番外編 ヘーニャ
20話書きながら思いついた短編。
時間的には20話と19話の間ぐらいです。
アイリスの庭園内の、様々な店が建つ商店街。その一角にヘーニャの工房があった。
モモとミコは集めた素材を持って、そこを訪れていた。
「……いらっしゃい」
口数は少ないが、表情は豊かで、二人を迎える。黒のゆるふわロングの髪は膝まで長く、かなり幼めに作られたキャラは小学生に見える程である。
「ヘーニャさん、この素材で新しい武具を作って欲しいんだけど」
「……ん、分かった」
そう言ってヘーニャは素材を受け取る。
「……料金はどうする?……このレベル帯なら……一式で……5万G……特別コースで……1万G……」
ヘーニャは装備製造の依頼を受ける時、5分間くすぐらせてくれれば価格を8割引きにする特別コースを用意している。
「う……くすぐられるのは苦手だけど、お財布厳しいから特別コースで……」
「私も……」
ユカは自分のスキルで作れるため、と言うより自分のスキルでしか作れない為、ここに居ない。
「……ふふっ。……了解」
明らかに嬉しそうな笑顔を見せる。その様子は一見すると、嬉しそうなただの子供である。
そのまま二人は地下の別室に案内される。
「……それじゃ、……入って」
2人は招かれるまま、部屋に入る。そこには大きめのベッドが置かれ、部屋の奥には大きめの倉庫が置かれ、部屋自体はピンクの壁紙とカーペットが敷かれているので、一見すると子供部屋のように見える。最も、所々に置かれたくすぐり道具が雰囲気を壊しているが。
「……どうしよっか。……どっちが……私にくすぐられたい?」
そう言いながらヘーニャはアイテムボックスを操作して何かを物色している。
「じゃあ私が」
何かを察したモモがミコより早く名乗り上げる。
「……そう。……じゃあ……このベッドに寝転がって」
モモは言われた通りにベッドに寝転がる。
「……ミコちゃんは。……そうね……これを着て貰おうかな」
そう言ってミコにセーラー服を渡す。
「セーラー服?」
疑問を抱きつつも、一度アイテムボックスに入れて選択し、装備する。
ミコが装備したのを確認すると、何時の間にか取り出していたタイマーを起動し、ベッドに取り付けられている机の上に置き、純白の修道服を着ているモモの体に手を這わせる。
「……まずは……服の上から……脇腹もみもみ」
そう言って脇腹を両手で掴み、ゆっくりと揉みだす。
「んっ……ふふっ……」
モモから僅かに笑い声が漏れる。
「くひっ!くっふふふふ!」
そんな中、ベッドの横でミコがくすぐったそうに笑っていた。
「何っ!この服……っ!ふひっ!」
一見するとただのセーラー服にしか見えない服を両手で抑え、その場にへたり込む。
モモをくすぐりながら、ヘーニャは嬉しそうに説明する。
「ふふふっ……脇腹ばっか……ふひっ……」
「……そのセーラー服……触手服って言って……服の内側に……触手が生えてるの……」
触手服は裁縫スキルの熟練度がマックスの時、特殊な素材を使って服を作ると一定確率で完成する装備である。その希少性から、かなりの高額で取引される品である。特にセーラー服やメイド服等の衣装は伝説級の武具に匹敵する程の値段で取引される。
「くっくくくくく!だめっ!もうむりぃっひひひひひひひ!!ぁっはははははははははは!!」
お腹や太もも、鼠径部、お腹、脇等、服の内側を満遍なく柔らかい触手が撫で回し、あっという間に我慢が限界を迎える。
「……女の子の笑い声を……BGMに……女の子を……優しくくすぐるのも……いいもの」
満足気な笑顔を咲かせながらモモのローブの中に侵入し、脇腹を直接くすぐり始める。
「くっふふふふ!ちょっと……!中にはいらにゃっ!……っふふふふふふ!」
羞恥心からか、くすぐられているからか、モモの顔はほんのりと赤い。
「ひゃっはははははははっははははははは!!っはははは!!あはっ!はぁっ!はひっ!っ!~~っはははははははははは!!」
床をのたうち回るように体を動かすが、触手を肌に押さえ付ける為、逆効果である。
「……ふぅ。……服の中に……入るのも……小さい者の……特権……」
そう言って足の方に移動するヘーニャ。
「ちょっと、まって。足だけは……」
「……へぇ。……足、弱いんだ。……こしょこしょこしょ~~」
左足の上に乗っかり、足の裏を両手でくすぐるヘーニャ。
「……っ!!~~~~っ!!くふっ!!んっ!」
途端に口を両手で抑え、体を大きく動かすモモ。
「……何処が弱いかな。……指の付け根や……間とか?」
「くふっ!!んんっ!~~~~っふふふ!!」
「やぁっははははははははははははは!!やめぇっへへへへへへへへへへへ!!」
モモの口から抑えきれない笑い声が漏れる。
ミコは服に翻弄され続ける。
「……王道。……土踏まず」
「~~~~~~っ!!!」
「……ぺろっ」
「ひゃぁっ!?ぁっ、やっ!~~~っふっははははははははははは!!」
突然指の付け根を舌で舐め、声を上げた瞬間を狙い、土踏まずを10本の指で激しくくすぐる。
「やめっ!っふふふふふふふふふふ!!っはははははははははは!!」
「にゃっはははははははっはははははは!!もうむりっ!もうむりぃっひひひひひひひ!!っはははははははははは!!」
2人がほぼ同時に音を上げた所でタイマーが鳴る。
「……ん。……鳴った」
モモの足から退き、ミコの服を無理矢理引き剥がして回収する。
「……じゃ、作ってくるから。……落ち着いたら……上がっておいで」
そう言ってヘーニャは部屋から出て行った。その顔は満面の笑みであった。