127話
最近時が過ぎるのが早い・・・
いつのまに1月も経ってたんだ・・・
今年もう半分過ぎたってマジ・・・?
学校でのクエストを終えた日の夜。
ユカ達はようやく4人揃い、適当に見つけた喫茶店で行き先の相談をしている。
「で、どうするー?」
魔物の肉で作られたハムがメインのサンドイッチを頬張るミコ。
「ここらのドロップアイテムは私達にはあまり必要ない物だし、ここらは敵が強めだからレベル上げも効率悪いし、どうしようか」
砂糖を3つ落としたコーヒーを飲むニナ。
「私は別にどこでもいい」
イチゴがたくさん乗ったパフェを口に運ぶモモ。
「ここらへんのレアドロップは大体装備品だからね。大体は私達には必要のないものだけど、アクセサリー系は狙ってもいいかも」
ユカがパンケーキにフォークを入れる。
「アクセサリー系かぁ。落ちるか分からないけど、あって困る物じゃないし、アリかもね」
「そうだねー。使わなかったら売ればいいし」
「で、どこを狙うの?」
新大陸の敵は敵性NPCが殆どで、それぞれ力、魔法、速さ、技術に特化した4つの騎士団のいずれかに所属している。
ドロップする装備品も、所属している騎士団によって効果が変わってくる仕様になっている。
「魔法騎士団でいいんじゃない?前にやられたから簡単な相手じゃないけど、私達、魔法攻撃の方がメインだし」
「そうね。後は、騎士団長と出くわさないことを祈りましょう」
「そうだねー。騎士団長はレイド級って聞いたし、普通の団員に一度負けた今の私達には早いかもねー」
話と方針が纏まり、食事を終えて店を出ると、目的地へ向かう。
「目的地は谷なんだね」
「魔法の谷って呼ばれてて、魔法の修行がしやすい場所っていう設定らしいわ」
「魔法のレティシナ騎士団は前にしてやられたから、今度は油断しないで狩ろうか」
歩いて数十分、傾斜が緩やかな大きな谷に到着する。
「とうちゃーく!」
「遠くにちらほらと騎士団の姿が見えるわね」
4人は数が少なそうなグループの方へ向かう。
「あれはどうかな?」
「強個体はいなさそうだから、ちょうどいいかもね」
少し離れた位置からグループを観察し、戦うことを決める。
「先手必勝」
ユカはある程度近付くと、縮地で一気に距離を詰める。
【剣技:一閃・一波】
魔法の騎士団は魔法防御が高いので、いつもの忍術ではなく剣技で攻撃を行う。
「私の物理火力じゃ倒しきれないか・・・」
ユカは物理と魔法の両方を扱えるが、ゲームの仕様上、近距離は危険度が高いので遠距離で攻撃できる忍術の方が得意である。
「あとは私がー!」
【死神技法:魂狩】
ニナが鎌を思いっ切り横薙ぎに振るう。
「トドメー!」
【豊穣:シードカノン】
ミコが生やした植物が、茶色いサッカーボールぐらいの大きさの種を勢いよく吐き出し、騎士団を襲う。
「倒しきれてないじゃない・・・殴れ」
モモが連れている魔人に指示を出して、わずかに残ったHPを削りきる。
「モモちゃんの魔人が戦うの久々に見た気がする」
「普段私が攻撃に回ることって殆ど無いものね」
ドロップは無かったので次のグループを探す4人。
「今回は流石にこっち使おうかな。燃費が悪いから長期戦できないけど」
ユカはいつも装備している忍者刀ではなく、巨大な手裏剣に装備を切り替える。
「あのグループはどう?」
ミコが少し離れた位置にいる5人の騎士団のグループを指差す。5人の内1人は他の4人よりもちょっとだけ服装が豪華になっている。
「強個体の小隊長がいるけど、他のグループも見つからないし、小隊長レベルならまだバリアも無いしいっか」
ユカ達はウロウロしている5人の騎士団の方へ向かい、一気に襲い掛かる。
「一気に倒す!」
【忍術:操刃・塵桜】
ユカの投げた巨大な手裏剣が回転しながら猛烈な速さで騎士達に襲い掛かる。
「追撃ー」
【死神技法:魂狩】
ニナの一撃でわずかになった団員のHPが無くなり倒れるが、小隊長はまだ立っている。
「ミコちゃーん、拘束よろしくー」
「え?うん、分かった」
【豊穣:プラントロック】
ミコが特殊拳銃を撃ち、小隊長の足元に着弾した弾痕からツタが伸びて小隊長の足を捕らえる。
「えっ!?ちょっと、何よこれ!」
「はいどーん」
ニナが戸惑う小隊長に近づき、肩を押して地面に倒す。
その瞬間に新たなツタが伸びて腕を拘束する。
「ふっふっふ。お楽しみタイムだー」
地面に仰向け大の字で拘束された小隊長の上に馬乗りになったニナは手を動かしながら笑みを浮かべる。
「そーれこちょこちょ~」
「や、やめぇっっ!~~っ!ふっ!んんっ!あはっ!」
ニナの両手ががら空きになっている小隊長の腋を思いっ切りくすぐる。
「最近攻め側に回ること少なかったからテンション上がるわー」
「はなっ!やぁっ!あはっ!ははっ!んぁっ!あっはっ!」
ニヤニヤしながら小隊長の体をくすぐり続けるニナ。
「くすぐられた時の声も私達とは違ってていいね」
「うるっさっ!ぃひっ!ひひっ!はぁっ!んやぁっ!」
くすぐられている小隊長の足の方にユカとミコが近づく。
「私たちはこっちをやろうか」
「そうだねー」
ユカが右足を、ミコが左足を、それぞれ靴と靴下を脱がして素肌をあらわにする。
「やぁぁっ!あはっ!だめっ!やっ!はぁっ!」
「ダイジョーブ、ダイジョーブ」
2人は足の裏を全力でくすぐる。
「んぁぁあっ!あぁっはははは!だめだめだぁっ!あはっ!あははっ!はぁっ!あはっ!」
2人がくすぐり始めた瞬間、体をびくりと震わせ、より大きな声で笑い悶える。
「爪でカリカリしたりー、指の腹で撫でまわしたりー・・・どうかな?」
「足の裏と言えば土踏まずが定番だけど、指の間もヤバイよね」
「やぁっ!やっ!あああっ!あぁっはっはっはっははははは!はぁっ!あっ!んう゛ぁっ!っははは!」
激しいくすぐりにどんどんとHPを減らしていく。尚、モモは興味なさげに眺めている。
「もうそろそろHP尽きそうだね。ラストスパート頑張ってね~」
ニナがそう耳元で呟くと、くすぐる手を一気に早くする。
「んぁぁっはっはっははははは!だめっ!やっ!あぁっはっはっはははは!たすっ!あ~~~~~っ!はっはっはっははは!」
一際大きな笑い声を響かせると、糸の切れた人形のようにガクンと気を失う。
「戦闘でHP削れちゃったからあんまり楽しめなかったなぁ。まぁいいか」
「あんまり長いと数こなせないからね」
その後、何度か戦闘を繰り返した後、4人は負けることなく狩りを終え、街へと戻る。