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34話

遅れました。

じんるいのみなさまへをやってました。(ぉぃ

やはり百合はいいものです。

 街から東の森を超え、その果てに存在する『ハテノ霊園』

 古びた洋館が聳え、何百もの墓が乱立するここは霊園の名が表す通り、数多の死霊系の魔物が闊歩する場所である。

 この場所へ、ユカ達4人はアップデートへ向けて経験値稼ぎに訪れていた。


「やぁっ!」


 ミコが槍を振るい、宙に浮いている半透明の上半身だけの女性、霊体系最下級種の『ゴースト』に斬りかかる。ミコの槍は白い光を薄っすらと纏っている。これは事前にモモが掛けておいた【聖術:光の加護】の効果で、霊体系が持つ物理耐性を半分無効化する事が出来る魔法である。


【死神技法:贖罪の火】


 ニナが技を発動させると、握りこぶし程の大きさの5つの蒼い火の玉が生まれ、ゴーストに向かって放たれ、残りのHPを削りきる。


「最弱のゴーストでこの強さかぁ……」


 ミコが軽く槍を振り回して呟く。ここハテノ霊園は入り口付近でさえ適正レベルは45以上、洋館に近付くほど強い敵が現れるようになり、洋館の中には『スケアファントム』や『エルダーリッチ』等の死霊系最上級種が闊歩しており、最深部には『ノーライフクイーン』がレイドボスとして待ち構えている。


「改めて考えると、死霊系って割とバランス取れてるわよね。霊体系が物理耐性持ちで、ゾンビ系が魔法耐性持ち」


「魔法耐性って言っても、炎系と聖術は普通に聞くけどねぇ」


 ユカが呟き、ニナが補足する。因みにユカのリーンは連れてきていないが、ニナはソフィナをレベル上げの為に連れてきていた。


「ここは、私のやる事が多いわね……」


 モモがMPの残りを気にしながら、マジックポーションを取り出す。

 回復を終え、歩き出す5人。少し進むと地面からボコッという音と共に、3体のゾンビが現れる。


「幽霊じゃないなら、先手必勝!」


 ミコが突っ込み、槍を振って一体の胴を両断し、撃破する。残る二体がミコに飛びつこうとするが。


【忍術:火遁・業火】


【聖術:ホーリーシャワー】


 一体はユカの生み出した炎に呑まれ、もう一体は降り注ぐ光の雨の下で消えて行った。


「流石にこの辺は余裕ね。もうちょっと奥に行きましょう」


 普段攻撃役に回らない為か、自信満々な様子のモモが率先して先に進み、4人はそれに付いて行く。

 湧いて出て来るゴーストとゾンビを蹴散らし、奥へと進む。やがて古びた金属の小さな柵を超える。すると出現するモンスターが変化し、5人の前に半透明の女性、『レイス』が現れる。レイスはゴーストの上位種であり、見た目の違いは単純で、ゴーストが上半身だけだが、レイスは下半身も存在する。


「レイスか……という事はこの辺りから適正レベルは50を超えるわ」


 ユカが冷静に分析する。

 しかし、物理と魔法を共にこなせるユカとニナに、確実に一撃を与えるミコ、死霊系に対して強力な力を発揮するモモと、ユカ達のパーティーは対死霊系としてかなり有利である為、適正レベルがある程度上でも問題なく戦える。

 その為、60を超えないこのあたりならば、ある程度集まって来ても問題なく殲滅出来る。レイスもそんな例に漏れず、光に呑まれて消えていった。

 湧いてくるモンスターを問題なく倒して進み続ける事暫く、レベルも幾つか上がり、ユカがそろそろ一旦切り上げようかと思った時の事であった。いきなりユカ達の周囲から大量の霊が湧いて出てきて、ユカ達の前に集まってくる。


「何、コレ?……なにこれ!?」


 ミコが槍を構えて警戒している間にも霊は集まり、大きな球体のようなモノが作られていく。


「ぁー……すっかり忘れてたわー……数えるの……」


 ソレが何なのかを知ってるニナは苦笑いしつつも心の中では期待している。


「レギオン。ここハテノ霊園でゴースト系列のモンスターを一定数倒すと出現するハーフレイドよ」


 モモはそんな重要な事を忘れるなと言いたげな目でニナを睨む。巨大な霊の集合体、レギオン。ハテノ霊園にニナが言った方法で出現するハーフレイドで、会いたくなければ討伐数をカウントするのが常である。一度でも霊園から出ればカウントはリセットされる。ハーフレイドとは、レイド程強くは無いが適正レベル前後のプレイヤーが2~3人で挑むことを前提とした強さを持ったモンスターで、レギオンの適正レベルは70。

 5人が戦闘準備を終えると、巨大な球体のような霊の集合体が襲い掛かってくる。


「こいつ、何処を攻撃すればいいの?」


 ミコが純粋な疑問をニナに尋ねる。


「集まってきた霊を全て倒せば良かった筈。私も実際に戦うのは初めてだから確証は無いけど」


 その情報も結構前に聞いた話でうろ覚えだと付け足す。


「やるしか無いよねぇ……」


 ユカが襲い掛かってくる二体の霊を躱しつつ、刀で切ってダメージを与える。


「本体?を狙った方が良いわよね?」


【聖術:ホーリーブレイカー】


 モモが集合体に向けて高威力の聖術を叩き込む。

 すると、レギオンが呻き声の様な声で叫び、20の手がユカ達の周囲に現れる。


「ソフィナ、範囲攻撃で周りの手を殲滅して」


 ニナがパートナーのソフィナに指示を出す。


「分かった!」


 ソフィナはそれに答え、手に杖の形で固定された粘液を握り、術を行使する。


【魔術:エクスプロージョン】


 術の発動と共に大爆発を発生させ、半分以上を消し飛ばし、ユカが残りを忍術で確実に消していく。

 その間、ミコとモモがレギオンに攻撃しダメージを与える。レギオンはまたもや叫び声を上げ、今度は10体のゾンビが地中から出現する。


【魔術:フレイムテンペスト】


【忍術:火遁・業火】


【死神技法:魂の葬炎】


 3人の術がほぼ同時に発動し、ゾンビを動く前に全滅させる。また、ゾンビはレギオンを中心に出現したため、レギオン自身にもダメージを与える。

 すると、再びレギオンが叫び、今度は30の霊の手が出現する。


「これ、手とゾンビを交互に召喚している?」


 ユカが気付く。


「しかも数が増えてるね。全滅しない程度に残した方が良いのかな……?」


 ニナは周囲の手を一瞥して作戦を提案する。このゲームでは敵に一度でも攻撃を許せば、そのまま一気に全滅する事も珍しくない為、出来るなら残すのは得策ではない。

 そんな事を考えながら手を対処しつつ、モモがレギオンに聖術を叩き込むと、レギオンが突如爆発したかのように大量の霊が散っていく。


「倒した?……訳無いよねぇ。ハーフとは言えレイドだもんね……」


 ミコが槍を構えて警戒する。大量の霊はユカ達を囲む様に周りを漂う。

 これはレギオンのHPが2割を切る度に、つまり残りHPが8割と6割と4割と2割で確定で使われる固有技で、一番全滅する可能性が高い技である。

 周囲を漂っていた霊達は一斉にユカ達を襲う。


「ちょっ!流石に対処できないっ!」


 全方位から一度に10を超える霊に襲われ、流石に躱す事も防御する事も出来ず、全員が霊に取り込まれ、小さなレギオンが5つ出来上がる。


「あはっ!むりっ!おおぃっひひひひひ!ひぁっはははははははっははははははは!」


 ユカは手だけの霊に両手両足を掴まれ、大の字で宙に固定され、くすぐられる。


「あははっ!あはっ!あぁっはははははははははははは!おおすぎっひひひひひひひひひ!」


 霊は服をすり抜け、素肌を直接くすぐる。


「たえられなぁっははははははははははは!はっはははははははははは!ははっ!はひっ!」


 脇を、脇腹を、お腹を、首筋を、耳を、太ももを、足を、何十もの手が、何百もの指が這い回り、くすぐれば耐えられる人間など存在しないだろう。


「ひぁっはははははははははははははははは!きつっ!ぃぁっはははははははははははははははは!」


 ハテノ霊園は洋館の中以外はフィールド扱いなので全滅してもお仕置き部屋には行く事は無い。10分間動けないのでくすぐられる事に変わりは無いが。


「あははははっ!あはははっ!はげしぃっひひひひひひひひひ!ひぁっはははははははははははははははは!」


 一方、ミコ。


「あはっ!離れっ!てぇっへへへへへへへ!っはははははははは!」


 地面を転げ回るミコ。


「ははっ!あははっ!はひっ!ふっ、はっ、はぁっはははははは!」


 敢えて一切拘束されていないミコ。だが、何十もの手が決して離れることなく、指を小刻みに動かし、服をすり抜けてミコの素肌を這いまわる。


「あぁっ!はははっ!あはっ!あっははははは!はぁっ!はぁっ!はひっ!っ!っははははは!」


 手は指を高速で動かしつつ、触れるか触れないかの位置を保っている。


「ひはははっ!はにゃしっ!やぁっははははっはははは!」


 ミコは地面を転げ回る中、手は位置を保ち続けるという、中々に卓越した技術である。


「むりぃっ!っひひひひ!ひゃぁっははははははははははは!」


 更に手は移動している為、決して慣らしてくれない。


「はぁっ!はぁっははははははは!げんかっ!ぃっひひひひひひひ!」


 やがてHPが0になり動けなくなるが、霊はお構いなしに緩める事無くくすぐり続ける。

 一方、モモ。


「くひゅふふふふふ……っ!やめっ……!ふぁっふふふふふ!」


 何処からか持って来られた黒い布で目隠しをされ、墓石にもたれかかる様に座られ、足を伸ばし、両手は真上に挙げられた状態で6つの手が反応を楽しむ様にモモをくすぐる。


「ふひっ……!ふっ!はっ!ふふふはははははっ!」


 2つの手がガラ空きとなった両脇を10本の指を小刻みに動かしてくすぐれば、モモは体をビクッと震わせ、口から笑い声が漏れる。


「はぁっ……!はぁっ……!んっ……!くっ……!ふふふっ……!んふふふふっ……!」


 脇から手が離れ、ローブのお腹のあたりを無理矢理破られ、周囲に生えていたススキの様な草でお腹をくすぐられるモモ。


「うふふふっ!ふふっ!ふはははははっ!」


 手でされるのとはまた違った感触に体を捩らせる。


「はぁっ……!はぁっ……!ふひっ……!ふぁぁっ……!」


 お腹のくすぐりが止み、息を整えていると今度は足をくすぐられる。


「ふはははっ……!ふふっ……!やめて……!ふははっ!」


 突かれたり、指を立ててカリカリとくすぐられたかと思えば優しく撫でられ、ススキを這わされ、かと思えばまたカリカリされたりと、見えないのをいい事に刺激を変えてモモを追い詰める。


「ふふふふっ……!っ!やっ!ふははははははっ!」


 突如、残りの4つの手がお腹と脇のくすぐりを再開する。


「ふっははははははっははははははははははは!だめっ!むりっ!っはははっははははははははっはははははははははは!」


 視界を奪う。それだけで何処をくすぐられるのか全く分からなくなり、いつも以上にくすぐりに弱くなってしまう。

 一方、ニナとソフィナ。


「ニナちゃっ!たすっ!けぇっへへへへへへっへへへへへへへ!」


「むりぃっひひひひひひひひひ!」


 ソフィナは霊に体を乗っ取られ、粘液の体を駆使してニナの全身をくすぐり、ソフィナ自身は人の形を保っている腰から上を大量の霊にくすぐられていた。


「やぁっははははははははははは!むりむりっ!おおすぎぃっひひひひひひひひひ!」


「ひゃぁっははははははははははは!あははははははははははは!これっ!きつっ!ぃっひひひひひひひひひ!」


 ソフィナは上半身のあらゆるところを大量の手にくすぐられる。脇腹を二本の手が揉み、二本の手が10の指をこちょこちょと動かし、お腹には4つの手が指を這い回し、脇には6つの手が指を使ってくすぐる。

 ニナは首から下をソフィナにくすぐられる。スライムにくすぐられるというのは撫でられるような、舐められるような独特の感触があり、とてもくすぐったい。更に霊の手も粘液をすり抜けてニナの脇と足の裏をくすぐる。


「たえれにゃっはははははっははははははははははははははは!たすけっ!っはははははははははははははははは!」


「そふぃなぁっははははははははははは!くすぐったいぃっ!っはははははははははははははは!」


 激しいくすぐりはあっという間に二人のHPを空にして、二人を動けなくする。


「もうむりっ!うごけないからぁっははははははははははははは!やぁっははははははははははは!」


「はげしっ!ぃぁっはははははははははははははははは!ひゃぁっははははははははははは!」


 それでも尚、刺激は一切弱まらない。

 やがて全員、ギルドハウスの自室に送られ、再起動まで20分の時間を要した。

次は幹部組メインになりそう。

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