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101話

 31階に到達した日から数日後の休日。


「暇だなぁー……」


 ユカ、ミコ、モモが用事で不在の真昼間。1人時間を持て余したニナは当ても無く街をぶらつく。


「これは、アレをやるしかないな」


 何かを思いついた顔をしたニナは、そのまま街中にある道具屋へと向かう。


「いらっしゃいませー!」


 街にあるNPCが運営している道具屋にニナが入ると、元気のいい声が聞こえる。店員は茶色のワンピースに緑色のエプロンを着た、ゆるふわなロングの黒髪をした女性。


「えーと、何て言うんだったかな……」


 ニナはアイテムボックスからメモ用紙を取り出し、何かを確認する。


「よし、すいませーん」


 何かを確認し終えると、ニナはカウンターにいる店員に話しかける。


「はい、なんでしょう」


「えと、お試しして」


 ニナがそう言うと、店員の営業スマイルが一転して獲物を見つけた敵のような、妖艶な笑みを浮かべる。


「……分かりました。奥の部屋へどうぞ」


 そう言われ、カウンター後ろの従業員用と思われる扉の中へ招かれるニナ。


「うわぁ……」


 中に入ったニナが見たのは、X字の拘束台やベッド。ここで何を行うのかは明らかであった。


「こういうのは見慣れたつもりだけど、ド直球なのが飛び込んでくると、流石にちょっと緊張するね」


 ニナの行動は、街にある特定の道具屋の女の子にくすぐって貰える隠し要素で、一定以上の金額を使った買い物を合計10日以上行ったうえで、注文を行わないといけないので、知る人はかなり少ない。

 尚、ニナは団長のリリィからこのことを聞いていた。


「それじゃ、これを着て、こっちに来てください」


 店員に導かれ、ノースリーブのワンピース服に着替えた後、X字の拘束台に両手を縛られるニナ。


「絶妙に動かせるのがいやらしいねぇ」


 微妙に両手を動かせるが、腋を閉じて守ることはできない。


「じゃあ、始めますね。まずは定番の羽から……」


 店員はそう言うと、懐から綺麗な羽を取り出し、ニナの右腋を優しく撫でる。


「んっ……!くふっ……!ふっ……!はぁっ……!」


 羽が動き、ニナの腋に触れて撫でる度に、ニナの腕が反射的に動き、手枷がガチャガチャと音を立てる。


「やっ……!ぁっ……!はっ……!んんっ……!ふっ……!ふふっ……!」


「くすぐったいですか?では、もう一本追加しますね?」


 店員は拘束台の後ろに回ると、羽をもう一本取り出し、両脇をくすぐる。


「くひっ!はぁっ……!ひゃっ……!はっ……!やっ……んっ……!」


 ニナは反射的に刺激から逃れようと体をくねらせるが、左右にある羽が逃さない。


「あっ……!はぁっ……!はひっ!ひゃっ……!んんっ……!ふぅっ……!」


「さて、そろそろ次に行きましょうか」


 店員は羽を置いて新たな道具を取り出す。


「次は、これです」


 店員は筆を2本取り出し、ニナに見せつける。


「もちろん、絵を描くためではなく、くすぐる為に作られた筆。魔獣「ラウドビースト」の毛で作られた最高級品です」


(ラウドビースト製の筆。高いから買えて無いけど、こんなところで体験できるとは)


 ユカ達の誰もまだ出会えていないレイド級の敵、魔獣「ラウドビースト」。見た目は巨大な猫のような魔物だが、体長は5メートルを超え、細長い尻尾が20本も生えている。


(いつかラウドビーストそのものとも戦ってみたいな)


 ラウドビーストは南の山の中で稀に出現する。強さもあるが、滅多に遭遇できないのである。


「そうっと、いきますよ」


「ふひゅっ!」


 筆の毛先がニナの脇に触れると、体をびくりと震えさせて反応する。


「さわさわ~~……」


「はぁっ……!あはっ!やっ……!あっ……!はっ……!んっ……!くふっ!はぁっ!」


 筆がニナの脇を優しく撫で回すと、体をピクピク震えさせてくすぐったさを表現する。


「ふふーん。そのまま撫でるだけでも、くすぐったいでしょう?」


「はっ!はぁっ……!やぁっ……!んっ!っふふふ!」


「でも、この筆はこうすることもできるんです」


「んひゃぁっ!?」


 店員が筆に魔力を流し込むと、筆の毛が自立的に動き出す。


「この筆は魔力を流すと、毛が勝手に動いてくれるんです」


「ひゃっ!はぁっははは!あはっ!はっ!やっ!んんっ!ふっ!んっふふふ!」


 ラウドビーストは尻尾で捕らえた人を魔力で動く毛で全身をくすぐる魔物である。その毛の性質は魔獣本体から切り離された後も健在であるため、この筆も魔力を流すことで毛が動き出す。


「あぁっははははは!あはっ!はぁっ!やっ!あっ!っはははははは!」


 しゅるしゅると音を立てながら蠢く毛がニナの腋を撫で回す。


「はぁっ!はっはっはぁっ!んっ!やっ!あぁっははははは!くすぐったっ!ぃっひひひひひ!」


 それはまるで、細長い触手の束のようである。


「ひゃぁっははははは!ははっ!はぁっ!はぁっ!はぁぁっははははは!」


「どうでしょう。気に入って頂けると幸いです」


「あぁっははははははは!はぁっ……!はぁっ……!はぁ……」


 スッと筆を離し、ニナはくすぐったさから解放され、息を整える。


「では、こちらが最後の道具です」


 そう言うと、ニナにゴム手袋をはめた両手をニナに見せつける。


「もちろん、ただの手袋ではありませんよ。ほら、見てください。手の平がブラシの様になっているでしょう?」


 店員の付けた手袋は、手のひらがシリコンブラシになっている。


「このままだと物足りないので、ローションをたっぷりつけて……。ふふっ、行きますね?」


 妖艶な笑みを浮かべた店員は、一気に両脇を両手で思いっ切りくすぐる。


「ひっ!やっ!っ!ぁっははははははははは!はぁっ!はぁっははははははははは!」


 ぐちゅぐちゅとニナの肌とブラシとローションが擦れ合う音と、ガチャガチャと激しく暴れるニナの腕を拘束する手枷の金属音が鳴り響く。


「ひゃっ!はっ!くしゅぐった!ぃっひひひひひ!やぁぁぁっ!はぁっ!やぁっはははははははは!」


 羽の優しいくすぐったさとも、蠢く筆のくすぐったさとも違う。強い暴力的なくすぐったさにニナは体を激しく動かすが、ガッシリと掴んだ店員の両手は一切離さずくすぐるったさを与え続ける。


「あはっ!はぁっ!あぁーーーっはっはっはっはははは!はっ!はぁっ!」


「こちょこちょこちょ~~」


「んやぁぁっはははははは!はぁっ!はぁっ!あぁっはははははははは!だめぇっへっへへへへ!」


「こう、上下にゴシゴシ~っと」


「ふひゅぃやぁっははははははは!やっ!あっ!っははははははは!」


「ぎゅっと押し付けて……。指をわしゃわしゃ~~」


「はぁっ!はぁっ!……あぁぁぁーーーーっはははははははははは!」


 店員の技に翻弄され、為す術なくくすぐられるニナ。


「あぁぁっはははははははは!はぁっ!はぁっ!はぁっ……!はぁっ……」


「どうでしたか?気に入って頂けたら良いのですが……。またシて欲しくなったら何時でも来てくださいね」


「はぁっ……、はぁっ……」


(時間は……、まだ余裕あるなぁ。もう一軒ぐらい行こうかな)


 ニナは休憩した後、筆を2本購入して次の店へと向かう。

日曜日に上げた気になっていましたが投稿ボタンを押していませんでした……

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