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20話

 イリーナが降星術師になった日。ユカ達は『ティクリス研究所跡』に来ていた。


「ここは全部で地下5階まであって、私達のレベルで狩れるのは一階までだから、地下にはいかないようにね。特にみこ」


「分かってるってー」


 研究所の名の通り、機械系やキメラ系の魔物が跋扈するダンジョンである。


「これが黒氷石で作られた槍かぁ。鉄で出来た機械も壊せるのかな」


 そう言って新品の槍を眺めるミコ。

 3人は研究所内に入り、探索する。すると、成人男性程の大きさの戦車の様な姿の機械が現れる。だが、その胴体は立てに細長く、砲塔は存在せず、代わりに6本の腕と、拘束用アームが生えている。腕には円柱型の埃取り用のモップが取り付けられている。名前は『モップ君』

 余談だが、機械系の敵の名前を担当した人は、ネーミングセンスが無い事でゲーム内で有名だったりする。


「早速出て来たわね」


 モモが杖を構え。


「機械系は物理と雷の耐性が高いから注意して。動きは単調だから動きをよく見れば回避しやすいわ」


 ユカが姿勢を低くして刀を抜き。


「くっくっく、我が槍の錆にしてくれよう!」


 ミコが槍を構えていきなり突っ込む。


「本当に、ミコは学習しないわね……」


「あ、捕まった」


 槍を振るい、モップ君の体を両断しようとするが、金属同士がぶつかった音が響き、槍は体に阻まれ止まる。その隙をついてモップ君の拘束用アームがミコを捕える。


「何ですぐ捕まるのにノースリーブの服を選ぶかなぁ……」


 因みに新調されたミコの防具は、白のノースリーブにショートパンツという、くすぐりに対する防御性が貧弱な装備だったりする。


「モップが回転し始めたわね。的確に素肌を狙って動いてるわ」


 全てのモップが回転し、ミコの両脇、内もも、服を捲り、お腹をくすぐる。

 ミコは両手を拘束されて宙に浮かされている為、逃げる事が出来ず、口をぎゅっと閉じて必死に耐えながら、二人に『助けて』と視線を送る。


「地味にくすぐったそうねー。結構回転も早いし」


 勿論二人は助ける気が無い。ミコはいつも突っ込んでは捕まってを繰り返すため、その癖を治させる為に敢えてすぐに助けない様にしている。モモはくすぐられてる姿を見たいという理由ではない。


「回転速度に差や変化をつけてきたわね」


 モップを小刻みに動かしたり、回転を速くしたり遅くしたり、モップ全ての回転速度を変えたりと、くすぐりに変化を与える。


「あ、吹き出した。ああなったらもう耐えられないよねぇ」


 遂に我慢が限界を迎え、大声で笑いだすミコ。


「凄い助けを求められてるわね。どうする?」


「もうちょっとHP減ってからかな」


 自由な両足をバタバタと動かして必死に抵抗するが、相手は機械なので無意味に終わる。


「太ももでモップを挟んで回転を止めたわね。……すぐ放したわね」


 太ももでモップを挟む事によって一時的に回転を止めるが、止めた瞬間モップが強い振動を起こし、耐え切れず放してしまう。


「そろそろ助けますか」


 HPが残り2割を切った所でユカが縮地で距離を詰める。


【忍術:火遁】


 そのまま火遁を0距離で撃ち、モップ君を倒す。機械系は全体的に火と水に弱い。耐性装甲が無かったらの場合だが。

 解放されたミコをモモがヒールで癒す。


「なんで……すぐ……助けてくれないのさ……」


「みこがすぐ突っ込む癖を治すまですぐには助けないよ」


 ミコが落ち着くまで待つ。


「言い忘れてたけど、一層でも徘徊型ボスの『ティックロイド』が出て来る場合があるから気を付けてね。私達のレベルじゃまだきついから」


 徘徊型ボス、『ティックロイド』

 常に5体集団で、研究所内の各層を徘徊しているボス。感情シミュレーションが搭載されてない為、人型だがくすぐりが効かない。動きも素早く、連携して捕まえてくる為、かなりの強敵である。さらに、知能も高く、弱い部分を見つけると、そこを重点的にくすぐってくる上、機械の為手加減を知らず、拘束の力も強い。


「後、ダンジョンで全滅すると、酷い目に合うから、本当に気を付けてね?」


 ユカはミコを見つめながら、後半を特に強く言う。

 ダンジョンで全滅した場合、隔離された『お仕置き部屋』と呼ばれる場所に強制ワープされる。そこでダンジョンごとの方法で10分間くすぐられ続けるのである。この研究所で全滅した場合は、特製のくすぐり椅子で全身をくすぐられたり、5体のティックロイド達にくすぐられる事になる。どちらになるかはランダムであり、パーティーであっても別々の個人部屋にワープされる。


「大丈夫だよー」


 楽観的なミコ。

 探索を再開し、敵を探す3人。歩く事1分程で次の敵が姿を現す。

 ベッドに機械の4本脚が生えたような姿をし、ベッドの横から10本ものマジックハンドが付けられている『お仕置きベッドちゃん』と、円柱型の胴体に機械で出来た真っ黒な触手をびっしりと生やし、触手の先端は丸く、小型の振動装置が取り付けられており、胴体の真下に付けられたタイヤで移動する『触手さん一号』


「2体かぁ、捕まらない様に注意してね。特にみこ」


 エリアが形成されると触手さんが3人に突っ込んでくる。3人は大きく飛んで回避する。


「まぁ、そう何度も捕まらないって」


 ミコは着地すると槍を構え、相手の様子を見る。


「さて、どうしましょうか……」


 モモは着地すると、すぐに術の準備をする。モモの元にガションっと足音を響かせながらベッドちゃんが歩み寄って来ているからである。


【聖術:ホーリーカッター】


 モモが術を発動し、光の刃がベッドちゃんを襲う。が、キンッと音が響くだけで、大したダメージを与えられない。ホーリーカッターは聖術だが、物理属性も含んでいる。

 モモは後ろに飛び、距離をとる。怯む事無く歩を進め、捕えようとマジックハンドを縦横無尽に動かすベッドちゃん。


「モモさんの方、助けてあげたいけど……」


 ユカとミコは様々な方向から迫りくる触手を防ぐので手一杯であった。


【聖術:ホーリーライト】


 聖術に態勢は無いが、物理耐性が高いため、満足なダメージを与えられないモモ。物理属性を含まない聖術で対抗するが、満足にダメージを与えられない。

 やがて壁に追い詰められたモモの片手がマジックハンドに捕まれ、驚いた隙に残りの手と両足も捕まる。そのまま引き寄せられ、ベッドにうつ伏せに寝かされる。


「放し……!ひゃんっ!」


 抵抗しようと体に力をこめるが、術師の筋力では抜け出せない程力が強い。そのまま残った6本のマジックハンドの内、2本が左右からモモの脇腹を突っつく。

 因みに新調したモモの防具は真っ白のローブで長袖だが、下は膝より少し上程しか丈が無く、黒のタイツを着用している。

 モモの反応が気に入ったのか、設定されたプログラムなのか、執拗に脇腹をツンツン突っつく。


「くっ……!ふっ……!んんっ……!やめっ……!離しっ……!ひっ……!」


 突っつかれる度に体がビクンと反応し、笑い声が漏れる。そして2本のマジックハンドがモモの脇を細い指でこちょこちょとくすぐり始める。


「くふっ!ふふっ……!んっ、くっふふふ!やっ……!はなっ!っふふふふふ!」


 そして残った二本がモモのブーツを脱がし始める。


「ふふふっ!だめっ!くふっ!そこはっ!ふふふふふふっ!!」


 ブーツを地面に置き、タイツ越しに足の裏をカリカリとくすぐり始める。


「くっふふふふ!!ふはははははっ!!やめっ!よわいからぁっはははははははは!!」


 今まで以上に笑い悶えるモモ。


「あっははははははははっ!!離してっ!離してっ!っふふふふっふふふ!!」


 一方、ユカ達。


「ゆかちーっ!たすけてへへへへへっへへへっ!」


 ミコが案の定触手に捕まり、素肌を触手が振動しながら撫で回してくすぐっていた。


「ふひっ!くはっはははははははははっ!!これっ!くすぐったいっ!あはっ!あっははははははははは!!」


 ユカが救助を試み、クナイや手裏剣を投げるが、機械で出来た触手は固く、切り裂く事は叶わない。更に、ユカの方にも触手は襲ってきている為、術を行使する隙が無いのである。


「やっはははははっはははは!!だめだめぇっへへへへへへへへへ!!」


「ふふふふっははははははははははは!!足はっ!やめっ!っふふふふふふふふ!!」


「くっ!触手の数が多いっ!」


 刀で弾き、縮地で躱し、なんとか凌げているユカ。

 因みにユカ達は知らなかったが、研究所は戦闘時間が一定時間経つと、天井から敵が降ってくるギミックが存在する。

 突如、ユカの頭上にある天井が開き、そこから機械が一体降ってくる。


「えっ!?」


 突然の事で不意を突かれたが、縮地でなんとか距離をとる。そこには10センチほどのダンゴムシの様な姿をしたロボットが居た。


「増援とか聞いて無いんだけど……」


 愚痴を零しつつも油断なく注意して触手を躱す。突如、ダンゴムシ型のロボットがユカに突撃する。

 注意していたユカはクナイを投げ、ダンゴムシを貫く。が、ダンゴムシが突如爆発し、水色の霧をまき散らす。


「なにこれっ!?」


 全く予想していなかった出来事に判断が遅れ、ユカは霧を吸い込んでしまう。すると、強烈な眠気がユカを襲う。


「ふぁ……しまっ……」


 そのままユカは眠ってしまい、簡単に触手に絡めとられる。そして、触手は次々と服の中に侵入し、全身を振動している先端で撫で回す。


「あっはははははははははははっははははははははははははは!!!何っ!?だめだめだめぇっへへへへへへへ!!くすぐったすぎるよぉっっはははははははっはははははははは!!!」


 ユカは現実でくすぐられているのと同じ刺激を受け、大声で笑い悶えていた。現実と違う点は、夢の世界では周囲に何も存在しない事。つまり、ユカは見えない触手に全身をくすぐられている感覚に襲われている。


「あっはははははっははははははははっ!!多すぎっ!だめっへっへへへへへへへへ!!ふふふふふっっははははははははははっ!!はぁっ!はぁっははははははははは!!やぁぁっはははははっははははははははは!!!」


 勿論大量の触手にくすぐられているせいで、HPは一気に減って行く。


「あっははははははははははははは!!やぁっははははははっはははははははっ!!むりっ!たえられないってばぁっははははははっははは!!」


 そしてHPが0になり、ミコとモモ同様、全滅となってワープされる。

 ユカが送られた先の部屋では既に5体のティックロイド達が待ち構えていた。銀髪のセミロングの美少女達だが、顔は無表情で感情は無く、全員が同じ顔である。一体が後ろからユカを抱きしめ、ユカは座椅子に腰掛けているような体勢になる。そのままもう一体がハサミを取り出し、ユカの服を切って穴だらけにする。尚、切られた服は街に戻れば完全回復する。

 そして生まれた穴から、抱き締めていた子が手を突っ込み、ユカのお腹を撫で回す。


「ふふっ!んっ……。くすぐったい……」


 体が全く動かないユカはされるがままになるしかなかった。

 二体が左右からユカを挟むように座り、脇と脇腹をくすぐり始める。


「ひゃっ……!やっ……!んん~~……っ!ふひっ!くっ……!」


 残った二体が靴を脱がし、足の裏を両手でくすぐり始める。


「くふっ……!だめっ!つよっ!っふふふふっははははははははは!!」


 いよいよ我慢できなくなり、笑いだすユカ。


「あはっ!あっはははははははははっ!!くすぐったいっ!」


 突如、抱き締めていた子が左の耳を口にくわえ、舐め始める。


「ひゃぁっ!~~~っ!っひひひひひひっ!!それっ!よわっ!ん~~~~っ!!っふふふふふふふ!!っはははははははっははははは!!」


 それを真似てか、足の裏をくすぐっていた子が、足の指を口にくわえ、舌でくすぐり始める。


「ひゃぁ~~~~っははははははははははははっ!!!むりっ!こんなっ!たえられぇっへへへへへへへへへへ!!」


 左右で挟んでいた子も、両手で脇を揉むようにくすぐり、脇を舌でくすぐり始める。


「なめちゃぁっははははははっはははははは!!だめだってぇっへへへへへへへへ!!」


 ティックロイドに翻弄され、ただ笑い悶えるユカ。


「ひゃぁぁ~~~っははははははははははははは!!!はははははははははっ!!あはっ!あっはははははははははははっ!!」


 一方、モモ。

 ワープされ、椅子に拘束された状態で部屋に到着する。

 両手は万歳の姿勢で固定され、足は真っ直ぐ伸ばされた体勢で拘束されている。


「……動かせない。指一本も動かせないのは流石に初めての体験ね……」


 3人でPTを組んで初の全滅だったりする。

 そんな事を考えてると椅子が動き出す。椅子の中から様々なアームが出てきて、モモに見せつけるかのように空中で一度止まる。アームの先端に取り付けられている物は様々で、人間の手を真似たマジックハンドや、回転式のモップやブラシ、触手がウネウネと生えているチューブ、羽箒や細長い梵天に筆から猫じゃらしまで。多種多様なアームを見せつけられる。

 それらを見せつけられ、モモは表情を強張らせる。最も、すぐに笑顔になるが。

 ウィーンという駆動音と共にアームが動き出し、細長い梵天がモモの耳に入ったり、出たりを繰り返す。


「ひっ……、んんっ……、ぞわぞわする……」


 首筋を猫じゃらしと羽箒が優しく撫でる。


「ん……!くっ……!ふふっ……!」


 マジックハンドが何処からか取り出したハサミで、お腹周りの部分を切り裂き、穴を開ける。そこに回転式の丸いブラシが侵入し、モモのお腹をくすぐりだす。


「くふっ!んんっ!やっ!ふふっ!だめっ!」


 段々と余裕が無くなるモモ。

 すると、背もたれの部分が動き出し、マッサージ椅子のように動き、モモの背中を優しく撫で回す。


「ふひゃっ!?やぁっ!ふふふっ!」


 筆が脇腹のあたりから服の中に侵入し、脇を優しくくすぐる。


「ふひっ!ふっふふふふ!だめっ……!これ以上はもう……!」


 マジックハンドが脇腹を揉むようにくすぐる。


「んん~~~~っ!っふふふふふふふ!!ふふふふっ!!んんっ!」


 モップが太ももの上に乗せるような位置に移動し、回転を始める。


「ふふふふっ!!やぁっ!っふふふふふふふふふふ!!だめよ……もう……っ!」


 そしていよいよ、触手が生えているチューブが二本、ブーツを脱がされた足の方へ移動する。


「ふふふっ!まさかっ……。くふふふっ!だめっ!それだけはっ!」


 勿論機械は止まらず、モモの弱点である足の裏を、何十本もの触手が振動している先端で撫で回し始める。


「~~~~~~っ!!っふはっ!!だめっ!!ふふっ!!たえっ!!っはははははははははははは!!!」


 いよいよ限界を迎え、普段の彼女からはイメージ出来ない程大きな声で笑いだす。


「いやぁっ!!やめっ!!っはははははははははははは!!むりむりむりっ!!っっっ!!っははははは!!たすけっ!!っははははははははははははは!!!」


 体は指一本動かせず、逃げる事は不可能。モモは普段の何倍にも感じる10分を体験している。


「ふははははっはははははははははははっ!!!はははっ!!っふ!っふぅっははははははははははははは!!!」


 最後にミコ。

 大の字に寝かされた状態で5人のティックロイド達に容赦なくくすぐられていた。


「あっははははははははははははは!!多いっ!多いよぉっ!っはははははははははははは!!」


 服は捲られ、丸出しの脇やお腹を指が這い回り、太ももをくすぐっている手は、時々ショートパンツの中に侵入してまでくすぐっていた。


「なんでっ!ひゃっはははははははっははははは!!こんなぁっははははははははははははははは!!最初からぁっははははははははっはははははは!!」


 ミコはワープされ、大の字にされた瞬間から激しくくすぐられていた。


「ひひっ!ひっひひひひひひひひひひ!!!たすっ!!っははははははっはあはははははははははっはははは!!」


 大の字になっているミコを5人のティックロイド達が囲み、膝から上を10本の腕で休む事無くくすぐっている。


「動けないっ!!あっはははははは!!!今っ!!っはははははは!!動けないからぁっっはははははっはははははははははは!!」


 懇願も聞かず、ひたすらミコをくすぐり続ける。


「やめっはっははははははははっははははははははははははは!!!たすけてっ!!っはははははははは!!ひゃっはははははははははは!!やらぁっはははははははははははははははははははははは!!」


 やがて10分が経過し、3人はギルドハウスの自室で20分前後、ぐったりとしてベッドに横たわり、休んだ後合流した。

そろそろクリスマスイベント書かなきゃ(しめいかん

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