107話
投稿ボタン押し忘れたアホがここ居ます。
ユカ達が奈落の洞窟の入口にたどり着いた日の翌日。
「さて、じゃあいこっか」
休日なので昼間からログインした4人は奈落の洞窟へと入っていく。
「1Fは天を貫く巨塔と同じエントランスで、2Fからが本番よ」
「プライベートダンジョンシステムで、他のプレイヤーを気にする必要が無いのもいいよね」
「それは本当にそう」
4人は1Fの奥にある魔法陣に乗り、2Fへ移動する。
「散らかってるねぇ・・・」
転移が終わり、2Fにたどり着いて早々に率直な感想を言葉にするミコ。
奈落の洞窟2Fは薄汚れた屋敷のような様相で、そこら中に古ぼけた本や燭台などが散らかっている。
「奈落の洞窟の2Fから10Fまでは魔法生物系が出てくるフロアだからね」
「魔法生物ってどんなの?」
「ああいうの」
ミコの疑問に指差して答えるニナ。
ニナが指で示した先には空中をパタパタ飛んでいる本が3冊、ユカ達の方に向かってきていた。
「シャトゥイモ・グリモワールっていう敵。魔法でいっぱいくすぐってくるらしいけど、所詮本だから、捕まらなければ大した敵じゃないよ」
「ただ、その辺に転がってる普通の本に擬態して襲ってくることがあるらしいから、気を付けてね」
そういい終えると、ユカは縮地で一気に接近する。
【忍術:火遁・業火】
そのまま忍術の炎で焼き払う。
「本だからよく燃えるねぇ」
気を取り直して先へ進み始める4人。
途中襲ってくる本を焼き払いながら4Fまで順調に辿り着く。
「さすがに序盤の階層だし、余裕だねー」
「みこがこういうこと言う時って大体・・・」
ユカがそこまで言いかけた時、傍に積まれていた本の一番上の1冊が4人の背後で浮かび上がる。
そして本が開かれると、魔法陣が広がり、10本の手が伸びる。
「そんな何度も起きるわけにゃぁっ!?」
そして一番後ろにいたミコの手足を4つの手で捕まえる。
「さすがミコちゃん。フラグ回収が早いね」
「いや、そんなこと言ってないで助けっ、ひゃぅっ!」
残った6つの手がミコの上半身をくすぐり始める。
「や、やめっ!やぁっっははははははは!はぁっ!たすっ、けっ!」
「こういう時ってどうして敵がわらわら湧いてくるかなぁ」
ユカが前を見ながら呟く。
ユカ達の前には石でできた腕が6本あるマネキンのようなものが5体向かってきていた。
「魔道ゴーレムが5体。耐久型だからちょっと時間かかるかも」
「はやっ、くぅっふふふふふふふふ!はっ!はぁっ!んっ!あぁっはははははははは!」
本の魔法から生まれた手はお構いなしにミコの体をくすぐり続ける。
「あはっ!はぁっ!あっ!あぁっはははははははははは!やっ!はげしぃっ!」
計30本の指から送られてくるくすぐったさは、服の防御力程度では気休め程度にしかならない。
「やぁぁっははははははははははは!だめっ!あっはははははははははは!」
両手足を掴まれて宙に上げられたミコはまったく抵抗できない。
「あぁっはははははははははは!・・・はぁっ!はっ・・・?へぇ・・・?」
くすぐる手が一旦止まり、疑問を浮かべるが、すぐに答えを知る。
「えっ、ちょっ・・・!やっ!入ってこないで!」
手はスカートと袖から服の中に入り込む。尚、魔法で呼び出された手は真っ白の小柄の手で性別の概念はない。
「やっ!あっ!あぁっはははははははははははは!だめぇっへへへへへへへへ!」
素肌を直接くすぐられ、より笑い声を大きくする。
「やぁぁっはははははははははは!やぁっ!くすぐったぃっ!っひひひひひ!ひゃぁっはははははははははは!」
ミコは体を捩って逃れようとするが、まったく意味を成さない。
「あっはっはっはっははははははは!もっ!やぁっはははははははははは!・・・はぶっ!」
体力が半分を切ったあたりでゴーレムをすべて倒したユカが忍術で本を焼き払い、ようやく解放される。
「ミコちゃんってこのパターン多いよね」
「はぁっ!はぁっ!はぁ・・・」
地面に倒れながら大きく呼吸をする。
「まぁ実際、ああいう待ち伏せ型に捕まると、救出が遅れるように敵が湧くようになっているシステムらしいよ。この前団長が言ってた」
「へぇ、そうなんだ。まぁ、納得・・・」
ミコが回復するまで休憩してから再び進み始め、その後は波乱もなく5Fのボスフロアまで辿り着く。
仕事が忙しいので来週と再来週は休ませていただきます・・・