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番外編 イリーナ

 ある休日の日。

 ギルド『アイリス』の幹部イリーナがゲーム内の海へ一人で遊びに来ていた。


「さーて、手ごろな相手はいないかなぁ」


 正確にはくすぐられに来ていた。

 イリーナは魔法少女のような服を着て、悪を討つ正義の魔法少女のロールプレイに徹した上で、敵の女の子や触手に捕まってくすぐられることが好きで、時折パートナーを連れずにこうして一人でくすぐられに来ていた。


「今日は触手かなぁ。触手の気分・・・」


 浜辺をふらつきながらそう呟くイリーナを、地面に擬態していた魔物が襲い掛かる。


「うわっと。・・・あー、ヒトデかぁ」


 イリーナはそれをギリギリで躱して距離を取り、襲ってきた相手を見る。

 襲ってきた魔物は体長2メートルはあるヒトデで、表側は固い皮膚に守られ、捕らえた人を細かく短い触手がびっしりと生えている内側でくすぐってくる魔物。そのくすぐったさは耐久特化の上級プレイヤーでさえ1~2分でHPが全損するほど。


「ん-、触手だけど、もっと長い、こういう感じじゃない方がいいなぁ」


 イリーナは魔法少女が持っていそうな、星があしらわれた桃色の短いステッキを構える。

 見た目は子供用の玩具のようだが、性能はトップクラスの杖である。


「とゆーわけで、正義の鉄槌をくらえ!」


【降星術:メテオ】


 決めセリフに合わせてステッキを振り術を発動すると、空から降ってきた隕石が凄まじい衝突音を響かせてヒトデに直撃し、一撃で倒す。


「相変わらずクレーターとかできそうな術だけど、流石ゲーム、砂浜なのに跡一つ残ってない」


 隕石が落ちたとは思えないほど綺麗な砂浜を再び歩き出す。

 少し歩くと、イリーナは足に何か柔らかい物を踏んだような感触を得る。


「ブニ?」


 その感触に首を傾げた瞬間、砂の中から青色の触手がイリーナを襲う。


「おっと!?あぶなっ」


 触手を躱して飛び退き、襲ってきた相手を見る。


「お、珍しいね」


 砂から出てきた襲撃者は黒いワンピースを着た十代の少女のような姿をしていた。

 だが頭から髪の毛が生えておらず、代わりに青紫色の触手を生やしていた。


「シーテンタクルか。ちょうどいいかもね」


 髪の毛の代わりに触手を生やした魔物娘、テンタクルの亜種、シーテンタクル。名前の通り、海辺に生息している。少女の見た目からは想像つかないほど力が強く、触手に絡めとられれば戦士系でも脱出は困難を極めるので、魔法職であるイリーナでは不可能に近い。

 見た目の可愛らしさと何を考えているのか分からない表情から人気があるが、出現率が低いうえに砂や地面の中に隠れているので滅多に出会えない敵である。


「よし、邪なる者よ、正義の光に倒れろ!」


 イリーナはシーテンタクルを今回の相手に決めて、決めポーズをすると同時に術を放つ。


【降星術:スターダスト・ブラスト】


 イリーナの術によって空に魔法陣が描かれ、そこから手のひらサイズの星屑が降り注ぐ。

 イリーナの高い魔力で形成されたそれは、一個でもかすればシーテンタクルは致命傷となるほどの威力をもっている。だが、それは綺麗にシーテンタクルから外れた位置に着弾しており、傷一つ負っていない。


「ふふーん、魔法少女の実力、どうよ」


 ステッキ片手に堂々とした歩みで舞い上がった砂煙に近づくイリーナ。

 強力な魔法を敢えて外し、煙を舞い上がらせ、勝利を確信して油断し、不意の一撃で捕まってくすぐられる。イリーナがよくやるプレイである。

 尚敢えて攻撃を外すのは、イリーナの実力だと殆どの敵が一撃で消し飛んでしまうからである。


「わっ、きゃぁっ!」


 そして砂煙の中から予想通り、イリーナの期待通りにシーテンタクルの触手が伸びてイリーナを捕らえる。テンタクル種の触手は伸縮が可能で、最大5メートルまで伸びることができる。


(シーテンタクルに捕まるのは初めてだけど、普通のテンタクルと違ってひんやりしてる)


 四肢を触手に絡めとられると、そのままシーテンタクルの目の前まで運ばれる。

 イリーナほどの実力があればくすぐられる前に術で反撃できるが、くすぐられる気満々のイリーナは何もせず次を待っている。

 そんなイリーナの心情を察してか、シーテンタクルは小さな手を伸ばし、両手で両脇をくすぐり始める。


「ふひっ!ひゃっ!あっ!んんっ・・・!はっ!あはっ!はっ・・・!」


 イリーナの来ている服はピンクと白を基調とした、アニメに出てくる魔法少女が来ていそうな服。だが、くすぐられやすいように脇とおへそが出ており、ブーツも簡単に脱げるように工夫が凝らされている。


「やっ!あはっ!あっ!んっ!ふひっ!ひっ!はっ!」


 段々と指の動きが早くなり、エスカレートしていく。そして遂に触手がイリーナの体に向かって伸びていく。

 テンタクル種に生えている触手は太くて力強い拘束用と、細長かったり内側がブラシになっていたりザラザラしていたりするくすぐり用の2種類に分かれており、拘束用は6本と数が決まっているが、くすぐり用は個体によって種類と数が大きく異なる。

 かつて団長リリィは好みの触手配分になっているテンタクルとの召喚契約を求めて1ヵ月かけて厳選を行っていた程、くすぐり用触手の生え方は個体によって大きく異なっている。イリーナが今回捕まったシーテンタクルは舌のような触手が多めに生えている。

 大量に生えている触手の内の1本、大きさも感触も人の舌に一番近い触手が丸出しのおへそを舐めまわす。


「んひひひひっ!やっ!そこ、やぁっはっはっはっはははは!」


 細長く、少し硬めな触手がイリーナの両脇腹をツンツンと突っついてくすぐり、その度にイリーナは体を跳ね上がらせてくすぐったさを表現する。


「あっ!はぁっはっはっはははは!あはっ!はぁぁっ!はっ!」


 細長い触手たちがイリーナのブーツと靴下を脱がせると、土踏まずのあたりに殺到して先端で優しく撫でるようにくすぐる。


「はひゃっ!はぁっ!やっ!あぁっはっはははははははははは!」


 親指ほどの太さで、先端がイソギンチャクのようになっている触手が数本足の裏に近づくと、足の指と指の間を毛のように細い触手が蠢いてくすぐる。


「~~~~~っ!やっ!はぁっ!はっ!あっ!あぁぁ~っはははははははははは!」


 足の指の間をくすぐられると同時にイリーナの体が大きく跳ねて、可愛らしい笑い声がより大きくなる。


「あはっ!はっ!はっ!はぁっ!っ!あはっ!やっ!あぁ~~~っ!はぁぁっ!はっはっはははははは!」


「・・・・・・♪」


 シーテンタクルは言葉を発さずにイリーナをくすぐるが、表情だけは嗜虐的な笑みを浮かべていた。


「はっ!はっ!はっ!はっ!はぁっ!あぁぁぁ~~~っははははははははははははははは!」


 脇をくすぐる指の動きも一切緩まず、体中を襲う指と触手のくすぐったさにイリーナの体力はみるみると減っていく。


「やぁぁぁ~~~っはっはっはっはははははははははは!くすぐったぃっひひひ!あぁ~~~っ!ひゃぁっはははははははははは!」


 5分ほどくすぐられ続けたイリーナは、体力を全て減らしてギルドハウスの自室に強制送還された。


「はぁっ・・・!はぁっ・・・!はぁぁっ・・・」


(最初の予定とは違ったけど、結構よかったなぁ・・・。普通の触手を生やした魔物と違って、表情を見れるのがいい)


 ベッドに突っ伏しながら、シーテンタクルとのプレイを振り返る。


(次はどうしようかな。今日できなかった、純粋な触手生物にめちゃくちゃにされるのもいいし、研究所跡で『敵の基地に踏み込んだものの、罠にかかってくすぐり拷問される魔法少女』を演じるのもいいなぁ・・・)


「はぁ・・・、んふっ・・・、うへへ・・・」


「気持ち悪い声出さないで、主」


 ベッドで次のプランを考え、あれこれ妄想しているイリーナに厳しいツッコミを入れる、イリーナのパートナーのステラ。

 ステラの反応に少しむすっとするも、次はステラと2人でくすぐられに行くのも悪くないなと、本人が想像していないプランが密かに立てられる。

今年のコミケは買うの少ないかもなぁと思ってたけど、終わってみればいつもと変わらない量を買っていた。

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