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一話

 ゲームのインストールが終わり、起動してキャラメイクを始める。


(結構パーツが豊富なのね。結構好みに作れそう)


 性別は当然の様に女性を選択。髪色は水色。髪型は腰まで届くストレートヘアーを選ぶ。

 身長は140センチ程、碧の瞳を持ち幼さの残る顔立ちにしてキャラメイクを終わらせる。

 いよいよ橘優香は「ユカ」としてゲームの世界へを降り立った。

 

「ここが、ゲームの世界…」


 全てのプレイヤーが初めてこの世界にログインした時降り立つ場所でユカは周りを不思議そうに見回す。


「何だか不思議な感じ…自分が自分じゃない体になってる所とか…」


(まずはチュートリアルからよね。右も左も分からないんだし)


 そうしてユカはメニュー画面を開き、チュートリアルシステムを起動する。

 すると、ユカの体が光に包まれチュートリアルマップへと転送される。


(こんな感じで移動出来るとは…流石仮想現実ね)


 チュートリアルマップは学校の体育館ほどの広さの、まさにヴァーチャル空間と呼べるような場所でユカはその中央に転送された。


「こんにちは!私は案内役のナビゲーションフェアリー「マイ」と言います。どうぞよろしくお願いします」


 唐突に数センチ程の大きさの妖精が目の前に現れそう言った。


「あ、どうも。よろしく…」


 突然の出来事に驚き、簡単な反応しか出来なかったユカだが、マイはお構いなしに説明を続けていく。


「まず、職業を選んでもらいます。職業は後で変更する事も可能なので余り深く考えなくても大丈夫ですよ」


 そう言うとユカの目の前に職業の説明画面が現れる。


〇前衛職

・戦士:剣や斧を使う近距離戦に特化した職業。

・騎士:盾と槍を使い防御能力に特化した職業。

・侍:刀を使い攻撃速度とクリティカル能力が高いが防御力が低め。

・狩人:弓を使い中距離戦に強いが近距離には弱い。


〇魔法職

・魔術師:様々な属性の魔法を操り高い攻撃能力をもつ職業。

・死霊術師:幽霊や人形を操り多彩な攻撃で敵を追い詰める職業。

・聖術師:回復や状態異常の治癒に特化した職業。

・召喚術師:契約した魔物等を召喚し数で敵を圧倒する職業。


〇特殊職

・冒険家:道具を使いあらゆる状況に対応出来る職業。

・機械技師:ロボットや銃を使う技術が求められる職業。

・錬金術師:複数の物を別の物に変える技術をもった職業。

・陰陽術師:五行と言う特殊な属性を操る職業。


(軽く下調べした時に職業が豊富で、且つバランスが取れててハズレが無いって話があったけど、予想以上に多いわね。後で変更可能らしいし取り敢えず適当に選びましょうか)


 そう考えたユカは一番簡単そうな戦士を選択する。


「戦士ですね。ではこちらの剣をプレゼントします」


 そういうと目の前に銅で出来た剣が出てきたのでユカは迷う事無く剣を手に取る。


「後、人型の魔物相手に役立つこちらもプレゼントします」


 そういうと今度は猫じゃらしのオモチャが出てきた


(こういうの、意外とあからさまに出してくるのね…)


「次は疑似戦闘を行います。動かないオブジェクトを出すので一通りの動きを試してください」


 疑似戦闘と聞いて一瞬高揚したユカだったが、動かないと聞くとあからさまに落胆する。

 すると目の前にカカシのようなモノが現れたので言われた通り適当に攻撃をしてチュートリアルを終わらせた。


「これでチュートリアルは以上になります。元の場所へ転送しますので良き生活をどうぞ!」


 最初と同じようにユカの体は光に包まれ、最初の場所へと戻ってきた。

 ユカは何となくお預けを食らったような気分になり自分に向かってくる人に気付かないまま町の外へと出て行った。


(居た!)


 町の外の草原を走り回る事数分、ユカは猫の様な見た目の魔物、「ティキャット」を見つけ出し剣を抜いて切っ先を魔物へと向ける。

 すると魔物もあからさまな敵意に反応し、こちらを警戒し睨んでくる。

 その時、自分と魔物の間を中心として白いドームのようなモノが形成されていく。


(これがプライベート戦闘エリアってやつね。思ったより広い…)


 このゲームでは魔物はプレイヤーをくすぐってくる。

 当然、自分がくすぐられている姿を他人に見られたくない人も多いだろう。

 それを解決するのがこの白いドーム、プライベート戦闘エリアである。

 ドームの外からは中を見る事は出来ず、形成時に中に他のプレイヤーがいた場合は外まで押し出される仕組みになっている。

 このシステムがある為、プレイヤーは他人の目を気にせず戦闘に集中出来るのである。


(早く攻撃してきてくれないかしら…)


 ユカは戦闘が始まってから一度も攻撃していなかった。

 と言うよりも攻撃する気がなかった。

 彼女は目の前にいる猫の様な魔物にくすぐられたいのである。

 チュートリアルであの妖精にくすぐって貰えると期待していたが、そんな事は無かった為我慢の限界なのである。

 すると、そんな彼女の気持ちを読み取ったのか偶然か魔物は突然駆け出し一気にユカの足元まで急接近する。


「ふぇっ!?」


 突然動き出し、反応出来ない速度で足元まで接近された為かユカは驚いて足を滑らせ尻餅をついてしまう。

 そのまま魔物は内ももに舌を這わせ、ペロペロと舐めだす。


「やっ……くっふふっ……ふふっ…んっ…はひっ…ぁっ…ふふ…ふひっ…」


 想像していたより弱く、もどかしいがユカはその刺激を楽しんでいた。

 すると視界の左上にあるHPバーが徐々に減って行くのが見えた。


(これが…ふふっ…このゲームの…んんっ…システムってやつね…)


 このゲームはくすぐりの強さに応じたダメージが一秒毎に与えられる仕組みになっている。


(この…まま…楽しんでいたいけど…や…ふひひっ…デスペナがきついし…そろそろ…)


 このゲームはHPが0になりダウンすると所持金の1割を失うというペナルティがあった。

 初期金額をいきなり1割失うのは出来るなら避けたい事態である。

 その為手元の剣を目の前で内ももを舐めている魔物に突き立てて、倒す。

 そのまま魔物は光の粒子になり消えていった。


「ふぅ…」

(舐められてた部分、もう乾いてる…結構親切な設計なのね)


 そうして一息ついたユカは町戻ろうと歩き出すと行く手を二人の人影が遮った…。


「何ですか、あなた達は」


 ユカは行く手を阻むように立ちふさがる男に警戒しそう言う。


「何って、君みたいな子が一人で町の外に出たら俺らみたいなのに襲われるのはこのゲームの常識だろう?」

「たっぷり可愛がってあげるから覚悟しな」


 そう言いジリジリと距離を詰めていく。


(マズイな…逃げるのは難しいだろうし…戦っても勝てないだろうし…)


 少しづつ後退しながらユカはどうやって逃げるべきか考えを巡らせていく。

 すると男の一人が走り出しユカに襲い掛かろうと距離を一気に詰めてきた。


(っ!)


 敏捷値の違いか、ユカや先程の魔物以上の速度で迫ってくる男にユカは反射的に防御の姿勢を取り、目を瞑ると。


「がぁっ!?」


 突然自分に迫って来ていた筈の男の呻き声が聞こえ、何事かと目を開ける。

 すると目の前にはお札の様な物が男とユカの中間あたりの位置に浮いていた。


(…何、これ?お札?何でこんな物が?)


 現状を把握しようと考えを巡らせるが、情報が少なすぎて何が起こっているのか把握できていないユカ。

 だが、自分を守ってくれたと言う事だけは理解できた。


「下衆な男共が…デスペナが惜しければさっさと逃げるんだな」


 凛とした大人の女性の声がする方向へ顔を向けると、その声のイメージに合う黒髪の大人の女性の見本のような人物が宮司さんの様な服装を纏い、そこに立っていた。


「クソ、もう嗅ぎ付けて来やがったか」

「どうする?やるか?」

「2対1なら勝機はあるかもな…」


 そう言い、男達は矛先を女性の方へと変える。

 男達は気付いていなかった。

 自分達のすぐ近くまで札が飛んで来ており、既に術の発動準備が終わっているという事に。


「愚かな」


 女性はそう呟き、準備を終えていた術を発動する。


【陰陽術:木符・創森林】


 すると札を中心とした広範囲に男達も巻き込みながら突然、木が地面から生えて急速に成長しあっという間に森が生まれた。

 だがこれだけでは終わらない。

 手元に札を取り出し、次の術を発動する。


【陰陽術:火符・紅蓮車】


 術を発動すると手元の札から炎が噴き出し、車輪の様に形を作り、森へと突っ込んで行き、森ごと男達を焼き払っていった。

 尚、ユカは男達の視線が逸れた瞬間、鳥のような式神に掴まれて術の影響が無い安全な場所まで避難させられていた。


(札と、この鳥…式神?かな。という事はあの人は陰陽術師なのかな。それっぽい恰好してるし。陰陽術師って式神も操れるのね…。この鳥の羽、くすぐったそう…)


 避難中、ユカは鳥の羽にくすぐられる自分を妄想しつつ最低限状況を把握していた。

 やがて炎の中から男達のHPが0になりダウンした証でもあるダウンマーカーが点灯する。

 女性はそれを確認するとユカの方へとゆっくり近づいて来た。


「大丈夫だったい?どこも触られていない?」

「あっはい、助けて頂いてありがとうございました」


 そう言ってユカは女性にお礼をする。


「いいって、礼なんて。無事ならなによりだ」


 女性はそう快活に笑いながら話を続ける。


「さて、本題なんだが…。私の名前はエルザ。良ければ、ウチのギルドに入らないかい?入団試験があるが…」


「ギルド?試験?」


 ユカは素直に疑問に思った事を口にする。


「あぁ、ウチのギルドは女性専用でね。それを徹底する為にビデオ通話等で確認しているんだ」


 そう聞いてユカは考え込む。


(女性専用か……こんなゲームだし、女性の割合は圧倒的に低い筈。つまりそこに入れば最低限の安全は保障できるって事かな。それに、私みたいな性格の人が集まってる場所ってことよね…)


 ユカは色々考えた末、入団を決意する。

 そうして街に戻った後、入団試験を終えて無事に『アイリス』の一員となった。

衝動と勢いで投稿始めたけど思ったより難しい。

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