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27話

くすぐり多めになると言ったな(ry


書き終えて確認したらそんなに多くなかった……


ちょっと設定少し弄りました。

 始まりの街、ティーツタウンから西へ進み、小高い丘を超えた麓にある小さな村。

 ここは以前は何もなかったが、魔物が出現しない安全地帯という点は変わらなかった。そして、ある理由からここにプレイヤーが一旦集まる事が多く、やがてアップデートでここに小さな村が作られた。

 そしてユカ達4人は今日、この村に訪れていた。


「いやー、前々から行ってみたかったんだけど、二人以上のパーティーじゃないと入れないから助かるわー」


 ニナの頼みで4人はピラミッドに向かう途中であった。

 ピラミッドはマップの西に存在する、広大な砂漠の中に建っている。砂漠はマップの5分の1を占める程広大であり、寒暖差や道中の魔物等、対策しなければ撤退を余儀なくされる要素が沢山ある。この村は砂漠対策の道具が全て揃っている、最終確認の拠点である。


「えーと、魔冷水筒に冷感剤、炎石に震感計……必要な物はこんなところかしら?」


 ユカは人数分の必要な道具を買い揃えていた。


「震感計って何に使うの?」


「砂漠は地中から奇襲してくる魔物が多いから、事前に察知する為に必要なのよ」


 砂漠に生息する魔物の半分ほどが地中から襲ってくる。


「それじゃ、早速出発しよう!」


 何故かニナが先頭に立ち4人は砂漠へ足を踏み入れる。


 砂漠を歩き続ける事数分、ユカが持つ震感計が揺れを感知する。


「地中から何か来るわよ。皆気を付けて」


 やがて揺れは大きくなり、全員が散開し地中からの襲撃を回避する。


「こいつは……デザートワームか。砂漠の代表みたいな魔物だね」


 ほぼ全ての魔物を覚えてしまったニナが、その姿から襲撃してきた魔物を言い当てる。

 茶色いホースの様な体を持ち、地中を自在に移動して、足元から敵を丸呑みにしようと襲ってくる魔物である。口からは3本の、人の腕程の太さの舌が触手のように蠢いている。


「ちゃちゃっと倒しちゃおう!」


 いつも通りミコが先制攻撃を仕掛けるが、デザートワームはすぐに地中に潜ってしまった為、攻撃が当たる事は無かった。


「何処に行ったかな……エリアが消えて無いから逃げたって訳では無いんだろうけど……」


 全員がその場に止まり、自身の周囲を警戒する。


(地面が揺れない……?という事は……)


 ユカがいち早く、違和感を感じる。


「みこ!多分そいつ、そこから動いてな」


 そこまで言いかけた所でミコの周囲の砂が巻き上がり、デザートワームがミコを咥えた状態で姿を現す。


「ちょっ、なにこっ!ふひゃぁっ!?」


 脇から下を全て咥えられ、空いた両手でサンドワームの体をぺちぺち叩くが、当然離す訳も無く、やがて3本の舌がミコの体を舐めてくすぐり始める。


「ふひひひっ!くふっ!ちょっと……っ!っはははは!やめっ!はなぁっはははははは!」


 舌は不規則に動き、時折場所を変えてくすぐりに慣れさせないようにする。


「はひゃっ!ひゃめっ!あはっ!!っはははははははは!!」


 ミコは体の中で舌がどういう動きをしているのか全く把握できない為突然脇腹を突っつかれたり、へそを重点的に舐められたり、足全体に這い回ってきたり、次にどこをくすぐられるのか全く予想できない。


「ふふふっ!ふひっ!ひゃっははははははははははは!!だめっへへへへへへへへへへ!!」


 足をバタバタと動かして抵抗するも、狭い口内では大して動けず、くすぐりを妨害するに至らない。


「そろそろ助ける?」


 ユカが提案し。


「私はもうちょっと見ていたいけど、まぁいいか」


 ニナが賛同する。モモは元よりユカに判断を任せている。


【魂狩:ソウルハント】


 ニナが技を発動し、闇の斬撃がサンドワームを両断する。


「はぁっ……はぁっ……きっつ……」


 疲弊したミコを回復し、4人は先へ進む。


「そういえば、ピラミッドってどのくらい遠いの?」


 ミコがふと気になってそう聞く。


「えっと、2時間ぐらい?」


 ニナが素直に答える。


「結構遠いのね」


 今日は着いたらそのまま終わって攻略は明日になりそうだと苦笑いを浮かべるユカ。


 そのまま歩き続けると、不意に砂の中から20センチ程の大きさのネズミが10匹現れる。


「なにこれかわいい。……ペットに出来ないかな?」


 小動物が好きなミコが無邪気に駆け寄ろうとするが、ユカがそれを制止させる。


「サンドラットね。小さくてすばしっこいから気を付けて。服の中に入ろうとしてくるよ」


 ニナが解説する。

 サンドラット。体力や防御力は砂漠の魔物の中で最も低いが、小さい体に高い敏捷値に群れで行動する性質から苦戦する者は多い。


「何か攻撃し辛いなぁ……。ていうか槍で当てるの難しそう……」


 等と愚痴を零しつつも槍を構え、接近してくるサンドラットに槍を振るう。


「来ないでっ……!」


 モモは4匹のサンドラットに狙われ、聖術を駆使し距離を取ろうとする。


【聖術:ホーリーバレット】


 モモがサンドラット達に向かって手を翳し、魔法陣を展開する。直後、魔法陣から何発もの光の弾丸が散弾銃の様に発生し、サンドラットを撃ち抜こうとする。


「今ので一発かすった程度……速いわね」


 そもままサンドラットはモモに急速接近する。


【聖術:サンチュクアリ】


 聖術を発動すると、足元に魔法陣が広がりモモを中心とした半径1メートルのドーム状に薄い光の膜が生まれる。

 これは魔法陣の内部を聖域と化し、自身とパーティー以外の侵入の一切を阻む聖術である。外部から内部に攻撃は出来ないが、その逆も同様なので時間稼ぎしか出来ないスキルだったりする。


「術が切れる前に助けて貰いたいけど……」


 そう呟いて他の戦況を見守る。

 ユカとミコは持ち前の敏捷値を活かし、距離を保ちながら攻撃を当てようと奮戦している。

 一方、ニナは。


「にゃっはははははっはははははははは!」


 服の中を4匹のサンドラットに侵入され大声で笑い悶えていた。


「はひっ!ひゃっははははははははは!いいっ!あっはははははは!」


 サンドラットはニナの素肌をふさふさの体で駆けまわったり、時に舐めたり引っ掻いたりしてくすぐる。


「あははははははっ!あははっ!はひっ!っはははははははは!」


 ちなみにニナの実力的に振り払う事は十分可能であるが、彼女に振り払う意思はない。


「ふふふふっ!ふはっはははははははは!あっはははははははははは!」


 その頃、モモ。


「くっ……!ふふっ……!やっ……!んっ……!」


 術の効果が切れ、ローブの中に侵入したサンドラットを追い出そうと抵抗するが、中々捕らえられず苦戦している。


「ふ…ふっ……!ふはっ……!は……ひっ……!」


 その場に座り込み、袖から腕を引っ込めて体中を縦横無尽に走り回るサンドラットを捕えようとする。


「だれ……か……っ!はやっ……!ふふっ……!ふひっ……!んっ……!」


 必死にくすぐりに耐え、体を震わせながらも一匹づつ追い出していく。


「くっ……ふふっ……いいっ……加減にっ……!」


 最後の一匹を追い出すと、サンドラットを発動し、聖域を展開する。


「ごめん、おまたせ!」


 丁度サンドラットを倒したユカがモモを襲っていた4匹を倒そうと動き出す。

 最早慣れた手捌きでクナイを取り出し、サンドラット達に向けて投げる。

 クナイは正確に飛んで行き、2匹が直撃して光となり消えていく。


「外したっ!」


 そのまま接近し、飛び掛かって来る一体を忍者刀で切り捨て、残った一体に向けて手を翳す。


【忍術:風遁・旋風】


 術が発動すると、小規模の風の刃で作られた竜巻が発生し、サンドラットを切り裂いて撃破する。


「あとはミコ……は丁度終わったか。ニナちゃんは……」


 ニナの方を確認すると、蒼い炎が膨れ上がり体に群がっていたサンドラット達を焼き払っていたところだった。


「い、いやー……倒すのに苦労したわー……」


 何かを隠すような態度にミコとモモが疑問を抱きつつも、回復を行い先に進もうとする。

 尚、ユカは何となく察していた。


 そのまま歩き続け、やたら頻繁に襲ってくるサンドワームを撃退しながらピラミッドに辿り着く。

 しかし夜も遅くなってしまったので攻略は明日でという事になりログアウトする。


 とある家、ベッドで横になる白の髪の少女。


「あの3人……やっぱり似てるなぁ、あのクラスの子に……。本人かな?でもゲームで聞くのはマナー違反だし、リアルで聞くのもリスクが高いし……。もし本人達なら、仲良くなれるかな……」


 少女はそんな事を呟き、眠りに落ちる。

次回ピラミッドに入ります。

その前に番外編挟むか迷う。

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