108話
奈落の洞窟5Fでユカ達を待ち構えていたのは、空中に浮いた直径1メートルほどの六角形の結晶体。
「あれは?」
「エレメント・クリスタルだね。結晶の中から触手を生やして襲ってくるよ」
そこまで説明を終えると、結晶体は周囲に取り巻きを6体召喚する。
「あのキモいのは?」
「アースゲイザーだね。動きは遅いけど触手が多いから気を付けてね」
「触手ばっかね・・・」
球体の体に大きな一つ目に触手を生やしたモンスター、「ゲイザー」の一種。
見た目はキモいが、一部に人気のあるモンスターである。
「アースゲイザーはゲイザー系の中でも防御力が高めだから、ユカちゃんと私でも簡単には倒せないかな」
「触手が怖いし、接近戦は厳しいものね」
「魔眼の状態異常には気を付けてね。あまり目を合わせないように」
解説を終えると、ニナは鎌を構えて敵の方へ向かい、敵が散る前にダメージを与えようとする。
【死神技法:蒼炎の鎌舞】
広範囲を焼き払う蒼い炎を放つが、あまりダメージは与えられない。
「やっぱこいつらに火は効かないかあ」
アースゲイザーはアースの名がある通り、土属性を宿しており、土は火に耐性がある。エレメント・クリスタルは全属性に耐性がある。
「なら私は物理でいくしかないかぁ、危険だけど」
ニナは鎌を構えなおして物理型にチェンジする。
【忍術:水遁・水刃派】
その後ろからユカが忍術を放ち、先程の炎の倍以上のダメージを与える。
「土には水がよく効くわね」
「けど、もう結構バラけちゃったから、めんどくさくなったわね」
「あんまり目を合わせられないから、余計にね・・・」
目を合わせただけで様々な状態異常を与える厄介な技、魔眼。10秒以上目を合わせなければ平気だが、見ていないとどこに行ったか把握できなくなるため、非常に厄介である。
「私がゲイザー処理していくから、ニナはボスをお願い」
「りょー。あ、1体は残しておいてね」
「分かってるわ」
エレメント・クリスタルは取り巻きが全滅すると再召喚を行うため、一撃で蹴散らせなければ1体は倒すまで残しておいた方が安全に戦える。
「こいつの触手は突然出てくるから怖いねぇ」
ニナはエレメント・クリスタルの触手を躱しつつ、鎌を振ってダメージを与えていく。
「1対1なら余裕ね」
ユカは距離を取り、なるべく目を合わせないようにしながら忍術でゲイザーを一匹ずつ倒していく。
「よし、これで残り1体になったわね」
ユカが5体目のゲイザーを倒し、残り1体の現在地だけ確認しようと周囲を見渡した時。
「ひゃんっ!?」
後方からモモの声が響く。
「な、に、これぇ・・・!」
モモの周囲にはなにもいないが、モモはくすぐったそうにうずくまっている。
「【見えざる手の魔眼】だね」
ニナが声に反応し、一瞬だけ後方を向いて状況を理解する。
モモの正面、少し離れた場所にゲイザーがモモのことを真っすぐ見つめていた。
「魔眼の一つで、毒に近い感じかな。見えない手に体をくすぐられている感覚になるの。一度受けたらゲイザーのMPが切れるか、ゲイザーを倒さないと解除されないから、我慢して」
「そ、んな・・・っ!んっ!っふふふふ!」
このゲイザーを倒してしまうと、モモはくすぐりから解放されるが、また6体召喚されてしまうため、倒さない方が安全である。
「んっ!ふふっ・・・!んぅ~~・・・!み、こっ!助けっ!」
「いやどうしようも出来ないよ。足止めくらい?」
モモは近くにいるミコに助けを求めるが、ゲイザーを倒すわけにはいかないので、どうしようもできない。だが、動けないモモに追い打ちをかけようと接近してくるゲイザーを植物で足止めしている。
「んっふふふふふふ・・・!はぁっ・・・!やっ!んんっ・・・!ふっ・・・!んんっふふふふ!」
モモは見えない手に脇と脇腹をくすぐられている感覚に耐えながら、終わる時を待つ。
「はぁっ!あっ!んんっ!ふっ・・・!んぅっふふふふふ!なん、で・・・!上手いのよ・・・!」
見えない手は指を巧みに動かし、モモを追い詰めていく。
「んぅ~~・・・・!んふふふふ!はぁっ!~~~っ!はぁっはははははははは!」
「ももっちって、くすぐられると結構反応がアレだよね」
「うる、さぃっ!ーーーっ!んぅっふふふふ!やっ!んんぅっ!ふっふふふふふふふ!」
どんなに体を捩ろうと、くすぐってくる手は実際には無いので逃れることはできない。
「ふっ!ふふっ!はぁっ!はぁ~~~~っ!あっ!んっ!んんぅ~~~っふっふっふふふふふふ!」
モモのHPが3割ほど減ったところで、エレメント・クリスタルを倒し終えたユカが残ったゲイザーを倒し、モモはくすぐったさから解放される。
「はぁ~~~~っ・・・!はぁ・・・!」
「見えないのにくすぐられるのも何か変な感じするよね」
「うる、さい・・・」
モモの回復を待ってから、一行は6Fへと移動する。
来週はゼ〇ダやりたいので休みます。