36話
一ヶ月以上経ってしまった……
ここ一ヶ月、モンハンにドハマりしてました(正直)
団長と幹部達が新実装されたマップに挑んでいる頃のユカ達4人。
この日、ユカはモモに新しい聖術の習得を手伝って欲しいと言われ、それに同行していた。4人で行かなかった理由は、二人っきりじゃないと習得できないからである。
「二人っきりじゃないと習得できないなんて、変わった習得法ね?人数指定してくるのに相方は聖術師じゃなくてもいいんだ」
「ええ、北西にある霊峰の中腹ぐらいにある洞窟の中で儀式を行う必要があるのだけれど、この儀式が二人じゃないと出来ないのよ」
二人で準備を進める。北方の降雪地帯と西方の砂漠を隔てる霊峰。標高の高い場所は常に雪と氷に覆われており、更に砂漠に面している為、多様な魔物が出現する場所である。
一方、余ったニナとミコの二人も戦闘の準備をしていた。ニナが『アジトの地図』を手に入れた為、暇潰しに行こうというニナの提案にミコが賛同した為である。二人共アジトの適正レベルは大幅に超えている為、ピクニック気分である。
「道具類は必要最低限あればいいよね?」
「良いと思うよ、私もソフィナちゃん連れて行くし、戦力は問題ないと思う」
アイテムボックスを確認し、ニナがアイテムを取り出し、使用する。すると3人の体が光に包まれ、1秒程経つと、3人は洞窟を利用して作られた如何にも盗賊団のアジトと言った場所の入り口に転送される。
「あ、そうそう。敵が投げて来る瓶は大きく回避しないとダメだからね。中の薬品を浴びると毒と麻痺になるから」
ニナがミコに忠告する。
「りょーかい。……早速来たね」
3人が歩みだしてすぐ、前方からしたっぱが二人現れる。
「んー、したっぱは会おうと思えばいつでも会えるから、ささっと倒しちゃお」
【死神技法:影の触手】
ニナが片手を頭上に挙げると、その先に球体状の青白い炎が生まれる。その炎によってしたっぱ達の足元に生まれた影から、何本もの触手が伸び、四肢を絡めとり、自由を奪い、全身をくすぐり始める。
「なんじゃこりゃぁっ!?っはははははははは!」
「やめろっ!やめてぇっへへへへへへへへへへへ!」
激しい責めに1分と持たず、したっぱはその場に倒れ、3人は先へ進む。
アジトの中は侵入者を迷わす為か、迷路の様に複雑で、適当に進んでいた3人は5分ぐらいして迷った事に気付く。
「結構複雑な作りなのねぇ」
「ここ、どこよ?マップとか無いの?」
「毎回マップが変わるインスタンスダンジョンだからね。そんな物は無い」
更に適当に進んでいくと、広めの小部屋に辿り着く。その部屋は行き止まりで、奥の壁には手足の自由を奪う枷が幾つも取り付けられていた。その内の一つにザ村娘といった容姿の女の子が拘束されており、二人のしたっぱがくすぐっていた。
「いやぁっははははははははは!あはははははははは!」
「良い反応するねぇ」
「あんな人気の無い場所に一人で居たんだ。こうされたかったんだろ?」
「あははははははははっ!そんなことなっ!っはははははははは!」
女の子は目隠しをされ、服は脱がされていないがくすぐりやすいよう上着が捲られていた。
「へー、こういう事もあるのねぇ」
ただ敵が徘徊しているだけのダンジョンじゃないのかと認識を改めるミコ。
「ふむ、ソフィナちゃん。3人仲良くくすぐってあげて」
「はーいっ」
ニナがソフィナに指示を出すと、体を大量の粘液に変え、したっぱと村娘の3人を一気に包み込む。
「なんだっ!?」
「スライム?魔物!?」
「なに?今度はなに!?」
混乱する3人。ソフィナは理解するのを待たずにくすぐり始める。
「くすぐっ……!あっはははははは!」
「うごくなっ!やっははははははははははは!」
「もうやぁっはははははははははははははは!」
ソフィナによって村娘ごとしたっぱはくすぐり倒される。
3人は来た道を戻り、別の道を探して進む。
「したっぱしか出て来ないねぇ。幹部とか、ボスとかいるって聞いたんだけど」
「幹部とかがその辺うろついてる方が不自然じゃ……」
やがて3人は訓練場の様な場所に辿り着く。そこにはしたっぱとは違う盗賊が拘束されていない少女を相手にくすぐり技の練習をしていた。
「やぁっははははははは!はなしてぇっへへへへへ!帰してっへへへへへへへへ!」
「ほらほら、もっと抵抗してくれないと練習にならないじゃないか」
盗賊は体を上手く使って少女を押さえこみ、脇腹を両手でくすぐっている。ニナとミコが遠目で調べると、盗賊団の戦闘員という名前であることが判明する。
「今度は私が行くわ」
ミコがそう言って、まだこちらに気付いていない戦闘員に向かって一気に距離を詰める。
「誰、だっ!?」
その声とミコが地面を蹴る音に反応し、戦闘員が振り返るが、既にミコは目の前まで接近していた。
「ほっ」
驚き戸惑っている戦闘員の足を払い、転倒させるミコ。うつ伏せで倒れた戦闘員の背中に乗り、脇腹を両手でくすぐり始める。
「なんっ!?やめっ、やぁっはははははははははは!」
体を動かし、ミコを払い除けようとするが、足を使ってガッシリ捕まえている為逃げる事が出来ない。
「あははははははははっ!はやぁっははははははは!」
敏捷値のステータスが高いミコの両手は、人間とは思えない速度で戦闘員の脇腹やお腹を責める。
「やめっへへへへへへ!やらぁっはははははははははは!」
ものの数分で戦闘員はHPを枯渇され、倒れる。尚、少女は解放と同時に逃げて行った。礼を言おうとしていたが、ニナの雰囲気に何かを感じたのか、お辞儀だけして一目散に逃げて行った。
そのまま出てくる敵を蹴散らしながら進んでいくと、今までで一番大きな部屋に辿り着く。
「いよいよボス部屋ね!さぁ、盗賊団のボスを倒す……よ……?」
ニナが目の前の光景を目にして固まる。何故なら全く予想していない光景が広がっていたからである。
ニナが事前に調べていた、本来の状況は盗賊団のボスが現れ、戦闘になり、倒すと報酬が手に入る。
だが目の前には存在し得ない筈の緑が広がり、植物が盗賊団のボスを蔓のような触手で絡めとり、思う存分くすぐっている。その近くには茶色の髪を肩まで伸ばし、頭にお団子を二つ作った髪型の、150程の身長で緑のワンピースを着た少女。
「私を攫って来た貴女が悪いのよ、もう」
「ごめんなさぁぁぁぁっははははははははははは!ゆるしてぇっへへへへへへへへへ!」
そのままボスは力尽き、気を失って倒れる。そして少女はニナ達に気付く。
「ん?新手?ふふっ、たくさんくすぐってあげる」
3人は武器を構え、未知の敵に備える。
「ねぇ、になっち。これは聞いて無いんだけど」
「うん、だって私も聞いてないもん」
少女は3人に向かって小石程度の大きさの何かをばら撒く。そして少女が手にしたボトルの蓋を開け、中の水をばら撒く。すると、最初に投げた物体から次々と芽が出て急成長し、蔓のような触手に変貌する。
「ちょ、何この技!?」
「あぶなっ!?ちょ、回避!」
ニナが驚きつつも大きく飛んで触手を回避し、ソフィナがスライムに戻って触手から逃れる。しかしミコは避けきれずに捕まってしまう。
「んふふー。さぁって、どうやってくすぐられたい?」
悪戯っ子のような笑みを浮かべて少女がミコに近づき、ナニカの種をミコに向かって撒く。そして水をかけると、それは急成長し、フサフサの繊毛が生えた細長い植物になり、ミコの体に巻き付き蠢く。
「ふひゃっ!ひひっ!これっ、くすぐったい……!んふふっ!ふはっっははははははははは!」
「さて、後二人」
少女がニナ達に向き直る。
「何となく分かってきたねー。この子の能力」
ニナはそう呟き、術を発動させる。
【死神技法:魂の滅炎】
術が発動すると、巨大な蒼い炎が植物を焼き払い少女を襲う。
「やったか!?」
「はひっ……、ふぅ……、そのセリフはダメ……」
ついでにミコの体に巻き付いてくすぐっていた植物も焼かれる。
炎の塊の中から焼かれた蔓のような植物が崩れ落ち、中から少女が無傷で現れる。
「びっくりしたぁ……。炎は卑怯だよ……」
少女は懐から拳銃のようなモノを取り出す。普通の拳銃と違い、銃の上部に液体の入ったボトルのような物が取り付けられており、明らかに能力を素早く発動する為の道具だと分かる。
「ここからが本気って訳?ふふっ、さっきのお返しをして上げるよ!」
ミコが槍を構える。
「貴女、拘束手段無いでしょ……」
ニナが呆れながらも術の発動準備をし、ソフィナにハンドサインを送る。
次の瞬間、少女が黒い薔薇の花びらを纏う。しかし何も起こらない。ニナはソフィナに攻撃を命令する。
【魔術:エクスプロージョン】
ソフィナが術を発動し、少女を中心とした大爆発が起きる。
「え?なにっ、これぇっへへへへへへへへへへへへ!」
突如、ソフィナが笑い悶える。何事かとニナが若干鼻息を荒くしながらよく観察すると、ソフィナの体を黒い薔薇の花びらが纏わり付きくすぐっている。即座に少女の方を向くと、少女は無傷で佇んでいた。
「うっそ、ダメージリフレクション!?」
ニナはその技を知っていた。本来、最強のレイドボスと言われるアリスのみが扱える極悪スキルである。受けたダメージ分を消耗するまで攻撃した者をくすぐる、発動すれば回避不能のスキルである。
「になっち、何とかならない?」
「いや、バフ解除スキルとか無いし、私。効果切れるまで耐えるしかないよ」
「あはははははははははっ!どうなっ、やっははははははははははは!」
そう言い合っている内に、少女は銃口を向けてニナ達に数発、発砲する。
ミコとニナは大きく飛び退いて回避するが、くすぐられているソフィナは回避出来ず、足元から生えた植物に捕らわれ、ブラシのような部分でお腹をゴシゴシと動かされ更なる刺激を与えられる。
「ふひゃぁっはははははははははははは!!だめっ、それだめぇっへへへへへへへ!」
ソフィナは人の形をしているが、本来はスライムなので粘体に戻れば植物からは逃れられるのだが、くすぐられて頭が回らず、その事を失念していた。
「あれ?もしかして薔薇が消えてる?」
ニナが少女が纏っていた黒い薔薇が消えてる事に気付く。
「まじで!?よし、突撃する!」
ミコが槍を構えて突撃する。
【槍技:スパイラルスピア】
槍を横に大きく振るい、竜巻の様な斬撃が少女を襲う。が、蔓が即座に生まれ、少女を守る様に巻き付き、斬撃を防ぐ。
【死神技法:影縫い】
蔓が崩れ落ちた瞬間、ニナが術を発動する。
「……?何も起きなっ!?」
少女は身構えるが、何も起こらない様に見えた。だが、自身の体が一切動かない事に気付く。足元を見ると、少女の影が無数の手の様な影に掴まれていた。
「上手くいったわねぇ。バリアは無いっぽいし、このまま……」
「ふっふっふ、さっきのお返し、してあげるね?」
二人が悪戯っぽい笑みを浮かべて少女に近づく。
「ねぇ、ちょっと、今動けないから……」
少女が少し顔を引き攣らせながら説得を試みるが、勿論聞く耳は持たない。
「やめ……、ふひっ……ふふっ……ひっ……!」
二人が少女の体を服の上から優しく撫でる。指が体に触れる度に少女は体を震わせ、口から声が漏れる。
「あ、このスキル、効果時間あるから気を付けてね?」
ニナが思い出したように言う。因みにソフィナは後ろの方でぐったりと倒れている。
「それ先に言おう!?」
ミコが動きを一気に早くする。
「ふひゃぁっはははははははははははは!?いきなっ!つよくしなぁっははははははははは!」
直立したまま体を一切動かせない少女は為す術もなく笑い声を上げ、HPをどんどん減らしていく。
「あぁっははははははははははははは!!やぁっはははははははははは!もうやめっ!っはははははははははは!!」
ニナが一旦アイテムボックスを開き、何かを取り出す。
「昨日買ったこの、『サキュバスの手袋』っていうアイテム。使う?」
「使うー。ありがとー」
ミコがニナから手袋を受け取り、手に着けて、スカートの中に手を突っ込んで太ももをくすぐる。
「いやぁっはははははははははは!!それだめぇっへへへへへへへ!くすぐったいぃっひはははははははははは!」
『サキュバスの手袋』とは、文字通りサキュバスが作った手袋で、現実には存在しない素材で作られており、くすぐったさを与える事に特化した手袋である。
「あっははははははははははは!!あはっ!はぁっ……!もう、むりぃ……」
少女のHPが0になるが、なぜか倒れない。が、くすぐっても反応しない為倒したという扱いではあるらしい。
「じゃ、私はソフィナの回復してくるわー」
そう言ってミコに後を任せて離れるニナ。ニナはこの後何があるのか薄々察していたようである。
ニナが離れると少女が落ち着きを取り戻し、ミコに話しかける。
「盗賊に私が負けるなんて……」
「いや、私達盗賊じゃないから」
ミコが少女の間違いを訂正する。
「え、本当?」
「うん」
暫く沈黙が続き。
「あの、本当にごめんなさい……」
少女が頭を下げて謝る。
「私を倒せた貴女にはこちらを差し上げます」
そう言って少女が差し出したアイテムを受け取るミコ。これは何かとアイテム名を見て、ミコは絶句する。
手に入れたアイテムの名前は『豊穣者の心得』
「後、私を貴女と共に連れて行って貰ってもいい?」
「え、うん。いいよ、勿論」
頭がフリーズして良く聞いていなかったが、勢いで承諾する。
「ありがと。私はアヤカ、よろしく」
ミコは初登場時ユニークジョブ持たせようか凄い悩んだのですが、当時良い案が浮かばなかったので回避特化騎士となりましたが、この前フッとこんなの良いなって思いこうなりました。モモは持たせようか悩むけど、回復職は居た方が良いし多分聖術師のままかな……