12話
戦闘多め
ユカが上級忍術を習得した次の日。ユカは現実の友達との約束で遊びに出掛けており、ゲームにログインしなかった。出来なかったと言った方が正しいが。
そのまた翌日、日曜日。ユカは休日だったこともあり、早めにログインしていた。いよいよ、ギルド戦の日である。そんなユカの現在地、団長室。
「団長、そいえばギルド戦ってどこでやるんですか?」
「専用のフィールドだよ。選ばれた人は、このメニューのギルドってとこタッチして、ギルド戦の項目に参加ってボタンあるから、ここをタッチすれば、時間になったら自動で転送されるよ」
ユカは言われた通りに操作して参加ボタンを押す。
時間までまだ余裕があるユカはギルドの敷地を散策しつつ、家具やアイテムを見て回る。先日の麒麟戦の報酬はユカにとって当分の間必要にならない素材の為、リリィに売ってもらい、ユカは所持金にかなりの余裕があった。
(思えば、このゲーム。かなり出来る事が多いよねぇ。釣りに農業……は自分の家を持ってる人だけか……私の部屋で出来るのは家庭菜園レベルかな……)
魚屋、八百屋等といった食品を扱う店があれば、料理を売っているレストランもあり、家具屋や道具屋、鍛冶屋等も建ち並ぶ商店街のような場所をゆっくりと歩き、見て回る。
(料理スキルは上げたいな……現実では料理からっきしだし……)
このゲームでは職業で覚えられるスキルと違い、釣りや料理等のスキルが存在し、それらは繰り返し行使する事によって熟練度が上昇し、一定以上溜まるとレベルが上がる。レベルが上がれば、釣りなら大物が釣れるようになったり、料理ならレパートリーが増えたりする。
(親も彼氏作れってうるさいしなぁ……彼女なら欲しいけど……)
百合を卒業するという選択肢は彼女にはない。
(それにしても、本当にここは色々な店が多いなぁ……怪しい店もあるけど)
マッサージ店という、明らかにマッサージと称してくすぐってきそうな店もあれば、キャ〇クラのような店まである。
(折角の私専用の忍者だし、体術スキルとか上げてみようかな。後は……水泳系のスキルも上げておきたいな)
そしてユカは一つの店に入る。くすぐり系の道具が売られている店に。
店の中を見て回り、自分に合った道具を探す。
(手袋に、羽帚、メイクブラシ……使いやすそうなのは手袋かな。やっぱ手でくすぐるのが一番くすぐったいし。手乗りスライム……こんなのもあるとは、流石ファンタジーね)
ユカは手袋とスライムを買うとアイテムボックスに入れて店を後にする。
次にユカはケーキショップに向かい、ケーキを購入すると時間が訪れる。
ユカの体が淡い光に包まれ、専用フィールドに転送される。横幅5キロ、縦幅3キロ程の広さの長方形の草原、境界線には電子の光で区切られていた。
そんなマップの両端に小さな砦のような建造物があり、そこにメンバーは召喚される。相手のギルドはユカは知らないが、女性がいるギルドはアイリスを含めて2つしか存在せず、今回の相手はそのもう一つのギルドでは無いので、男しか居ない事は分かっている。
「さて、さっさと終わらせましょうか」
フィアはそう呟くと、砦の前の空間を睨み、術を発動させる。
【死霊術:リビングアーマー】
魔法陣が地面に描かれ光り輝くと、そこから青色の全身甲冑の鎧騎士が現れる。その鎧の中身は無く、右手に剣を、左手に盾を持っている。
その数は一体や二体ではない、100に近い数が呼び出される。
「ざっとこんなもんね」
フィアは騎士団を上から見渡しながらMPポーションの飲む。
「それじゃ、進軍開始」
フィアが指示を出すと同時に100体の騎士団は動き出し、敵の砦を目指して進み出す。
「そういえば、こうして話すのは初めてだよね。私はエリナ。職業は錬金術師。よろしく」
メンバーの一人、ユカと面識の無かった人が自己紹介をする。
「はい、ユカって言います。よろしくお願いします」
丁寧に挨拶するユカ。恰好は忍者服だが。
「忍者、ゲーム初のユニークジョブかぁ、ちょっと羨ましい……」
「そういえば、忍者って魔法も物理も出来るのよね?」
フィアも話に加わる。
「多分……物理の攻撃スキルはまだ覚えてませんけど……」
「一昨日習得した上級忍術はかなり強力だったって聞いたし、やっぱ専用だから強めに設定されているのかな」
フィアは敵の砦の方を見据える。
「そろそろ敵とぶつかる頃かしら、そろそろ行ってくるわね」
そう言ってフィアは砦を出ていく。
「あの。私、近くでみたいんですけど、大丈夫ですかね?」
「危ないよ?見つかったらヤバいし」
「透明化できるので、多分、大丈夫です」
「忍者って透明にもなれるんだ……危なくなったら戻るんだよ」
そのまま隠れ身の術を行使し、フィアの後を追うユカ。
忍者装備は敏捷値が高く設定されており、風の様に戦場を駆けてあっという間にフィアに追い付く。透明だが。
そんな騎士団の前線では、既に敵のプレイヤー達と交戦していた。
「8人……残り二人は不参加か、どこかに潜んでいるのか……。まぁいいわ。とっとと終わらせましょう」
『我が想いに応え、顕現せよ。天まで届かんと喩えられし巨将よ』
【死霊術:ジェネラルゴーレム】
フィアの死霊術が発動すると、地面に巨大な魔法陣が描かれ、そこから山ほど巨大なゴーレムが現れる。赤茶色の岩で作られた人型の太く、重量感のある体は敵の戦意を削るだろう。
(何、あれ。凄く大きい。あんなゴーレム倒せるの……?)
その頃、砦。
「あの大きさ、ジェネラルゴーレムか。相変わらず巨大ねぇ」
「久々に見たけど、あれって倒せるもんなの?」
「団長は倒した事あるって言ってたよ」
「アレは例外だから」
一方、敵陣。
「おい、何だよあれ。聞いてねぇぞ!」
「デケェってか、倒せんのか?あんなの」
「術師を倒せれば勝てる筈だ!」
「その術師の所まで行くのが無理だろ……」
「あれがアイリスの副団長の力か……」
当然の様に大騒ぎしていた。
フィアはそんな事を意に介さず、指示を出して騎士団と将軍を動かし始める。
「殲滅せよ」
フィアの一言で大軍が動き出す。ゴーレムが踏み潰すように歩を進め、騎士団がその数を以って殲滅せんと動き出す。
リビングアーマーも一体一体が上級の魔物に匹敵する戦闘力を保有しており、容易く撃破する事は出来ない。ジェネラルゴーレムもその巨体通りの防御力と耐久力を持ち、物理と炎に高い耐性を持っている。
敵も必死に抵抗するが、一人、また一人と倒れていく。
「このまま終われば楽だけど……」
不意に、フィアの近くから敵プレイヤーが二人、飛び出してくる。
フィアは反射的に飛び退き、距離を取って二人を見据えるが、流石に突然の不意打ちで反応しきれず、攻撃を一撃受けてしまう。
「突然現れたわねぇ。『インビジブルカーテン』か」
フィアが言った『インビジブルカーテン』とは、錬金術師の専用生産スキルによって生み出す事が出来るアイテムの一つで、使用者を中心とした範囲内の味方を一定時間透明状態にする効果がある。とはいえ、範囲はかなり狭いため、どんなに頑張っても使用者含め3人が限度である。また、使用するのに時間がかかり、効果時間も余り長くない為、対人戦で不意打ちする以外出番がないアイテムである。
因みにユカの隠れ身の術は使用時間1秒毎にMPが1消費され、MPが尽きるか攻撃系の行動を取ると解除される仕組みなので、MPポーションで回復していれば実質、効果時間は無限で、発動も一瞬なので使い勝手がかなり違う。
「体が……麻痺か……」
フィアは体の自由を奪われ、膝をつく。
「こうなってしまえばこちらのもんよ、せめて楽しませて貰うぜ!!」
勝ち誇った顔をする敵プレイヤー。透明のままMPポーションをがぶ飲みするユカ。
「観念しな!」
飛び掛かる敵。慣れない術を構築するユカ。
「効くかわかんないけど、やってみる!!」
【忍術:雷遁:紫電】
敵プレイヤー二人を巨大な雷撃が襲い、爆発にも似た雷鳴が轟く。
「な、に、が……」
一人は満タンだったHPが全て消し飛び、もう一人はギリギリで耐えたが、残りHPは5%を切っている。おまけに麻痺が付与され、動けなくなっていた。
「ユカ、ちゃん?透明になって来ていたのね……」
MPポーションを飲み、ほぼ尽きていたMPを回復させる。
「何だ、今の術は……ユニークスキルか?」
「知らない人に教えちゃダメって言われたので教えません!えいやっ」
掛け声と共に忍者刀を首にプスっと突き刺し、残った僅かなHPを0にする。
「ユカちゃん、助かったわ。ありがとう」
時間経過で麻痺が解除されたフィアが起き上がる。
(無詠唱であれだけの威力、範囲も広い、しかも麻痺の追加効果。完成された忍者はかなり強いわね、これは……。レベルが並んだ時、私でも勝てるかどうか……)
当のユカは嬉しそうにほほ笑んでいた。
そのまま残りの人数は騎士団が殲滅し、ユカ初のギルド戦は幕を閉じる。そのまま用事のあるメンバーは各々散っていき、ユカとフィアは団長室に移動する。団長室には既にイリーナとルルナとネアとエルザと団長が揃っていた。
「お帰りー。無事勝てたみたいだねぇ」
「一回だけ危ない場面があったけどね」
そのまま話の流れでギルド戦で起こったアレコレを話していく。
「レベル一桁で高レベルプレイヤーを一撃って、強いっていうか壊れじゃ……」
真っ先に感想を漏らしたのはエルザだった。
「ねぇ、思ったんだけど。麒麟の紫電みたいな雷撃が確か防御無視の固定ダメージ+麻痺だったから、その忍術もそんな感じじゃない?」
くすぐり以外の麒麟の攻撃を良く知るリリィが的確に分析する。
「まぁ、その件は後にするとして、ハロウィンイベントのボス、ジャック・オ・ランタンが今日から出現するから、倒しに行こう!」
そのまま団長と副団長と4幹部とユカは移動を開始する。街の中に居るカボチャの頭をしたNPCに話しかけ専用のフィールドに転送される。
「黄緑色の霧が充満するステージ……たくさんくすぐられた思い出が……」
やがて、一行の頭上からボスがゆっくり降りてくる。巨大なカボチャに座った美女が、小さなカボチャのランタンを手に、妖艶な笑みを浮かべ、幾つもの手下を従えて。
「トリックオアトリート、お菓子がないなら、たっぷりくすぐっちゃうわよ?」
その一言と同時に、全員が戦闘モードに心を切り替える。
「先制、行きます!」
最初に仕掛けたのはエルザ。
【陰陽術:火符・炎龍咆哮】
術が発動すると、エルザの手の札が勢いよく燃え上がり、炎は意思を持っている様に渦巻いて、巨大な龍を形作る。龍がその口を大きく開け、ジャックを呑み込む程の炎を噴き出す。
だが、ジャックは何事も無かったかのようにそこに平然と浮かんでいた。
「やはり、火属性に高い耐性があるようです」
「確認ありがと。イリーナ、ネア。詠唱の時間を稼いで」
「了解!魔法少女実力、思い知れー!」
「わかったの。対空システム起動」
【魔術:アイシクルテンペスト】
【兵器:九連装対空ミサイルシステム】
イリーナの魔術が発動し、巨大な氷塊が幾つも生まれ、全てが正確にジャックに向かって飛んで行く。それと同時に、ネアが呼び出した大型トラックの様な車の荷台がゆっくりと上を向き、ジャックの方向に向くと、扉の様な部分が開き、9個のミサイルがジャックに向かって飛翔する。
ファンタジーとSFをごっちゃ混ぜにしたような光景にユカは呆然として見ているしか無かった。
ジャックは氷塊をバリアで防ぐと、ミサイルを手下を盾にして身を守る。その硬直時間が、二人の上級魔法を発動する十分な時間となる。
『夜より暗い深淵より来い、闇から生まれし神よ』
【召喚術:深淵の女神】
『彼方の空より、彼方の天より、降臨せよ、顕現せよ、光から生まれし神よ』
【召喚術:彩光の女神】
『私の魔力を捧げます。どうか、今一度、我らに力を。この歌を導に、黄泉より戻り給え』
【死霊術:英雄再誕】
リリィの術がそれぞれ発動すると、片方の魔法陣は闇に染まり、アラディアが姿を現す。もう片方の魔法陣は虹色に光り輝き、そこから女神『イリス』が姿を現す。
『イリス』とは、アラディアと正反対にいる存在で、実力はアラディアとほぼ同じである。輝かしい銀髪は光を反射して、より一層美しく見せ、露出の少ない純白の衣を身に纏い、金色の瞳を持った顔は幼いながらも凛々しい印象を与え、背中には七色の光り輝く翼を持つ。アラディアが奈落の洞窟の最下層に出現し、イリスは天を貫く巨塔の最上階に出現する。
フィアが術を発動すると、魔法陣から棺が出現し、その中から、長い金髪をポニーテールに結び、剣を持った美少女が姿を現す。彼女はとある国で昔、英雄と呼ばれた人物で、名前は『レルディアス』という。
「おはよう、主人様。御命令を」
「おっはよー!主様!今日はどんな事をすればいいの?」
性格も対照的な二人にリリィが『殲滅せよ』と指示を出す。
「分かりました。深淵の闇が、あの愚か者に地獄を見せましょう」
「はーい!七色の光が、主様に勝利を捧げます!」
そう答えると、早速の様にジャックに向かって飛んで行く。
【魔術:漆黒の槍】
【聖術:光輝の剣】
アラディアの手から闇が固まった様な槍が出現し、ジャックに飛んで行くと同時、イリスの手から光で出来た剣が生まれ、回転しながらジャックに飛んで行く。
「私達も負けてられないわ。レル、奴等を殲滅しなさい」
フィアの指示と共に、レルディアスが動き出す。手にした剣を振るい、手下を一撃で薙ぎ払っていく。
ユカは手出しが出来ない為見学していた。
「流石に手下が多いな……。レルディアスが潰していってるとは言え、次から次へと召喚されてキリがない」
【陰陽術:金符・十器争乱】
エルザの術が発動すると、周りに浮遊していた札が金で出来た武器に変わり、ジャックの手下に向かって飛んで行く。
「あぁ、もうしつこい!何体湧いてくんのよ!」
【魔術:ウィンドストーム】
イリーナの術によって生まれた風の嵐が手下を何体も巻き込み、倒していく。
「いくら潰しても湧いてくるなぁ。とはいえ、拘束されたら堪らないし、放置はできないしなぁ」
【弓術:テンペストショット】
ルルナが空に向かって弓を放つと、手下達の頭上から何本もの矢が降り注ぎ、殲滅していく。
一方、二人の女神とジャックの戦いも激化していく。
【魔術:ダークブレイズ】
【聖術:ホーリーフレア】
アラディアの手から闇の炎が、イリスの手から聖なる炎が生まれ、ジャックを襲う。
「炎でも、別属性の炎なら効くんだねぇ」
ジャックはそんな二人を捕えようと、蔓を何本も飛ばしてくる。アラディアは身に纏った闇の霧を集め、剣の様に形作り、蔓を切り裂いていく。イリスは捕まりに行く。
「ふふっ、つーかまーえたー」
捕まえたイリスを宙に持ってきて、何本も蔓を這わせ、くすぐり始める。
「くふふふふふふふふふっ、もっとぉ、そんなんじゃ弱いよぉ?」
「あの、団長。あの子、今捕まりに行きませんでした?」
「イリスはアラディアと色々真逆で、時々、いや、しょっちゅうこういう事になるのよねぇ」
リリィはアラディアに指示を出してイリスを解放する。イリスは不満げな表情をする。
「もうちょっとだったのにー」
「あのねぇ、主様に迷惑かけるような行動は慎んで頂戴」
リリィは呆れながら指示(?)を飛ばす。
「真面目に戦ったら、後でアラディアがくすぐってあげるってー」
「は?私そんな事言ってな」
「本当!?」
キラキラした目で間近で訴えられるアラディア。心なしか顔が赤い。
「わ、分かったから離れて。ち、近い……」
「わーい!約束だよ!」
イリスに抱き締められ、顔を真っ赤にするアラディア。鼻息を荒らくするリリィ。
「ロリ百合はいいねぇ……最高……」
ユカは心の中で同意した。
イリスが手加減を止めた事で一気に戦いが優勢になる。
イリスの七色の光とアラディアの闇が交差し、ジャックを追い詰める。
「イリーナ、エルザ。二人の詠唱の時間を稼いで」
「はいよー、魔法少女にお任せー!」
「了解、式神招来……」
【魔術:アースストーム】
【陰陽術:式神・玄武】
イリーナの術が発動すると、巨大な岩が魔法陣から発射され、ジャックに当たる寸前で爆発を起こし、溶岩をまき散らす。
エルザの札が一際輝くと、そこから厳つい顔の亀と蛇が現れる。式神『玄武』エルザの手持ちの式神の中で一番の防御力と耐久力を持ち、良く他のメンバーの詠唱の時間稼ぎに使われている。
玄武とジャックがやり合い始め、ジャックの意識がそっちへ向いたのを確認すると、二人は詠唱に入る。
『今は亡き、夢の跡。佇む少女は夜空を見上げ、名も無き歌を歌えば、星は光を増して輝き応える。知ってはならない、死は光によって齎される。足掻いてはならない、全ては無駄に終わるのだから。滅びの時は今。光は我が手の先に』
【深淵魔術:カタストロフ・ルーチェ】
『空を彩る七色は、遥かな天を染め上げる。その光に魅入られてはならない。それは全てを裁くのだから。後悔しても、全てが遅すぎる。真なる滅びは光によって齎される。審判の時は今。光は我が手の先に』
【光輝聖術:ジャッジメント・アルカンシエル】
プレイヤーが出せる火力を大幅に上回る力を秘めた光がアラディアの手から生まれ、ジャックに向かって放たれると同時、イリスの翼が七色に強く光り輝き、同レベルの力を秘めた七色の光が、天から奔流の様に幾つも降り注ぐ。
「そんな、この、私が、こんな……」
リリィは当初。バリアを消し飛ばしたらくすぐろうと考えていた。だが、二人の最高クラスの魔法はジャックのバリアを一瞬で蒸発させ、HPも全て消し飛ばしてしまう。
爆心地には、何も残っていなかった。
「やりすぎたかー……。やっぱ深淵と光輝を同時発動させたらどんな相手も消し飛ぶねぇ」
やがて、霧が晴れていくと、マップの端に宝箱が出現する。リリィ達がそこに向かっていく中、二人の女神は。
「さぁ、アラディアちゃん!お願い!」
【魔術:闇の眷属】
イリスの足元に魔法陣が描かれ、すぐに真っ黒に染まり、そこから真っ黒の触手が幾つも現れ、イリスを拘束していく。
「あなたとは言え、手加減はしないわ。沢山くすぐってあげる」
待機していた何本もの触手と、黒い霧で作られた手がイリスの体に群がり、一斉にくすぐり始める。
「あはっ、あはははははははははははは!!いきっ、なりっ、激しっ!きゃっはははははははははははははははははは!!」
一方、一行は宝箱からハロウィンイベントの報酬を受け取っていた。とはいえ、宝箱の中に何かが入ってる訳ではなく、開けた瞬間に全員の目の前に入手画面が表示される仕組みになっている。
「これは、魔女コス?結構可愛いかも……」
黒とオレンジの色の、魔女をイメージしたワンピース服ととんがり帽子が入っていた。
リリィは報酬を確認すると、ビデオカメラを取り出して二人の女神の元に走って行った。
「あぁっはははははははははははははははは!!!やぁぁぁぁぁっははははははははははは!!」
唐突にくすぐりの手が止む。イリスは不満げにアラディアを見つめる。
「なぁに?やだって言ったように聞こえたから、止めてあげたんだけど?」
意地悪な笑みを浮かべるアラディア。鼻息を荒くするリリィ。
「いやじゃない……もっと、いっぱい……」
(セリフだけ聞くとエロい事してるみたいに聞こえるわね……)
今度はアラディアも加わり、止まっていた手と触手が一斉に動き出す。
「ひゃぁっはははははははは!!もっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!あっははははははははははははは!!」
「確か貴女は、ここが弱かったわよね?」
翼の付け根を優しく撫でるようにくすぐり始めるアラディア。
「ひゃぁぁぁぁぁぁっはははははははははは!?そこっ!よわっ!あぁっはははははははははははははははは!!」
全身を触手に絡み付かれているが、体を若干仰け反るように悶えてる事からかなり弱い事がわかる。
「相変わらずここは弱いのねぇ……触手も追加してあげる」
付け根の部分に、片方4本の計8本が追加され、撫で回したり、先の方を小刻みに動かしたりして責め立てる。
「ふひゃぁぁぁぁぁぁぁぁっはははははははははははは!!あはっ、あはっ、あぁっははははははははははははははははははははは!!!」
一方、一行は。
「あっちは長引きそうだし、こっちはそろそろ解散しましょうか。お疲れ様。
「お疲れ様なの。私はもう寝るの。また今度ー」
リリィ達を放置して解散していた。
ギルド戦かいたら短かったのでハロウィンイベントも混ぜました。ハロウィンイベントはもうちょっと続くかも。
ぁ、次からちょっと雰囲気変わります。リアルのユカが語られる予定。