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33話

昨日家に帰ってきたら、奴が出たんですよ……あの黒い奴……。

今日ド●キで設置型の駆除グッズ買って来たんですけど、これ効果あるのかな……。

 ユカとニナがキャンサーと戦っている同時刻、モモとミコ。


「くひぃっひひひひひひ!はっ、はにゃれてへへへへへへへっ!」


 大量の小さいアザラシに纏わり付かれ、全身をくすぐられるミコ。


「エリアが出たから見に来てみれば……貴方は何をやっているのかしら?」


 それを呆れた顔で眺めるモモ。

 事の発端は、砂浜を歩いて散策していたミコが小さいアザラシの群れを発見し、突撃した結果、体中に飛び掛かって来られ、体勢を崩して仰向けに倒れ、顔以外が見えない程アザラシに埋もれるミコ。

 アザラシは甘噛みしたり、舐めたり、体を擦り付けたりしてミコをくすぐる。


「やっははははは!やめへへへへへへへっ!もっ、ももっちー!へるぷぅっふふふふふふふふ!」


「流石に可愛らしい小動物に魔法を撃つのは躊躇われるから、自力で頑張りなさい。回復はしてあげるわ」


「おにぃっひひひひひひひ!」


 ミコがくすぐりから解放されるのは暫く先になりそうである。

 一方、ミコとニナ。


「HPが0になると気絶するのねー。私達プレイヤーは動けなくなるのに、何か不公平……」


 気絶し、動かなくなったキャンサーを放っておいて目当ての魔物の『ティックシェル』を探す。


「あっ、あれは?あの大きな貝」


 ユカが少し離れた所にある、大きな二枚貝を指差す。


「お、アレだね。それじゃさっさとやっちゃおう!」


 ニナが貝を目的の魔物と断定し、突撃し、ユカもそれに付いて行く。


【忍術:火遁・業火】


【死神技法:魂の葬炎】


 物理耐性が非常に高いと聞いていた二人は魔法系のスキルを放ち、赤と蒼の炎に呑まれ、ティックシェルは特に出番も無く撃破された。

 二人の前にドロップ画面が表示され、目的の物を手に入れた為、ミコとモモに連絡を入れ、街へと帰還する。尚、ミコは自力で脱出し、アザラシの群れから逃走した。

 街へ戻るとニナは3人と別れ、目的地へ向かう。ユカは、忍者服以外の私服が欲しいなと思い、街へと出向く。モモは家族に呼ばれた為、ログアウトする。

 ミコは庭園の施設の一つである学園に足を運んでいた。解散する前、次のレベル上げに最適な場所は死霊系が闊歩する『ハテノ霊園』なのでそこに行こうという事で話が纏まっており、死霊系の中のゴースト等、霊体系の魔物は物理耐性が非常に高いため、予習しておいた方が良いとユカに言われ、ここで学べる筈だと紹介されて今に至る。

 門をくぐり、中に入り、受付で『対霊体系コース』の授業を選択する。


「それでは、特別教室へ移動してください、教室は3階になります」


 ミコの体が光に包まれ、ブレザータイプの制服に着替えさせられる。ミコは指定された教室へ向かい、中に入ると既に教師と思われる女性と、10人ほどの生徒が待機していた。


「では、授業を開始します」


 女性教師がそう宣言すると、教室の扉が閉まる。


「まず、ゴーストを始めとする霊体系の魔物は物理攻撃が効きにくい特徴があります。しかし、これらは特殊な素材で作られた武器か、聖水を武器に掛ける事である程度の耐性を無効化する事が出来ます」


 序盤はホワイトボードを使い、普通に授業を行う。


「しかし、聖水は一部の強力な魔物には効果が無いので気を付けてください。過信は禁物です」


 ミコは真面目に話を聞く。


「それでは、実践に移りましょう」


 教師がそう言うと、ミコの目の前に聖水が現れ、ミコがソレを受け取ると、部屋の中央に魔物娘が現れる。

 黒いストレートヘアーを持ち、青白い肌の宙に浮いている白いドレスを着た大人の女性、『ファントム』

 ゴーストの上位種であり、弱点である頭部以外は聖水を用いてもダメージを与えられない物理耐性を持つ、ソロでの推奨レベルは70の強敵である。


「せやぁっ!」


 当然そんな事は知らないミコは、聖水を纏わせた槍で胴を横薙ぎで両断する。が、当然ダメージは与えられない。


「あ、あれぇ……?嫌な予感が……」


 その結果に頬を引き攣らせるミコ。そして嫌な予感は見事に的中する。

 ミコが目の前のファントムに意識が集中している隙を突き、ファントムが霊体系の固有スキル『ポルターガイスト』を行使し、ミコの両手を縄で縛り、宙に吊るす。


「やっぱりこうなるんだねぇ……」


 攻撃が通じなかった時点で何となく察していた結果に苦笑いを浮かべるミコ。そもそもこの施設を作ったのは他でもない団長リリィであり、当然くすぐられる要素が満載である。

 ファントムは両足をバタバタと動かし、何とか脱出を試みようと無駄な抵抗をしているミコにゆっくりと近づき、相変わらずノースリーブで無防備な両脇に両手を這わせ、十本の指を優しく撫でるように動かし、くすぐる。


「はぁっ……!はひっ……!くすぐったいっ……!はっ……あははははっ……!あはっ!?」


 突然、ミコの脇腹を何かが突っつくように刺激する。ミコが後ろを振り返ると虚ろな目をした生徒がミコの脇腹を指で突っついてくすぐっていた。


「やっ……!やめっ……!あぁっはっ……!あはははっ……!」


 刺激自体はそこまで強くないので何とか耐えられているミコ。


「高位の霊体系はこのように、周りの人間を操る事も出来るので注意しましょう」


 女性教師が何が起こっているのかを説明する。ミコはもっと早く言ってくれと心の中で突っ込む。


「あはっ……!あはははっ……!やぁっ……!増えないでっ……!」


 ミコは、虚ろな目をした生徒がもう二人、ミコの両側から近づいて来ている事を目視する。


「やぁはっ……!ははっ……!むりっ……!ひゃははっ……!」


 そして生徒が辿り着くと、ミコのお腹や内もも等に手を這わせ、優しく撫で回す。


「ふひひひひっ……!多いっ……!ひゃぁっ……!っはははは……!はひっ……!ひゃぁはははははは……!」


 そのままミコは20分程、優しくくすぐられ続け、終わった頃には立てなくなっていた。

 その頃のニナ。裏路地の民家に入り、中にいる水色のツインテールに水色のロリータドレスを身に纏う少女に魔力の真珠を渡す。


「ありがとうございます!これで自由に活動が出来るようになります!」


 少女は真珠を受け取ると、笑顔を咲かせて、そのままペコリとお辞儀をする。


「暫く動いていなかったので弱いとは思いますが、私を連れて行ってくれますか?」


「もちろん!」


 ニナは即答する。

 するとニナの前に、スライム娘がパートナーになったと表示される。

そろそろリアルニナでるかも。


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