111話
モモが新スキルを習得しに行っている間。暇を持て余しているミコ。
「んー、私は何しよっかなぁ」
当てもなく街を歩き回り。
「久々に釣りにでも行こうかな」
目的を決めて街を出て海へ向かう。
「釣りに行くのも久々だなぁ」
ミコは時折、暇があれば釣りに行って食材を獲りに行っていた。
「お金使わずに旨いもの食べられるのも、VRゲームの醍醐味だよねぇ」
そうして獲った魚介類を料理して楽しんでいた。
「まぁ実際に食べてるわけじゃないから、お腹は膨れないんだけど」
乗り物があるため、そんなに時間もかからずに海まで到着する。
「さぁーて、今日は何が釣れるかなぁ」
アイテムボックスから釣り竿を取り出し、餌を設定して投げる。
ほどなくして小さな魚が釣れる。
「早いアタリ。けどちっさいなぁ」
食べられるサイズでは無かったのでリリースする。
「ゲーム内でぐらい、こんなちっさいの釣れなくていいのに・・・」
不貞腐れつつも次を投げる。尚、ミコは現実で釣りに行ったことはない。
「ヒット!・・・けど、これは魚じゃ無いなぁ」
竿に何かが引っ掛かったが、まったく動き回らないので魚ではないと判断する。
ゲームだからか、稀にアイテムが引っ掛かることがある。
「よっと。・・・ナニコレ」
ミコが釣り上げたのは、四角い手のひらサイズの物体。
「んー、箱の類ではなさそうだけど・・・。わかんないな」
今度ニナに聞こうと、ミコはその物体をアイテムボックスにしまって次を投げる。
「さて、次は何が釣れるかなぁーっと」
数分待つと、再び竿が反応する。
「よし、今度は魚っぽい」
数分の格闘の末、引っ掛かった獲物を釣り上げる。
それと同時に戦闘エリアが形成される。
「あ、これ、ヤバい?」
ミコが釣り上げたのは、全長1メートルほどの大きさのタコ。
だが触手には吸盤が通常のタコよりも小さくびっしりと生えており、まるでブラシの様な様相になっている。
「完っ全に魔物だね。敵だね」
ミコはパートナーを連れずに一人で来たことを若干後悔し始めていた。
「さて、どうしようか」
ミコは竿をアイテムボックスにしまい、腰に提げてあった剣鉈を抜いて構える。
「捕まったらヤバいよね、あれ。めっちゃくすぐったそう」
接近戦は危険と判断し、ミコ専用の特殊拳銃を構える。
【豊穣:エッジプラント】
ミコが拳銃を地面に撃つと、そこから植物が急成長し、鋭い刃のような葉を持った植物になる。
「いけぇ!」
ミコの掛け声と共に葉っぱがタコに向かって飛んでいくが、タコに当たった葉っぱはそのままタコの皮膚を撫でて通り過ぎていく。
「ありゃ?」
再度同じ攻撃を放つが、同じ結果に終わる。
「これは、もしかしてヌルヌルの粘液で滑って受け流されている・・・?え、そんなことあるの?」
そうこうしているうちに、タコはどんどん距離を詰めて来る。
「じゃあ次は、打撃!」
【豊穣:パワーウィップ】
ミコが地面に向かって銃を撃つと、今度は太い蔓を持った植物になり、その太い蔓を鞭のようにしてタコに向けて振り下ろされる。
だが、タコはすんでのところで回避する。
「避けられた・・・。水生生物なのに動きが俊敏すぎる・・・」
タコはもうミコの近くまで迫ってきている。
「一旦距離を取らないと・・・。これ!」
【豊穣:バインドウィップ】
ミコが地面に向かって銃を撃ち、今度は細長い蔓が大量に生い茂り、タコの行く手を阻む。
だが、タコはヌルヌルの粘液ですり抜けて、殆ど障害にならなかった。
「あ、これマズいかも」
ミコは剣鉈を構え、最終手段の接近戦に挑む。
「てやぁ!」
タコが間合いに入ると、ミコはタコが飛び掛かってくると読み、剣鉈を上から思いっきり振り下ろす。
だが、タコはミコの予想に反して股下を潜り、通り抜ける。
「あれ?攻撃してこな・・・ひゃんっ!?」
攻撃してこなかったことに違和感を覚えつつも振り返り、同時にタコの狙いを理解する。
タコが大量の粘液を纏いながら通り抜けたため、ミコの足元は粘液まみれになっており、非常に滑りやすくなっていた。それに気づかなかったミコはそのまま足を滑らせ転んでしまう。
「やば、これ、立てない・・・」
うつ伏せに倒れたミコは、周囲の地面が粘液まみれになっているため、手も足も滑って立ち上がるどころか体を起こすこともままならない。
そして、そんなミコにタコが足元から近付く。
「や、ちょっと、待って・・・」
そんな言葉が通じるはずもなく、タコは素早く動き、スカートからミコの服の中に潜り込む。
「やめ、ちょ、出てって!」
タコはミコの腰のあたりで止まると、8本の触手を伸ばしてミコの素肌に絡みつき、ブラシのようになっている部分を擦り付ける。
「やっ、ちょっ、ふひっ!あっ!あぁっははははははははははははははは!」
粘液でヌルヌルになったブラシのようになっている触手がミコの体を撫でると、ミコは強いくすぐったさから大声で笑い、暴れる。
「やめっ!~~~~~っ!あっ!これ!むりぃっひひひぁっははははははははは!」
暴れても、地面も体も粘液でヌルヌルしているので、手足が激しく動くだけにとどまり、くすぐりを妨害することはできていない。
「やぁぁっはははははははは!はぁっ!はぁっ!はぁぁぁっはははははははは!はげ、しっ!~~~っ!」
2本の触手が両脇を、細長い先端のあたりを蠢かして強いくすぐったさを与える。
ミコは反射的に脇を閉じているが、ヌルヌルの粘液のせいで何の支障にもなっていない。どころか、むしろ触手を脇に強く押し付けてしまっている。
「あぁぁっははははははははは!はぁぁっ!はっ!はっ!あぁっ!~~~~っはははははははははは!」
2本の触手はミコのお腹を縦横無尽に動き回り、緩急をつけて多彩なくすぐったさを与える。
「いやぁぁぁぁっははははははは!あぁっはっ!あはっ!はぁっははははははははははは!」
2本の触手は腰から脇腹まで巻き付き、揉みしだくように動く。
「あぁぁぁ~~~っははははははははははははははは!はぁぁっ!あはっ!やっ!あぁっはっはっはっははははははははは!」
最後の2本は螺旋状に太ももに巻き付き、そのまま上下にゆっくり動いて耐えがたいくすぐったさを与える。
唯一の救いは、足裏までは長さが足りず届いていなかった。
「はぁぁぁぁっ!っ!あぁっはははははははははははは!やめっ!やっ!やぁぁっはははははははははははは」
ヌルヌルの粘液で全身を激しくくすぐられるミコは、HPをあっという間に減らしていく。
「んやぁぁっははははははははははは!はぁっ!くすぐったぃっひっひひひひぁっはははははははははは!」
たった3分でミコはHPを全て失い、ギルドハウスの自室に送還される。
「ぐぇっ・・・!はぁっ!はぁっ!はぁぁっ・・・!」
「おかえり、マスター。・・・随分とお楽しみだったみたいね」
ベッドの上に送還されたミコはそのまま寝転がり、大きく呼吸をする。
その様子をパートナーのアヤカが見て、何があったかを大体察してそんな言葉を投げる。
「これ、が・・・。たの、しく・・・。みえる、と・・・?」
「えぇ」
「そっ、か・・・」
それ以上は何も言わず、そのままミコは意識を手放して眠りに落ちる。
服の中に潜り込まれてくすぐられるのって、いいよね