙蝠のような羽と、先が三角になっている尻尾が生えた魔物娘である。豊富な魔力を使った魔法がメインではあるが、近接戦も弱くは無い強敵。悪魔系最下級種であるにも関わらず適正レベルが70とかなり高い。

 改めて情報を確認し終えると、採取ポイントに向けて進みだす4人。そして早速の様に新たな敵が建ち塞ぐ。


「こいつらは……。『ゲイザー』ね」


 球体の体に大きな一つ目、下からはクラゲのような細長い触手が何本も生え、獲物を求めて蠢いている。それらが6体現れる。


「うへぇ……。ちょっと気持ち悪いかも……」


 ミコは嫌な顔をする。


「やばいのは魔眼ね」


 魔眼。一部の魔物が行使する技で、目が合った者を攻撃したり耐性無視の状態異常にしたり等、強力な効果を持つ技である。回避方法は単純で、目を見なければいい。


「魔眼にさえ注意しておけば、少し魔力が大きいだけの雑魚よ。……捕まったら終わりだと思いなさい」


 ゲイザーの様な大量の触手を備えた魔物に捕まれば、ユカの様な特殊技能持ちではない限り脱出はほぼ不可能となる。


「触手に絡みつかれるってロマンあるよね」


 ニナが何か言っているが、返答する者は居なかった。そしてゲイザー達が動き始める。


「さ、アホな事言ってないで、戦うわよ!」


【忍術:風遁・旋風】


 小規模の竜巻がゲイザー達を襲い、距離を離す。


「よし、このまま押し切るよ!」


【豊穣:パワープラート】


 ミコが種を投げつけると、そのまま急成長して巨大な蔓となり、ゲイザー達を叩き潰すように振り回される。


「おー、このまま押し切れそうね」


 ニナがフラグめいた事を言った直後、前に立っていたニナとユカが突然倒れる。


【麻痺の魔眼】


 ゲイザーの方を見過ぎてしまい、魔眼によって麻痺になったのだ。

 だがユカとミコの攻撃によって4体は既に倒されており、残りは二体である。一体はミコに絡み付くが、一体は倒れたユカを無視してミコとモモに向かっていく。


「ちょっと、何でこっちに来るのよ……」


「多分、あのまま二匹ともくすぐったら私達にやられるって思ったんじゃない?」


 ゲイザーはふよふよと漂いながら確実に二人に近づいてくる。


「で?どうするのよ」


「残りHPは少ない筈だから、私達でも倒せるんじゃないかな?魔眼さえ気を付ければそうそう捕まらないし」


 と言った瞬間、対策を忘れていたモモがニナの隣で倒れる。ニナはちゃんと視線を外していた。


「フラグ回収早いなー……」


 ニナは後ろに退いて様子を見る。それとほぼ同時に、ミコの体をゲイザーの触手が触り始める。


「ふひゃぅっ……!んぅ……ふふっ……!」


 触手によってIの字のような態勢で固定されたミコ。まずは2本がお腹を服の上から撫で回す。


「んふふっ……!あはっ……!」


 一本、また一本とゲイザーは触手を増やしていく。


「になっち……!たすっ……けっ……てひっ!」


 ニナはどこか恍惚とした表情で見守っている。


「ひぁっ!っははははははは!むりっ!あははははははははははは!」


 6本を超え、遂に我慢が限界を迎える。


「やぁめっ!っははははははははは!たえれなっ!いっひひひひひひひひ!ひぁっはははははははは!」


 大小不揃いな触手は巧みにミコを追い詰める。


「あはっ!あははははっ!はっ、はっ、ひっ!ひぁっははははははは!あぁっ!っはははははははは!」


 大きい触手は服の上から強い刺激を与え。


「はぁっはははははは!あははははははははは!あっはははははは!はぁっ、はぁっ、はぁっははははははははは!」


 小さい触手は服の中に潜り込み、小刻みに動いて皮膚を刺激する。


「ひゃぁぁっははははははは!だめっ!あっははははははははははは!っははははははは!だめぇっへへへへへへへへ!へぁっはははははははははは!」


 くすぐってくる触手は増え続け、気付けば20を超えていた。


「あっはっはっは!あはっ!あぁっははははははははは!もうむりっ!ひぁっはははははははははは!になっち!あはははははははははははは!」


 ゲイザーの触手は毛が生えていたり、粘液が分泌されたり、震えたりしないただの触手だが、数の暴力は単純故の恐ろしさを持つ。


「ひゃぁっははははははははははははは!はやくぅっ!うひゃぁっははははははははははは!はひっ!ひはははははははっ!やぁっははははははははははは!」


 一方、モモは。

 仰向けに倒れ麻痺で動けないのを良い事に、上から覆いかぶさって、拘束もせずに触手全てを不規則に、縦横無尽に蠢かせる。


「ふにゅぅっ!んっふふふふふふふふ!やっ……めっ……ふひゅっ……!」


 ミコと違い、くすぐられてる部分は上半身のみだが、その上半身は余す所無く触手で埋め尽くされている。


「にゅふふふふふふふふっ!ふひゃっ!ひゃっふふふふふふふふふ!」


 ローブ越しの刺激とは言え、100に近い触手で埋め尽くされた刺激は並大抵のものではない。


「ひゃっははははははは!はっ!ふふふふふふふっ!やぁっははははは!」


 普段の彼女からは絶対に聞けないであろう声を漏らす。


「んふっ!んっふふふふふふふふ!ふぁっはははははははは!」


 麻痺で動けない事もあり、最早何も考えられずにいるモモ。


「んひゅぅっふふふふふふふふ!やめぇっ!やっ!ふはははははははははは!」


 ここでようやく戦況が動く。ユカの麻痺が解け、ミコをくすぐっているゲイザーへ縮地で一気に接近し、ミコにダメージを与えない様に目玉に刀を突き刺す。

 それに合わせてニナも魔法と物理の攻撃を入れ替え、モモに覆いかぶさっていたゲイザーを鎌で叩き切る。


「何でっ……早く……たすけっ……」


「触手にくすぐられる女の子って良いと思わない?」


 馬鹿らしくなったのか諦めたのか、それ以上は追及しなかった。

 その後は特に危ない事も無く、目的地に到着する。

因みに書く時に一番時間が掛かっているのは新キャラや敵の名前を考える時です。

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