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109話

 奈落の洞窟に挑むユカ達4人は6Fに到達する。


「10Fごとにワープできるとはいえ、11Fに到達するまで結構長いよね・・・」


「ぼやいてないで、先進むわよ・・・」


 先へと進む一行の前に、以前も会った本の魔物が行く手を阻む。


「またこいつか」


 それを忍術と蒼い炎で焼き払い、先へと進む。


「あんまり手ごわくないね」


「まだ上の階だからね。今の私たちのレベルなら、50Fまでは何とかなると思うよ」


 そんなことを話している内に魔法陣を見つけ、次のフロアへと進む。


「本が邪魔で動きつらいなぁ・・・」


「すっ転ばないようにね」


 本が散乱して歩きにくい通路を歩いていると、新たな魔物が立ちふさがる。


「変な形」


「『プリズン・ゴーレム』ね。地味にめんどくさい相手」


 石でできた細長いドーナツのような体に足と顔だけできたゴーレムの1種。体の中央にあるわっかは人が1人入れるほど大きい。


「炎と斬撃に耐性があって、防御とHPが高い。遠距離攻撃はないけど、あの体のわっかから手をだして捕まえてくるから気を付けてね」


「まぁ、遠距離からやれば問題ないわよね」


【忍術:土遁・壊槌】


 ユカが忍術で土のハンマーを生み出し、遠くから叩き潰す。


「忍術って万能よねぇ」


「その分燃費が悪いんだけどね。MPの最大値も多くないし」


 ニナが少し羨ましそうに呟く。

 気を取り直して先に進む一行は、大して苦戦せずに10Fまで辿り着く。


「ギリ人型・・・だね」


「『古代のオートマタ』だよ。この子もくすぐり効かないのよねぇ・・・。残念」


 10Fで待ち構えていたボスは無機質な体を持つ少女の姿をしたロボットの様なもの。手の作りこみは精密だが、足は足首までしかなく、金属の足音を響かせる。背中には更に4本の腕があり、内1本には銃の様な物が握られている。


「めちゃくちゃ銃持ってるけど」


「あれで状態異常弾を撃ってきたりするから気を付けてね」


「銃弾相手に気を付けてね。って言われてもねぇ」


 オートマタはユカ達を認識すると、周囲に2メートルはあるウサギのぬいぐるみを8体召喚する。


「ぬいぐるみ・・・。あれだけでかいと着ぐるみみたいね・・・」


「中に取り込まれるから、着ぐるみでも間違ってないかもね」


 ぬいぐるみの名前は『ティック・マリオネット』。

 炎に弱く、耐久面も低いが動きが早く、プレイヤーに高速で接近すると抱き着こうとする。避けたりできず抱き付かれると、そのままお腹に開いた穴からぬいぐるみの中に取り込まれ、全身をくすぐられることになる。


「あれは動き早いし、耐久も低いし、都度全滅させていく方針の方がいいかな」


「むしろ残しておく方が危険だと思う」


 話合って戦い方を決めたところで、4人は動き出す。


【忍術:火風遁・火災旋風】


 ユカの忍術で生み出された炎の竜巻がぬいぐるみ達とオートマタを巻き込み、ぬいぐるみを焼き払っていく。


「このぐらいで一撃かぁ」


「そんな何十発も撃てないんだけどね」


 ぬいぐるみがいなくなり、1人になったオートマタに向けて鎌を振るうニナ。

 オートマタはそれを腕で受け止め、即座に銃で反撃してくる。


「あぶなぁ!」


 それをギリギリかわすニナ。そして再召喚を警戒して即座に離れる。


「この子もゴーレムの一種だから、炎も斬撃も効かなくてつらいなぁ。・・・取り巻き処理に回ろうかな」


 ニナの攻撃は殆どが炎と斬撃であるため、その両方に耐性を持つ敵にはあまりダメージを出すことができない。


「まぁ、元よりすぐに倒せるとは思ってないし。ちょっとずつでも削っていこう」


 ニナがユカの近くまで引くと、オートマタが取り巻きのぬいぐるみを再召喚する。

 それを確認すると今度はニナが蒼い炎で焼き払い、1人になったオートマタに今度はユカが雷の忍術を叩き込む。


「雷は効きがいいね」


 それを3度繰り返し、オートマタのHPも半分を切る。そして4度目の再召喚が行われ、ニナが焼き払う準備をすると、オートマタが予想外の行動をとる。


「ちょ、そんなことするの!?」


 オートマタが傍にいるぬいぐるみを2体、手でつかむと、ニナの炎が届く前にユカの方に向かって投げつける。

 予想外の行動に驚いたユカは反応が遅れ、1体は倒すものの、2体目は間に合わず抱き付かれる。


「むぐっ!んんーっ!」


 そしてユカが脱出の術を行使するよりも早く、中に取り込んでしまう。


「ふっ!んんぅっ!っ!んっふふふふふ!」


 中に取り込まれたユカは、ぬいぐるみの中に敷き詰められた綿に全身をくすぐられていた。


「はぁっ!はっ!はぁぁっ!あっ!あぁっはははははははははははは!やっ!はげしっ!ぃっ!っ!」


 綿は生き物のように蠢き、ユカの体中を容赦なくくすぐる。


「んふっ!ふっ!はぁっ!はぁっははははははははは!やっ!あっ!あぁっはははははははは!」


 ぎゅうぎゅうに敷き詰められた綿の中に取り込まれたユカは、体を必死に動かそうとしても全く動けず、抵抗もできない。


「あぁっはっ!はぁっ!んぅっふふふふふふ!ふぅ~~っふふ!あはっ!あぁっははははははははは!」


 唯一、顔だけはぬいぐるみのお腹にある裂け目の近くにあるため、息苦しさはなく、安心して(?)大きな笑い声をあげられている。


「はぁっははは!やぁっ!っ!あぁぁ~~っはははははははははは!くすぐったぃっ!」


「傍からみると、大分ホラーな絵面だね」


 後ろからその様子を見ていたミコが呟く。

 ミコからすれば、ぬいぐるみの中から顔だけ出している少女が大声で笑い悶えているように見えている。


「あぁっはははははははは!はっ!あっ!やぁっはははははははははは!・・・あっつぃっ!」


 3分ほどくすぐられたところで、隙を見つけてニナが炎でぬいぐるみを焼き払い、ユカを救出する。

 やや強引な救出方法であり、ユカもそこそこのダメージを負う。


「お楽しみの最中で悪いけど、私だけだとろくにダメージ与えられないから、頼んだ!」


「もうちょっと、考えて、救出してよ!」


【忍術:雷遁・紫電】


 オートマタの体力もニナがそこそこ削ってくれており、ユカが強めの雷の忍術を叩き込むと、HPをすべて消し飛ばしてオートマタは動かなくなる。


「火力いいねぇ」


「おかげで私はもうMPが空になったわ」


「まぁ、もう敵もいないし」


 敵を倒して完全に気を抜かした一行。


「モモさんは、お目当ての物は手に入った?」


「ええ、ばっちり」


「それじゃ、11Fのワープポイント解放して、一旦解散ね」


 11Fへ移動し、ワープポイントを解放すると、4人は晩御飯を食べにログアウトする。

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