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102話

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

「ミコちゃんだけ早いねー」


 ニナが道具屋で店員とくすぐりを楽しんでから数時間後、一足先に用事を終えてログインしたミコと喫茶店でおしゃべりをしていた。


「思ったより早く終わったー」


 ミコは生クリームが山のように盛られているドリンクを飲みながら答える。


「2人がインしてくるまで何する?」


「あー、スキルの取得を手伝ってほしいかも」


最近力不足を感じてきたミコは新スキルの習得を手伝ってほしいと頼む。


「いいよー」


 ニナは快諾する。


「サポート寄りの職とはいえ、流石に火力が足りないから……。次のスキルは威力高めのスキルがいいなぁ」


「今んとこ何とかなってるけど、私かユカちゃんのどっちかがやられたら大分きつくなるしねー……」


 少し雑談しながら飲食を終えると、2人はダンジョン「ティクリス研究所跡」へ向かう。


「新スキルの習得に研究所跡に行く必要があるの?」


 研究所跡は機械系やキメラ系の魔物が出現するダンジョンで、最下層の適正レベルは90を超えているため、2人で行くにはやや危険な場所である。


「うん。3階のどっかに太古の植物が保存されているとか、希少植物のキメラがいるとか、そんなことが本に書かれてたのよ」


「なるほどねー」


 そんな会話を交わしているうちに2人は研究所跡に到着する。


「なんだかんだ、ここに来るのも久しぶりだねー」


 2人は研究所跡に入っていき、2人とはいえ1~2階に出現する魔物は敵ではなく、難なく3階まで到達する。


「で、どこにあるの?ここに植物がいるなんて聞いたことないけど」


「わかんないー」


 ミコが仕入れた情報は、3階のどこかにあるということだけで、どこにあるかは分かっていない。



「……探すところからかぁ」


 2人は広い研究所跡3階を当てもなく徘徊し始める。


「広いからなぁ、ヒントとかないの?」


「んー。前にネアさんが隠し扉を発見してたから、ほかにもあるんじゃないかなぁ」


「だとしても、通ってるネアさんが見つけてない扉を私たちが見つけられるの……?」


 ギルド幹部の1人で機械技師のネアは、様々な道具や兵器などの発明品を作るために、ここ研究所跡へ多いときは週5日の頻度で通って素材を集めている。


「いや、ネアさんは基本最下層にしか行かないから、ここはそんなに探索してないと思う。……逆に考えれば、上りの階段から下りの階段までの最短ルートから一番遠い場所が怪しいんじゃないかな?」


「ニナちゃん冴えてる」


 2人はマップを取り出し、上り階段と下り階段への最短ルートから最も遠いエリアを導き出し、そこへ向かって移動する。


「このあたりだね。さて、何があるかなぁ」


「この辺りは来る人も少ないし、何か隠されててもおかしくないよね」


 時折襲ってくるロボットを返り討ちにしつつ周囲の探索を開始する。

 研究所跡の名の通り、小部屋の中には様々な実験道具や書類を保管する棚などが所狭しと存在しており、部屋の中は結構戦いにくい。


「この手の場所の隠し部屋って、本棚の本を引っ張ったり、机とか棚に隠しスイッチがあるのが定番だよね」


 ミコはそう考えて、小部屋に入っては棚や机を隅々まで調べる。


「そう都合よく見つかるかなぁ……。まぁ、私も人のこと言えないけど」


 そう言うニナは、当てもなく壁をひたすらに鎌で叩いている。


「さすがに見つからないねぇ……」


 捜索すること30分。手掛かりの一つも見つからず、一旦諦めて後日4人で来ようか、等と話している時。


「あ。スイッチあった」


 ミコが本棚の奥に隠しスイッチを発見した。


「本当にあるとは……。押してみてー」


「はいよー」


 ミコがスイッチを押すと、小部屋の奥の本棚が動き、奥に隠し通路が現れる。


「行ってみよー」


 2人が1本道の奥に進むと、明らかにボス戦があると思われる大部屋にたどり着く。


「……なんか、思ってたのと違くない?」


「うん。植物、どこ?」


 その部屋には、奥にSF作品に出てきそうなカプセルがいくつか安置されているだけで、植物の気配は微塵もない。


『データベースに登録されていない人物を確認、「DEMー00001」を起動します』


 唐突に部屋全体に機械音声が鳴り響く。


「何、今の声」


「なんだかよく分からないけど、よくない気がするね……」


 2人の反対側、部屋の奥にあるカプセルの1つが白い煙を出しながら開き、中から金髪ロングヘアーに碧い瞳の少女が姿を現す。


「あれって、敵だと思う?」


「敵でしょ。状況的に」


「あれって、何?アンドロイド?」


「DEMって確か、ネアさんが前に作ってた奴だよね」


 困惑する2人をよそに戦闘態勢をとるDEMの少女。


「武装はなし、素手だね」


「とりあえず応戦ー!」


【プラント・シールド】


 ミコは銃弾を地面に撃ち込み、防御力を底上げするスキルを行使する。


「手加減できる相手じゃなさそうだねぇ」


【死神技法:マクサイズ】


 ニナは物理と魔法の攻撃力を、両攻撃力を足した数値にする強力なスキルを発動する。


「よっと」


 スキルの発動が終えたあたりで少女との距離が詰まり、少女の手とニナの鎌が衝突する。


【死神技法:ソウル・リーパー】


 蒼い炎を纏った鎌の一撃を、少女は両手で防いで後ろに飛び距離をとる。


「あれ?バリア無い?」


「無さそうだね」


「じゃあ、やることは一つだよね」


 ニヤリと笑うニナは少女の足元に向けて術を行使する。


【死神技法:欲望の手】


 少女の足元に魔法陣が広がり、真っ黒に染まるとそこから手が現れ、少女を拘束しようとするが、少女は術の発動を一早く察知し、魔法陣の外まで退避していた。


「感がいいなぁ……。いや、感知能力が高いのか?」


 そのまま一息にニナの目の前まで接近し、手を伸ばしてくる。


「早いっ!」


 ニナは鎌で手をギリギリ防ぎ、一歩後ろに下がって術を発動する。


【死神技法:魂滅の灯】


 発動すると、白い炎がニナの目の前で爆発を起こす。


「効いてない訳じゃないけど、通りが悪いなぁ……。炎に耐性とかありそう」


 あまり減っていない少女のHPに顔をげんなりさせるニナ。


【豊穣:パラライズシード】


 ミコが足元に弾丸を撃ち込み、そこから生えてきた巨大な花が少女に向かって種をマシンガンのように飛ばすが、全てを躱される。


「あたんないぃぃ……」


【死神技法:ソウルリーパー】


 ミコの花に気を取られている内に接近したニナが鎌による一撃を叩き込むが、HPはたいして減らない。


「物理耐性も……?いや、神性持ちか?」


 DEMという存在自体、ネアから多少は聞いていたため、神に関するキャラクターにしかない、くすぐり以外のすべての攻撃に耐性がある神性を持っている可能性を考慮する。


「移動阻害系を駆使しないとダメかなぁ、これは」


「領域を展開できればいいんだけど……そんな隙ないよね」


 ミコの切り札の1つ、【豊穣:植物の領域】。

 移動阻害から妨害、味方の補助に攻撃と様々なことができる強力なスキルだが、発動に時間がかかる上に一度中断すると最初からやり直しになるため、滅多に使うことができない。


「煙幕の類って効くと思う?」


「微妙かも。だってメカだし」


「だよね。んー……狭い範囲なら植物で覆えるんだけど、動きを見てる感じ、絶対回避するよね」


「望み薄かなぁ……」


「ここ無駄に広いしねぇ……。毒の類も効きそうにないし……。あとは……」


 相談している内に、少女はまた距離を詰めてニナに手を伸ばす。


「おちおち相談もできないの、ねっ」


 鎌を使って何とか防ぐが、今度は追撃してくる。


【豊穣:プラント・ロック】


 少女の追撃に合わせてミコが弾丸を少女とニナの間あたりに撃ち込み、細長い蔦が少女に絡みつく。


「捕らえ……れないよねぇ」


 蔦は少女を捕らえたように見えたが、1~2秒で無理やり蔦を引き千切り、脱出する。

 少女はそのままニナを追撃する。


「いや、この距離ならいける!」


【死神技法:死霊の手】


 ニナが目の前まで接近してきていた少女に対し、術を発動すると、ニナの目の前に魔法陣が浮かび、そこから半透明の手が2本伸びて少女の両手をつかむ。

 この技はかなり初期のほうに覚えていた技だが、手が直線状にしか伸びないので命中率が悪く、拘束力も低いのであまり使ってこなかったが、ここまで距離が近ければ当てることができる。


「捕らえた、けど。油断しない!」


【死神技法:欲望の手】


 少女が拘束を破る前に、より上位の拘束魔法を放ち、少女の拘束をより強固なものにする。


「……!」


 少女は必死に体を動かすが、二重にかけられた拘束魔法は容易く破ることはできない。


「さて、手間取っちゃったけど、お楽しみタイム~……。ネアさんとこのクレアちゃんもくすぐり効くらしいし、この子も効くよね」


 ニナがニヤニヤしながら少女に手を伸ばし、両脇を両手でくすぐり始める。


「んふっ!ふっ……!やぁっ……!めっ……!……っ!んっふふふふ!」


「喋れるじゃん。結構かわいい声してるねぇ」


「やっ……!くすぐったぃ……!んっ……!あはっ!」


 少女の反応を楽しみながら、段々と指の動きを速めていく。


「んっ!あはっ!はぁっ!やっ!あっ!あはっ!はっ!んんっ!ふっ!んっふふふふふ!」


「じゃあ私はこっちかなぁ……」


 少し遅れてミコが少女の靴と靴下を脱がし、露わになった素足をサワサワと触り始める。


「んふっ!はぁっ!やっ!あっはははははは!だめっ!やっ!ぁっははははは!」


「やっぱアンドロイドとは違うんだね。固くないし、普通の足と変わんないみたい……」


「あっはははははは!やっ、やめっ!っ!やぁっ!あっ!っはははははははははは!」


 少女の足の触り心地を確かめるような触り方から、段々とくすぐったさを与える触り方に移っていく。


「んやぁっはははははははは!やっ!だめぇっ!っははははははは!ゆるっ!してぇっ!あはっ!はぁっ!はっ!はぁっはははははは!」


 段々と強くなっていくくすぐったさに、少女の反応も段々激しくなっていく。


「やぁぁっはははははははは!くすぐったぃっ!くっ!ひっ!あっ!ひゃぁっははははははははははは!」


「くすぐり弱いね……。すごくいい」


「あぁっははははははははは!やめっ!やめてっ!やっ!やぁっはははははははは!」


「反応もなんか、普通の人間と変わんないね。技術の進歩って凄いなぁ」


「あはっ!やぁっ!んっ!ふっふっふふふふふ!ふぁっはははははははははは!」


 ニナは指を蠢かして脇を集中的にくすぐり、ミコは土踏まずや指の付け根など、弱い個所を爪でカリカリと責めたてる。


「やっ!はっ!はぁっ!はっ!んやっ!あっはっはっはっははははははは!もっ、やめっ!あぁぁぁっははははははははははは!」


 先ほどまでの戦闘と違い、みるみると体力を減らしていく少女。


「あはっ!はぁっ!あっははははははは!もっ、やっ!もっ!やぁっははははははははは!」


「ねぇねぇ、私とミコちゃんのどっちがくすぐったい?」


「そりゃ私でしょ。この子、足の裏よわよわだし」


「~~~っ!やっ!どっ!ちもっ!~~っ!んやぁぁっははははははははははは!」


 そのまま少女は体力が尽きるまで2人に弄ばれる。


「はっ……、あっ……、はっ……、はぁっ……」


「体力尽きても気絶しないんだ。じゃあなんかイベントある感じかな」


 敵キャラクターは体力が尽きると気を失うが、少女は体力が尽きても意識を保ったままだった。

 少女が回復するまで数分待つと、少女は立ち上がる。


「はぁ……、あなたを管理者として登録します……。どちらが登録しますか……?」


「どゆこと?」


「たぶん、この子がパートナーになるから、どっちが所有者になるかーって話だと思う」


 ニナは女の子がボスとして出てきたあたりから、これはパートナー入手イベントだと薄々察していた。


「ん-……、じゃあニナちゃ」


「部屋見つけたのはミコちゃんだし、ミコちゃんで。私はソフィナちゃんで十分だし」


「……認証いたしました。よろしくお願いいたします。マスター」


「……私もアヤカちゃんがいるんだけどなぁ」


 そのまま流れでミコはDEMの少女、命名「ウイ」のマスターになる。

年内に間に合いませんでした……

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