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123話

 学校で悪霊退治のクエストを受けたユカとニナ。

 1Fの指定された2か所でお札を貼り終えた二人は階段前に合流する。


「あれ、ユカちゃん着替えたの?」


「ええ、別に戦闘とかは無さそうだし。学校で忍者服って何か落ち着かなくて・・・」


 ユカは体育館でブレザータイプの学校の制服に着替えていた。


「ふーん」


 ニナは深く詮索しなかった。


「2階は確か美術室と1-A教室だったわね」


「美術室は絶対筆でしょ」


「まぁ、そうでしょうねぇ」


 階段を上りながら確認を兼ねた談笑をする。


「ユカちゃんはどっちいく?」


「美術室で。教室は何が起こるか予想付かないし」


「んじゃ私が教室の方いくね」


 ユカが美術室へ、ニナが1-A教室へ向かう。

 美術室に着いたユカは扉を開けて中の様子を伺う。


「ここが美術室。思ったより結構、いや大分散らかってるわね」


 美術室の中には数えられないほど大量の筆やら刷毛やらが床や机に散乱していた。そしていたるところにキャンパスが飾られている。


「お札を貼る場所は・・・、あそこね」


 ユカが入った入口から一番遠い机が、ここまで来いと言わんばかりに光っている。


「このくらいの距離なら縮地で詰めれるけど・・・、歩いていきましょうか」


 ユカが美術室の中に入り、歩いて光っている机まで向かうと何本もの筆がゆっくりと宙に浮かび上がり、ユカに迫ってくる。


「まぁ、こういうタイプよねぇ」


 虫を払いのけるように腕を振り回して進むが、流石に数が多く、数本の筆がユカに辿り着き、無防備な耳や首筋を優しく撫でる。


「ふぅっ・・・!んんっ・・・!やっ・・・!はふっ!」


 耳や首筋をくすぐられて動きが鈍ったところを狙い、筆が服の袖や裾から中に侵入し、脇やお腹をくすぐる。


「んっふふふ!ふふっ・・・!あはっ・・・!はぁっ・・・!」


(拘束はしてこないみたいだけど、足を止めちゃうと終わるから動かないと・・・)


 歩くスピードが遅くなり、振り払う腕の動きも弱くなったのをいいことに、筆はどんどん数を増やし、太ももや二の腕などの肌が露出している部分にもどんどん群がる。


「あっははははは・・・!やっ・・・!さすがにおおいってぇっへっへっへっへへへへ!」


 一つ一つは弱い刺激でも、何十と集まれば相当なくすぐったさになり、声が抑えられなくなってくるが、歩みは止めない。


「あぁっはっはっはっはははははは!あはっ!なに、あれぇ・・・?」


 ユカが顔を上げて進路を確認すると、最短ルートの進路上に何か絵の描かれたキャンパスが置かれていた。


(いや、あれは絶対罠。捕まってみたい気持ちもあるけど、ニナの方が心配だし、私が捕まるわけにはいかない・・・)


 直感から罠だと判断したユカは、多少遠回りになるがキャンパスを迂回するルートに変える。


「んぅっふっふっふふふふふ!ふぁぁっはっはっははははは・・・!」


 だが遠回りをした分、筆にはより長時間くすぐられることになる。


「はぁっ!はぁっ!ん~~~~っ!ふふっふっふっふ・・・!あぁ~~~っはっはっはっはっははは・・・!」


 時間をかけて何とか光る机まで辿り着き、机にお札をペタッと貼ると、筆の動きは止まり、地面に落ちてただの筆になる。


「はぁっ・・・!はぁっ・・・!」


(少し休んだら、ニナの方の様子を見に行こう・・・)


 一方のニナ。


(いやー、これどうしようかなぁ)


 ニナは教室の外から扉も開けずに中の様子を伺い、どうしようか困っていた。


「やぁぁーーーっはっはっはっはははははは!くす、ぐったぃぃっひっひっひっひひひひひ!」


「んー?ここがいいの?」


「相変わらず脇腹が弱いんだねぇ、・・・もっとくすぐってあげる」


 教室の中で女生徒のNPCが3人、1人を2人がくすぐって遊んでいた。


(ユカちゃんが来るまで待とうかなぁ、これは。流石にこの中に入っていく勇気はないよ私は)


「はぁっはっはっはっ!やだやっ!やぁぁ~~っはっはっはっははっはははははは!」


「そんなに大きい声がしたら、誰か来ちゃうかもよ」


「ほら、頑張って声抑えて・・・」


(もう来てるんだよなぁ・・・)


「あぁぁっはっはっはっはっはっはっ!声でちゃっ!むりぃっひっひっひっひっひひぁっはっはっはっはははは!」


 くすぐられている子は特に拘束等はされていないが、2対1では振り払うことも出来ず、一方的にくすぐられている。


「あーーーっはっはっはっはっはははははは!も、やめっ!なんでぇっへっへっへへへへへ!」


「脇腹揉まれるのと、指動かしてこちょこちょ~ってされるの、どっちの方が好き?」


「どっちも、やぁぁぁっはっはっはっはははははは!」


「どっちも好きなの?じゃあもっとやってあげる」


「ちがっ!あぁぁ~~っはっはっはっはははははははは!」


 教室のドアの窓から中を覗き見していたニナに、美術室を済ませたユカが合流する。


「ニナ?中に入らないで何して・・・、んん?」


「ユカちゃん、小声でね」


「あぁ~~~、なるほど・・・」


「私、この中に入る勇気ないから、ユカちゃん代わりに貼ってきてくれない?」


「私だってやだけど?」


「ユカちゃん忍者だから、気付かれずに行けない?お札貼る場所、あの子たちから距離あるし」


「・・・まぁ、分かったわ。行ってみる」


 ユカは忍者としての能力をフルに使って、音を立てずに教室のドアを開け、気配を消して教室内に入り、光っていた黒板にお札を貼って3人に気付かれる前に教室から脱出する。


「さて、次は3階ね」


「この調子で行ってみよー」


 尚、ユカとニナは気付くかなかったが、くすぐっていた2人は霊にとり憑かれており、憑かれていない1人が訳も分からずくすぐられていたという設定だった。

暫く忙しいので書く時間が取れません。

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