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三話

 ユカが忍者屋敷に入り浸るようになってから約2ヶ月が経とうとしていた。

 そんなユカは今日も忍者屋敷に挑戦し、50回目のクリアを達成した。

 すると報酬選択画面に見慣れない選択肢が現れた。


(何だろう、この選択肢…。頭領になる?こんなの無かったよね?)


 ユカは好奇心のまま、それを選択すると目の前にクノイチ達が4人全員現れた。

 最初に訪れた時ユカを存分にくすぐり、魅了した栗色の髪を持った少女、「牡丹」

 最年長で身長も胸も一番大きく、黒髪のロングヘアーを持った18歳程の見た目の少女、「菖蒲」

 茶髪のショートカットにスレンダーな体系の15歳程の見た目の少女、「菫」

 黒髪のセミロングに平均的な体系の16歳程の見た目の少女(見習いの為受付役)、「桜」


「主様、頭領への就任、おめでとうございます」


 最年長の菖蒲が代表して挨拶をする。

 対してユカは状況が呑み込めていなかった。


「こちらは就任祝いになります。どうぞ」


 そういってユカは一つのアイテムを受け取った。

 そのアイテムは『忍者の心得』

 説明には忍者に転職できるアイテムと書かれている。


(転職アイテム…?そんなの存在したっけ…?)


 自分が知らないだけかもしれない。そう思ったユカはリリィ団長にチャット通話で聞いてみることにした。


 「あの団長さん、今大丈夫でしょうか?」

 『ん、ユカちゃん?なんだか久しぶりねぇ。ずっと忍者屋敷に籠ってたらしいけど、どうかしたの?』


 「今日忍者屋敷をクリア50回達成したんですけど…」

 『あそこを50回クリアって……。どんだけハマってるのよ……』


 「そしたら転職アイテムを貰ったのですが……」

 『へ?転職アイテム!?そんなの存在したの!?』


 通話越しに驚きが伝わってくる事から、団長も知らない事が伺える。


 「取り敢えず、一旦街に戻って転職してみます」


 そうしてユカはワープクリスタルを使い街へと戻って行った。

 街を進むこと数十分、ユカは最初に説明された街の主要施設を思い出しながら転職が出来る教会へと辿り着いた。


 「ようこそ教会へ、何か御用でしょうか?」


 シスターのNPCがそう答えると、ユカの前に選択肢が表示された画面が出る。その中に転職があったが、ユカはその一つ下の懺悔という項目が気になっていた。


(懺悔って何?もしかしてシスターさん達に……)


 頭の中を煩悩に染めながら、それは後にしようと頭に留め転職を選択する。すると、出てきた画面の中には最初には無かった忍者の選択肢が増えていた。

 ユカは手を若干震わせながら、それを選択すると忍者の説明画面が現れる。


・忍者:防御力は貧弱だが、高い敏捷性と器用さが特徴。忍術や忍法を使った独特の戦いが可能。また、忍者衣装という一部の防具はこの職業でのみ真価を発揮します。※この職業はあなた専用です。


 ユカは説明画面の一番最後の言葉に絶句していた。


(専用職業!?……なんか、とんでもない事になっているような)


 ひとまずユカはギルドハウスに戻る事にした。


(思えば、初めて来た時以来よね、ここに来るのも……)


 流石にもうちょっと顔を出そうと心に決め、ユカは団長室へ向かう。部屋の前まで来ても笑い声は聞こえなかったのでユカは安心してノックをし、中へと入る。


「お、ようやく来たね。早速話を聞かせて貰っていいかな?」


 部屋の奥の椅子に座り机の上に置いてあった怪しげなメモをしまいながら、リリィはユカを笑顔で迎える。

 団長以外にも、ソファーに4幹部が全員揃って座っていた。尚、内2人は初対面である。


「はい、取り敢えず現在判明している事は……」


 まだ転職したてで自身も良く分かっていない為、説明文のみを簡単に話していく。


「専用職業かぁ……。ユニークスキルは各職で幾つか確認されていたけど、職業にも存在したのねぇ……」


 話を聞き終えて真っ先に口を開いたのは、やはりと言うべきかリリィである。因みにユニークスキルとは専用スキルで各職で一番最初に条件を満たした者が会得出来る。


「忍者衣装って、屋敷の受付で売っていたアレの事か?防御力が1しか無い上に露出が多いから、完全な見た目用装備かと思っていたが……」


 忍者屋敷の受付では忍者グッズという謎の商品が売られていたりする。その中に忍者衣装も存在し、ユカも買っていた。


「まだ着てないので分かりませんが、恐らく……」


 ユカはアイテムウィンドウを開いてクノイチの衣装を選択する。するとユカの体が光に包まれて選択した衣装に変えられる。

 和風のミニスカートワンピースのような衣装にタイツを履いており、全体的に黒色の、典型的なクノイチの衣装に変わっていく。


「やっぱこの衣装…恥ずかしい…」


 そう恥ずかしそうにその場にうずくまるが、性能は並の防具以上を発揮していた。それこそ序盤ではかなり強力なほどに。


「目に見えてステータスが上がってるねー」

「まだレベル1だし、これから成長したらどうなるのか楽しみねぇ」


 各々が感想を呟く中、リリィは立ち上がり。


「取り敢えず一回、実戦してみる?」


 と言った瞬間、全員から呆れられた目を向けられる。


「ねぇ、君達。どんだけ私の事信用してないの?」

「逆にその発言に下心以外があるんですか?」


 エルザが聞き返すとリリィは無い胸を張り、どや顔をキメる。4人からため息が漏れる。


「団長はユカちゃんをくすぐりたいだけなの」


 ネアがリリィの本音を的確に言い当てる。


「えっと、少しだけなら……」


 口では遠慮しがちだが、本心は大分ノリノリなユカ。

 こうして全員はギルドハウス地下練習場に移動する。地下練習場は体育館程の大きさで床にはクッションが敷き詰められており、押し倒されても痛くならない仕組みになっている。最も、動き辛いという欠点もあるが。

 ユカが練習場の中央に立つと、リリィは召喚術を発動する。


【召喚術:誓約の天使】


 リリィの目の前に魔法陣が出現し、その中から14歳程の見た目の金髪の天使が現れる。

 誓約の天使、マリエル。期間限定イベントでのみ出現した、所謂イベント限定の敵であり現在は召喚可能な召喚術師しか会う方法は無い。

 尚、性能としてはサポート寄りであり直接戦闘は得意ではない。

 ユカはその存在を確認すると、期待を更に膨らませる。


「それじゃ、始め!」


 エルザが開始の合図を出すと、真っ先に動いたのはユカだった。

 レベル1とは思えない速度で一気に距離を詰め、腰にあった専用武器、忍者刀を振るう。

 キンッ、とまるで金属同士がぶつかった様な音が響くが、マリエルの手に武器は無い。手に防御魔法をかけて防いだとユカは理解していた。


(武器を防げるほどの防御魔法か、真っ向勝負じゃ勝ち目なさそう…)


 そう判断したユカは距離を取り、初期からあった3つのスキルの内の一つを発動する。


【忍術:火遁】


 ユカが手をマリエルに向けて術を発動すると、手の平から火が噴き出し、火力の弱いバーナーのようにマリエルに襲い掛かる。

 が、それも防御魔法で防がれてしまう。それもユカの計算通りではあるが。


【忍法:縮地】


 短距離を瞬間移動する技、縮地を使い一気に接近し、火に気を取られているマリエルの背後から武器を振り下ろす。

 その瞬間、ユカの足元に魔法陣が光る。


「へ!?」


 完全に不意を突かれたユカにそれを防ぐ方法は無く、そのまま小さな魔法陣がユカの両手両足を宙に固定し拘束する。


(天使ってこうやって相手を拘束するんだ…)


 等と呑気に考えているのは、この状況がユカの望んだ結末だからである。

 そしてゆっくりと、わきわきと動くマリエルの手がユカの体に近づいていく。その顔は満面の笑みだった。

 因みにリリィ以外はユカが拘束された時、ひっそりと部屋を出て行ってた。空気の読める子達である。

 とうとうマリエルの手がユカの首筋に触れる。


「ふっ、んん……くひっ……」


 ユカがもどかしい刺激に身を捩ろうとするが、手足は全く動かせず首が僅かに動くだけで逃れる事は出来ない。

 すると次の瞬間、マリエルが指を鳴らすと周囲に沢山の羽が出現した。


「ふぇっ!?」


 想像を超えた光景に期待を大きく膨らませるが、流石に数が多いのか無意識に逃げようと体を大きく動かそうとして抵抗するが、当然動く事は出来ない。


「ふ、ふひっ、ひゃぁっ……くくっ……数……やぁ……多すぎぃ……」


 ついに羽の一本が服の中に侵入し、直接素肌をくすぐっていく。


「ふにゃぁっ!?あ、あっはははははははははははは!!はっひっひっひ、くすぐったいいいいいいいい!」


 一本を皮切りに次々と服の中に侵入し体中を羽が撫で回していく。

 リリィは鼻息を荒くしてその光景を見つめている。


「ひゃぁっはははははははっはははははは!はぁっ、は、ひ、ひひっ、ふ、ふぁっ、あ、あっはははははははははははは!!」


(流石にこれ以上は、きつい!)


 これ以上は危険を判断したユカは反射的に初期スキルの最後の一つを発動する。


【忍法:縄抜けの術】


 発動すると両手足が魔法陣から抜け、同時に縮地を発動しその場から消える。


「えっ!?」


 マリエルも、リリィも、全く予想して無かった出来事に驚愕する。その隙をユカが突き、背後からマリエルを縄で両手足を拘束し動けなくする。

 マリエルが動けなくなると羽も全て消えていった。


「これにて形勢逆転……。たっぷりと仕返しを…」


 そう言って手を蠢かしながら喜々とした表情でマリエルに近づいていく。


「あのー、ちょっと話し合いをですね?」


 マリエルが抑止しようと試みるが、当然…


「断る♪」

「ちょっと、待って、私達天使って、慣れてないから、敏感で……やっ、やめっ、やぁっはははははははははははは!!」


 忍者屋敷で体に教え込まれたくすぐり方を、ユカはマリエルで試していく。


「天使の肌ってやっぱ白くてすべすべしてて美しいわねぇ……。」

「おにゃかっ、撫でにゃぁっはははっははははははは!」


 右手でお腹を撫で回し。


「太もも、すっごい触り心地良い……」

「もみもみしにゃいでええええええええええええ!!」


 左手で太ももを揉み回し。


「首、弱い?まぁ強い人なんていないよね……んっ……」

「なめにゃぁっ!?っははははははははははは!!」


 首筋に舌を這い回す。


「ごしゅじんひゃまっ!たしゅけてぇっへへへへへへ!!」


 呼ばれたリリィは、片手にビデオカメラを持ちながら握りこぶしを作り、鼻息を荒くしていた。残念ながら敵側である。


「すっごいくすぐったがりなんだねぇ……。地面に落ちたこの羽でくすぐったらどうなるかなぁ…?」


 そう言って地面に沢山落ちた羽の一枚を右手で拾い上げ、お腹から脇腹の周辺をゆっくりとなぞっていく。


「やぁっ!?あっはっははははあっははっははははは!!」


 更にくすぐったそうに悶えるマリエル。


「耳も舐められるとヤバいよね。忍者屋敷でよくやって貰ってたよー」

「ふやぁっ!?や、やめっ、てえええええええへへへへへへへへへ!!」


 そうして3分程くすぐった後、ユカは手を止めてマリエルを解放した。するとマリエルの体が光に包まれて消えていった。


「縄抜けなんて出来るんだねぇ。初期から使えるって、結構強い?」


 十分堪能しきったリリィは簡単に結果をまとめる。


「かもです。取り敢えず明日からサボっていたレベリングとマップ攻略を再開しようと思います」


 そのまま他愛も無い会話をしながらその日は終わりを迎えた。

今更だけどR15と18のボーダーラインを良く分かっていないけど、そういった部分を触る描写が無ければ大丈夫だよね……?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 男女共にくすぐられイキというものがあってですね…… [気になる点] 大半の女性は擽られると濡れるらしい…… [一言] 描写は無いけどくすぐられて感じてると思うと捗るものが……
2023/08/28 03:30 退会済み
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