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26話

バレンタインは特にネタが思い付かなかったのでスルーしました。


ニナの容姿を書いてない事に気付いた……

「前衛を探そう!」


 久々の単独行動を終えた翌日。適当な喫茶店で集まると、ミコがいきなりそう言いだす。


「いきなりどうしたのよ」


「いや、ほら。私達のパーティーって前衛が足りないじゃん?私も中衛みたいな動きしてるし」


 昨日の単独行動で思い付いた事を伝える。


「本来なら、敵の攻撃を引き付けるのはみこの役目なんだけどね?」


 ユカがそう言ってミコを睨むと、咄嗟に視線を逸らす。


「でも私達と同じぐらいのレベルの女性プレイヤーとか、都合よくいる?」


「それを団長に聞こうかなって思ったの」


 そのまま残った食事を食べ終えた3人が団長室まで移動する。団長室へ入るとリリィの他にもう一人、黒いマントを羽織った少女が居た。


「団長ー、今大丈夫ですかー?」


 初対面の人の前でも団長によって行くミコ。


「うん、大丈夫だよー。私達も3人に用があったからちょうどいいね」


 そう言って笑顔で迎えるリリィ。


「丁度いい……?団長が私達に用があるとは珍しいですね」


 リリィの言葉に真っ先に反応したのはモモだった。


「うん、この子を3人のパーティーに入れてもらっていい?レベル近いのって3人ぐらいだから」


 リリィはそう言って黒マントの少女を手で紹介する。

 紹介された黒マントの少女は、黒マントを両手で翻し、中二っぽい決めポーズをとる。マントの中には黒い鎧の様な服を着ている。150センチ程度の身長に、膝まで伸びた金髪をツインテールにしており、髪と同じ長さの赤黒いリボンが巻き付くように結ばれている。


「私はニナ、漆黒の死神だよ!」


 一瞬、部屋から全ての音が失われる。


「えっと、順を追って説明するね?」


 若干呆れたような顔をしたリリィが説明を始める。


「マップの東の端っこの方に、ハテノ霊園っていう場所があるの。で、そこには死神っていう魔物娘がいるんだけど、この子はどうやっても倒せない上に捕まっただけでお仕置き部屋行きだから、普通は出会ったら逃げるんだけど」


「私、あの子の激しいくすぐりが好きで、気付いたら100回も捕まっちゃったのよねー」


 その一言で3人は少女が変態であると認識する。ユカは若干、共感を覚えたが。


「そしたら死神ちゃんが、これをあげるから二度と来ないでって言って『死神の心得』というアイテムを手に入れたのよ!」


「まぁつまり、この子はユニークジョブの『死神』に転職したんだけど、ずっと死神に付きまとっていたからレベルがそんなに高くないから、一番近いユカちゃん達のパーティーに入れてあげて欲しいなって事よ」


 モモは途中から思考を放棄し、ユカはそういう事かと納得する。


「団長、タイミングすごくいいです。私達、前衛が欲しいなって思ってたんですよ」


 真っ先に言葉を発するのは、やはりミコ。


「ほう、これが以心伝心という奴ね。まぁ何はともあれ、仲良くやってあげてねー」


 そのまま3人と1人は何故かユカの部屋に集まり、メイド二人が出したお茶と菓子を摘まみながら会話する。


「それで、えっと……ニナさんはどういった立ち回りが得意なのかしら?」


 最初に話を切り出したのはユカ。


「ニナって、呼び捨てでいいよー。死神は攻撃型魔法職、みたいな感じかな?装備とステータスは魔力重視で、耐久値と敏捷値も結構上げてるよ。でも物理スキルも結構あって、物理攻撃力と魔法攻撃力を入れ替えるスキルも持ってるから、基本前で戦う感じかな?まぁ武器は鎌以外装備出来ないんだけどね!」


 頭の中でまとめるユカ。思考を放棄するミコ。初めからユカの事しか考えていないモモ。

 取り敢えず一回一緒に戦ってみようという事になり、移動する。

 4人が訪れたのは、かつてユカとミコが一緒に挑み、敗北したドッペルゲンガーが出現する場所。道中のミミックは無視して、罠はユカが看破し、危なげなく最深部まで到着する。


「前回はみこと一緒に来たのよねぇ」


「前とは違う、今度は負けないよ!」


「4人全員分出てきたら、私の分身を真っ先に潰すべきよね。回復するだろうし」


「ドッペルゲンガーかぁ。自分にくすぐられるってどんな感じなのか興味あるけど、それは今度の楽しみにとっておこうっと」


 部屋の中に入りある程度進むと、見覚えのある演出と共に4人のドッペルゲンガーが姿を現す。


「速攻で決めるわ!先ずは回復役から!」


 ユカが縮地を使い、モモの分身に肉薄する。


「おぉ!それが縮地かぁ」


 関心を抱くニナに、ユカの分身が同じく縮地で接近してくる。


「甘いね!」


【死神技法:魂の葬炎】


 接近してくるユカの分身に右手を向けて術を発動すると、蒼い炎が生まれ、一気に増幅し、ユカの分身を呑み込む。

 一方、ユカはモモの分身に肉薄し、その勢いのまま刀を振るう。分身はそれを聖術で生み出した光の壁で防ぐ。


「この壁硬いなぁ」


「ユカさん、その壁は物理攻撃しか防げないわ」


 一番後方から戦況を分析していたモモが、ユカに攻略法を教え、聖術を放ってニナの分身の動きを阻害する。


【忍術:火遁・業火】


 モモの声が聞こえたのとほぼ同時に、ユカは忍術を発動する。


「今度は負けないよ!」


 ミコは、最初から自分の分身と戦っていた。前回1対1で負けたのが相当悔しかったのか、戦闘が始まるとほぼ同時に突っ込んでいった。


「ふふんっ!私だって学習してないわけじゃないもん!」


 ドッペルゲンガーの攻撃を的確に捉え、捌いていき隙を窺う。

 一番早く決着がついたのはニナだった。


【死神技法:コンベルティーノ】


 スキルを発動するとニナの体が一瞬光り、物理と魔法の攻撃力が入れ替わる。そして強くなった力で鎌を思いっきり振るい、ユカのドッペルゲンガーを弾き飛ばす。


「余が引導を渡そう。さぁ、朽ちよ」


【魂狩:ソウルハント】


 前々から考えていた決め台詞を言い放ち、技を発動する。するとニナの鎌に闇が集まり、凝縮され、ニナがそれをユカの分身に向けて振るうと、闇が斬撃の様に飛びドッペルゲンガーを両断し、撃破する。


「また、つまらぬものを切ってしまったわ」


 決めポーズをとってそんな事を呟くニナ。


「終わったのなら、加勢してくれるとありがたいのだけれど?」


 聖術を駆使してニナのドッペルゲンガーを抑えているモモが若干睨みながらニナに助けを求める。


「あ、はい」


 ニナは自分のドッペルゲンガーに向かっていく。


【忍術:水遁・流撃】


 ユカの戦闘も、ユカの放った忍術が強烈な水の砲撃となってモモのドッペルゲンガーを撃破する。


「ふう。聖術師って守りに専念されると結構手強いわね」


 モモのドッペルゲンガーが居た場所を見つめてそう呟いた後、他の所へ加勢しようと周囲を見渡す。


「やるねぇ、私の偽物!でも、私もあれから成長したよ!」


 ミコは自分のドッペルゲンガーを相手にしながら、巧みに槍を捌き、身をこなし、互角に張り合う。

 物理職は魔法職に比べ、プレイヤースキルが要求される事が多い。


「くっくっく、こういう時の為に、ルナさんとかアイカさんに訓練をお願いして必殺技を覚えて来たんだよ」


 ミコはそう言って後ろに大きく飛び退く。そして槍を斜めに構える。


【ソニックブレイカー】


 スキルが発動した瞬間、ミコの姿が消え、ドッペルゲンガーが倒れる。ドッペルゲンガーの後ろにはいつの間にかミコが立っていた。

 物理職は魔法職と違い、上級スキルが存在しない。代わりに、自分で組み立てられるオリジナルスキルという物が存在する。これは、様々な動きや特性や属性を組み合わせ、自分でスキルを作り出すシステムである。このシステム自体は初期から使えるが、プレイヤーのレベルアップと共に使える要素や動きが解放されていく為、最初の頃は強力なスキルを作る事は出来ない。

 そして今回ミコが行使したスキルは、アイカが生み出した中級の頃から使える上級スキルで、威力は上級の中でも控えめだが、ある程度の防御力を無視出来るという特性がある。


「んー……いつか私もこんなスキルを自分で作りたいなぁ」


 消えて行ったドッペルゲンガーの居た場所を見つめながら槍を軽く構えてそんな事を呟くミコ。


「自分の偽物かぁ、早めに潰さないと不味いなぁ」


 鎌を振るい、自身のドッペルゲンガーに猛攻を仕掛けるニナ。


「まだ職業レベル低いから、もう他のスキル無いんだよねぇ」


 一応転職してから軽くレベルは上げたが、これまでに使った3つ以外のスキルは習得していなかった。

 愚痴を零しながら鎌を振るって攻撃していると、横からユカが突っ込んでくる。


「苦戦しているみたいだけど、手伝った方が良いかしら?」


 ニナも自分と同じユニークジョブ持ちなユカの実力が気になっていたので「じゃあお願いっ」と言って後ろに下がる。

 ユカは忍者刀を振るい、ニナのドッペルゲンガーに猛攻を仕掛ける。ドッペルゲンガーはなんとか隙をついてユカを拘束しようとするが、体術スキルを地道に上げてきたユカの動きを捉えられず翻弄される。


「なるほどー、敏捷値と器用値がすごく高いね」


 ニナは遠くから鑑賞モードに移行していた。

 因みにユカは唯一習得している上級忍術は、自分の力で手に入れたスキルではない為PKに襲われた時以外は他の上級忍術を習得するまで使わない様にしていた。


【忍術:火遁・業火】


 鎌を弾き、ゼロ距離で中級忍術を叩き込み撃破する。


「お疲れーゆかちー」


「お疲れ様ー」


 そのまま4人は街へと帰還する。

 そしてミコが早速クエストを報告に道具屋に向かおうとすると、ニナが「ちょっと話したいことがある」と言ってユカを捕まえ、適当に見つけた個室のレストランへと入っていく。


「それで、話って?まぁ何となく予想は出来るけど」


「ほら、ユニークジョブ持ちって私とユカちゃんとイリーナさんぐらいだから、話を聞きたいなって。後、同類の匂いがするから」


 どんな匂いよ、と思いながらも突っ込まない事にするユカ。そのまま二人は語り合う。現在判明しているユニークジョブの性能の事や、これからどんなスキルを覚えそうか、どんな感じに成長するのか、どのような動きをすればもっと使いこなせるか。等といった真面目な話からどのような魔物が、シチュが、どこをくすぐられるのが好みか等といった話に変わっていく。


 一方その頃、ミコは一人で道具屋にクエスト報告に来ていた。モモは眠いからとログアウトした。本音はユカ以外に興味が無いのでさっさと寝て明日に備える為だったりする。

 道具屋に入り、ドッペルゲンガーが落とした指輪を店員の『ホノカ』に渡すミコ。銀色のポニーテールに前髪で左目が少し隠れている髪型に黒の瞳を持ち、どこかあどけなさが残る顔立ち、オレンジ色のロングスカートワンピースの上に白のエプロンを纏った店員さんはそれを見ると笑顔を咲かせて受け取る。


「わぁ、ありがとうございます!お礼をお渡ししますので、どうぞ奥の部屋へ」


 アイテム等を渡すだけではないのかと思いつつもカウンター裏の奥にある扉に招かれるミコ。


「ところで、お客様はされるのとするの、どちらの方がお好みですか?」


 その質問で、ミコはこれからここで何をするかを察する。そしてどっちが良いか考え、思えばする側に回った事がほとんどない事に気付く。


「えっと、優しくなら、される方……」


 このゲームをやるようになり、激しくないならされても良いかもと思うようになったミコはそう答える。


「ふふっ、分かりました。ではそこのベッドに横になってください」


 言われた通りにベッドに横になるミコ。ホノカはそんなミコの両手両足を柔らかいリボンの様な布でベッドの支柱に縛って動けなくする。


「では、まずはこの筆で優しく……」


 ホノカはミコの上着を片手で捲り、もう片方の手に筆を持ちお腹を優しく撫で始める。


「んふっ……くっくく……ふひっ……んん~~……」


 筆がミコのお腹を撫でる度に、ミコはくすぐったそうな声を漏らし、体が少し動く。


「可愛いおへそ……ふふっ……いっぱいなでなでしてあげます」


 おへそを重点的に責め始めるホノカ。


「くひっ……ふっふふふふ……はふっ……ふっ……んん……」


 刺激から逃れようと体を動かすミコ。しかし四肢が縛られている為さほど動けず、ホノカの腕はその動きに合わせてお腹を捉え続ける。


「それじゃぁ、少し強く……こしょこしょ~~」


 ホノカの手が、素早く小刻みに動かされる。


「ふはっ!?っはははははははは!あっははははははは!」


 突然刺激が強くなって驚いたミコは我慢する事が出来ず笑い声を部屋に響かせる。


「ちゃんと防音の結界を張っておきましたから、好きなだけ笑っていいんですよ」


 手を一切緩めないホノカ。


「ふひっ!ふっふふふふふ!あっははははは!……はぁっ、はぁっ」


 突然くすぐるのを止めるホノカ。何故だろうとホノカの方へ視線を向けると、人の腕程の太さの筒状の機械を取り出していた。


「うふふ……これ、何だか分かりますか?この先端、ハーピーの羽で作られた羽毛なんですよ。つまり、ハーピーの羽で作られた耳かきの梵天が、この先端に敷き詰められているんです。そして、このスイッチを押すと高速回転するんですよ」


 そう言って試しにスイッチを入れると、言った通り機械の先端の羽毛がびっしりと敷き詰められた部分が拘束で回転し始める。ミコはこれから何をされるのかを察する。


「上着を捲って……」


 ミコの上着をギリギリ下着が見えないくらいまで捲り上げる。


「どれだけくすぐったいのかな?では、いきますね~」


 機械のスイッチを付け、ミコのお腹に這わせる。


「~~~~~~っ!!」


 瞬間、ミコの体がビクッと跳ね、口を必死に噤む。


「我慢する表情も可愛らしい……ふーー」


 ゆっくりと顔を近づけたかと思うと、ミコの耳に息を吹きかけるホノカ。


「ひゃぁっ!?っははははははは!!あっはははははははははは!!」


 予想外の刺激に声を上げてしまい、それが切っ掛けとなって大声で笑いだすミコ。


「ひゃっははははははははははは!!あぁっはははははははははは!!これっ!くすぐったいぃぃぃぃっ!」


 優しく撫でられただけで弱い人は笑い悶えるというハーピーの羽毛が、高速回転している。その刺激は普通は耐えられるものではない。


「はぁぁっはははははははははははは!!あはっ!!っはははははははは!!」


 刺激自体は優しい。柔らかい物に撫でられているだけなのに、異常なほどくすぐったく感じる。そんな刺激にミコはただ笑い悶えるしかない。


「あぁっはははははははははは!!はひっ!ひゃっははははははははははは!!……はぁっ!……はぁっ!」


「あぁ、満足です……またされたくなったら来て下さいね?」


 ほどよい疲労感からか、ミコはそのまま寝落ちてしまった。

次はくすぐり多めになるかも。

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