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116話

 天を貫く巨塔の40層。

 そこでユカ達はレイドボスの天使と対峙する。


「見た目で違いが分かりにくい・・・。今までの天使とは違うんだよね?」


「うん。あれは『権天使』だよ」


「その辺の神話はよく知らないのよねぇ・・・」


 早速とばかりに権天使は自身の周囲に白い羽の塊を6体召喚する。


「あれは?」


「『フェザーボール』っていう敵。普通の攻撃も通るよ」


「取り巻きは天使じゃないんだね」


「取り巻きも天使だと時間かかって怠いから普通の魔物にしたとかなんとかって聞いたことある」


「だれから聞いたのよ・・・」


「団長」


「あぁ、納得」


 そんなことを話している内に相手は動き始める。


「いつも通りニナがボスのバリアを削って、私が取り巻きを処理するから、みことモモはサポートお願い」


 ユカの指示でそれぞれ動き始める。


【笛術:知恵を齎す笛の音】


【豊穣:マジックグラス】


 モモが笛を奏で、ミコが地面を芝生で覆いつくす。その効果はどちらも魔法攻撃力の上昇。

 そしてユカとニナがそれぞれ敵に向かって突っ込んでいく。


「私ももっと前にでて敵と戦いたいけど、それができないのよねぇ・・・」


 ミコは現状、バフを撒く技とくすぐる用の技ばっかりで、敵とまともに殴り合える技がないことに不満を感じていた。


「レベルで覚える技はもうほぼ覚えただろうし、どっかに殴り合えるスキルが貰えるイベントとか眠ってるかなぁ・・・」


 戦闘中にも関わらず考え事をしているミコの死角を縫うように、一体のフェザーボールが近付いている。


「今の私じゃこのレベルの敵は自力で倒せないし、この倒すの待ってる間わりと暇だなぁ」


 体を伸ばしながら捻って後ろを振り返ると、すぐそばまで近付いていたフェザーボールと目が合う。(フェザーボールに目は無いが)


「うぇぁぁっ!?」


 安全地帯にいると思い込んでいたミコは素っ頓狂な声を上げながら咄嗟に腰に提げていた剣鉈を抜いて振り回す。

 だが適当に振り回している剣鉈が当然当たるはずもなく、フェザーボールはバラバラに分離し、ミコに襲い掛かる。


「んひゃぃっ!やっ!入ってこないでぇっ!ふひゃっ!はっ!だ、めぇっ!」


 分離した羽は瞬く間にミコの体に群がり、半数ほどが太ももや首、耳などの肌が露出している部分を優しく撫でまわす。残りの半数は袖やスカートから服の中へと侵入する。


「んぅっふふふふっ!はぁっ!はぁっ!んふっ!ふぁぁっ!あっはははははははははは!」


 羽一つ一つの刺激は強くないが、数十と群がられれば相当なくすぐったさになり、ミコは碌に我慢できず大声で笑う。


「やぁぁっはっはっはっはははははは!だめぇっへっへっへへへへ!くすぐったぃぃっ!」


 くすぐったさに立っていられなくなり、その場にへたり込んでしまうが、羽はくすぐることをやめない。


「あぁっはっはっはははははは!やめっ!やぁっはっはっはははははは!」


 拘束はされていないものの、服の中で動き回る羽からのくすぐりを防ぐ術はない。


「あばれちゃぁっっははははははは!あはっ!あぁっははははははははははは!だめぇっ!」


 ミコは両脇を閉じて脇を防ごうとするが、脇に挟まれた羽が暴れて余計にくすぐったくなってしまう。


「んやぁっはっはははははははは!たす、けぇっへへへへへへへへへ!」


「・・・何してるのよ」


 ここでようやく、ボスのバリアが割れて手が空いたユカが助けに入る。


「たしゅけっ!へぁっははははははははははは!」


「これ、どうやって助ければ?羽を一本一本斬ればいいのかな」


 ユカは忍者刀を手に、ミコをくすぐっている羽を一本ずつ捕まえては斬る地味な作業を開始する。


 一方のニナ。


「バリアの耐久高くて手こずったけど、こうなってしまえばただの女の子よ」


「いやぁぁぁっははははははははははははは!」


 権天使の攻撃を躱しながら高火力の術を何発も叩き込み、バリアが割れると反応する前に拘束して、黒い手を召喚し全身をくすぐらせていた。


「あーーっはっはっはっはははははははは!せめ、ってぇっへへへへへへ!足はぁっはっははははははははは!」


 そして一番弱い足の裏はニナが自分の手でくすぐっている。


「足の指の間ってめっちゃくすぐったいけど、自分の手でくすぐるの難しいよねー」


「あぁっはっはははっはははははは!知らなっ!やめてぇっへへへへへへへへへ!」


「だから、こういうのはどう?」


 ニナは自分の髪の毛を一つまみ掴み、その毛先で足の指の間をこしょこしょとくすぐる。


「んぁっ!?やっ!あぁーーっはっはっはははははははは!それだめっ!ーーーーーーーーっ!」


 瞬間、体をびくりと震わせ、一段と声と反応を大きくする。


「良さそうだね。じゃあこの方法でくすぐってあげよう」


「やぁぁぁーーーっはっはっはっはははははははははは!だめっ!やめぇっへへへへへへへへへ!」


「すーりすーり、・・・こちょこちょ~~。一旦止めて、小刻みに~」


「んやぁぁ~~~っはっはっはっはっははははは!あしっ!おかしくなるぅっ!ーーーーーっ!あぁっはははははははははは!」


 そのまま数分間、なすすべなくくすぐられ続けた権天使は意識を失い、次の層へと続く魔法陣が光る。


「よーし、これで41層~」


 中間地点の41層にたどり着き、ワープポイントを解放した4人はキリがいいので解散し、ログアウトしていった。

今年最後の投稿になると思います。

よいお年を。

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