110話
晩御飯を食べ終えた4人はゲーム世界に戻ってくる。
「じゃあ、私はスキルの習得に行ってくるわね」
モモはそう言って一人で行動する。
「じゃあ私たちは何してよっか」
残った3人がカフェで飲食を楽しみながらミコが話題を振る。
「3人でダンジョン潜ったりレベル上げに行くのもねぇー」
「無難なのは素材集めとかかな」
ユカが無難な案を出す。
「ゆかちーは何か欲しいのあるの?ちなみに私は特にない」
「私も特には無いかな。ニナは?」
「私も今は特に無いかなぁ・・・」
そこで会話が止まり、しばしの静寂が流れる。
「3人でくすぐられに行く?」
「クエスト行く?みたいなノリで聞くことじゃないわよ」
ニナの発言にユカがツッコむ。
「・・・念のため聞くけど、どこか行きたい所とかあるの?」
「んー・・・特にココッ!っていうのは無いかなぁ」
「結局ノープランじゃない」
会話は振り出しに戻り。
「結局こうなるかぁ」
全員単独行動で話が纏まり、解散した。
「んー、ソフィナちゃんと戯れてもいいけど・・・。もっと激しめにされたい気分」
ニナは一人、街を目的も無くブラついて今日の予定を考える。
「今日は機械かな」
目的が決まると行動も早く。ニナは大きな山羊を召喚して、跨り、研究所跡まで移動する。
「んー、こいつじゃないなぁ」
「こいつでもないかなぁ」
序盤で襲ってくるくすぐりマシーン程度であればニナ1人でも余裕なので、撃破しながらピンとくるのが現れるまで奥へと進んでいき、気づけば4階まで到達していた。
「こいつかなー。あんまりこだわり過ぎると夜遅くなっちゃうし」
ニナが決めた敵は、一言でいえば自走するマッサージチェア。
底に車輪がついており、見た目より早く動く。そうしてプレイヤー達に突撃し、背中側からマジックハンドを伸ばして捕まえ、強制的に座らせる。
椅子は全身をくすぐりやすいよう、人型に凹んでおり、座れば柔らかく包み込まれるような座り心地である。勿論くすぐられるのでゆったりと座れる椅子ではないが。
上の方には筒状の拘束具が備わっており、座らされれば万歳の姿勢で固定されて脇を守ることができなくなる。
そして足の方には、足首を拘束するための穴が開いた板状の拘束具が備わっており、捕まれば一人で脱出するのは不可能だろう。
「椅子型は定番だよねぇ。そして如何にもくすぐりに特化したデザイン。逃す気のない拘束具」
戦闘エリアが形成され、迫ってくる椅子に対してニナは。
「よし、こい!」
武器をアイテムボックスにしまって、両手を広げて迎える。
そんなニナの意思と欲望が伝わったのか、椅子はニナの目の前で止まると、マジックハンドを伸ばして優しく両手足を掴み、椅子に座らせ、拘束具で拘束する。
「何回経験しても、体をガッチガチに拘束されると変な緊張感を感じるね・・・」
どこか緊張したような、期待しているような面持ちでいると、それに応えるように椅子が動き始める。
椅子の背中の中に仕込まれている、細長い指の様なアームがニナの背中をつーっと、上下にゆっくりと動き始める。
「んふっ!ふっ・・・!あっ!ゾクゾクする・・・!んんっ!」
次に脇腹のあたりにある丸型のアームが振動し、無機質なくすぐったさを与える。
「んひゃっ!はっ!んっ!んっふふふふ!」
(これ、思ったよりヤバいかも)
反射的に腰を浮かして刺激から逃れようとするニナ。だが、椅子の後ろから伸びてきた1対のマジックハンドが、セーラー服風のニナの上着を捲り、露出したお腹を押さえて椅子に沈みこませる。
「んやぁっ!っはははははははは!ちょっ、やぁだっ!っははははははははは!」
薄い布とはいえ、素肌になった脇腹を襲う刺激は強くなる。そしてニナのお腹を押さえて逃さないようにしているマジックハンドが、指を小刻みに動かしてお腹にくすぐり始める。
「ふひっ!はっ!あっ!あぁっはははははははは!も、きつっ!ひぃっひひひひひひはははははははは!」
すでに大笑いするほどのくすぐったさを感じているが、椅子は更にアームを追加してくる。
新たに出てきたマジックハンドは、指先が細長い針金のようになっており、先端には黒い出っ張りが付いている。まるで、ヘッドマッサージャーのワイヤーをそのまま指に置き換えたような形をしていた。
「はひゃっ!ぁっははははははははははは!それ、やっ!だめっ!ぇっへへへへへへへへへ!」
それがニナの脇に当たると、そのまま普通の指でくすぐるように動かしてくる。
「あぁっははははははははは!はっ!やっ!やぁぁっはははははははははは!ま、まだぁっ!?」
更に椅子の下から新たに出現したマジックハンドが、器用にニナの靴下を脱がし、まったく動かせない足に狙いを定める。
足に狙いを付けたマジックハンドの手のひらには、細かい突起が無数についており、まるでブラシのようになっている。
「やぁぁぁぁっはははははははははは!あはっ!やっ!くすぐったぃっひひひひひひひ!ひゃぁっはっはっはっはははははは!」
それがニナの足の裏を上下に激しく擦り付けるようにくすぐると、ニナの笑い声も一層大きくなる。
「はぁぁっ!はぁっ!あぁぁ~~っはははははははははは!はぁっ!やっ!あぁっははははははははは!」
ニナは大声で笑い悶えながら、反射的に体を動かして逃れようとするが、ガッチリと拘束している拘束具が音を鳴らすだけで逃れることはできない。
ここまで敵のレベルが上がると、ユカの縄抜けの様な反則技でもない限りは余程の強者でも拘束から逃れるのは不可能に近い。
「あぁぁぁぁぁぁっ!はっ!はっ!はぁぁぁっはははははははははははは!」
全身を激しくくすぐられたニナはあっという間にHPを減らしていき、5分程でHPを0にしてお仕置き部屋に転送される。
「はぁっ!・・・はぁっ!・・・はぁっ!」
(お仕置き部屋。そんなのあったね。暫く全滅なんてしていなかったから完全に忘れてたわ)
ダンジョン等で全滅すると、街へ戻される前に一切体が動かない状態で10分の間、全力でくすぐられるお仕置き部屋に転送される。
4人で行動するようになってからは全滅することはあんまりなかったので、ニナはそんな仕様もあったなと思いながら、自分を見つめている5人の少女を見つめ返す。
ニナはベッドの上で大の字になって寝転がっており、特に拘束等はされていないが、体は一切動かせない。
そんなニナを取り囲むのは銀髪セミロングの美少女5人。見た目は美少女だが、その無機質な顔に感情はなく、そして5人とも同じ顔をしていた。
(ティックロイド・・・。会うのは初めてだね)
研究所跡に出現する徘徊型ボス「ティックロイド」。ここのお仕置き部屋は5人のティックロイドにくすぐられる内容になっている。
ティックロイドは少しの間ニナを見つめていると、急に行動を開始する。1人はベッドの上に上り、ニナの腰の上に跨る。残った4人は全員ニナの足の方へ移動する。
(下半身集中攻撃かな?)
ティックロイドの動きからそんなことを予想したニナは、直後に強いくすぐったさに襲われる。
「んひぃっ!あっ!だめっ!やっ!あぁっはははははははははははは!」
ニナの2つしかない足の裏を、4人のティックロイドが両手で容赦なくくすぐると、その激しいくすぐりに大きな笑い声をあげる。
「あぁぁっはっはっはっはっははははははははははは!やっ!あっ!~~~~~~~~~~~~っ!!」
かかとから土踏まず、足の指の間まで、40本の細長い指がニナの足の裏を蹂躙する。
「だめっ!だめっ!だぁぁっはははははははははははは!あはっ!あぁっはははははははは!」
ニナの腰に跨ったティックロイドは、体を倒してニナに抱き着くように密着する。
そして笑い悶えるニナの顔を見つめながら、両手で両脇の下をくすぐる。
「あぁぁ~~っはははははははははは!はぁっ!あっ!はっ!~~~~~~っ!っ!っ!」
抱き着いているティックロイドはニナの脇をくすぐりながら、その顔を覗き込むように密着する。そのせいでニナは足の方が見えず、感覚が研ぎ澄まされ、くすぐったさが増していく。
「あぁっ!はっ!あぁぁ~~っはははははははははは!あっ!はぁぁっ!やぁぁっはははははははははははははは!」
どれだけくすぐったくても指一本動かすことのできないニナは、5人のティックロイド達に10分間弄ばれる。
「あぁぁっ!~~~~~~っ!はぁっ!やっ!いぃぃやぁぁっははははははははははははははは!も、むりっ!げんかっ!ぁっはははははははははははは!」
10分後、ギルドハウスの自室に戻されたニナは、疲れ切っていたが、どこか満足そうな顔をしていた。
暫くは月1~2投稿になりそうです。